音円盤アーカイブス(2006年3月4月)

JAN LUNDGREN
昨日、サンプル盤が到着して、今、3回目の試聴が終わったところ。
うーん、やっぱり良いです。これ。
一度目の試聴があまりにも良かったので念の為に3度も聴きなおしたのだけど、いいものはやはりいい。

JAN LUNDGREN(ヤン・ラングレン)は1998年に一度NYでアルバムを残しているのだけど、8年の歳月を経て、このピアニストがさらに成長を続けている事が感じられる作品が登場したと思う。
NYでの以前のアルバムとベースは同じくピーター・ワシントン、ドラムはビリー・ドラモンドからケニー・ワシントン(ジャズレコードコレクターでもある。)のワシントンズに変わっている。

ドラムがケニーに変わったことが、結果としてこの作品を前のNYアルバムよりいいものにした要因だと思います。
ビリー・ドラモンドが劣ったドラマーというわけではなく、ここでのケニー・ワシントンのドラミングがあまりにも素晴らしいのだ。
80年代以降、ジェフ・ワッツ、ルイス・ナッシュ、ビル・スチュワート、ブライアン・ブレイドらが台頭してきてどちらかというとケニーのような本当にオーソドックスなスタイルのドラマーはどちらかというと影が薄かった。
彼らはケニーより、派手な大技ももっているし、小技も効く、新しい技を一杯持っているのだ。
でも、このアルバムでケニーはやってくれました。
まさに、ジャズドラムとは、こういうものであるという演奏を。
ハードバップドラミングと言う言葉がもし存在するのなら、現代の第一人者はケニー・ワシントンに最も相応しい言葉かもしれない。
ザックリ感があって、大きく歌う。
一緒に共演しているミュージシャンはその暖かでのりの良いドラミングに気が付いたらいつも以上のプレイが出来ているといった仕掛けだ。

一般的にクールなヨーロッパのピアノとは一線を画する暖かなテイストをもつラングレンだけど、北欧ならではの優雅さを兼ね備えているラングレンのプレイと50年代のテイストを持つ野性味溢れるワシントンのドラムがこれほど見事にマッチして、有機的な反応をするとは予想外の出来だといえます。
これこそ、ジャズ的なハプニングの面白みでしょう。

ケニーのことを先に書いてしまったけど、ラングレンもピアニストとして本当に円熟の極みに達してきているのではないかな?
「EAST OF THE SUN」でのエレガンス、「ニューヨークの秋」での叙情性,「STABLEMATES」でのグルーブ感、「THE GYPSY」「STRAIGHT STREET」「CHEROKEE」みんないい!

日本企画にありがちなわざとらしさが、微塵も感じられないのも高ポイントです。
これは、数あるピアノトリオアルバムの中で、今年のベスト3にはいる作品だと言ってしまおう。
メンバーはJAN LUNGREN(P)PETER WASHINGTON(B)KENNY WASHINGTON(DS)
録音は2005年5月31日、6月1日  NYC


BRYAN SPRING
予約だけで、初回発注分が直ぐに売り切れ、慌てて卸し元に追加の発注をかけた。
オーダー締め切り前だったので、間に合って無事全部昨日入荷しました!
BRYAN SPRINGって初めて聴く名前なんだけど、選曲を見たら、ピアノトリオファンなら誰でも聴いてみたいと思う作品なんじゃないかな?
毎月毎月、とても買いきれない(紹介できない)ほど、ピアノトリオの新作が大量にリリースされているけど、最近のものでは、この作品ほどジャズ喫茶映えするものはないんじゃないだろうか?
1曲目ジョーヘン「WALTZ FOR ZWEETIE」から2曲目コルトレーン「EQUINOX」へと続く12分57秒の間。
ジャズ喫茶のほの暗い空間の片隅で過ごすのに、こんなにしっくりくるピアノトリオはないでしょう。
ブラックコーヒーと咥え煙草で至福の時間を過ごせること間違いなし!

都会の喧騒から隔絶された1人だけの時間、これがジャズ喫茶の良さでもあるのですね。この1人きりを楽しむと言うか、ほの暗い感じを楽しめる瞬間、「ジャズファンであって本当に良かった」と感じる瞬間です。

全編こんな感じではなくて3曲目ベイシー「M SQUAD」なんてノリノリのグルービーなプレイも楽しめるし、エバンスで有名な「DETOUR AHEAD」で叙情感溢れる表現などバラエティーに富んでいて飽きません。
このトリオのMARK EDWARDSってピアニスト、覚えておいて損はない。

こういう作品、本に載ったらたちどころに中古市場で高値になるのは、確実。
今のうちにゲットされたし!

メンバーはBRYAN SPRING(DS)MARK EDWARDS(P)ANDREW CLEYDERT(B)
2005年作品


MATT ERION
この作品(CD-R)昨年の秋からずっとアメリカのディーラーが切らしたままで注文したくても、出来ない状態だったのです。
今回、ようやく注文するも全部入荷せず、たったの2枚しか入らず、また切れてしまったようです。
こういうのって、一番困るのですね、売る時に。

MATT ERION TRIOは、1999年にシカゴで結成された。
リーダーのマット・エリンはピアニストと思い込んでいたら実は間違いで20年以上のキャリアをもつベース奏者でした。
大学で音楽ビジネスを学んだ後、ビッグバンドやスモールコンボ、ミュージカルの音楽監督をつとめるなど、その活動は多岐に渡るが、最も力を注いでいるのがピアノトリオでの活動のようです。
全曲オリジナル作品で、こういう作品は下手すると駄盤の危険性もあるのですが、全くの杞憂に終わったようです。
リーダーのマットが4曲、ピアニストのJIM ABRAHAMSONが4曲、ドラマーのDAVE ANDERSONが2曲づつ持ち寄っているのですが、佳曲揃いで素晴らしい。
ちょうど、今かかっているいるのは、7曲目「WALTZ FOR JANIE」。
JIM ABRAHANMSONの朝の澄み渡った空気の様に爽やかなピアノのテーマに、アンダーソンのブラシがストンとスネアと叩いてフィルインする瞬間など、「ピアノトリオって本当にいいなぁ」と感じます。
楽曲と演奏のバランスがとても良い、ピアノトリオの隠れ名盤としてこれも推薦せざるえませんねぇ。
ブラインドで澤野の新作ですと言ったらほとんどの人が信用するんではないかな?
メンバーはMATT ERION(B)JIM ABRAHAMSON(P)DAVE ANDERSON(DS)


