The delusion world

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とある魔術の禁書目録 SS










『とある学園都市の誘拐事件』










序章 『空』のような笑顔 A_girl_of_the_Tokiwadai


「イヤッ! こっちに来ないで…………!!」


学園都市の第7学区。普段は誰も通らないような、日中に日が差さないためか若干肌寒い路地裏で、1人の少女の悲痛な声が上がった。
ここ学園都市では有名なお嬢様学校、常盤台中学の制服を身にまとった少女。つまりは正真正銘のお嬢様である少女の、肩まで届かないほどの短い髪は所々不自然に波打っており、制服は辺りが暗いためよく解らないが少し焦げているようだ。

彼女の前方には、ナイフを右手に持った男が立っている。寝ずにテレビでも見ていたような、腫れ上がって充血した眼が少女の視界に入り、少女は体を震わせた。


「ヒヒヒ。いいじゃんかよぉ、遊ぼうぜぇ、お嬢ちゃぁん?」


 狂っているのか、手にしているナイフで辺りかまわず男は切りつける。ガギン、とナイフが男の横にあった建物――学生寮だろうか――の壁に当たり、刃が少し欠けた。が、そんな事は関係ない。いくら刃が欠けようとも、それは少女を傷つけるには十分すぎるのだから。


「だ、誰か、」
「おい、そこのお前。何やってんだよ」


助けて、と少女の口から発せられる前に、目の前の男よりも更に奥、路地の入り口辺りから声が聞こえた。そこにはツンツン頭の、それ程身長の高くない少年が立っていた。


「あぁん? 誰だテメエ? こっちはいい所なんだから邪魔してんじゃねぇよぉ!!」


 男が吼える。それと同時に男の左手から、轟、と炎が生まれた。炎は瞬く間にサッカーボールほどの大きさになり、男の手の上で輝き続ける。

 まずい。

この男は間違いなく『強能力者』か『大能力者』の部類だ。それは今までこの男の攻撃から逃げてきた少女が一番解っているし、所々焦げた制服がそれは事実だと物語っている。


「に、逃げて!!」
「ヒャハハハハ! 焼け焦げちまえぇ!!」


少女が震える声で叫ぶのと、男が笑いながら左手の『サッカーボール』を投げるのはほぼ同時だった。このままではあの人が危ない、どうにかできないのか、と少女は考える。常盤台中学にいる時点で自分も『強能力者』以上であることは間違いない。
 だけど自分の能力は『念動力』。周りに動かせるものが何もない路地裏では、火の玉だけをどうにかするなんて芸当はできないし、失敗すれば私を助けようとしてくれた人を巻き込むかもしれない。それに、恐怖で頭が混乱していて能力なんて使えるはずもない。

 だから少女は叫んだ。せめてあの人だけでも助かりますように、と願いを込めて。
 だが、少女はこの時初めて少年が獰猛な笑みを浮かべていることに気がついた。

 少年は逃げようとしない。それどころか彼は自らの右手を火の玉へと向け、その右手が火の玉に触れた瞬間、


ゾン!、という音と共に火の玉は跡形もなく消えてしまった。


「――――え?」


 辺りを静寂が支配する。聞こえたのは気づけば漏れていた自分の声だけ。炎を放った男手さえも、今の光景には肝を抜かれたらしい。


「ヒャ、ハ。何、だ、テメエのその能力は? 『強能力者』の攻撃を跡形もなく消す奴なんて聞いたことねぇぞぉ!?」


 少年は答えず、腰を低くしたかと思うと、次の瞬間には地面を蹴っていた。向かう先は男の懐、両の拳は既に固く握られている。


「ヒ、来るんじゃねぇ……!」


 男は少年の様子に恐怖したのか、滅茶苦茶にナイフを振り回す。が、少年にそのナイフは当たらない。なぜなら、少年の左手にナイフが弾かれてしまったからだ。
 少年は止まらず、男の懐に潜り込むと握り締めた右手を下から男の顎に向かって放った。


