エトナの独り言

エトナの独り言

1-7


気持ちの面で足も重いがそれ以上に荷物が重い。
重い足を引きずってギルドに指定されたベースキャンプに着く。

ここだけはモンスターに荒らされないとされる『聖なる場所』と言うものらしい。
理屈はわからないけれど、このフィールド上にある唯一の『安全地帯』と言うことらしい。


荷物をひとまず降ろし、ミーティングを行う。

フレイさんの口からターゲットの居場所、作戦の確認、そしておのおの生き残るようにと言うことを説明された。
生命最優先でお互いカバーできるところはするようにと…。

ベースキャンプの片隅にある『守り岩』と呼ばれるハンターたちのお守りに戻り玉をこすり付ける。
こうすることではなれたところからこの場所に戻れるらしいのだが…、残念ながら『この岩』でないと出来ないようだ。
あたしは…、もってない。

みんなでコレを使わずに帰って来れたらいいな。


そしておのおのそれぞれの重いと荷物を抱え塔の頂上を目指していった。




とはいえ私だけはフレイさんという保護者付きで目指すことに。
さすがにギアノスやガブラスや大雷光虫でどうにかなったりはしないのにぃ…。
悔しい反面ちょっと安心したり…。


アプトノスの親子の戯れる静かな広場。
これから恐ろしい戦場に向かうことを忘れさせてくれるような静かなところ。
ここでいい鉱石が取れるらしい。
巷ではこの場所で採掘だけして引き上げようってツアーがあるだとかないだとか…。
まぁあたしもひとまず掘ってみるとします。

石ころ。
石ころ…。
い~し~こ~ろぉ~!!

まったくヴリトラに投げつけてやろうかしら。
いい鉱石ってなによぉ~!!
と思って振り降ろしたピッケルに何かが当たった。
回りもピッケルの先端でつっつきつつ掘り出してみる。
何か…武器のような形をしているような…。
コレって双剣?
なの?

『ねぇ…フレイさん、これって・・・。』
『ほ~ぅ。・・・・・・・・・おぅ!双剣だなっ!』
ぼっろぼろの、何か石の塊のような、そんな双振りの剣と呼ぶには難しいものを興味深そうに(明らかに面白がって)私の肩越しに顔を覗かせながらにたにたしながらそう言った。

『あたいもこの辺で掘り出したものから【伝説の剣】的なものを手に入れたって話を聞いたことがある。
だっけどねぇ~、……街の鍛冶屋のおっさん達にも聞いたんだけれど、こういった塊を抱えて鍛えてくれって言うやつを沢山見たが・・・、古代の【業物】が風化しちまったものは100人に一人くらい・・・・・・だとよ。ルミナも【あたり】が引けりゃぁいいな。』

急に『こんなものっ!』という気持ちが湧き上がる。
こんなところから後生大事に持ち帰ったって【あたり】とは限らない。
それにこれから戦うのはあの【ヴリトラ】だ。
帰る事だって難しいのにそんなことを考えることじたい甘いか・・・。

とそう思って投げてしまおうかと握り手を握った瞬間なにか、なにかが、私に話しかけたような気がした。
【捨ててはいかん、私がお前に力をやろう】
こぎたない双剣が話しかけてきたっ!!

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