The Story of ASIA

The Story of ASIA

始まり


ブライアンは、その独特の言い回しで、背後に居た男を招き入れた。
背はそんなに高くないが細身で、ややぶっきらぼうそうではあるがハンサムなその男のことを、もちろん僕は知っていた。
一緒にプレイしたことこそ無いもののイベント等では幾度となく顔合わせしているし、世間話程度なら何度か交わしたこともある。
ここ数週間、ブライアンがコソコソ動き回っていたのは気付いていた。
そうか、今度はこの男か…
「…こう言うのって、どうかな?」
挨拶もそこそこに、その男はギター片手に歌いだした。
まだ荒削りだが、ポップでメロディアスで、それでいてドラマティック…何より、その憂いを帯びたジェントル・ヴォイスに驚かされた。
『これは凄いことになるかもしれない…』
僕は我を忘れて作曲に加わった。
彼もまた僕の出すアイディアに興奮して、どんどん採り入れていった。
気が付いた時には、すっかり夜が明けていた。
「とりあえず今日のところはこれぐらいにしとかないか?」
ソファでの仮眠から覚めたブライアンの提案で、その日のセッションはお開きとなった。
じゃあ、とスタジオを後にし、お互いの車に乗り込もうとする段になって、あぁそう言えば…といった感じで近寄ってきた彼は「よろしく」と、おもむろに右手を差し出した。
「うん、よろしく」僕と彼はがっちり握手を交わした。
その光景を眺めつつ「イエスとクリムゾンの合体…こいつぁイケるゾ!」とほくそえむブライアンの姿を、僕は見逃さなかった…

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1981年初頭、モーガル・スラッシュ~ファミリー~キング・クリムゾン~ロキシー・ミュージック~ユーライア・ヒープ~UK…と渡り歩いたジョン・ウェットンは岐路に立たされていた。
ソロ・アーティストとしてのプロモーションを、レコード会社から拒否られたのである。
彼が取り得る選択肢は、音楽業界を引退するか、裏方に回るか、バンドとして活動するかしかなかった。
そんな彼に目を付けたのが、イエスの解散によって行き場を失い宙ぶらりんになっていたスティーヴ・ハウの盟友であるマネージャー、ブライアン・レーンであった。
レーンの手引きでミーティングした二人は意気投合し、バンド結成に動き出す。
それが参加メンバーはもちろん、プログレ界全体を見回しても誰も果たしたことのない大成功を収めるスーパー・バンドとなろうとは、夢にも思わずに…
Wetton - Howe

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