「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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The delusion world
第8話「決意の言葉は」
ひざは微かに笑っていて、額からは脂汗がにじみ出ている。
なんとも情けない姿ではあるが、それでも現実から目を背けるわけにはいかないのだ。
「…よし、行こう」
一言。
一言だけ決意を言葉にすると、カズは酒場の扉を押し開けた。
「あれ、誰か来たよ? だんちょー」
「ほんとだ。誰だ?」
「って、ええぇぇぇぇ!?」
扉の向こうには、カズが予想したのと遥かに違う光景が広がっていた。
なんて言うか、パーティーみたいなことしてる。
テーブルの上には豪勢な料理が置かれていて、それを囲む人達は楽しそうに酒を飲んでいる。
「あら、カズじゃない。どうしたの?」
「どうかしたの、じゃありませんよノノさん!これはいったいどういうことですか!?」
半ばパニック状態に陥っているカズが叫ぶ。
カズの頭の中では全員が深刻な顔で会議をしていたのだが、現実はこうだ。
カズが抗議の声を上げたくなるのも当然のことかもしれない。
だが、そんなカズの言葉にノノはさらりと返事をした。
「どういうことも何も見たとおりよ?」
つまり、この状況を受け入れろと。
そういうことですかノノさん。
あなたの顔がかなり赤いのは気にしてはいけないんですかノノさん。
カズはため息を吐きながらテーブルの方へと近づいていく。
すると、難しい顔をしているシュウと目が合った。
どうやら考えていることは同じらしい。
「…シュウ、外に行こう」
「そうだな、それがいい」
待っていた、というようにシュウはイスから立ち上がりカズの近くへと歩いていく。
ため息を吐きながら。
「なんだよ、シュウ。知り合いなら紹介しろよ~」
「そうだよぉ。ノリが悪いよーシュウくーん!」
これまた顔の赤い防具を着けた2人のハンターが声を上げる。
シュウの知り合いなのであろうその2人は、酒の入ったジョッキを片手にこっちを見ている。
ただ、カズは2人の装備を見て驚いていた。
男のハンターが着けている防具はレウスシリーズ、それに対して女のハンターがつけている防具は恐らくレイアシリーズと呼ばれるものだ。
レウス、レイアシリーズといえばリオレウス、リオレイアの素材を使った防具だ。
簡単に手に入るような防具じゃない。
見た感じ自分と2、3しか歳の変わらない、未だ少年・少女と呼ばれるようなハンターがここまで凄い装備をしていることにカズは驚きを隠せなかった。
「ほら、行くぞ」
「え? あ、あの人達はいいの?」
「いいよ、あいつらは。飲むと質が悪くなるから」
カズはシュウに引っ張られて酒場を出て行く。
テーブルからは2人が呂律の回ってない声で何か喋っていたがすぐに聞こえなくなった。
外はひんやりとした風が吹いていた。
日が落ちたせいか、先ほどまで酒場の前にいた人たちもいつの間にかいなくなっていた。
「……リア姉?」
他の人たち、同じ給仕係であるタリスさんたちさえもそこにはいないのに、ただ1人夜空を見上げて佇むステリアだけは酒場の前に残っていた。
ステリアはカズの姿に気がつくと駆け寄ってくる。
そうして、ステリアがカズくん、と名前を呼ぼうとしたとき
「すみません、こいつ、ちょっと借りていきます」
「「――――え?」」
シュウが思いもよらぬことを言った。
カズとステリアは同時に声を上げる。
「話したいことがあるんだ。ほら、行くぞ」
「あ、う、うん。リア姉、ちょっと行ってくるから」
シュウの急な提案に戸惑いつつも、カズは慌てて歩いていこうとするシュウの後についていく。
あ、と短く声を上げてステリアは何か言おうとしたが、声が続かず結局はそのまま2人を見送ってしまった。
そうしてしばらく歩くと、カズとシュウは村はずれの広場に着いた。
一応といった感じに置いてあるベンチにシュウは腰掛け、カズもその隣に腰掛ける。
「シュウ。話したいことって何なの?」
カズはそうシュウに聞くが、返事はない。
気がつくと、シュウは両膝に肘を置いて顔の前で手を組んでいた。
考え事でもしているのだろうか。
カズは先ほどのステリアのように夜空を見上げ、シュウの言葉を待つことにした。
少しの間沈黙が流れる。
話したいことがある、といったシュウは言うのを迷っているというか、言葉を選んでいるように見えた。
だが、そんな時間はわりかしあっさりと終わった。
「――――なあ、カズ。俺たちのチームに入らないか?」
暗い世界に、回りくどい言い方は止めたのか、酷く単純な言葉が響いた。
だけど、そんな単純な言葉でもカズはしばらく理解ができなかった。
何故、自分が?