BOB ROCKWELL
私が20年以上追いかけ続けている現代テナー界無冠の帝王BOB ROCKWELLの最新作。
昨年6月来日時(自己のカルテットでは初?)横浜のジャズクラブ「DOLPHY」でライブ録音されたもので、最近のSTUNTの諸作にもの足りなさを感じていた御仁も
今回はロックウェルの本領発揮、充実したテナープレイが満喫できる一枚となっています。
最近のSTUNTの作品は作曲家集が続いて、少し保守的すぎる内容のものだったのですが、この作品は、ライブということもあり、長尺のアドリブが満喫できます。
ロックウェルの場合、アドリブが長くなっても、無意味なフレーズは皆無、全て意味のある(歌心のある)内容で、この作品でも10分越えの曲が4曲と、長い曲が多いけれども少しもだれることなく、飽きの来ない充実した内容なのはさすがです。
モーダルとハードバップの中間を行くというか、暖かく歌心に溢れたモーダルフレーズがこの奏者の醍醐味だと思う。
音色に関しても素晴らしいものがある。
重心が低く、芯が太くてその表面は真綿で包んだような柔らかく滑らかな音、倍音成分に優れ遠鳴りする、まさにジャズサックスの理想的な音だと思う。
ロックウェルに欠けるのは、一般的な知名度だけであるともいえます。
この作品、1人でも多くのジャズファンに耳にしてもらいたいと心から思う。
そして、ロックウェルのファンに1人でも多くなって貰いたいですね。
20年来のファンである私からの願いです。
いつまでも、無冠の帝王にしておくには、あまりにも勿体無いので・・・。
メンバーはBOB ROCKWELL(TS)KASPER VILLAUME(P)新巻茂生(B)大坂昌彦(DS)
録音は2005年 横浜 DOLPHY


RODRIGO GONCALVES
この作品を手に入れた方は、幸せものだ。
マーク・ターナーにペリコ・サンビート、アメリカとスペインの人気サックス奏者が顔をあわせたこのポルトガルの作品は2004年にリリースされるやいなや、幻盤になっているようだからである。
簡単に入手できるようで、実はなかなか大変な一枚なのであります。

いやぁー、参りました。
トリスターノのホリゾンタルなライン、プラス新主流派っぽい構造がミックスされたようなテーマをもつ1曲目からフロント2人が飛ばしてくれてます。
ペリコのケニー・ギャレットを思わせるくすんだ音色のアルトとウォーン・マーシュの影響があきらかに感じられる(勿論それだけではありませんが)マーク・ターナーのテナーのアンサンブルが滅茶苦茶カッコいいです。
リズムセクションも負けじとフロントを緩急メリハリをつけて、煽る煽る。
RODORIGO GONCALVESのピアノはスペインの情熱を感じさせるところがあるかと思えば、ベルナルド・サセッティのような陰影感溢れた表現も得意であり、引き出しのとても多いピアニストなのが窺える。
ベースも引き締まった音でボトムのしっかりした音を出しているし、ドラムスも悪くないです。
ギターが、曲によっては若干浮いているように私には聴こえるのだけど、たいした問題ではありません。
GONCALVESの曲は譜面を見ずとも、構造的に複雑な曲が多そうなのですがそれが、ひとつも難しそうに聴こえないのが凄いと思う。
4ビートの曲は9曲目1曲だけなのですが、こういうアルバムこそ是非一度正統派ジャズファンに耳にしてもらいたいと思います。
目から鱗なの受けあい。
それにしても、彼らの4ビートのカッコいいことよ!
出来たら、ペリコとターナーのアンサンブルをもう少しフューチャーしてほしかったですが・・・
とにもかくにも、現代ジャズを追っかけている方なら、是非とも聴いてもらいたい一枚ですねぇ、これは。
メンバーはRODORIGO GONCALVES(P)PERICO SAMBEAT(AS)MARK TURNER(TS)MARIO DELGADO(G)PACO CHARLIN(B)ALEXANDRE FRAZAO(DS)
録音は2003年9月27,28日


CHRISTOPH SPENDEL
1987年録音のレア盤ピアノトリオ、CHRISTOPH SPENDEL TRIOが若干入荷致しました。
アナログ盤なんて結構高値で取引されているのですが、それが納得いく万人にお薦めできる演奏内容の作品です。
幸せのピアノトリオと命名しよう。
1曲目の「FRIDAY BREAKFAST TIME」を聴いて幸せを感じない人はいないだろう?
名曲です。ドイツ録音らしく結構硬質なタッチで、「凛とした」っていう言葉がこれほど似合う演奏を私は他に思い浮かべることが出来ない。
2曲目も1曲目に曲調が似ているハンコック「DOLPHIN DANCE」。
あっー、1曲目が2曲目に似ているのか・・・
とにかく、この1,2曲目でこのアルバムのコンセプトは決まったようなものだ。
「颯爽」「凛」こんな言葉が自然と思う浮んでくる爽快な演奏なのです。
語り口の上手さも素晴らしく、メロディーを膨らませ、歌心溢れたアドリブを展開するスペンデルは、同時期のエンリコ・ピエラヌンツィを連想させる瞬間があるくらい、素晴らしい。
嘘だと思うのなら、7曲目「ALICE IN BADENLAND」を聴いてみて欲しい。
8曲目「PAULA」もいい曲ですねぇ。
「LOVERMAN」「PENTO UO HOUSE」「ALL BLUES」「星影のステラ」「君は我すべて」「ソウル・アイズ」などジャズマンオリジナル、スタンダードと魅力的なオリジナルが見事な配分で選曲されたピアノトリオ名盤だと思います。
1987年にしては、素晴らしい録音も特筆できます。
ベースのゴリゴリ度やシンバルの切れ込み具合も凄いのです。
メンバーはCHRISTOPH SPENDEL(P)THOMAS HEIDERPRIEM(B)KURT BILLKER(DS)
録音は1987年3月24-26日 VILLNGEN, W GERMANY