「ガッ……」


 天を、月夜を仰ぐように男の顔が跳ね上がる。

そうして、路地裏の攻防は終わり、男は一撃の下に意識を刈り取られていた。少年は少しだるそうに立ち上がると、少女の姿を確認して駆け寄った。


「大丈夫か? 怪我とかはないか、ってあー……服が少し焦げてんじゃねえか」


 少し呆け気味だった少女は我に返って少年の顔を見る。少年はバツが悪そうに少女の容態を確認していて、少女の体が擦りむいている所や少女の制服が焦げている所を見つける度に「あの野郎」などと呟いている。そんな少年の様子を見て少女は、


「あの、私……助かったんですか…………?」


ポツリと、呟くように少年に尋ねた。すると、少年は少し困ったように笑った後、今度は確かに笑って、



「ああ。もう大丈夫だ」



と言った。
 その顔に、先ほどの獰猛な笑みや、曇りは一切ない。

 少女は、まるでどこまでも青く透き通る空のようだ、と呆ける頭で考えていた。





第一章 救われた少女は何を思う Is_she_a_lover?


 1


 明けて九月十一日。
 少女が不良の男に襲われ、通りすがりの少年に助けられた次の日。首辺りまでしかないが綺麗な黒い髪、やや丸い輪郭に大きめの瞳が特徴的な少女は、授業中も、今現在である昼休みに入ってからもずっとあの少年のことを考えていた。
 明日からは大覇星祭の準備期間で半日授業になるので、それを知っている生徒たちは少し浮かれたような雰囲気が感じられたが、この少女にだけはそんな様子は全く感じられない。

 あの後、少年は警備員と風紀委員を呼び、先に到着した風紀委員――白井黒子という、この学校に在学している風紀委員――に私を預けるとすぐにいなくなってしまった。その風紀委員が「またあなたですの?」とか「無責任」とか「無節操」とか、最後の言葉が気になるが、少年に言っていたところを見る限り顔見知りらしい。


「ちょっと、乃依? あなた朝から変だけど大丈夫?」


 ふと、クラスメイトから話しかけられた。昨日の件は警備員や風紀委員が秘密裏に処理してくれたため、学校内では一部の人間しか知らない。


「う、うん。ちょっとね……」
「もしかして恋の悩み? そうだったら聞かせなさいよ。ほら、どんな人か白状しなさい」


 ロングの髪を肩の辺りからロールにしているクラスメイトは、途中から『恋の悩み』だと決め付けて少女の頬を指で突いている。その顔は何とも楽しそうな表情をしている。
 少女、こと乃依は友人の甘い幻想《かんちがい》を殺そう《ただそう》として、ふと、本当に否定できるのかどうか危ういことに気づいた。

 彼女は昨日助けられてから今まで、寝ているとき意外ほとんど自分を助けてくれた少年について考えていた。どうして助けてくれたんだろう、とか、一体何者なんだろうとか。
 これでは恋する乙女と何ら大差無いではないか。いや、もしかすると自分はあの少年に対して感謝を飛び越えて恋愛感情まで抱いているのかもしれない。


 そこら辺は、そういったことに疎い彼女には、今一解らなかった。


 傍らでは、むぅ、と唸る乃依を見て「え? 何? 本当なの?」とクラスメイトが困惑していたが、考え込む乃依の視界には入らない。
そんな時、乃依の思考を、クラスメイトの困惑を断ち切るように校内放送が鳴り響いた。


『第3学年、柚桐乃依《ゆずぎり のい》。至急職員室まで来るように。繰り返す、第3学年、柚桐乃依。至急職員室まで来るように』


 短い音を立てて放送が切れると、クラス内の視線のほとんどが乃依に集まった。この学校では校内放送で呼び出されるなど中々無い。それも『至急』という言葉つきなら尚更だ。
 当然といえば当然なのだが、この途端に珍しい物にでもなったかのような扱いは如何なものか。