ようやく理解できた頭でまず考えたのは、単純な疑問。
それから次々と、言いたいこと、聞きたいことが浮かんできたが、全て言葉にはならず呻き声として空中に溶けていった。
「俺が御者としても働いてるのは、効率よくチームの仲間を集めるためなんだ」
シュウは未だ両手を顔の前で組んだまま、視線を前に固定したまま続ける。
「俺らのチームは街で狩りをしてて、若い、それこそお前みたいなハンターを集めててさ。
俺は、お前なら多分俺よりも強くなれるだろうと思った。だからお前を誘おうと思ってたんだが」
「だが?」
妙に歯切れの悪い言い方でシュウが言葉を止めてしまったため、カズはやっと動くようになった口で聞いた。
シュウは、ふう、と軽く息を吐くと、自嘲気味に笑う。
「……なんて言うか、あの酒場の前にいた女の人見たら、自分がすげえ悪いことしてるような気になってな。正直、迷ってるんだよ」
お前を誘っていいのかってな、と今度こそカズの方を見てシュウは言った。
きっとリア姉のことを言ってるんだろうな、と動き始めた頭でカズは考える。
確かに彼女は、シュウに連れて行かれる自分を見て、大事なものを失くしてしまったかのような顔をしていた。
それに、どうやら失くし物は家宝だとか親の形見だとかいうレベルでの大事さらしい。
あの顔はそんな感じだったと思う、多分。
「リア姉はさ、心配性なんだ。本当、極端すぎるくらいに何かを失くすことを怖がるんだ。それが大事な物じゃなかったとしても」
カズは何故かシュウの方を向くことが出来なかった。
他人に誰かのことを語ることが恥ずかしかったからなのか、はたまた別のもっと深い理由があるのかは解らない。
だから、カズは先程のシュウと同じように虚空へと言葉を放り続ける。
「気づいてるかもしれないけど、俺とリア姉の親は、この村にいない。2人とも両親がハンターで、いつの日か突然帰ってこなくなったんだ」
よくある話だ、とシュウは思う。
ハンターは死と隣り合わせの職業で、つい数秒前まで笑っていた奴が気づけば黒焦げになっていた、なんて話を聞いたことがあるくらいだ。
恐らくカズやステリアの両親も狩りに出て『何らかの事情で』帰ってくることが出来なかったのだろう。
「それからはお互い励ましあってきたんだ。最初の方はいつか帰ってくる、少し経ってからは2人居るなら大丈夫さ、って。
……結局、あの人達は帰ってこなかったけど、俺とリア姉は本当に支えあって生きてきたんだと思う」
ため息のように、長く弱い風が彼らの間を吹き抜ける。
シュウは何も言わずにカズの長い長い独白を聞いていた。
彼の頭の中には、彼らの姿が鮮明にイメージされ、様々な場面が浮かんでは消え、消えては浮かんでいた。
それから、カズはステリアとの思い出を語り続けた。
時には笑いながら、またある時には泣きそうになりながら、苦笑しながら、微笑みながら、怒りながら。
それは恐らく、あまり語られることの無い物語で、世界中を探せばいくらでもあるような、だけど彼らにはかけがえのない物なのだろう。
どれくらい時間が経ったのか、いよいよ風が肌を刺す程寒くなってきた頃、カズは全ての物語を話し終えた。
しかし、彼の言葉は途切れない。
自らの決意を口にするために。
名残惜しそうに夜空を見上げた後、でも、とカズは呟く。
