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アクシデント2


自分を叱咤して、俺は女に聞いた。

「家って、どこなの?」

女は黙っている。

警察に連絡したほうがいいのか?
いや待て。さっきまで職場の同僚と飲んでいたんだっけ。
酔ってはいないが、アルコール反応は確実に出るはずだった。

やばいよなぁ。
このご時勢、酒気帯びで人身事故なんて、社会から抹殺されちまうよな。

そう思っていたところへ、遠くにヘッドライトの明かりが見えた。
やばい、車が来る。
「とにかく乗ろう」
そう言って、女を抱きかかえて車に乗りこんだ。

助手席に座らせて、運転席に戻る。
エンジンをかけて、わき道に寄って停車した。

「気分は?顔以外痛いところない?」
「うん。大丈夫。」
「俺、どうしたらいい?警察・・・」
そこまで俺が言うと、女はさえぎるように言葉を挟んだ。
「警察は、いや!」

俺は、唾を飲み込んだ。

黙っている俺に、女は言った。

「車を出して。」

「いいけど、どこへ?」
「家へ帰りたい。」
「君の家、どこなの?」
「・・・わからないの」
「え?」
「さっきから考えてるんだけど、思い出せないの」
「・・・・おい、マジかよ・・・」俺は頭を抱えた。
さっきの衝撃で、記憶がなくなっちまったのかよ??

「病院へ行ったほうがいいよ」
「今夜はいや」女はうつむいて言ったかと思うと、いきなり顔を上げ、
俺の目を見て強い口調で言った。
「とにかく、車を出して」

意思のある美しい瞳と
その声に促されて、俺は発進した。

車は俺の家に向かって走る。
「このまま行くと、俺の家だけど・・・」
困ったような俺の声とは対照的に、女はほっとしたような、答えを見つけたような
安堵の声を出した。

「あなたの家に、帰ろう」


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