STEVE GROVER
このアルバムのSTEVE GROVERの「BLACKBIRD SUITE」は1994年のセロニアス・モンク・コンペティションの作曲賞を受賞したらしい。
そんな事より、聴いてみたいと思った直接的な動機はCHRIS SPEED とGREGORY TARDYがテナーでどんな風に絡んでいるのかと言う事だったのですが・・・
クレジットを見るとツーテナーで演っている曲はありませんでした。
2人は違う日のセッションに呼ばれたのが分かりました。
1,2曲くらいは2人の絡みを聴いてみたかったところです。

1曲目は、個人的にはあまり好み出ない怪奇音楽風のノンビートの曲だったので、間違ったかなと思ったのですが、2曲目からは現代のストレートジャズが展開されて一安心。
CHRISTINE CORREAという女性ボーカリストがテーマをサックスのフロント陣とユニゾンで唄っていて、こういう手法は人によっては、好みが分かれるかもしれないけど私的にはOKです。
器楽的なアプローチがジュディ・ニーマックやシーラ・ジョーダンを思い起こさせる実力派のボーカリストだと思う。
グレゴリー・ターディーはここでは、ジョー・ロバーノのようなくすんだ音色でクリスチン・コリアのボーカルに絶妙なオブリガードを付け、ソロもカッコいいです。
最近はSTEEPLECHASEから新作をリリースしているけれども、辺に保守的にならずに自身の音楽をまだまだ追及して頑張ってもらいたいテナー奏者です。
このアルバムでの一等賞はピアニストのFRANK CARLBERGだろう。
バックにソロに柔らかく響きの豊かな左手の動きと音楽に広がりを与える独創的なソロは特筆もの。
いままで、あまりチェックしていたピアニストではなかったのですがこんなに素晴らしいピアニストだとは思わなかった。
STEVE GROVERは正直言ってドラマーとしては、あまり特筆できるところが見当たらないのですが、作曲家として賞をとるだけあって、オリジナル性のある素晴らしい曲が多いです。
決して耳障りの良い曲ではないですけど、難解さも感じないそれでいて独創的なコンポジションはさすがだと思います。
メンバーはCHRISTINE CORREA(VO)CHRIS SPEED(TS,CL)GREG TARDY(TS,CL)FRANK CARLBERG(P)DAVID CLARK(B)BEN STREET(B)STEVE GROVER(DS)
録音は1995年6月4日、11月4日


FRANCESCO
期待の新星アルト、FRANCESCO CAFISOの最新作が入荷しました。
前作、前々作、SPLASC(H)のパーカーストリング集、ヴィーナスのバラード集はやや肩透かしに終わったというか、ここは期待しているだけにキツイ言葉でいうと、期待はずれに終わった失敗作とまでは言わないまでも、もう少しなんとか演りようがあったろうにと、歯がゆさが残ったアルバムでありました。

パーカーを尊敬しているのは分かるとして、紐付き作品の必然性が全く感じられないし、ヴィーナスのバラード集など、愚の骨頂、日本企画の趣味の悪さを露呈している以外のなにものでもないのであります。
こういう活きのいいアルトの全編バラードアルバムつくってどうすんの?ってとこです。
プロデュースの無能ぶりを露呈した以外のなにものでもないと誰も書かないので、ここで叩ききって差し上げましょう。(月一でブッきれるコーナーでした。)

それだけにこのアルバムにはより一層の期待をしていたので、卸元の入荷案内より先にこちらから電話を入れ、普通の発注枚数の倍以上の量を初回オーダーして、万全の体制で臨む次第なのであります。

1曲目、そうそう、そうなのだよ。カフィーソ君、君はやはりこうでなくちゃいけない。
ほとばしる様な熱気と表現したい事が山のようにあって頭より体が先に反応してしまうような、動物的勘からくる運動能力性。
紐付きやバラード集で老成してしまうのは、何十年も早いのです。
君に誰もリラクゼーションや落ち着きを求めているのではないのだよ。
破綻してしまうのではないかと思うほどの熱狂性、何をやってくれるか分からないワクワク感、そういうものを皆求めているのだと思う。
予定調和の演奏聴きたくて君の演奏聴いているのではないのです。

スローテンポのオリジナル作では、ハイトーンのロングトーンのなんと、艶やかでパッショネートなとことか、テーマ部分の地に着いた堂々たる唄いぶりとの対比が見事です。
低域の軽くサブトーンがかかったところから、艶やかでリラックスしたミドルトーン、そして天空駆け抜けんばかりのハイへのつながりがこれほどまで、自然で輝かしいアルト奏者、現代で数えるほどしかいないであろう。
同じバラード演っても必然性のある企画とそうでないお仕着せ企画とでは、こうも違って聴こえるものなのは、ほんと不思議なもんです。
RICCARDO SRRIGHINIのシングルトーンによるピアノソロは少しレッド・ガーランドを思わせるグルービーでこれまた聴き物。

