『それでもボクはやってない』


大事な就職の面接を受ける日の朝、
フリーターの金子徹平は通勤ラッシュの電車で
女子中学生に痴漢と間違われ、現行犯逮捕されてしまいます。
一貫して無実を訴え続けるも、起訴されることに・・
彼の長い戦いが始まりました。
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周防正行監督11年ぶりの新作とか。
3年かけて取材したという取り組みよう。

‘裁判’って、どんなものなんだろう?
その矛盾さ、問題点が浮き彫りにされていきます。
2年後には裁判員制度が始まるということもあって
人ごとではなく『人を裁く』のがいかに難しいか
いや、今の制度では人が裁くというより
流れに添って機械的に処理してるっていう感じなのかな?
とにかく、色々勉強になりますよ~★
ま、一生のうち裁判員に選ばれる確率は
67人に1人と言われているみたいですが。

それでもこういう人達がいて、
こういうことが行われているというのは、
当事者になるか、映画などでしか知り得ない訳でしょう?

なので「え~っ!?そうなのぉ?」なんてシーンが多々あったり。
おいらが観てた回では客席から
「サイテー!」なんて思わずスクリーンに向かって
ぼやく声が聞こえてきたりしました。

エンターテイメント的な映画とは違って
ドキュメンタリーちっくなリアルさ。
物語が派手に盛り上がったりは決してしないけど
ずっと目が話せませんでした。
この映画を観て裁判員制度に関心を持った方も
いらっしゃると思います。
それほど興味をひく内容でした。
ただ、映画的?なハラハラドキドキ感を求めて
観に行かれるなら、ちょっと違うかもしれません。
裁判に関するテキストみたいなもんかな。
勉強にはなりますので、観て感動は出来なくても損はないでしょう。

加瀬 亮さんが演じる主人公の青年は
ごくごく平凡などこにでもいそうなタイプ。
(こういうのを演じられるって凄いっ★
『硫黄島・・』も良かったっすけど)

「触ったでしょ」と言い掛かりをつけられ、
なぜか気付けば留置所行き。
何も悪いことはしていないのだから話せばわかってもらえる。
そう思いながら、駅事務室→警察→留置所→裁判・・
あれあれあれ~?
こんなに話を聞いてもらえないもんなの~(*_*)
でもまさかやってもない事で
‘罰を受ける’なんてありえないだろう。
最終的に「裁判官ならわかってくれる」
・・これはこの主人公だけではなく、
同じ状況なら誰しもが思うのでは。
だって罪は犯してないんですから!

けれど、自分だけが確信している事実を
現状の裁判制度で立証するのが、こんなにも難しいとは・・
特に裁判官が保守的にならざるを得ない理由・・
「無罪」の判決を出す事は上に盾突くことで出世に影響する
・・あんぐり( ̄○ ̄;)
国家権力と戦うって、こーゆーとこにあるのかも。
そもそも裁判の途中で裁判官がひょいっと変わっちゃうなんて
裁判って、人が裁くんじゃなくて単なるシステムですよね。

実際のところ、この映画の主人公が本当に無罪なのか
実は痴漢しちゃってたのかはわかりません。
主人公視点なので主張はもちろんタイトル通りなのですが。

裁判では感情論抜きで、出された証拠だけで
判断しなければいけません。

痴漢犯罪は決して許されないことです。
犯人が誰であれ、被害者は深く傷ついています。
だからこそ、冤罪なのかどうかを見極めるのは
ものすごく大切だし、難しい。
でも、無実の人を有罪にしてはならないし。

このストーリーの流れを見て、本当に正しいことはなんなのか
自分なら何を信じるだろうかと
たくさん考えさせられました。

ラストに「どうか私をあなたたち自身が
裁いて欲しいと思うやり方で裁いて下さい」とありました。

まさにあと数年後、人ごとではなくなるかもしれません。

とりあえず、謎に包まれていた(おいらにとって;)
日本の司法制度について多くのことを知る事が出来ただけでも
観た価値がありました。

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