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玲子13~脅迫~



慎司の信じられない行動の後、私はシャワーも浴びずに慎司の車で送られて帰ってきた。
とにかく一刻も早く解放されたかった。
慎司も、シャワーを浴びた形跡を残したくないようだった。
車内で私と慎司はずっと無言だった。私は今後どうやってこの卑劣な男と戦っていったらいいのか、
考えあぐねていた。
1人暮らしの私の部屋を知られたくなかったので、少し手前で降ろしてもらうことにした。
「帰ったら、ゆっくりシャワー浴びなよね。」車を降りる私に笑顔でそう声を掛けて、慎司は去っていった。
一体なんて男なんだろう!何事もなかったような涼しい顔で、シャワー浴びなよ、なんて!!
どうやって写真を抹消したらいい?どうやったらこの悔しい気持ちを晴らすことができる?
とにかく冷静に考えなくては。あいつの、慎司の鼻をへし折って、ずたずたにしてやるのよ!

月曜日に出社するのは本当に勇気がいった。どんな顔をしたらいいのだろう。
普通にしていられるだろうか。あいつが隣にいる、そう思うだけで嫌悪で寒気がした。
重い足取りで、オフィスのドアを開ける。
1人に一台のPCがずらりと並ぶ部屋は、かなりの温度になるので、
夏前だというのにもう冷房がかかっている。
慎司は既に席に着いて、背中を向けてPCに向かっていた。
勇気を振り絞って、席に着く。何事もなかったように・・・
「あ、おはよう」いつもの笑顔で振り向く慎司。
「おはようございます」うつむきがちに挨拶を返した。
パチパチと、キーを打つ。マウスをクリックする。この慎司の手が、指先が、
私にあんなことをしたのだ。横目で慎司の動く手を、盗み見する。
「メールしておいたから、読んでおいて」こちらを見ずにそうつぶやくと、席を立った。

すぐさま、メールを開く。心臓が踊る。いったい、何て?
『土曜日の君は、とても綺麗でしたよ。
来週の金曜日に、また逢おうね。
19時に三丁目交差点のスタバで待ってる。
きっと来てくれるよね。                        瀬川』

私は、いらだつ気持ちを抑えながら、すぐにメールボックスから削除した。


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