「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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The delusion world
第7話「真夜中突撃団」
数分前にシュウが零した言葉をカズも思わず言っていた。
この状況を見れば誰だってそう言うだろう。
何せ酒場の前の広場はもう人が動くスペースはほとんどない。
「……とりあえずリア姉を探さないと」
遠目に見た感じでは酒場の人達――つまり給仕係の人達――も外に出されているようだった。
カズは人ごみを避け、酒場の人達が集まっている場所を探す。
給仕係の人達が来ている“メイド服”というものはわかりやすいので意外とすぐに見つかるはずだ。
「――いた」
人ごみの一番外側の一角、酒場からは少し離れたところにカズが探している人物がいた。
腰まで届くように長く、ふわりとしたベージュ色の髪。
他の給仕係の人達と心配そうに話しているその姿はまさしく――。
「リア姉!!」
その人の名を呼びカズは駆けていく。
また心配してただろうから早く安心させてあげないと。
「カズくん!? よかった、無事だったんだね!!」
「げふぅっ!?」
いきなり抱きつきという名のタックルを喰らった。
彼女の身長が低いせいで心臓付近にもろに衝撃が来た気がする。
こっちは鎧を着けているというのに痛くないのだろうか、この人は。
「いたた……た、ただいま、リア姉」
「うん。おかえり、カズくんっ」
どうやらさっきのタックルには気づいていないようだ。
彼女の整えられた前髪が風に揺れ、少し垂れ気味の大きな目、小さな鼻と口が笑顔を作り出す。
ふわりと周りを包み込むようなその笑顔は、相手まで笑顔にしてしまう。
「そろそろ終わりにしなさい、ステリア、カズ。周りが見てるわよ?」
その言葉に、ふと周りを見た。
確かに見られてる。
みんな、またか、みたいな呆れ顔でこっちを見ている。
「そ、そうですね。カ…タリスさん」
ステリア、もといリア姉から離れつつ言った。
向き直った先には少々笑顔の引きつった“美人”が1人。
リア姉と同じ服を着ているということは給仕係の人ということだ。
「よくできました、カズくん。それと…………次その名前で呼んだらコロスわよ?」
「は、はいぃ!!」
笑顔が怖い。
きっと、彼女なら本当にそうするのだろう。
(……けど、あれだけ綺麗なのに男なんだよなあ)
タリスさんのことを彼女、と呼ぶには大きな間違いがある。
正直に言うと、タリスさんは男なのだ。
本名はカタリスウッド、この村の生まれではなく近くの街から来た人である。
趣味は女装、知らない人が見れば女以外の何者でもない。
声は元々高い方なのでそれらしく振舞っていればまったくわからないほどだとか。
「まったく、あんたたちはいつもいつも」
そんな“彼女”は本名で呼ばれるのをひどく嫌う。
女らしくないのが嫌で、タリスと呼ばせているのだ。
男なんだから女らしくない名前ってのは当たり前なんだけど。
「はうぅ、すみません」
気がつくと、リア姉がタリスさんに小突かれながら謝っていた。
これがこの酒場のいつもの光景だ。
ドジをした彼女をタリスさんが軽くたしなめる。
で、彼女はいつも半泣きになりながら謝る。
酒場の中では毎日のようにそんな光景が繰り広げられている。
それ見たさに来る人もいるほどなのである。
「…そういえば、今どういう状況なんですか?」
周りにいる村の人たちに聞こえないようにタリスさんに聞く。
「あまり芳しくないみたいよ。街からハンターさん方が来てるみたいだしね」
「あ、それはさっきリーアおばさんに聞きました。それ以外には何かないんですか?」
「さあねえ……私ら給仕係には何も聞かされてないよ?」
ねえ、とタリスは周りの給仕係の人たちに同意を求める。
うんうん、とステリアを含む給仕係は皆同意。
「まあ、気になるなら酒場に行ってみなさい。今ならノノさんもいるから」
「ノノさんもいるんですか? わかりました、行ってみます」
ノノさん、とは給仕係長の人である。
酒場の中では結構えらい方なので酒場に残ることを許されたのだろう。
「ん?」
それじゃあ、と酒場に向かおうとしたとき、不意に後ろから手をつかまれた。
振り向くとそこには泣きそうな顔のステリアがいた。
「ねえ、カズくん。大丈夫…だよね? 村が飛竜に襲われたりしないよね?」
それはこの場にいる全員が考えていることだった。
誰だって、当事者であるカズさえも不安なのである。
「大丈夫だって。たとえ襲われたとしても、街から来たっていうハンターたちがいるから狩ってくれるよ。それじゃ、もう行くね、リア姉」
カズはステリアの頭を軽くなでると、今度こそ酒場へと向かった。
「ほら、泣くのは我慢しなさい」
「タリスさん……」
ステリアは零れそうになる涙を何とかこらえる。
そうして、カズの走り去ったほうを見た。
「や゛、やっぱり゛、た゛め゛…………」
「あっ! 泣くなって言ったでしょー!!」
「まさかお前がいるとはなぁ」