注文もすこしある、決して悪くはないのだけど、作曲はもう少し勉強する必要があるようだ。
全編オリジナルというのも、一枚通して聴くにはまだまだ、きついものがあるのが本音のところ。
演奏の筆力によって、退屈するといったことはないのだけれど、楽曲と演奏が互いを助長するような、これぞフランチェスコ・カフィーソの肝といったようなナンバーの出現を期待したいのです。
そういう意味で、逆にこのアルバムは何曲かスタンダードやジャズマンオリジナルが収録されていた方がアルバムとしては完成度が高くなったかもしれない。
どちらのせよ、聴きやすく飽きやすいヴィーナス盤よりカフィーソの長所が収められたアルバムの出現を喜びたい。
メンバーはFRANCESCO CAFISO(AS)RICCARDO ARRIGHINI(P)ALDO ZUNINO(B)STEFANO BOGNOLI(DS)
録音は2005年10月31日、11月1日


seanhiggins.jpg
うゎー、いいジャケットだなぁ。見た途端そう思った。
ハンモックのジャケットってイイですねぇ。見てるだけで穏やかな気分になってくるもの。
似たような構図のジャケットがあったよなぁと頭の中で反芻していると有りました、有りました。
ジェシー・ベルビンっていうボーカリストの作品が・・・
こちらは、ハンモックじゃなくて椅子だったけど、アングルが同じで思い出したのでしょうね。

SEAN HIGGINSはウィルミントンというあまり有名でない街で活躍してる若手ピアニストで、最近どうやらニュージャージーに引越ししたらしい。
ジャケットが良かっただけで仕入れたのではもちろんありません。
素晴らしいのですよ、演奏が。
ジャケット写真から受ける印象は、ハンモックで寛いでいるカットと言う事もあり、おっとりした性格のリラックス派のピアニストかなと思っていたのですが、演奏を聴いてみてこれは、相当できるピアニストだなと思った次第。
落としどころをわきまえているのであります。
わざとらしさを感じさせずに、壺を心得ているというか、満足感を与えてくれるところなんぞ、この道何十年のベテランかと思うほどで、心憎いぐらいです。
相当、頭脳明晰で、自分のスタイルを確立していて、それを自由自在にあやつるスキルがないとこうも見事に明確でキッパリとした演奏というものは、出来ないのではないか?
ジャズ的なスリルも感じさせ、バラードナンバーでは、行間の感情表現にも長けた奥深い情緒も持ち合わせている。
自作もバラエティーに富んだ曲調で言う事なし。
マッコイの「INCEPTION」ブルーベックの「IN YOUR OWN SWEET WAY」をさりげなく選曲するところも合格です。
マイナーピアノトリオを売り出して、ERIC BYRD,GLYN MACDONALD, MAX LEAKE,
JIM WATSON, NOAH BAERMAN,ALEX LEVIN,BOB HILMMELBERGER,JAMES PEARSON,PER DANIELSSON,など今までに素晴らしい才能に巡り合えたけど、またひとり、新たに愛すべきマイナーピアニストとめぐり合えたことに感謝したい気持ちです。
メンバーはSEAN HIGGINS(P) JOSH RAMOS(B)IAJHI HAMPDEN(DS)


BOB MAGNUSSON
西海岸のベテランベーシスト、BOB MAGNUSSONの2005年の作品でピアノにRANDY PORTERが参加しています。
70年代にアート・ペッパーと演っていた頃は青年だったのが、裏ジャケを見ると結構いい年になっているのに驚く。
30年ちかく経っているので当たり前といえば当たり前なんだけど・・・。
ジャケットに写っているサーファーの後姿、実はマグヌッセンなのであります。
年取ったサーファー、カッコいいですよね。
マイク真木みたい・・・(蛇足なのだけど私が以前勤めていたアパレル会社の社歌はマイク真木が作ったのですよ。ついでに言えば、サダオさんをCFに使ったこともあったっけ。もう4半世紀くらい前の話。今でもサダオさんTシャツは宝物にしています。)
インナースリーブに目を通して分かったのだけど、メンバーのほとんどがサーファーなのですね、このバンド。
PETER SPRAGUEに息子なのだろうかTRIPP SPRAGUEもサーファー、ついでに言ったらマグヌッセンの3人の娘さんも皆、そうみたい。
メンバー、家族でコスタリカでの楽しいサーフィン旅行のスナップショットが添えられている。
おっと、いけない。脱線、脱線。
音楽のことを少しも書いていなかった・・・
ウエストコーストジャズに、ブラジル音楽やポップスのテイストを隠し味にしたイケテルサウンドであります。
小難しい事は抜きの、それでいて音楽的には結構凄い事演っている上質で大人のストレートジャズです。
これからの季節、ドライブ中や野外で聴いても気持ちよいかもしれないです。
メンバーはBOB MAGNUSSON(B)DUNCAN MOORE(DS)RANDY PORTER(P)
PETER SPRAGUE(G)TRIPP SPRAGUE(SAX,HARMONICA,FL)
2005年作品


JOHNNY NEAL
昔、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズに在籍していた事もあるデトロイトのピアニストJOHNNY O'NEALが大先輩トミー・フラナガンに捧げた2002年ピアノトリオ作品。
とても、引き出しの多いピアニストだあるのが、一聴分かる仕掛けとなっています。
フラナガンで御馴染みの「BORN TO BE BLUE」を聴いてもらえば分かってもらえるのではないだろうか?
ノーマン・シモンズやアーマッド・ジャマルを思わせる導入部からウィントン・ケリーのファンキー節、ピーターソンのダイナミクス、フィニアス・ニューボンJrのブルースフィーリング等、歴代の名ピアニストのいいところを一杯継承しているように聴こえる。
そうそう、端正なところは、トミー・フラナガンから・・・
上手いのであります。
上手いのが逆に欠点と言ってもよいくらい。
日本語で「そつのない」という言葉があるけど、オニールのピアノはまさにこの言葉があてはまるかもしれない。
安心して最後まで聴き通せる実力と安定感をもったピアノトリオだと言えます。
ひとつ、不満を言えばもうすこし冒険してほしいところかな?
いずれにしても、一級のピアノトリオ作品としてお薦めできると思います。
JOHNNY O'NEAL(P)PETER WASHINGTON(B)LEWIS NASH(DS)
録音は2001年10月9,10日


