インディー(29)




「そう、そう、そうッス!なんで知ってはるんですか?」


「ワインバーはあちこち行ってるさ。あそこも、一度だけ行ったけど、それっきりやね」


「そんなに銭ゲバみたいな店じゃないけどね」

「そんなことないッスよ。一見さんが、金持ってると踏むと、いきなりロマネあけたりするんッスよ」

「それじゃ、オレは金持ってないと見切りつけられたわけか?」

「まぁ、そういうトコッスねぇ、グアッハッハ!」


「ロマネなんて香港あたりで偽造されたやつが、やたらと日本に流れ込んでいるらしいからね。そういうのでワインバーは、ボロ儲けしている」

「そこまでは、やってないとは、思いますよ。一応、有名人とかがたくさん来られる店ッスから・・」


「でもねぇ、オーナー、ホンマにきついんですワ」

「こないだなんか、『一見の女性客をテゴメにして店に貢がせて売り上げ伸ばせ』なんて言うんですよ。オレかて、彼女おるしねぇ、そこまではできませんわ」


「バーのオーナーなら、それくらいのこと言うさ!」


「・・・・・」


「でも、一応名の通ったワインバーのオーナーが、そこまで言うかい?って感じやねー」


「この仕事って、そんなもんスかねぇ?」


「とぼけるなよ!これまで、たくさん女泣かせて来ましたって顔に書いてある!」


「アッ!やっぱし、バレてしまいますか?グアッハッハ!」


「バレバレやがなー。こんな色男、ほっとく女はそうおらんで!」


(つづく)



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