ちょっといい女

ちょっといい女

公園



闇が重々しく私にのしかかってきた。凍りつくような寒さに心まで冷え切っていた。

そして私は何時しか死を考えていた。

空には星が

1つきり浮かんでいた。闇に沈んだ白いベンチを見つけた。


何かがあった訳ではない。多分、遣る瀬無さが私の心に巣くっただけ。

ああ私も賢明に生きればよかった。

懸命に生きようと思ったばかりに私は疲れてしまった。


いっそのこと人間でなくなればいい。

庭の隅に座りこんでいる石になりたい。

誰にも気に留められず飄々としていられるから。


何をしても死ぬ時には全てをなくしてしまう。

精一杯生きるってどういうことだろう。無理する必要がどこにあるだろう。

海で砕け散る波が羨ましい。飛沫となって消えて行くあの姿。

公園を出て、路地に入っていった・・・

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