「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ALL TOMORROW'S PARTIES
スモーク
80年代のはじめに、私は生まれた。
嫌な年だった。
ジョンレノンは射殺され、山口百恵が引退し、世界中が睨み合い
核戦争勃発は秒読みという段階まで来ていた。
しかし当然のことながら世界は終わったりはしなかった。
後はただ意味の剥ぎ取られた喧騒だけが
鳴り止むことなく続いていくだけだった。
ずいぶんうんざりもしたけど、それも悪くは無かった。
平和の中で退屈を思う存分享受しながら
私はそろそろ17回目の夏を迎えようとしていた・・・
ジョンレノンに憧れて煙草を吸い始めたという二ノ宮は
二人の時はいつも大人ぶってジタンをふかして見せた。
「もしもタイムマシンがあったら60年代に行って
そんでそのまま帰ってこないね。」
とよく言っていた。私たちはなんとなく仲良くなった。
家が割りと近いことがわかると私たちはよくお互いの部屋に
遊びにいったりもした。二宮の部屋にはとにかくたくさんの本と
レコードがあって退屈しなかった。
「FRICTION」「村八分」「ルースターズ」・・・
「日本にもこんなにかっこいいバンドがいたんだぜ。」
もちろん私もすぐに夢中になった。
そして部屋にいるとき二宮はいつもギターを手放さなかった。
ミュージシャンになりたいのかな、と思ったけど、
一度も私に歌ってくれたことはなかった。
そんなわけで友達に仲を冷やかされてもお互い否定も肯定もしなかったから
学年中に私たちがつきあっているという噂が流れたけど
もちろんそんな事はありえなかった。
なんとなく周りと上手く歩調が合わせられなかった二人は
周囲からは大人びていると誤解されたが、そんなことはちっとも
なかったのだ。
でも私だっていつもそんなことをしていたわけじゃない。
女友達とショッピングをしたり、ファーストフードに寄り道したり、
噂話をしたりそんなことも結構忙しかったのだ。
だけど二ノ宮は学校の休み時間にも一人で本を読んでたりして
心配させた。学校も休みがちで、
どこで知り合ったのか大学生の人たちと親しげにつきあっていたり
もしたからますます同級生を遠ざけた。
彼の頭の中には自分を頂点とするカースト制が厳格に存在していて
お人よしで気楽(に見える)なクラスの大多数の人たちは
自分には理解できない=下層階級として認定されているようだった。
彼は同級生の一挙一投足を冷笑し、まるで存在してないかのように
無視を決め込んでいた。
このように二ノ宮の根性は恐ろしく曲がっていたが、それでも私はどうしても彼が嫌いになれなかった。
多分、彼はあらゆる面でナイーブすぎるのだ。きっと部屋で
ボブ・ディランを聞きながらこっそり泣くこともあるんだろう、
と私は想像した。おかしかった。
「何笑ってんの?」
「ん・・・別に。」
そういいながら肩を震わせて笑う私を二ノ宮は怪訝な顔で見つめていた。
二ノ宮は私のことをどう思っているんだろう。
もしかして私が二ノ宮のことが好きだと思ってたりして。
そう考えるとさらにおかしくて笑いが止まらなかった。
二ノ宮は呆れたようにため息をして、煙草に火をつけた。
「修学旅行・・・もうすぐだね。」
私が一ヵ月後の沖縄修学旅行のことを切り出すと
二ノ宮は煙を吐き出しながらこともなげにいった。
「俺は行かないけど。」
そんなことだろうと思っていたから別に驚かなかった。
「なら、私も行かない。」
二ノ宮はそれを聞いてちょっと驚いたようだった。
それからしばらく考え込んで、
灰皿に乱暴に吸殻をなすりつけながらいった。
「じゃ、二人で海にでも行く?」
その日は快晴だった。私たちは朝早く二ノ宮の兄のバイクに
乗って湘南を目指した。風が心地よかった。
海開きにはまだ早く、サーファーがまばらに点在する寂しげな
ビーチを二人でなんとなく歩き、磯に腰を下ろした。
遠くで一組のカップルが無邪気に戯れていた。
二ノ宮がポケットから煙草を取り出し火をつける。
「私にもちょうだい。」
そういうと二ノ宮が少しびっくりした様子で私の方を見た。
「煙草・・すうのか?」
「ちょっとね。」
15の時から吸っているとはさすがにいえなかった。
憧れていた2つ上の先輩が吸っているのを見て、
その口から煙を吸い、鼻から吐くという一連の行動になにか
深遠な哲学的な意味があるような気がして
それをどうしてものぞいてみたかった。
もちろん、そんなものはなかったけれど。
二ノ宮は煙草を一本取り出すと私に手渡した。
私はそれを口にくわえると
「火、ちょーだい。」
そういって二ノ宮の煙草の先端に私の煙草を擦り付けた。
二ノ宮は明らかに戸惑っていた、耳が少し赤かった。
なんだ・・・私はそれをみて少しがっかりした。
結局普通の男の子じゃない。意気地なしの。
私は海を眺めながらゆっくり煙を呼吸した。
「ねぇ、二ノ宮。私たちの将来は明るいのかね?暗いのかね?」
「さぁ・・・それは最後までわからないんじゃない・・・。」
私は全くだ、と思いちょっと感心して二ノ宮を見やった。
彼も私を見ていた。私たちは見つめ合っていた。
しかし口から吐き出される煙でお互いの姿はいつのまにか
かき消されていた。
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