 まあ、昨日起こった事件のことを考えれば自分は確かに珍しい物なのだが。きっと呼び出されたのもその件についてだろう。


「それじゃ、ちょっと行ってくるね」
「はい、行ってらっしゃい。あ、それと早く帰ってこないと私があなたのお弁当食べちゃうわよ?」


 言われて、そういえばお昼ご飯食べてなかったな、とどこか他人事のように思う。だが、いくらお腹周りのお肉が気になる年頃とはいえ、昼食抜きはさすがにキツイ。よほどダイエットでもしてなければそんな事はしたくない。


「……帰ってきてご飯無かったら怒るから」


 静かに、だが確実に負の感情を込めてそう言うと乃依は教室から出ていった。その後姿をしばらく眺めてクラスメイトの少女は、


「うーん、乃依ってばまだこの前勝手にお弁当食べたこと怒ってるのかな? だってしょうがないじゃない。乃依のお弁当って、すごく美味しいんだもの」


と言って乃依の鞄からお弁当を取り出していた。本来の持ち主のいない机の上にそれを広げると「いただきます」と律儀に挨拶をして食べ始める。

 少女はその味に時折至福の笑みを浮かべていたが、帰ってきた乃依によってその顔が恐怖で彩られるのはまた別の話である。


 2


「失礼します。放送で呼び出された柚桐ですが」


 職員室のドアを開け、そう不特定多数の教師に言い放つと、近くにいた老いた教師が歩み寄ってきた。齢五十二にして白衣を羽織っているせいか、マッドサイエンティストと呼ばれても――実際にそう呼んでいる生徒もいるらしいが――おかしくなさそうな教師だ。
その様子を見て、こちらを見ていた他の教師は自分の作業に戻る。ある者は自らの弁当へと向き直り、ある者は教材の整理を再開した。


「おお、待っていたよ。警備員の方が、君に昨夜の件で聞きたいことがあるそうだ。奥にいるから、行くといい」


 とのことだ。どうやら呼び出された理由に関しては予想通りだったらしい。警備員が来ているというのには少しばかり驚かされたが。

 老人教師に促されて職員室の奥にある部屋、応接室へと入ると、そこには二人組みの警備員――あまりらしくは見えないが、あの老人教師がそう言っていたので間違いないだろう――が気だるそうにソファーに並んで座っていた。乃依から向かって右側には天井に向かってタバコをふかす男が、左側にはペラペラと本をめくっている女がいる。
 先に気づいたのは女の方で、読んでいた本を閉じてソファーの上に置き、


「ああ、よく来てくれたわね。そこに腰掛けてもらえるかしら?」


と、彼女らのテーブルを挟んだ向かい側にあるソファーへと乃依を促した。
 乃依は、はい、と軽く頷いて促されたとおりに腰を下ろす。と同時に男がタバコについた火を灰皿に押し付けて消していた。

 正面から二人を見据えてみたところ、どうやら二人とも二十代のようだ。ただ二人とも見た目に気を使っているような感じではなかった。
女の方は髪を邪魔にならない程度の長さで切り、後ろで纏めている。化粧の方も最低限、といった感じしかしない。服装もジーンズに長袖のシャツだけという、近頃肌寒くなってきたから何となくこの格好をしている、とでも言いたげな服装だ。幾分、彼女の顔が整っているだけに余計に勿体無さが際立っている。
 男の方も同じようなもので、髪はボサボサ、無精ひげは剃る気が無いのか伸ばしっぱなし。服装は女のものよりも酷く、ジャージにシャツ一枚。さらにシャツは白地が少し黄ばんだやつを着ている。
この二人を見てファッションに気を使っていると言える人は中々いないだろう。少なくとも自分の知る限りではいないはずだ。