TODD HIDRETH
最初、ショーターの「BLACK NILE」のアレンジがあまり好みでなく、試聴の音質も良くなかった為、パスしようかと考えていた矢先、1曲目ジョンスコの「WABASH2」を聴いて即、仕入れようと考えが変わった。
こんな曲をピアノトリオで演ろうとすることが、面白いではないか?
よく見ると、ジャケットもいいですねぇ。
ちょっと、昔のSAVOYレーベルあたりにあったような感じがします。
ジョンスコの特徴あるちょっと可笑しなテーマをもつブルース曲もこうやってピアノトリオで聴くと以前から何度も耳にしたことのあるような気になるから不思議。
ミュージシャンだったら、これは演奏したくなる曲ですね、絶対。
2曲目の「DON'T LET ME DOWN」もほんわかした雰囲気でなかなかです。
ビートルズ曲はもう1曲「A DAY IN THE LIFE」を演っています。
そうやって聴き進むとテーマの解釈は別にしてショーター曲も別段悪くはない。
スタンダードは「ALONE TOGETHER」と「THE NEARNESS OF YOU」の2曲。
トラディショナルナンバーとGORILLAZというグループの「CLINT EASTWOOD」とい言う構成です。
HILDRETHのアドリブは、決して天才的なひらめきを感じさせるものではないけれども、各々の曲調を上手くアレンジした好感を持てるもので、さしずめ下町のちょっと美味い料理を出す洋食屋のシェフといったところだろう。
騒ぐほどの作品ではないけど、ピアノトリオファンなら折に触れて聴きたくなるB級ピアノトリオの筆頭に入れてよい作品だと思う。
メンバーはTODD HILDRETH(P)CHRIS FITZGERALD(B)PAUL CULLIGAN(DS)
録音は2004年12月30日


ALAIN MION
この作品、フランスのマイナーカンパニーからのリリースされたもので、今まで入手困難だっただけに、初回仕入れたものは、即、完売。
2週間後、なんとか追加分が入荷致しました。
フランスのピアノトリオだけにバプティスト・トラティニョンやマニュエル・ロシュマンのような演奏を予想していたのだけど全然違いました。
1曲目からノリのよい楽しげなジャズが展開されてこれは、ラムゼイ・ルイスやジーン・ハリス調の演奏がこのまま続いていくのかしらんと聴き進んでいくと3曲目「THE SECRET」という小品で早くも覆される事となる。
マルティニーク島生まれフランス在住のミッシェル・サルダビーを彷彿させるかのような淡く優しいメロディーに思わず聴き入ってしまいます。
7曲目の「I REMEMBER JEFF」ラストの「WALTZ FOR MIREILLE」、甘口の美メロ路線にその手には乗らないぞと身構えていてもものの見事に演奏にはまっている金曜の春うららかな午後2時の自分がいるのであります。
べたついた甘さではなくすっきりとした上品な甘さなので、嫌味が無く一度目より二度、三度繰り返し聴く度に愛着度が増してくること請け合い。
ALAIN MION、活動は1966年からと結構古く、昔は「コルテックス」というフュージョンバンドを結成、幅広く活動しているらしい。
1曲目や8曲目に代表されるノリノリのナンバーやゴスペル調の曲があるから余計に美メロ
路線が映えるのだろうな。
ALAIN MION, おぬし、出来るなといった感じである。
発売当時少量入荷後、幻になっていたものが今回まとめて入ってきたようなのですが
これが多分最後でしょう。
本当の幻にならないうちに興味ある方は絶対手に入れておいたほうがいいですよ。
メンバーはALAIN MION(P)RONNIE GARDINER(B)PATRIK BOMAN(DS)
録音は2001年3月22,23日


AVI ROTHBARD
いやぁー、まいりましたぁ。
2001年初めに買ったパソコンのご臨終がいよいよ近そうなのであります。
兆候は3ヶ月くらい前から現れていたのですが、症状がどんどん悪くなってHP作成はこのままでは無理のようです。
ALAIN MIONのレビューなんて、書き込んでいるうちにバクって動作不能になること3回、2度目の書き込みなんて終了まで後1,2行のところで強制終了。よってデータ消失。
これには、さすがにぶちぎれて直ぐに近くのヤマダ電機に買いに行きました。
12万円也。これは手痛い出費であります!
頑張らねば!
届くのが月曜日なので、今はしかたなく最初はワードでつくってそれを貼り付けて完成させている始末。
色んな作業が遅々として進みません。
今週のヤフオク、LPレコードの出品も日曜日の落札に間に合わなかったです。
本日出品作業ができれば、月曜日夜の落札になります。
よって本日のレビューは短めで終わっちゃいます。
AVI ROTHBARDというギタリストの名前は、全く知らなくて仕入れてみようという気になったのは参加メンバーにWAYNE ESCOFFERYの名前を見つけたから。
AVIはイスラエル生まれで、現在NYで活躍している若手ギタリストでこの作品を聴いていただけば、分かるように非常にテクニックのしっかりしたギタリストです。
グラント・グリーン、パット・マルティーノ、ジョージ・ベンソン・・・AVI ROTHBARDのアイドルのようだけど、彼ら、達人の良いところを多く引き継いでいるプレイはこちらの予想を大きく上回るものでした。
WAYNE ESCOFFERYはゲスト的参加で数曲しかソロを取っていないのですがそんなことはどうでも良いと思わせるほどAVIの音楽がしっかりしたものなので満足のいく作品となっていると思います。
作曲もすこしPOPテイストを盛り込んだナンバーを差込、飽きの来ない楽しめる内容となっていると思います。
メンバーはAVI ROTHBARD(G)JARED GOLD(ORG)JOE STRASSE(DS)WAYNE ESCOFFERY(TS)
録音は2004年7月6,7日 NYC


