十二国記 

「十二国記」シリーズ 全12巻  作者:小野不由美   挿絵:山田章博

読み始めてすぐに「十二国記」の世界に引き込まれてしまいました。
この物語では、普通の女子高生陽子が突然、異世界の王に選ばれるのです。
異世界における大事件に巻き込まれる陽子の過酷な試練の旅のお話から始まります。
これは陽子やその他の登場人物の成長物語でもあり、
別世界の不思議な登場人物たちや環境設定が今までになく魅力的です。
話の展開が面白く興味深いだけでなく、共鳴できる素敵な言葉にたくさん出会い、
私はこの「十二国記シリーズ」を通していろんなことを学んだように思います。
私がファンタジーの世界にはまり込んだ最初の本ですので、
だれの心にもきっと響くものがあるに違いありません。


月の影 影の海   <上巻・下巻>
月の影影の海(上) 月の影影の海(下)
「あなたは私の主、お迎えに参りました」ケイキと名のる男が突然、学校に現われて 陽子 を連れ去った。
たどりついたところは、地図にない国。
そして、ここで 陽子 を待ちうけていたのは、闇から躍りでる異形の獣たちとの戦いだった。
帰るあてもない 陽子 の孤独な旅が始まる!

異世界に行くというファンタジーの王道ですが、心理描写が深く描かれ、心を揺さぶられます。
上巻では、暗くドロドロとした戦いで話が進みますので、楽しいファンタジーを期待していると裏切られますが、
下巻では上巻でのその内容があってこその意味ある展開となります。
私達が日常でも味わう様々な心の葛藤、人間としての成長、自分になかった自分を持ち始める。
しかし、まだこれは序章にしか過ぎないのです。


風の海 迷宮の岸   <上巻・下巻>
風の海迷宮の岸(上) 風の海迷宮の岸(下)
麒麟は王を選び、王にお仕えする神獣。
神獣は金の果実として蓬山の木に実り、親はいない。
しかし、大地が鳴り、大気が歪む蝕が起きたとき、金の実は流されてしまった。
十年後に探しあてた麒麟は、蓬莱で“人”として生まれ育っていた。
戴国の王を選ぶため連れ戻されたが、麒麟に姿を変える術さえ持たない。
幼ない少年 泰麒 が味わう苦悩。

親の期待に応えられない少年。
異世界に来ても、皆の期待にそえず「自分はダメなんだ」
「自分は間違っているんじゃないか」と一人思い悩む。
でも、そんなことはないんだよ。
自分に自信を持って頑張れ!
少年の悩みや哀しみが切なく心を打ちます。



東の海神 西の滄海
東の海神(わだつみ)西の滄海
「国がほしいか。ならば、一国をお前にやる」
雁州国延王・ 尚隆 と、延麒・ 六太 とが交わした誓約がこれだった。
かつての暴君によって廃墟となった雁国の復興を民衆が願い続けるなか、
ようやく新王が玉座に就いたのだった。
それから二十年の間に国土は緑の大地に生まれかわりつつある。
しかし、ともに幸福を探し求めた二人の子供の巡り合いによって、
この国の王と麒麟と民との運命が怒涛の渦の中に巻きこまれていく。

風の万里 黎明の空   <上巻・下巻>
風の万里黎明の空(上) 風の万里黎明の空(下)
慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に苦悩する 陽子
芳国には、王と王后である父母を目前で殺され、地位を剥奪されてなげく 祥瓊
そして、才国には、蓬莱で親に捨てら、異世界の仙のもとで苦業を強いられ蔑まれて涙する
あまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ三人の娘たち。
三人がそれぞれに成長しつつ、巡り合った後は・・・・・。

自分が不幸であることに酔って自己憐憫に陥り、
自分の身の上をなげいて他人を恨んでばかりでは幸福は訪れません。
自分の幸福は自分の努力で手に入れるもの。
物事は表面だけで判断せず、その奥にある真実を知るべし。



図南の翼
図南の翼
恭国は、先王がたおれてから27年。
王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。
珠晶 は、豪商の父をもち不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。
しかし、日ごとに荒廃してゆく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意をはかるため、ついに蓬山をめざす!
弱冠12歳の決断「王になるのは、あたししかいない!!」

珠晶は、人に期待して何もしない大人たちを批判するからには、
批判だけしてなにもしない自分でいる訳にはいかないと思ったのです。
批判するからには、自分自身が行動しなくてはならない。
生意気で身の程知らずの女の子ですが、
彼女の真意は、もっと深いところにありました。
真っ直ぐな性格で思いやり深く聡明な、私の大好きな珠晶です。


黄昏の岸 暁の天   <上巻・下巻>
黄昏の岸暁の天(そら)(上) 黄昏の岸暁の天(そら)(下)
山が震え大地が揺れ世界が歪み、 泰麒 は十歳まで過ごした蓬莢にいた。
「帰りたい―。」しかし、その術を彼は知らない。
泰麒 がひとり懊悩する頃、戴国には謀反によって偽王が立ち日ごと荒れていた。
その行く末を案じ、 泰麒 と同じ胎果である 陽子 を頼り、慶国を目指した 李斎 は思う。
麒麟がいなければ、真の王はあり得ない、と。
雁国をはじめとする、諸国の王と麒麟が、戴国のために立ち上がる。

華胥の幽夢
華胥の幽夢
* 采王砥尚(さいおうししょう)の言葉を信じ、華胥華朶(かしょかだ)の枝を抱く 采麟 (さいりん)の願いは。
* 泰王 驍宗 (たいおうぎょうそう)の命で漣国(れんこく)へと赴いた 泰麟
* 雪に埋もれる戴国(たいこく)の麒麟がそこに見たものは。
* 峯王 仲韃 (ほうおうちゅうたつ)の大逆を煽動した 月渓 は、民を平和に導いてくれるだろうか。
* 陽子が初めて心を通わせた 楽俊 (らくしゅん)は、どうしているのか。
幸福への道のりを描く短編集です。


魔性の子  (十二国記関連作品)
魔性の子
教育実習生の広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。
彼をいじめた者は誰もが不慮の事故に遭うのだ。
広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始める。
幼少の頃に高里が体験した“神隠し”が原因らしい・・・。

わけが分からなくとも、
十二国記シリーズを読み始める前に読んでおくと謎解きの醍醐味が味わえます。
後で読むと、納得しながら読めます。
異世界ではなく、こちら側のお話です。





ホワイトハート以外からも出版されていますが、
今回紹介したシリーズは山田章博さんの絵も楽しめるので、私は好きです。

少しストーリー等違っていますが、アニメDVDも出ています。
全16巻です。
十二国記 月の影 影の海 一巻-DVD-〔送料無料キャンペーン中〕 十二国記 月の影 影の海 一巻






山田章博の画集です。
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