平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

~ユダの受難1~

∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨キリンも歩けば亀にぶつかる~ユダの受難1~∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨



ユダさん。私はあなたの事が好きです。でも……。

「ユダ……大切にするだけが愛ではないぞ」
「ルカ。そうだな。肝に銘じておこう」

一つ事件が解決すれば、次の事件が生まれる。
これは仕方のないことなのだろうか?
聖なる夜――
クリスマスイブからクリスマスにかけて一泊の旅行に行く事となっていた。

シンとレイは推薦入学で無事、聖獣大学に合格していた。
そのお祝いをかねて、クリスマスに、北国へ旅行へ行こうという計画を立てていた。

そう。旅行二日前までは皆楽しく旅行へ行く日を楽しみにしていたのだ……。
ある誤解さえ招かなければ……。

ある日、シンは珍しくユダの家に向かっていた。
(いつでも良いと言って下さってはいましたが……)
ユダから借りていた本を返すためだ。
返すのを口実に、ただ会いたかっただけというのもあるのだが。
丁度、ユダの住まいに到着した時である。
ある事を目撃した。
「ユダ~。ほらっ。僕達の愛の結晶だよっ」
「シヴァ。分かったから……」
ユダは、シヴァという子から――を受け取っていた。
(愛の結晶って……ユダさん……)
シンはシヴァの言葉に呆然と立ち尽くし、はじかれたようにその場から駆け出した――
本を取り落とした事にも気付かずに。
シンが立ち去った後に、パンドラがやってきた。
「シヴァ。パールが誰と誰の愛の結晶ですって?」
ニッコリと笑いながら怒りを燃やすパンドラがそこにいた。
「パンドラ!? 今日は一日戻ってこないって言ってたじゃないか!」
「明日に延期になりました。さて、パール、こちらへいらっしゃい」
パールをユダから受けとり、
「シヴァ。じっくりと家で色々お聞きしましょうか? ユダ殿、これ、そこに落ちてましたよ」
パンドラは1冊の本をユダに手渡すと、シヴァと共につれて帰ったのである。
「相変わらずな二人だな。仲がいいのか悪いのか俺にはよく分からないが」
呆れた口調で呟いたユダは、手元にある本に目を落とした。
(何故この本がここにある? 確かシンに貸したはずだが……ここへ、シンが来ていた?)
真実を確かめるため、ユダはシンの家へと向かった。

一方レイは――
(今日の料理の出来は今までにないくらいよく出来ました。是非、ルカにも食べていただきましょう)
と、お弁当を持ち、ルカの家まで来ていた。
「ルカさ~~~んっ」
ルカに誰かが抱きついている。
しかも! ルカも嬉しそうに、相手の頭をなでている。
(……あんな表情、僕にもめったに見せてくれないのに……)
「どうしたんだ? マヤ」
「うん~、ルカさんにお願いがあって~。僕、遊びに来ちゃった~」
「お願い? また、無理難題を言い出すんじゃないか?」
親しそうにルカに話しかける相手に、レイの頬が引きつる。ルカも満更じゃない様子で答えている。
(ルカ!? それは誰なんですか!? 僕というものがいながら!!)
レイは、これ以上ルカとマヤという人物の会話を聞く事が出来ず、走り去った。持ってきたお弁当を取り落として……。
もう少し聞いていれば、レイの誤解だと分かったかもしれないのに……。
「うん。ユダさんとシン兄さんはどうなってるのか気になって~。ユダさんってば教えてくれないんだもん。僕、ユダさんのお父さんなのに~~」
ルカは、苦笑しながら、
「ユダが話すまでゆっくり待った方がいいと思うぞ? マヤ」
何故ルカがユダの父を呼び捨てにしているか?という疑問はさておき、
「ん~~……ルカさんがそういうなら……」
としょんぼりとマヤは帰路にこうとした時、門前にヒヨコの包みが落ちているのに気がついた。
「ルカさ~ん、これ、そこに落ちてたけど、なんだろう?」
はい、とルカの手に包みを渡し、ばいば~いとマヤは帰って行った。
(これは、レイが良く使うふろしき……何故ここに?)
謎を確かめるため、ルカはレイの家へと向かった。

どのルートを通ったかは覚えてないが、シンは家に辿り着いていた。無言で自室に駆け込み、ベッドの上の亀のぬいぐるみに顔を押し付けた。
先ほど見た光景が、頭の中をぐるぐる回る。
(ユダさんが……知らない人から……愛の結晶って……愛の結晶って言ったら、赤ちゃん?)
涙を必死に堪えながら、暴走しそうな考えを紛らわそうとしていた。
どのくらい経っただろう。1階からたったったと階段を駆け上がってくる音が聞こえる。
「シン! ちょっと聞いて下さいっ、ルカったら……」
ノックもなしにレイがシンの部屋の中に飛び込んでくる。レイの顔を見た途端、ずっと我慢していたものが溢れてきた。
「レイ……うわ~ん……っ……くっ……」
「シン! シン! どうしたのですか!?」
「レイっ……レイ……っ……」
シンはレイに抱き付いて、号泣した。レイはシンを抱きしめたまま、落ち着くまで、ずっと背中をさすり続けた。
シンが落ち着いた頃、何があったのかを聞きだした。
「酷いっ、何ですか、それは!? 子供? 隠し子がいたのに、それを黙ってシンとお付き合いしていたって事ですか?」
「ユダさんも、今日知ったみたいでしたけど……」
「それでも酷いですっ。僕、許せません!!」
自分の事のように怒るレイを見て、シンは少しだけ気が楽になった。
「それで、レイの話というのは何ですか?」
「いいえ、今のシンに話す内容ではありませんから……」
「いいから、話して下さい。ね?」
額をこつんと合わせて、シンはレイを説得する。しぶしぶながらもレイは口を開いた。
レイの説明の聞いた後、シンはほっと溜息をついた。
「レイ、そのマヤさんをいうのは、ユダさんのお父さんですよ?」
「本当に? ……でも、僕にもめったに見せてくれはしない優しげな笑顔で、相手の頭を撫でていたんです……」
ぷくっとふくれて、レイは拗ねたように呟いた。