ROBERTO BOSSARD
スイスのギタリスト、ROBERTO BOSSARDの2005年作。
昨年暮れに仕入れてからそのままにしていて今回初めて聴いたのですけど、これは思わぬ拾い物でした。
二日続いてギターものの紹介となりますが、内容がいいので構わないでしょう。

でここから、時間はまる一日と少し飛んで新しいPCで書き込んでいるのですが、快適です!
PCの設置場所も今回購入したものは、仕事専用のものとして使用するので自室に置くことにしました。
いままで、レビュー書くのにPCのスピーカーで聴きながら書いていてのですが、これからは自室のオーディオで再生しながら聴けるので音が飛躍的に向上。
これがレビューにどう影響するでしょうか?
音がよくなったことによって評価が今までより甘くなるか?それとも、音の細部までより聴き込める為辛くなるか?

とにかく、これで一日中好きな音楽を流しながら仕事に打ち込めることができるようになったのが何よりも嬉しいですね。
これからも、今まで以上に世界中からマイナージャズを見つけ出して紹介していきたいと思いますので宜しくお願いいたします。

ROBERTO BOSSARDは、1959年生まれで同い年ということもあってそれだけで親しみが湧いてきました。
とても、インティメイトで端正なスタイルなので、テクニック面やスタイルの独自性といった面において特にこれといって特筆するようなことはないのですけど、日常的にCDトレイに入れるギタートリオのCDってこういう感じの作品が一番多いような気が致します。
奇をてらわない代りに、自分の出した音にすべて意味がある、聴けば聴くほど味が出てくる奥が深いギタリストだと思います。
選曲もいいですよ!
「TRIBUTE」(S・HAMPTON)「GOLDEN EARINGS」「STABLEMATES」「I'VE GROWN ACCUSTOMED TO HER FACE」「PENSATIVA」にラリー・ゴールディングスの「MIXED MESSAGE」やラリー・ウィリスの「BACKUP」なんて曲も演っています。
オリジナルは2曲。
いずれもトリオとしてバランスのとれた素晴らしい内容だと言っておきましょう。
と、ここまで書いて思ったのですけど、ギタートリオってピアノトリオほど、一般的な意味で、ヨーロッパとアメリカの違いがないような気がしませんか?
メンバーはROBERTO BOSSARD(G)HAMI HAMMERLI(B)ELMAR FREY(DS)
録音は2004年12月11,12日


DAVID KANE
1955年英国生まれのピアニストDAVID KANEの2005年作品。 
10歳の時からアメリカに住んでいる。
この作品は、ピアノトリオをベースにレイシーなき今、ソプラノサックス孤高の達人たる称号が相応しいDAVID LIEBMANが4曲で参加しています。
ここ最近はテレビ、映画音楽、クラシック音楽の作曲などでジャズから遠ざかっていたDAVID KANEが再びジャズへの思い断ちがたく、DREW GRESS,MICHEL SMITH、DAVE LIEBMANら3人の素晴らしいメンバーを呼び寄せて作り上げた作品で、いずれも親交のあるミュージシャンとの共演だけに、急造的なセッション作品ではないあたかもレギュラーグループであるかのようなしっかりした音楽性が表現されています。
ピアニストとしてクレア・フィッシャー、リッチー・バイラーク、フレッド・ハーシュに最も影響を受けたようで、作曲面や演奏面でそう思って聴くと共通点が結構感じられます。
しっかりと組立てられたアドリブ(自分の発している音をすべて把握しているという意味において)と相反する音と音との狭間の行間を生かした思索的なプレイが微妙なバランスを保ってとてもオリジナルな演奏になっていることを評価したい。
DREW GRESSのソリッドなベースプレイも最高です。
MICHAEL SMITHもセンシティブで、フレキシブルなドラミングで、トリオの一体感はピアノトリオとして一級品といえます。
残念ながらこのトリオは、もう聴くことができないようです。
なぜならつい最近MICHAEL SMITHが亡くなってしまったから・・・
全曲オリジナルの作品ですが難解なところはなく、かと言って4ビートオンリーの快適スイング系のものを求める方にはお奨めできかねるのですが、ピアノトリオファンは持っていて良い作品だと思います。
デイブ・リーブマンのファンはもちろん。
メンバーはDAVID KANE(PDAVID LIEBMAN(SS,TS)MICHAEL SMITH(DS)DREW GRESS(B)
録音は2005年1月14,15日 NJ


RALE MICIC
セルビア生まれの素晴らしい才能のギタリストRALE MICICの2006年セカンド作。
この作品はメンバーが凄いです!
TOM HARRELL、GREGORY HUTCHINSON,サックスはこれまた最近NYでその才能をめきめき発揮してきているBOB REYNOLDSと現代ジャズを追いかけているファンにとって無視できない内容のものとなっております。
アコースティックギターソロの1曲目以降はクインテットによる演奏で、RALE MICICの作曲はこのアルバムに参加しているトム・ハレルやフレッド・ハーシュの作品と類似性を感じる。
つまり、キャッチーなメロディーや強烈な節回しといったものはないのですが、心の奥底に深く染み渡るとても印象的なメロディーをもつナンバーが多いです。
90年代初め頃のまるでトム・ハレルのアルバムを聴いているような気分になります。
あっー、これは褒め言葉です。