「始めまして、柚桐さん。私は東雲百合《しののめ ゆり》。こっちは同僚の木下匡《きのした ただし》よ。早速だけど、昨日のお話しを聞かせてもらえる?」


 東雲はソファーに腰を下ろした乃依に催促する。木下はというと特に話すこともないのか、相も変わらず気だるそうに、ただし視界にしっかりと乃依を捉えつつソファーに座っている。
 乃依は再び、はい、と答えると昨日の出来事を話し始めた。



 普段はバスで寮まで帰っているが、忘れ物を取りに行っていたために最終バスに乗り遅れ、歩いて帰らなければならなくなったこと。

 その途中で見知らぬ男に声をかけられたこと。

 怖くなって逃げ出すと、男が能力を使いながら追いかけてきたこと。

 路地裏に逃げ込んだところで男の炎に足を取られ、追い詰められてしまったこと。

 誰でもいいから助けを呼ぼうとしたときにあの少年が現れたこと――――。



 そこまで話したとき、今まで気だるそうにしていただけの男、木下が初めて反応らしきものを見せた。その目に先ほどまでの脱力感は全くない。


「ちょっと、その少年について質問をしていいか? 答えられる範囲でいい」


 木下はそう言うと、乃依の反応を待った。彼女としては別段断る理由もないので頷きだけで答えると、木下は再び口を開いた。


「その少年は君の知り合いか? 容姿なんかは覚えてる?」
「いいえ。全く知らない人でした。……容姿は、印象に残っているのは髪の毛がツンツンしている、ぐらいです」

「そいつは何か言ってたか?」
「特に何も言ってなかったと思いますけど」

「もう一つ。どうやって『強能力者』の男を倒したか覚えてる?」
「えっと、それは……よく見えなかったので解りません」

「最後。そいつの身元を特定できそうな事柄は何かない?」
「…………なかった、と思い、ます」


 質問は計四つ。そのどれもが件の少年に関することだ。
 ちなみに二つ目までは真面目に答えている。三つ目は彼女自身全く理解ができなかったことなので半分事実、半分嘘の回答。四つ目に至っては真面目に答える気はなかった。質問の内容を聞いてみて、この二人は明らかに少年の身元を特定したいだけではないということが解ったからだ。身元の特定だけならそこら辺の監視カメラにでも映っている姿を解析すればいい。

 それをしないということは、後ろ暗いものがあるか、そもそも知りたいことが少年の身元じゃないかのどちらかだ。


「ふむ。ここにも少年の情報はなし、か。一体何者なんだろうな」


 木下はわざと疲れたように――乃依にはそう感じた――言うと、ソファーから立ち上がった。聞きたいことはこれで全て、ということらしい。
 東雲も木下につられて立ち上がり、それに少し遅れて乃依も立ち上がる。


「お昼休みにわざわざ呼び出して悪かったわね」


 そう東雲が言った後、三人が別れるまで会話はなかった。東雲と木下は教員に送られ校舎から出て行き、乃依は自らの教室へと戻る。

 途中、一度だけ横目で二人の顔を見てみると、既に乃依に対する興味はほとんどなくなってしまっているようだった。それが如何なる理由からかは、彼女には解らない。


 3


 乃依が教室へと戻るのとほぼ同時刻。常盤台中学とはレベルも場所もかけ離れた高校のとある教室に、ツンツン頭の少年、上条当麻がいた。身長は一般的な男子高校生の平均よりは少し低いが、体の引き締まり具合だけは平均より上であろう彼は、一人へばっている。時折もぞもぞと動くたびに、少しだけあるファッションへの気遣いを見て取れる髪が揺れていた。


「……うだ~~~…………」


 上条は思わずいつものように「不幸だー!」と叫びそうになる。そう叫ぶとクラスの男子どもから何故か謂れもない攻撃を受けるのだが、そんなことは関係なしに叫びたい、というか叫ぶ体力があったら叫んでいるところだ。
 上条の不幸は昨日の夕方から現在進行形で続いている。