「もう、俺は支えなくても、支えてもらえなくてもいいと思うんだ。俺やリア姉も、1人で歩くことぐらいは出来るだろうから。
勝手かもしれないけど、俺はそう思う。だから――――」
シュウの方へと向き直る。
言えば彼女との関係は崩れてしまうと解っているのに、口の動きは止まらない。
それこそ水でも流れ出るかのように、彼の決意は放たれた。
「俺はシュウのチームに入るよ。ハンターとして、街に行って強くなりたいんだ」
しばしの沈黙の後、カズを黙って見ていたシュウは、突然嬉しそうに笑い出した。
何事か、と首を傾げるカズにシュウは言う。
「いや、いい話を聞かせてもらったよ。
勝手かもしれない? 別にいいじゃねえか。お前が決めたんなら誰も文句は言わないさ」
言いながら、シュウはカズに向かって右手を出した。
それが握手を求めているのだと気づくと、カズは慌てて彼の右手を握り返す。
「いつもなら団長の奴が言うんだが、今は居ないから俺が言わせてもらうよ。これからよろしくな、カズ。そして――」
右手が強く握られる。
シュウはカズを見て不敵に笑うと、一度だけ強く息を吸って、
「このイカれたチームにようこそ!」
と夜空に向かって叫んだ。
「そういえば、チームの名前って何なの?」
シュウとカズが酒場に向かって歩いている時、カズはふと思いついたようにシュウに聞いた。
寒くなってきたことだし、そろそろ酒場に戻るか、というのはシュウの言葉だ。
あの酒臭い集団の中に入るのは嫌だけどな、と呟いてもいたのは気のせいではないだろう。
カズの隣を何をするでもなくただ歩いていたシュウは、少し困ったように顔をしかめた後、
「真夜中突撃団」
と、彼のチーム名だけを告げた。
「まよなか、とつげきだん?」
「そう、突撃団。別に俗称とかじゃないぞ? 正真正銘、俺らのチームは真夜中突撃団って名前だ」
「へ、へえ、変わった名前なんだね」
そこまで彼らの会話が進んだ時、シュウは苦笑した。
やはり、変わった名前、という言葉には思うところがあるようだ。
だが、変わっているからこそいい、ともシュウは思っている。
「団長の奴の思いつきでな。多分、俺らが夜中に狩りに出ることが多かったからなんだろうが……まあ、詳しいことは団長にでも聞いてくれ」
やれやれ、とでも口から出てきそうな、両手の手のひらを上に向けた状態でシュウは言う。
なんでもチーム結成時から名前は変わっておらず、理由は名前を決めた本人しか知らないとのことだ。
「さて、と。覚悟はいいか、カズ?」
そうこうしている内に、いつの間にか酒場の前に着いていた。
シュウは一度酒場の前で立ち止まると、微笑むように言った。
ステリアはもう帰ってしまったのか、辺りに人影はなくそこにいるのはシュウとカズの2人だけ。
そんな世界で、カズは答えた。
「うん、覚悟なんて、とっくに決まってるよ」
「そうか、ならいい」
今度こそ、微笑ではなく満面の笑みでシュウは言った。
行こう、とカズが言うと、ああ、とシュウは返し、2人は酒場の中へと入っていく。
――さて、とりあえずはこいつをどうやって紹介するかだよな。
――どんなチームなんだろう。楽しいチームだといいな。
2人とも、笑顔は崩さずにそんなことを考えていた。
どちらにしろ杞憂になるのだが、それはまた別の話である。
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