このふたりを支える共演陣にも、いずれ劣らぬ達者な顔ぶれが揃った。核戦争の引き金を引くか否かの決断を迫られる合衆国大統領ファウラーには、『L.A.コンフィデンシャル』のジェームズ・クロムウェル。ファウラーと共に危機対策にあたる国防長官ベッカーには、『マグノリア』のフィリップ・ベイカー・ホール。そのベッカーとギリギリの場面で意見を衝突させる国務長官オーウェンズには、『交渉人』のロン・リフキン。国家安全保障問題担当大統領補佐官の重責を担うレヴェルには、『アリ』のブルース・マッギル。ホワイトハウスの首脳陣にふさわしい風格を備えた彼らのアンサンブルが、ドラマの現実感をいやがうえにも高めていく。いっぽう、若手では、腕利きの現場工作員ジョン・クラークに『ザ・ハリケーン』のリーヴ・シュライバーが扮し、ハツラツとした個性を発揮。また、ライアンの恋人キャシーには、『セレンディピティ』の新人ブリジット・モナハンが扮してクール・ビューティの魅力をふりまいている。さらに、米ロの対決を仕組むオーストリア人の実業家ドレスラーにアラン・ベイツ、国内外での駆け引きに苦慮するロシア大統領ネメロフにシアラン・ハインズと英国のベテランが要所を占め、映画にいっそうの深みを与えている。『クイズ・ショウ』『フェイク』でオスカー候補になったポール・アタナシオと、『エニイ・ギブン・サンデー』のダニエル・パインが共同で執筆した脚本を、臨場感満点のドラマに仕立てあげたのは、『フィールド・オブ・ドリームス』のフィル・アルデン・ロビンソン監督。サスペンスでは『スニーカーズ』という佳作を放っている彼だが、今回は、緩急のツボを心得たリズムに名匠の腕を発揮。核攻撃のカウントダウンと、ライアン、米ロの大統領のホットラインが絡み合うクライマックスのたたみかける演出で、見る者を大いに魅了する。撮影は、ロビンソン監督と3作で組んでいるほか、『ユー・ガット・メール』などのノーラ・エフロン監督作でも活躍するジョン・リンドレー。ホワイトハウスやCIA本部を忠実に再現したプロダクション・デザインは、『カラー・オブ・ハート』『LA.コンフィデンシャル』でオスカーにノミネートされたジニーン・C・オプウォール。編集は、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でオスカーを受賞し、過去2作のジャック・ライアン・シリーズも手がけているニール・トラヴィス。オペラやアフリカン・リズムを効果的に配した音楽は、アカデミー賞18回ノミネートの記録を誇る大ベテラン、ジェリー・ゴールドスミスが担当している。製作は、『レッド・オクトーバーを追え!』以来、ジャック・ライアン・シリーズを世に送り続けてきたメイス・ニューフェルド。彼が原作者トム・クランシーを製作陣に加えて放った本作は、21世紀のヒーローとして蘇ったライアンの新たな門出を祝福するにふさわしい傑作となった。 STORY 第四次中東戦争が勃発した1973年。エジプトとシリアの奇襲攻撃に対してイスラエル軍の発射した戦闘機が、ゴラン高原上空で撃ち落とされた。搭載されていたのは、一発の核爆弾。以来29年間、それは砂漠の砂に埋もれて眠り続けていたが、偶然にもこの場所へ井戸を掘りに来たパレスチナ遊牧民によって発見される。彼には知る由もなかった。クズ鉄同然の不発弾だと思いこみ、400ドルで武器商人に売りつけたものが、世界崩壊の序曲の引き金になることを……。