 昨日、居残り(この時点で理不尽なものがあった気がするがそれはさておき)を終えて学生寮に戻ってみたところ、買い置きしていたはずの食料が全て亡くなっていた。『亡くなっていた』というのもあながち間違いではない。何せ一週間分程度の量があったのだから。

 その後、半ばやけくそで食料の買出しに出発。途中で不良に追いかけられている少女と遭遇し、助けたまではよかったものの、帰ってみるとそこには大口を開けた暴食シスターが待っていた。遅くなった理由を説明してみたところ、何故かシスターの機嫌は更に悪くなり、気を失うまで噛み付かれ続けた。

 そして日付が変わって今日。これは昼休みに入ってから気づいたことなのだが、何とお金がない。そのため昼飯は恐らく抜きになるだろう。ほぼ間違いなく。



 三つ目以外は間違いなくあの暴食シスターのせいだ、と上条は思う。ただ面と向かって言うと「それはとうまがわるいんだよ!」とか何とか言われて噛み付かれそうなので、間違っても口にしてはいけない。我が家の家計簿と自らの体にダメージを与えないためにも。


(しかし、何なんでせうかこの不幸の三段活用は……カミジョーさんは泣きそうなのです)


 一人ごちる。その原因は自らによるところが多いのだが、彼の性分なのだから仕様がないといえば仕様がない。


「まあ、いいや。寝よ……」


 このまま起きていても無駄に体力を使うだけだし、午後は幸い体を動かすこともないので次に起きたら放課後であることを祈ろう。まあ、そんな幻想は上条の友人によって容易く殺されるのであるが。


「カミや~ん。元気してるかにゃー?」
「寝るにはまだ早いでー、カミやん」


 元気すぎる声で話しかけてきたのは上条の友人、土御門元春と青髪ピアスだ。動かしたくもない顔を向けると、二人は手元に幾つかのパンを持っていた。戦場のような購買からよくもそんなに買ってこれたな、という量のパンを抱えている二人は、全く疲れていないようにも見える。
 いろいろと不思議に思う点はあったが、とりあえず上条は真っ先に言いたいことを口にする。


「土御門、青ピ。お前ら、俺が昼飯食えないの知ってんだろ?」


 明らかに怒りの篭った発言である。これ見よがしに昼食を見せびらかしに来た二人に対しての。

 確かに、普段の土御門と青髪ピアスなら、上条が昼食を食べれないのを知ってこれでもかというぐらいにからかっていただろう。だが、今日は違う、今日のような日だけは。


「そんなカミやんに朗報だぜい。なんと、土御門さん達からのプレゼントですにゃー」
「そーそー、へばってるカミやんにプレゼントや。ありがたく食いや」


 土御門と青髪ピアスは明らかに二人分にしては多いパンを上条の眼前へと積んでいく。この時、上条には二人が天使のように――断じて、『御使堕し《エンゼルフォール》』の時のような天使ではない――に見えていた。


「…………マジですか?」
「マジだにゃー」
「ありがとうございますっっ!!」


 雨の中拾われた子犬のような目を向ける上条。そのまま泣き出しそうだ。
しかし、それに対する二人の胸のうちはやりきれない思いでいっぱいだった。


(なんで? なんでカミやんだけ女の子にモテるのん!? ボクらがへばってても誰も反応すらしてくれへんのに!!)
(答えはそれがカミジョー属性というものだからだにゃー……)


 二人はアイコンタクトで嘆きあうと、同時につい10分ほど前のことを思い出す。場所は昼休みになると戦場と化す、食料を求める生徒の集う購買の前。土御門、青髪ピアスの両人が、教室に戻りながら上条の三つ目の不幸について語り合っていた時のことだった。


「相変わらずカミやんはおもろいなぁ。普通、財布の中にお金ないのに気づかんってありえへんで?」
「確かに、普通は電車に乗る時にでも気づくぜい。まあ、そこら辺がカミやんのカミやんたる所以かもしれんですたい」
「えっと、あの……」
「はいはーい! ボクらに話しかける女の子はどなた? ボクは女の子の声だけは聞き逃さへんでー!?」


