カンパニー・マン



『CUBE』から約5年…
世界中を恐怖に陥れたヴィンチェンゾ・ナタリ監督が仕掛ける5700秒の記憶の迷路

 監督デビュー作にして頂点を思わせる完成度を備えた『CUBE』のあと、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督が数あるメジャー映画会社からのオファーを断って選んだのがこの『カンパニー・マン』。これが初の長編作品となる新鋭、ブライアン・キングがシナリオを手掛けた、近未来のアメリカを舞台に入り組んだ人間模様と謎解きが重層構造をなすオリジナリティー溢れる奇妙なストーリーである。アイデンティティの危機に見舞われた男が“自分自身になろうともがく”物語であり、そしてまた現実逃避者の描く幻想のような近未来像にも見えるこの作品で、ヴィンチェンゾは、3次元の閉塞的な迷路から飛び出し、記憶の中にある超次元の迷路へと踏み込んだ。ダークな世界観を現代アートの領域に踏み込んだセット美術に昇華させ、効果的な映像技術を駆使して観客をどこまでも不安定な精神状態に陥れる。さらにストーリーには60年代のスパイ映画の要素を織り込み、エンタテインメント性までもを追及しているところも見逃せない。
 主人公のモーガン・サリバンを演じる、『ゴスフォード・パーク』などで知られるイギリス人俳優のジェレミー・ノーザムの狂気すれすれの演技や、モーガンを魅惑する女・リタを演じる『チャーリーズ・エンジェル』のルーシー・リューの謎めいた演技も、映画を一層盛り上げている。


STORY

 結婚にも仕事にも行き詰まり、平凡で変わり映えのしない日々にうんざりしていた会社員のモーガン・サリバン。そんな単調な日々に終止符を打つべく産業スパイになることを決意、多国籍ハイテクノロジー企業・デジコープ社に合格する。そこでエージェントのフィンスターから、ジャック・サースビーという名前を与えられる。初任務はある企業のコンベンションに潜入し、ペン型盗聴器で情報を本部へ転送することだった。
 モーガンはなんなく任務を成功させ、スリルとサスペンスに興奮を覚え、憧れていたタイプの人間そのものに変身した彼は自信を取り戻す。一方で、何度も繰り返される激しい頭痛と、奇妙な映像のフラッシュバックに襲われるようになる。やがて謎の女リタが現れ、驚愕の真実を告げる。モーガンを興奮させたスパイの任務はカモフラージュで、デジコープ社の真の目的は洗脳によって完璧なスパイをつくり上げること。そして洗脳に失敗した者は殺されることもある…と。
 リタの言葉を信じるか、自分を雇った会社を信じるか…モーガンは次第に混乱し始める。記憶の混濁、現状把握の神経症的混乱──彼は次第に憔悴し、知らず、出口の見えない記憶の迷路に迷い込んでいた…。

CAST

モーガン・サリバン/ジャック・サースビー:ジェレミー・ノーザム
リタ・フォスター:ルーシー・リュー
フィンスター(デジコープ社):ナイジェル・ベネット
キャラウェイ(サンウェイズ社):ティモシー・ウェッバー
バジル・C・ダン:デビッド・ヒューレット


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