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2011.02.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類


アスファルトは熱気を帯びて遥かな先に蜃気楼を作っていた。



そんな・・・残暑のつらい夏の午后だった。

俺はいつも通学路の途中で視線を止めていた。
仲間達はいつもの事と俺を無視してくれている。
Kもその友人の一人だった。
彼は、いつも俺を心配そうに見つめていた。

時間にしてそろそろ、俺の視線の先に彼女が現れる時刻。


そして・・・


まっ白な…つばの大きな日陰帽子と右手には白いステッキを持ち。
いつも迎えにくるバスの停留所に歩いてくる。
その停留所は目の不自由な人々が5人ほど並び佇んでいた。盲学校に送迎車両の様だ。
俺は彼女に恋をしてしまった。
初恋だった・・・。



ある夏の夕方・・・俺は彼女が帰ってくる時間を心待ち待っている。
30分ほどして送迎バスが止まった。
何人かの生徒が降りて最後に彼女の姿をとらえた。

俺は、腹を決めて告白する事にした。

「すいません・・・」
「はい?」

「はい?」
「なにか?」
彼女は明らかに不信がっている・・・

「突然ごめんなさい・・・」
俺もかなり緊張している。


彼女は、俺の言葉から察してくれたみたいだ。

「はい、落ち着いてください・・・・何か私に御用ですか?」
彼女の驚くほどの落ち着きさに、いささか俺も冷静になれた。

「良かったら・・・俺と付き合ってください・・・」
「貴方を初めて見た時から好きになりました」

俺は初めての告白…そして彼女の涼しげな眼差しに目を背け、早口で告白をしてしまった。

「あっ、・・・はいありがとうございます」
「でも、私は目がよく見えないんです」

彼女は少し俯きながらはにかみ・・・
「ありがとう・・・お友達からでいいですか?」
俺は、初めて真っすぐに彼女を見つめる事ができた。

「はい、お友達からで・・・ありがとう」
「俺、浜田と言います」

「私は、福原さとみ・・・」
「よろしくね」

その時には送迎バスもなく…彼女の友人達もいなくなっていた。

「向かいの方は来るの?」
俺は尋ねた。

彼女は視線を落とし。
「今日は…向かいは在りません。・・・一人で帰ります」

「家まで送ろうか?」

「いえ、大丈夫です。さようなら」

彼女は一礼をして・・・逃げ水の漂うアスファルトの道を小さくなって消えていった。


「告白したのか?」
奴が聞いて来た・・・

「ああ、話したよ・・・綺麗な人だったよ」

彼は視線を避けながら俺につぶやいた。
「深入りするなよ、後が辛くなる・・・」


俺は、まだその時には奴の優しさには気づく事はできなかった。


毎日、通学時に微笑む彼女・・・
夏の夕暮れのたわいもない会話・・・

彼女はよく笑い、その笑顔に俺は夢中になっていく。

…初恋。


「浜田さん・・・いつもいらっしゃるお友達は・・・?」

「気を気かしているのかな・・・」
「今日は、いっしょではありません」

「浜田さん・・・私の事どう思っているのですか?」

「俺は、貴方の事を真剣に考えています」

「本当に・・・私を・・・良いのですか?」
真剣な彼女の瞳を私は、裏切る事は出来ない・・・

「はい・・・貴方と何処までも・・・」

彼女は、うつむきながら…。

「ありがとう・・・」
「私も、貴方の事忘れません」
「決して・・・一生・・・私に死が訪れようとも・・・」
彼女は、その瞳からいくつもの涙を流していた。
そして、その日から二人の歩みが始まり・・・
俺たちは下校時の短い時間の中で、互いを理解する事があたりまえになっていった。





数日が過ぎ…いつもの停車場には彼女の姿が見えない・・・
2日・・・3日・・・4日・・・5日過ぎても彼女の姿は見えない。
俺は毎朝夕、彼女の姿を探していた。
そして一週間が過ぎる頃、友人のKが俺の所に訪れた。

「彼女・・・待っているのか?」

「ああ・・・」

彼は、ため息をついて。
「もう答えを出さなくては…でなければお前も連れて行かれる」
「よく見ろ・・・彼女の姿を」

一週間ぶりだろうか彼女の乗るいつものバスが、その場所に止まっていた。
そして、いつもの通り彼女は最後に降りて来た。



俺の、見た彼女の姿は・・・・
透き通っていた・・・共にバスから降りる友人たちの体に重なり透けていた。
透けて・・・誰にも相手もされず立ちすくんでいる・・・

俺はたまらず彼女のもとに走っていた。
ハアハアハア・・・少し息があがっていた。

「こんばんは、福原さん」

「はい、こんばんは・・・・浜田さん」

彼女は、いままでにないほどの笑顔を俺に注いでくれている。
俺は、あまりにも優しく満面のその笑顔にふれ…涙があふれてしまう。。

「楽しかったです…短い間でしたけど・・・ありがとう・・・私を見つけてくれて・・・
 貴方が私を見つけてくれなかったら・・・私は永遠に孤独だったでしょう。だから本当に嬉しい、本当にありがとう」
「私は、短い人生だったけと・・・とても満足。貴方に会えたからとっても満足です」
俺は、うつむき涙が止まらず震えていた。

「貴方は、この世の人ではなかったんだ…?」

彼女の瞳からも・・・

「はい・・・私はもうこの世の者では…貴方からみたら異人です」

「俺は・・・君が何者であろうとかまわない・・・・

彼女の指が俺の唇を触れ…言葉を遮った。

「もう私の姿も見た通り・・・終わりが訪れたのです」
「けして、この世界には永遠は無いのです」

「だから・・・ありがとう…さようなら」
「また、いつの日にか…」

彼女の姿が薄くなっていく・・・
そして・・・満面のその笑顔が・・・きえた・・・
俺は、号泣してしまいその場に泣き崩れてしまった。
奴は、俺が泣き止むまで黙っていてくれた。

俺の異人との初恋は終わった。
見上げれば高き空から遠雷が聞こえて来た夏の夕暮れの事だった・・・。





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Last updated  2011.03.08 22:53:19 コメントを書く


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