ユダとルカは、シンの家の前で鉢合わせた。
「ルカ……どうしてここに……」
「いや、レイを探しているんだが、家にはいなくて。もしかしたらこっちでないかと……」
二人が玄関をくぐると、暢気にキラが出迎えた。
「あ、ユダさんルカさん、いらっしゃい」
「キラ! シンは?」
「キラ! レイは来ているか?」
二人同時に叫んだ瞬間であった。あまりの二人の剣幕に、キラが圧されたように呟いた。
「多分二人ともシンさんの部屋だよ……って、もしも~し。聞いてる? ……たく……一応断ってからあがって下さいよ……」
キラの言葉を聞いているのももどかしく、二人はとっとと二階にあがっていた。
シンの部屋の前についた二人は、扉を叩いた。
「シン、俺だ。開けてくれ」
「レイ、私もいる」
ノックする音がして、外からはユダとルカの声が聞こえる。レイの腕の中のシンの身体が強張った。
レイは優しくシンの背中をさすって、落ち着かせてやる。
「ルカとは今、話したくありません。シンもユダさんとは話したくないそうです。代わりに、僕がユダさんと話をしますので、ルカはシンと話をして下さい」
「……分かった」
二人の返答が聞こえて、レイが外へ出て行こうとする。
「レイ……」
不安そうなシンの声に、レイは笑顔で答えた。
「大丈夫。僕がシンの分までユダさんに言っておくから! その間、ルカと話してて下さい。隣の空き部屋、借りますね」

隣の部屋に入るなり、レイはユダを睨みつけた。
「ユダさん、僕はかなり怒っています。貴方に対して。……僕は今日初めて、あんなに声を上げて泣くシンを見ました……」
「シンが泣いていた? 何かあったのか?!」
レイはユダの言葉を無視して自分の言葉を続けた。
「シンはいつも僕を思いやってくれました。私の方がレイより生まれが早いから、私の方がお兄ちゃんだねと。何をするにも穏やかな瞳で見守ってくれて、僕のワガママも笑って聞いてくれた。そんな優しいシンが、僕は大好きなんです……」
「…………」
「だけど、ユダさんはそんなシンを泣かせた。これ以上シンを泣かせたら、僕は貴方を絶対に許さない……」
「レイ。お前の怒りは分かった。が、俺には、さっぱり意味が分からない。シンに何かあったのか? それは、俺のせいなのか? 事情を説明してくれない限り、どうして良いのか分からないんだが」
少しユダは困ったようにレイに言った。
レイは先ほどシンから聞いた話をユダに伝えた。
「なるほどな」
レイには、誤解だと言う事を説明した。
そして、シンの悲しみを考えるといても立ってもいられなくなったが……。
「レイ。お前は何故ルカと会うのを拒んだんだ? シンが俺に会いたくないという理由は分かったが……」
「…………」
レイは黙り込んだ。
「何かルカがしたのか? 俺に話してみてはくれないか?」
「ルカと、ユダさんのお父さんのマヤさんって……どういう関係でしょうか……?」
「……どういうって……もしかして、ルカとマヤを疑っているのか?」
「だって……ルカが……僕にもあまり見せてくれない優しげな笑顔でマヤさんに接してたから……」
「お前と出会ってからのルカはお前しか見てないぞ。常にお前が笑って傍にいれるようにと」
「…………」
ユダは少し考えてからレイに言った。
「これは……俺から聞いたとは言わないでくれ。レイ」
ユダは続けた。
「レイ。お前はその外見上、色々な人に付狙われている。全部あいつはお前に分からないように、そういったやつらからお前を守っている。ただただ、お前が悲しむ姿を見たくないが為に」
「ルカが?」
「もっと、ルカを信じてやってくれないだろうか? あと、今聞いた事は、お前の心にしまっておいてくれ」
「……はい……分かりました」
「さて、シンだが……そろそろルカと交代してもいいだろうか? レイ」
「はい……僕の方こそ、詳しく知らないで一方的にユダさんにあたってしまって……すみませんでした……」
しゅんと反省して俯くレイに、ユダはぽんぽんと頭を撫でてやった。



****************
あとがき

書けば書くほど長くなる・・・
書いている本人たちは苦しみつつも楽しんで書いてますが、読む立場の方から言うとどうなのだろうか・・・む~ん。
次は、ユダがシンと対面ですっ。誤解をとかないといけませんからね(^^)


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