シュウとは違う、赤と黒の鱗で覆われた鎧の男が何ともいえない顔で言った。
「それはこっちの台詞だよ、カズキ。俺は一応仕事で来てるんだぞ」
お互い軽くため息をつく。
シュウが酒場に入ってきてから約5分。
それまで酒場の中で行われていた会話は中断、シュウと2人のハンターとの会話が繰り広げられていた。
今現在、酒場にいるのは6人。
3人のハンターを筆頭に、ギルドマスター、村長、給仕係長のノノがいることになる。
ちなみに、全員1つのテーブルに座っているがハンター以外の3人は勿論蚊帳の外なのである。
「まったく。どうせならもっと大人数で来いっての」
「いやぁ、俺もそうしたかったんだけどな…………」
カズキ、と呼ばれた男は頬をかく。
それを見てシュウはさらに呆れ顔になってうなだれた。
「てことは、ビスケさんしかいなかったのか。はぁ」
「う、うん。お恥ずかしい限りです」
緑の鱗で覆われた鎧を着た女性が申し訳なさそうに言った。
名前はビスケというらしい。
「さて、そろそろ話を戻しても構わんかの?」
3人の話を中断するようにギルドマスターが言った。
ギルドマスターとは村や街でハンターやハンターに対する依頼の管理をしている者のことを指す。
その多くが竜人族であり、この村も例外ではない。
竜人族とは人間とはまた違った種族で、背は小さく人の半分以下、ただし戦闘能力は人間よりも遥かに上だという。
事実、今対面しているギルドマスターには言いようのない威圧感がある。
ついでに言ってしまえば村長は竜人族ではないただの老人である。
「そうですね。話を進めないわけにもいきませんし」
3人を代表してカズキが声を発した。
そうして、酒場の中は一変して緊張した雰囲気に包まれる。
「どこまで話しましたっけ。えっと、そうだ。この村の近くに上位クラスの飛竜がいる、ってところまでだったか……」
カズキは話を続ける。
誰も口を挟まないあたり、間違いはないのだろう。
「その飛竜は元々、近くの街、ルーティス付近で目撃されてたんですよ。だからルーティスから俺らが来たんです」
「1つ聞いてもいいかしら?」
「どうぞ」
「街の近くにいた飛竜がどうしてこの村まで? ルーティスといえば一番近くの街ですけど、距離はそれなりにあるはずでしょう?」
給仕係長のノノがカズキに質問をする。
質問の答えは恐らく3人のハンターとギルドマスターはわかっているだろう。
「それは、多分今が飛竜の繁殖期だからですよ。街付近で繁殖するよりもこういったところで繁殖する方が遥かに成功しやすい」
飛竜という生き物は頭がいい。
ハンターと対峙して適わないとわかれば戦わずに逃げ出すし、上位クラスの飛竜ともなればハンターが仕掛けた罠を避けることもあるらしい。
「ちなみに、一体どんなやつが来とるのかのぉ」
「あー、それは」
「カズキ。そこから先は俺が答えるよ」
唐突な村長の問いに、答えに窮するカズキに代わってシュウが声を発する。
その言葉にカズキは少なからず驚いたが、何も言わずに手だけでシュウに促した。
何か知っているなら話せ、と。
「今現在、この村の近くにいる飛竜は火竜リオレウスの亜種……リオソウルです」
周りからの反応はない。
誰もがシュウの言葉がそこで終わるとは思っていないのだ。
「場所は、草原の近くにある飛竜の巣付近。先ほどこいつが言っていたように、目的は繁殖のためでしょう。しばらくの間はこの村に危険はないでしょうが……」
「王が妃を娶れば、村に危険が及ぶ、か。ふむ、まずいことになったの」
シュウの考えを代弁するかのようにギルドマスターが呟く。
その表情は真剣である。
「えっ、と、どういうことでしょうか?」
1人事情を飲み込めていないノノが困り顔で言った。
「動物が繁殖するには何が必要かを考えてみるとよい。すぐにわかるはずじゃ」
「繁殖するには…?」
ノノは難しい顔をして考え込む。
少しの間沈黙が流れたが、突然ノノが飛び跳ねるように声を上げた。
「あっ! そうですわ!! 繁殖のためには必ず番にならなければならない。つまり、飛竜がもう一匹増える、そういうことでしょう?」
「うむ。そうならないためにも、今のうちに狩っておかなければならないのじゃが」
ギルドマスターは深く頷きながらカズキの方を見た。
何ともいえない鋭い目つきだ。
「安心してください。俺らが狩ってみせますよ。なあ、シュウ、ビスケ」
カズキは自信満々にそう答えると、2人の仲間――シュウとビスケの方を見た。
「当たり前だ」
「うん! がんばろー!!」
2人は笑って返事をする。
この3人の間には、いや、彼らのチームには確かな信頼があるのだろう。
「それでは、任せるとしようかの」
話はこれで決まった。
ギルドマスターは安心した、という風にイスから立ち上がると、カズキの方に右手を差し出した。
カズキも立ち上がり、ギルドマスターと握手を交わす。
「ええ、任せてください。俺ら“真夜中突撃団”に――――!!」
その少しだけ後。
そんな、そんな言葉が人のいない酒場の中に響いていた。
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