演奏のほうはストレートな現代ジャズが展開されていて、トム・ハレルもここでは、最近の自身のアルバムより肩の力の抜けた伸び伸びとしたソロを披露していて、最近のトムの方向性にあまり馴染めない私としては嬉しい限り。
BOB REYNOLDSもまだ大きな個性をもつにはいたらないけど、将来が楽しみなテナー奏者なのが納得できます。
グレゴリー・ハッチンソンがダイナミクス溢れるドラミングで全体を引き締めているのは言うまでもありません。
肝心のリーダーについて書くのを忘れていました。(笑)
RALE MICICはギタリストとしても有望だと思います。テクニシャンではないけれども、さすがミック・グッドリックに師事したことがあるだけに、音楽のことをとても良く分かっているプレイをするギタリストです。
メンバーはRALE MICIC(G)TOM HARRELL(TP,FLH)BOB REYNOLDS(TS)SEAN CONLY(B)GREGORY HUTCHINSON(DS)
録音は2005年8月3日 AVATOR STUDIO , NYC


RICARODO SILVEIRA LUIZ AVELLAR
RICARDO SILVEIRAがピアニストのLUIZ AVELLARと演奏したミルトン・ナシメント集。
ミルトンファンの方だったら涙ものの代表的なナンバーが演奏されています。
RICARDO SILVEIRAは70年代バークリー音楽大学のいた頃、パット・メセニーやビル・フリゼルと同窓で親交があったらしい。
その後、ジャズギタリストとしてソニー・フォーチュンやハービー・マンのバンドで活躍。
ブラジルへ戻った後は、Elis Regina, Milton Nascimento, Gilberto Gil, Gal Costa, Ivan Lins, João Bosco ,Chico Buarqueらブラジル音楽界の巨匠と共演、レコーディング。
とくにミルトンとジルベルト・ジルとはブラジル中をツアーした経験をもつ。
自身のアルバムも数多くリリースされており、まさに順風満帆な音楽的成功を収めているヒカルドであるが、2004年にリリースされた最新作では、もう一度原点に立ち戻ったアプローチが試みられていると言えよう。
アコースティックギターとピアノという極めてシンプルな編成(ところどころパーカッションが入る)で、敬愛するミルトンのナンバーにライブという状況で立ち向かうことはヒカルドにとって自らの音楽的バックボーン(ジャズ、ブラジル)を再確認する楽しい作業ではなかったか?
そのことが、自然とこちらに伝わってくるほど、宝石のようにきらきらと輝いているミルトンのナンバーを愛しみ、演奏しながら音楽的高揚をむかけている姿が見事にキャッチされているライブ盤だと思います。
ブラジル音楽ファンはもちろん、ジャズファンにも是非耳にしてもらいたいDUO集です。
また、一枚宝物が出来たと思います。
メンバーはRICARDO SILVEIRA(G)LUIZ AVELLAR(P)ROBERTINHO SILVA(PER)
録音は2002年1月8,9日 RIO DE JANEIRO


BOBBY WELLINS
英国ジャズ界のベテランテナー奏者BOBBY WELLINSの2005年最新アルバムで、BRIAN SPRING TRIOが目茶売れのTRIO RECORDからのリリースです。
最近、オーソドックスでテナーらしい、ワンホーンものの新譜、聴いていないなぁとお思いの方には、お奨めの一枚です。
持続力の人だなぁと、ウェリンズのテナーを聴いていてつくづくそう思う。
天才的なひらめきや、圧倒的なアドリブで唸らせるといったタイプでは、決してないのだけど、温もりのある音色と楽曲の歌わせどころをわきまえたプロフェッショナルな演奏は、年を取らないというか、安心して身をゆだねることの出来る、スインギー快適リラクゼーション型テナーの代表格といえるかもしれない。
フレイザー・マクファーソン、ジャスパー・シェロ、スパイク・ロビンソンと比べてもさらに地味ともいえるウェリンズだけど、ジャズ魂は、人一倍強いものが感じられ、そういう点ではズート・シムズの心意気をもっとも継承したテナー奏者といえるかもしれない。
このアルバムは、先のBRIAN SPRING TRIOでのプレイが大好評のMARK EDWARDSがピアノで、とびっきりのライブパーフォーマンスが記録されています。
メンバーはBOBBY WELLINS(TS)SPIKE WELLS(DS)MARK EDWARDS(P)ANDREW CLEYDERT(B)
録音は2005年7月30日


IMG SRC="http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/08/0000014708/31/imgd6adf119hjvk0c.jpeg" width="160" height="160" alt="JOHN FREMGEN">
今日のブログ更新、こんな時間になっちゃった。
日付が変わるまで後20分、昼間2回かけていた最近入荷したJOHN FREMGEN TRIOをいま、もう一度聴きながらアップしています。
今日は大学時代の先輩H野さんが、来てくれて買ったばかりのパソコンにいろいろインストールしてもらう。
i-tuneの凄さは前から見せてもらったり、話にも聞いていたけど、いざ、自分のPCにインストールされてみるとその使い勝手のしやすさ、汎用性に関心することしきり。
今、手元にある3000枚のCDも、DVDにファイルをバックアップとったら何十枚かにおさまってしまうのだから・・・
そしてCD1枚のファイル変換の速さにびっくり!!!煙草吸いながら世間話してる間にできてしまっているのだから。
今まで基本的にパソコンに音楽取り込むことって無かったのですけど、これはアナログをCD-Rに落とし込んだ500枚を含めてやってみる価値あるかなぁと思っています。
データの管理が、凄いものがあるので、ここに一番魅力を感じているのです。

ピアノにパット・メセニーの「QUESTION AND ANSER」で時の人となったSHELLY BERGを迎えたJOHN FREMGEN TRIOですが、この作品でも好調なプレイですね。
PETER ERSKINEのドラミングも素晴らしい。
ピーターのドラムはWRに新加入して来日した1978年に初めて耳にしたのだけれど、その頃のドラミングは元ビッグバンド(メイナード・ファーガソンだったかな?)の出身らしいパワフルさが売りのドラムで、現在より柔軟性にかける一本調子の太鼓だった記憶があるのですが、何年もしないうちに幅広い音楽性とプレイが出来るドラマーになっていたのに驚いた記憶があります。
今から思えば、ジョー・ザヴィヌルに特訓されたのかな?
このアルバムもピーターの参加が確実にこのアルバムの格をあげていると思います。
とにかく、i-tuneのようにサクサクと快調に飛ばしてくれるこのトリオ、昼間に聴くことをお勧めいたします。
スムースすぎるのが、玉に瑕というか、「ジャズ特有の引っかかりが少しあったらなぁ」と思うのは、無いものねだりのファン特有の我儘かもしれません。
あっー、12時をすぎてしまった・・・

