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エトナの独り言

駄文１

　　　『　死　神　の　剣　』
序１

重い扉を重たい足取りで開く。
『いてててて・・・。』
『ああ、お帰りなさい。あら、あんた、またそんな顔して帰ってきたのかい?もうやめちまいな、あんたにゃあ向いてないんだよ。』
『顔だけじゃないんだけどね、ただいま、おばさん。』
今日は顔に大きな傷とおばさんには見えてはいないけど、たぶんあばらも折れてるのかなぁ。ひどく胸のしたあたりが痛む。
狩りから帰ってくるたびあたしはどこかが折れたり、なにかが壊れたり傷をつけて帰ってくる。よろいを取ったら傷だらけでまるでつぎはぎだらけだって言われたっけ。これでも私にとっては勲章なのに…。でもおばさんの言葉じゃないけど本当に向いてないのかもね。あたしは大きな刃渡りの剣も弓もボウガンもうまく使えないし、仲間のハンターの足ばかり引っ張ってしまう。いわばお荷物だもん。
『確かにあんたの金が我が家の懐事情に左右してはいるけれどね、それでもあんたに世話にならなきゃ暮らせない程だっていうわけでもない。あんたにゃ悪いけど、あたしの方がうまくやれるんじゃないかと思うくらいだよ。他のどのハンター見てもあんたほどぼろぼろになって帰ってくる奴も珍しいね。』
おばさんの小言がそうでなくても痛い胸に刺さる。正直怪物たちからの手傷というわけでもないのだけれどそれは言えない。

あたし自身も色々と考えてる。ハンターなんていう危ない仕事から足を荒い、どこぞの売り子でもしようかとか武器屋のおばあさんのところに弟子入りしようかとか…。
あたしだって考えちゃあいる。考えちゃあいるにはいるんだけど…。
（あたしじゃあ無理よねぇ。なんだかやる前から出来なそうなオーラむんむんだわ。
武器屋だってなんだか続かなさそうだし、売り子にしたって今日もこんな顔になってしまったからきっとあたしなんかつかってなんかしてもらえないだろうし…。）
気が重たい……。
『それでも今日はレートが高かったからクック2匹で3000ゼニーだよ。少しくらいは褒めてもらってもいいんじゃない?』
実はあたしのへまでパーティーの売り上げが減ってしまいもっともらえるはずが仲間にマイナス分をお支払いしたがために減ってしまっていることは言えない…。
『ルミナ、そうは言ってもあんた、その金を得るのにいくつ回復薬を買い込んだんだい?道具屋のあの生意気な猫が教えてくれたよ、あんたがけっこうなお得意様だってね。』
（あの猫め…。そんなことまでチクリやがって。）

ため息が出そうになるけど、我慢してヘレンおばさんにひとまず取り繕いを…。
『いやぁ備えあればって言うじゃない?ほかの方に迷惑かけないためにもね、持つべきものは持っておかないと』
『ほぉぉぉ、殊勝な心がけじゃないルミナ。あんたあたいにだって「フレアさぁん、大変申し訳ないんですけどぉ、回復薬が切れちゃってぇ…」なぁ～んて情けない声であたいに言って回復薬二つふんだくっていったじゃないのさぁ』
あちゃ～。
閉めたはずの扉の傍らにあたしのハンター仲間（大先輩だけど）のフレアさんが立っている。にこやかな笑顔にほほの傷がまぶしい。
この家業を始めることになったのもフレアさんの影響だ。ココット村?とか言う村から来たっていってたけど、そのことについてはあまり語りたがらないのであたしも聞けずじまいになっている。
『あら、ヘレンおばさん、元気してた?
まぁ、今回も死ななくてよかったねぇルミナ。わずかばかりの命かと思いきやなかなかしぶとくなったもんだよ。「こうやって野っぱらに生えてる草だろうがなんだろうが食えるようにならないとこの世界を生きぬけないんだよ!」って言って無理やり食わせたあたいの教えが身にしみてわかったろう？』
あんたあんときゲキレツ毒テング食わそうとしたじゃない…。あたしはいつかこの人に殺されるよ、きっと。

……
「これ食べれるかなぁ?……、う～ん、ルミナこれ食べてみなよ。もしかするといけるかもしれない。」
『【もしかすると】って～最初からダメそうなのをあたしで実験しようとしてるだけじゃないですか。そんな見るからにやばそうな色してるのにぃ、ひどいよフレアさん』
「えぇ～い、つべこべ言わずに食べるの!ほぉら！口あけて～」
そういいながらフレアさんはあたしの鼻をつまむ。
『それじゃ息が出来な……ングッ!？』
あたしが口を開けたのをいい事にフレアさんは口に無理やり詰め込む

『…ん＊4ん＠ん￥んんなっぁ＄なぁなぁあああぁぁぁぁ○♯△□＆‘％=Ｉ’＆！！！！！！！！！』
体が自発的に拒否しているらしく吐しゃ物をこんな声にならない声を上げながら撒き散らしもだえているあたし。
頭の中に…花火が…目が……ま・輪・る・ぅ～…。気持ちが悪い…。
「やっぱりダメだったかぁ…。やっぱ紫って色はまずいよね。ってルミナの顔も同じ色だわ、こりゃ傑作。って笑ってる場合じゃないわな。」
また何かを口に入れられたけど、もう感じられない。なんだろ。っていうまえにあたし死んじゃうのかなぁ。

にっがぁ！！
なんかよくわからないけどものすっげぇにげぇ！

なんてもんを口に入れるんだあの人は。という前にあの人はヒトか?でもなんだか感覚が少しだけ戻ってきた。
ような気がするだけかもしれないけど。いや、感覚はあるみたいだ。さっきも苦さを感じたし。
その後あたしは奇跡的に復帰。テントになぜ寝ていたのかは知らないけど。
聞いた話によると小脇にあたしを抱えてテントまでフレアさんが走ってくれたらしい。それだけ聞くと原因はなんにしろありがたい話なんだけど、
「重たいな、めんどくせぇ」
といってあたしの鎧の止め具を破壊しひん剥いたあとにあたしを小脇に抱えて行ったらしい。身長だってあたしとあまり変わらないのに小脇にかかえてっってねぇ。どうせならおんぶとかしてくれてもいいのに。
そしてあたしは装備を失ったんだっけねぇ。その装備もフレアさんのお下がりだったけど。あれ、なんか生臭かったんだよなぁ。異国の戦国武将みたいに触角も生えてたし。でも自前より強かったからよく使ってたのに。
……

そういえばあのときも返り討ちが怖くて言い返しはしなかった。

序２に続く

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