ALL TOMORROW'S PARTIES

予言


まったく因果な商売だよ。
なぜって、当たっても外れても立場が悪いんだから
つまり、私が次の飛行機が墜落すると予言したとするだろ
すると誰もその飛行機には乗らなくなる
そうしたらその飛行機は飛ばない
わかるかい?
私の予言は永久に当たらなくなってしまう。
私が必死に忠告すればするほどね。
また当たれば当たったでわかっていたのに
どうして何もしなかったんだと、こうさ
まったくやりきれないよ
それにね、本当に悪い未来は予言したってどうにかなるもんじゃない
今日来なくたって明日くるだけさ
そういうもんなんだよ
だから私はずっと前からもう一切口を開かないことにしたのさ・・・・


「じゃあ・・あなたは知っていたんですね。こうなることを・・。」

数時間前に勃発した核戦争で燃え尽きて焼け野原になった世界を
私たちはただ二人きりでぼんやり眺めていた。
絶望的な光景がそこに広がっていた。
もう、全てが終わったのだ・・・

「ああ、知っていたよ。」

そう言っておじさんは、もはや最後の一本となったたばこに火をつけると
うまそうにくゆらせた。
煙が灰にまじり、風に吹かれていた。

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