さすがによく売れていて、入荷と同時に次の分を発注したのですがどうやら現在ディストリビューターが売り切れ、入荷待ちになっているようです。
次回の入荷まで少しかかるかもしれません。
メンバーはJOHN FREMGEN(B)SHELLY BERG(P)PETER ERSKINE(DS)
2002年作品


JACK BROWNLOW
レア本掲載のピアニスト、JACK BROWNLOWの1996年作。
「Suddenly It's Bruno」に人気が集中しがちですが、こちらもそれに劣らず良いのですねぇ。
味わい深さは、変わりません。
実は、この作品昨年入手以来、聴くたびに愛着度が高まり、今では最もよく聴くピアノトリオの1枚になっています。
ブラウンロウの着ているシャツに注目してほしい。
こういうボールドストライプのシャツを粋にカジュアルに着こなすのって難しいのですけど、
さりげなく着こなしていてカッコいい、カッコいい、お洒落でダンディーなのが伺えますね。
こんな感じではなかなか決まらないもんですよ、普通。
演奏も同じなのであります。
一聴、さりげない感じでさらっと弾きこなしているようなのだけど、1曲1曲が実に味わい深く、華があるんです。
でも、それをあからさまには決して表現しない、実に壺をはまった大人のプレイなのです。
夕暮れ時にまだルームライトをつけずに、チェリーブランデーでも舐めつつ、一人ゆっくりと鑑賞にひたりたい、そんなピアノトリオですね、これは。
全曲いいです、捨て曲なし。
1. Dark Dance
2. For Evan's Sake
3. I Didn't Know What Time It Was
4. Seascape
5. All Of You
6. Jim-nopodie
7. Nobody Else But Me
8. On A Turquoise Cloud
9. I Wish I Knew
10. Summer Night
11. I Hear A Rhapsody
12. Goodbye
個人的には2と6のオリジナルが最もお気に入りです。

今日は私もボールドストライプのシャツを引っ張り出して着てみようかな?
似合わないのでやっぱり、やめとこう。
メンバーはJACK BROWNLOW(P)CLIPPER ANDERSON(B)ANDY ZADROZNY(B)MARK IVESTER(DS)
1995年10月、11月録音


PERI
今日は日ごろ取り上げないサンバの作品で気分転換。
ペリ(ペリアンド・コルデイロ・ノゲイラ)の弾き語り中心のサンバアルバム。
ギターと唄だけのアルバムという極めてシンプルな構成が、ごまかしがきかない作る側からすれば、全てが自分に振りかかるプレッシャーが大きい作業であることは、聴いている方からしても容易に理解できるのだけど、本当に大変なのは、そういう大変な状況を微塵も感じさせず、伸び伸びとリラックスした日頃の自分をありのまま表現するライブ感覚がどれだけ、その作品にもりこむことが、出来るかだと思います。
聴いている方が、すぐそばで唄ってくれているかのような親近感を抱くとてもインティメイトな雰囲気で作られていることに好感を抱きます。
ブラジル音楽がもつ、豊穣さ、サウダージ感覚が見事に表現されていて、感心する。
楽曲の素晴らしいさも特筆できよう。
1曲目、2曲目のせつなさは、特に若い女性(でなくとも)ならば、胸キュンになるのではないだろうか?
ジャケットのつくりもアクリルの綺麗なブルーのケースに白いデジパック仕様のジャケットが納められている凝ったつくりとなっていて、内容とともに丁寧な仕事がされていて感心する。
この季節、晴れ渡った公園のベンチででも聴けば、幸せ気分に浸れること間違いないです。

音楽ファンには絶対お薦め!ジャズファンのかたもたまには日頃耳にしない音楽聴けば音楽性が広がりますよ!


KING ALLEYNE ROTH
綺麗な色とりどりの花のジャケットが印象的な、カナダのピアニスト、BILL KINGの2003年トリオ作品。
持っているだけでピアノトリオファンなら幸せ気分が味わえそうなくらい素晴らしいトリオ作品です。
裏ジャケの野原一面に咲き誇るタンポポのイエローを見ていると心が和みます。
音楽以外のことが先行してしまいましたが、もちろん演奏もグッドであります。
夢見心地のピアノソロによる「春の如く」からトリオ演奏による「夜も昼も」へ流れていくつながりのよさ。
このトリオのピアニスト、ビル・キングはピアノトリオの美味しいところを本当にわきまえた演奏をしていると思います。
ピーターソンのダイナミクス、ケリーのファンキー節、ガーランドやジャマルのリラクゼーション、エバンスの叙情性をテンポによってうまく使い分けたプロフェッショナルな仕事ぶり。
そして何よりトリオ3人のメンバーが一番演奏を楽しんでいる雰囲気がでていていいですねぇ。
アーチー・アレインのサクサク、シュワシュワとブラシ主体のドラミングもきびきびした好感のもてるプレイで○。
耳馴染みの曲をトリオ3人がうまく料理した知らずにおくにはもったいないカナダのピアノトリオだと思います。
1. It Might As Well Be Spring
2. Night and Day
3. Raincheck
4. Mack The Knife
5. How Long Has This Been Going On?
6. Johnny Come Lately
7. There’s No Greater Love
8. I’ll Be Around 5:35
9 . You’re Blasé
10. Broadway
11. Solitude
12. Your Place Or Mine
13. Speak Low
メンバーはBill King(P)Artie Roth (B)Archie Alleyne(DS)
2003年作品





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