エトナの独り言

エトナの独り言

序3


『あたいもマジにならなきゃやられる。そういう奴を相手にやらなきゃルミナもこの生活でなんか食っていけない。たとえ一緒にやっていてもだ。
生きて帰れたとしてもそんな奴らとやりあえないようならここでハンターとしての人生を終わってもらうしかないから。
そろそろ……そろそろルミナもあたいから離れなくちゃならない時期でもあるし。』

話しながらフレイさんはあたしの前に来た。

『ルミナ…。お前も自分の考えで狩りをしていかなくちゃなんないんだ。どこに現れやすいか、どういった行動をとる習性なのか、龍をどういうふうに倒していくか、そいつを計画していかなくっちゃならないんだ。時には人の使い方も考えなきゃならない。それを今回は見せようと思ってるんだ。
それを見せたらこれから行う道具の使い方を含めて一通りは教えれたんじゃないかとあたいは思うんだ。
まぁあたいの教え方ががさつだから今すぐ独り立ちってわけにはいかないと思うけど、おいおい【わたしがこいつを狩ってやろう】って気持ちになるようにはしてきたつもりなんだけどね。
ルミナも巣立ちの時期は近づいてるって事は少しずつでも力はついてるってことさ…。』

なんだかうっすら悲しそうな笑顔だった。
さみしいような。
フレイさん…。

『あたしは…、きっとまだまだだろうから、まだフレイさんとしたいよ!じゃないと、……まだあたしだけじゃ生き残れないよ。』

色んなものがこみ上げてきた。
あたしは涙が出てるのにぬぐうことができなかった。
情けないことを言ってるのなんかわかっていたけど、あたしにはそれどころじゃなかった。 
もうあたしの前からフレイさんが離れていってしまうようなそんな不安を感じていた。

『あのねぇ。まぁだ誰も1人でやれなんざ言ってないってば。できないのもわかってるし。ただそんな気構えだけは持っていないと、あたいが死んだらどうすんだよ。それに師弟関係なんかじゃなくあたいは早く対等になってもらいたいんだ。そのための今回の古龍狩りなんだから。』

フレイさんはあたしの頭をぐしゃぐしゃに掻きながらさっきのとは違う苦々しくも優しさのある笑顔であたしをなだめた。

よかった。まだ一緒にできる。
その安堵感からか今まで以上に涙がこぼれていた。
おばさんはそっと少し微笑みながらその光景を見ていた。


翌日からフレイさんの狩りに必要な道具作り講習が始まった。
今まで価値の分からずにただただフレイさんの道具持ちと思いながら持ち帰ったものたちは色々な道具に変貌を遂げた。
回復薬の力を高めるハチミツ、目くらましの閃光玉を作り出す陽光石。
色々な道具箱にしまってあったものがその役目を取り戻しつつあった。いや、こういった使い方もできるというのをあたしが知らなかっただけか…。
そしてフレイさんから言われたことは…『とにかく走る事』。
『あんたは生き延びることも生き延びさせることも一筋縄じゃいかない。でもあたいはそうさせたいし、そうしなきゃならないって思ってる。だからあんたは何かあれば一目散に逃げられる体力をつけておきな。』

まぁフレイさんの言うことには逆らえないから…あたしはしょうがないので唯一持っている大剣ブレイズブレイドを背中にしょってピッケル、爆弾そんなものをつめた荷物を抱えて町中を走り回りましたとも…。
生き残るためだ…。

頑張らないと。

『1』に続く

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