レビンっこの駆け出し日記

レビンっこの駆け出し日記

episode.2 夢から覚めて(後編)





2005年4月4日、朝。
この日は支店での筆記試験だった。


100点満点のテストで、内訳は一般教養10点、専門30点×3教科。
専門は法学・政治学・社会学・経済学・金融学。
この5教科から3教科を選ぶのだ。

試験には10人ぐらいの学生が来ていた。
みんな同じ大学だった。まあ、この県には国立大学はここしかないし。

ほとんどが院生だった。ヤバイ。
しかも頭よさそうな顔だらけ。自分が浮いて見える。


「始めてください。」
問題を見た。そして頭が真っ白になった。

一問も解らない・・・・・・。
問題の中は知らない単語だらけ。
しかも全問記述式。


落ち着け・・・こんな難しい問題、たぶん誰も解ってない・・・
とりあえず全問答えなきゃ・・・

専門は法学・政治学・社会学を選んだ。
経済学科なのに。

だって法・政・社会にそれぞれ
大陸法・ワイマール・パクスブリタニカっていう
知ってる単語があったんだもん。


試験の出来は当然のごとく散々で、
夢が儚く散ってゆくのを感じながら家に帰った。


でも、ほどなくしてN銀から着信が。
「筆記試験突破おめでとうございます。次は支店長面接で
お待ちしています。また明日、朝一で支店まで来てください。」


えええっ!??しかも朝一?

信じられない気持ちだった。
ホントにみんな解んない問題だったんだ。



2005年4月5日。
クリーニングしたばっかりのスーツ着て、支店長面接に行った。

支店長室はすごく重厚な雰囲気で、ソファーはふかふか。
学生はおれ一人しかいなくて、面接官は支店長と次長さんだった。


支店長は温和そうな人で、なんとなく福井総裁に似てるかな、と思った。

この面接は、今までで一番手応えのあるものだった。
支店長さんはおれのいい所を引き出そうとしてくれた。
言いたいことを全部言えた面接は、後にも先にも
この支店長面接だけだった。

もちろん、
「専門がいきなり使えることはなかなかないよね、どう思う?」
ってういような手厳しい質問もあったけど、
以前の次長さんとの面談でも話題に挙がった事だったし。


面接が終わって幸せな気持ちで家に帰るとすぐ、
電話が掛かってきた。

「レビンっこ君、今から東京の最終面接受けてくれるかな。
君を支店として推薦します。すぐに本店に手続きしておくから。」


すごい。心臓がバクバクした。今から東京って・・・。
ついに最終まで残ったんだ。
おれが支店の代表なんだ。


東京へのあずさの中でも、心臓の鼓動は鳴り止まなかった。
昨日筆記を受けたばっかりだったのに、
もう今から最終面接だなんて。


・・・・だけど、
その最終面接の内容は、あんまり覚えていない。
自己PRとか、志望動機とか、全否定された。

何を答えても切り返されて、だんだん自分でも何を言ってるのか
解らなくなってきた。

覚えてるのは、次第にシャツが汗で湿っていく感触だけ。


帰り道の途中、支店の次長さんから電話があった。

「面接の手応えはどうですか?」

どうもこうもない。泣きそうになった。
「今までで一番厳しい面接でした。
私のロジックは全く通用しませんでした。」

「諦めないでください。あなたの思いはきっと届いてます。
結果がわかったら、すぐに電話しますから待っていてください」


結果がくるまでの一週間は、まるで上の空だった。
ずっと携帯を見ていた。わずかな希望を胸に・・・


2005年4月11日、電話が鳴った。

不採用だった。夢は終わった。


でも、次長さんはすごく悔しがってくれた。
最終面接した担当者も、おれを推してくれたんだって。

それがすごく、嬉しかった。

また明日から頑張ろうって思った。期待してくれた次長さんのためにも、
納得のいく結果を勝ち取ろうと誓った。



2005年5月13日。内定をもらった事、就活を終了する事を
次長さんに報告した。
電話越しだけど、すごく喜んでくれたのが分かった。
また、泣きそうになった。


今、思うこと。

N銀を受けてよかった。
おれにとってこの経験は、自信であり、誇りであり、
一生忘れることのない出来事となった。
ありがとう、次長さん。支店長さん。そして、頑張った俺。


~つづく~

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