天国の口、終りの楽園。




太陽に近い国メキシコではすべてがまぶしい。あまりにも青い空、目を射る色鮮やかな自然、乾いた空気にあふれる官能……。生と死、優しさと残酷さが交錯するメキシコを旅して、ひとりの女とふたりの少年が見つけたものはなにか?

 悲しい秘密を持つスペイン生まれのルイサと、生のエネルギーを持て余す17歳の少年テノッチとフリオ。メキシコ・シティから南下し、伝説の海岸『天国の口(くち)』を探す旅の中で、3人は自分自身とそれぞれの現実と向き合い、何かが変っていく。それは、誰もが共有する凝縮された時間の記憶。熱い太陽に照らされたひと夏の旅は、ルイサにとっての最期の旅、そして、少年ふたりにとっては、もっとも輝いていた甘美な少年時代との決別の旅だった。


ハリウッドが注目するメキシコの新星ガエル・ガルシア・ベルナルと
ハリウッドから凱旋した、メキシコ生まれの才能溢れるスタッフとキャストたち。

 青春という魅惑と混乱のまっただなかに生きるふたりの少年を演じるのは、『アモーレス・ペロス』(00)で世界的に注目されたメキシコの新星ガエル・ガルシア・ベルナルと、『夜になるまえに』(00)のディエゴ・ルナ。そして、若いふたりを魅了する女性ルイサには、『ベルエポック』(92)のマリベル・ベルドゥーがスペインから迎えられた。
 生のエネルギーあふれる映像に一瞬で過ぎ去って行く青春のノスタルジーを漂わせるのは、『大いなる遺産』(97)などハリウッドで活躍するアルフォンソ・キュアロン監督。脚本は、監督アルフォンソと実の兄弟であるカルロス・キュアロンの共同作業。第三者の視点で語りかける型破りなナレーションの挿入など、脚本完成度の高さは、ベネチア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞するなど、世界のジャーナリストを唸らせた。撮影は、『赤い薔薇ソースの伝説』(92)の魔法のような映像で世界を魅了し、近作『彼女を見ればわかること』(99)も印象的なエマヌエル・ルベツキーが担当。手持ちカメラを多用したリアルな映像は、強い陽射しと土ぼこりにあふれたメキシコの光を絶妙に捉え、マジックリアリズム的な映像センスが冴え渡る。


STORY

フリオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とテノッチ(ディエゴ・ルナ)は17歳。学校を卒業したばかりの夏、お互いの恋人がヨーロッパ旅行に行ってししまった二人は、進路の悩みや親との対立はとりあえず頭の隅に追いやって、男同士の野放図なパーティに明けくれていた。有力政治家の息子であるテノッチのおかげで何不自由なく遊べるのだが、何がおこるわけでもなく時間だけが過ぎていく。早く大人になりたい自分と、今のままがいちばん楽しいかとも思う自分。夏はまだ始まったばかりだった。
そんなある日、テノッチの親戚の結婚式で、ふたりはテノッチの従兄弟の妻である美しいスペイン女性、ルイサ(マリベル・ベルドゥー)に出会う。彼女を誘い出すために、存在するのかどうかさえ知らない伝説の海岸『天国の口』へ行こうと声をかけるがルイサに軽くあしらわれてしまう。

数日後、病院には、ルイサの姿があった。スペイン生まれの孤児で、メキシコに自由と幸せを求めて渡ったルイサに、悪い知らせが訪れる。自分に残された時間に思いをめぐらすルイサ。そんな彼女に追い討ちをかけるかのように、その晩夫からとんでもない電話がかかって来る。「別の女と寝た」と。つらい知らせが重なり、ベッドで泣き崩れるルイサ。翌日、彼女はテノッチに電話をかける。「“天国の口(くち)”に行くんでしょ、いっしょに連れて行って」と。歳上の女性との一夏のアバンチュールに頭がいっぱいになりながら、フリオとテノッチは“天国の口”らしき海岸を地図で探し出し、楽しい夏になりそうな予感に胸を躍らせる。ふたりはルイサを車に乗せて未知の海岸を目指し、乾いた熱気と人いきれに蒸せかえるメキシコ・シティを後にする。
果たして“天国の口”は見つかるのだろうか・・・。

CAST

フリオ:ガエル・ガルシア・ベルナル
ルイサ:マリベル・ベルドゥー
テノッチ:ディエゴ・ルナ
ハノ:フアン・カルロス・レモリーナ
アナ:アナ・ロペス・メルカード
セシリア:マリア・アウラ


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