 二人の後ろから話しかける少女の声に先に反応したのは青髪ピアスだった。その反応速度が異常だったのと、彼の目が異様に輝いていたため話しかけた少女は一歩後ろに下がってしまった。「ひいっ」という短い悲鳴を上げながら。


「あれ、立花さん、どしたん? まさかボクと一緒にご飯食べてくれるとか!?」
「それだったら俺も嬉しいにゃー」


 そこにいたのは肩まである髪を額の真ん中で分けている、同じクラスの立花という女子生徒だった。クラスの中では比較的おとなしい方に入るが、可愛い部類に入るため密かに狙っている輩も少なくない。
ちなみに青髪ピアスがさりげなく『ボクら』ではなく『ボク』と言っていたことに土御門は気づいていない。

 そんな少女を嬉々とした眼差しで見つめる二人だが、


「ち、違うの。その……このパンを上条君に渡してもらいたくて」


という、そのガラスの心臓を打ち抜こうとでもいうような、立花の言葉によって立ち直れないほどのショックを受けてしまった。


「か、カミやんに……?」
「う、うん。今日、上条君がお昼食べれないって言ってたから。でも、直接渡すのは……その、恥ずかしいし…………」


 何とか声を絞り出したのは土御門だ。青髪ピアスの方は時を止められたかのようにピクリとも動かない。
 そんな二人の様子を無視するように、『狙撃手』立花は続ける。


「あ、あの、私からっていうのは言わなくていいから。それじゃあ、お願いします」
「……オーケー。引き受けたぜよ」


 そう言った土御門の声は震えていた。それがどんな感情によるものかは解らないが、その時の土御門の拳は固く握られていたという。
 立花の方はというと、パンを渡し、土御門の返事が聞けたことに満足したのか、すぐにいなくなってしまった。教室に戻ったのだろう。

 その後、青髪ピアスが正気を取り戻すまで5分ほどかかったのであった。

 時は戻って再び上条のいる教室。土御門と青髪ピアスの前には歓喜の表情を見せる上条がおり、それを不安そうに見守る立花――詰まるところ彼女もカミジョー属性の被害者なのだが――も教室の中にいた。その『何となく不穏な』空気を察知して幾人かの女子生徒が警戒態勢に入ったのは恐らく気のせいではないだろう。


「ただし。パンをやるのはいいが、一つだけ条件を付けさせてもらうぜい、カミやん」


 今にもパンに手を出しそうな上条の前に人差し指を立てた土御門の右手が突き出された。
 後ろにいる青髪ピアスの顔は邪な笑みを浮かべているが、彼の、土御門元春の顔は全く笑っていない。それこそ魔術師として上条と対峙した時のように。
 当の上条はギリギリのところでおあずけを受けたのが気に食わないのか「条件? 何だよそれ?」と不機嫌そうに二人の方を見ていた。

 そんな上条の前に置かれたのはとある一つのパンだった。


「こ、これは、食べた者全てが地にひれ伏したという『くさや&ばななパン』……!」


 上条の言葉に教室内に戦慄が走った。教室内には「まじかよ」「あれを買ったのか…?」などと、主に男子たちが発する言葉が渦巻いている。
 それもそのはず。土御門が上条の前に置いたパンは、夏休み明けから購買に入荷され始めた新製品だというのに、その不味さゆえに二日もしないうちに買い手がいなくなったという伝説を持つパンである。誰も買わなくなってから一週間近く経つというのに、何故未だに入荷され続けているかは解らない。

 これは、上条が憎い、しかし女子からの頼み事は断れない、悲しき男たちのせめてもの復讐の気持ちだった。


「まさかこれを食え、と仰いますのでせうか?」
「やだなー、カミやん。当たり前のこと聞かんといてやー。こんなん、ボクらで処理できるわけないやろ?」
「そうだにゃー。ということで食え、いいから食え」


 土御門と青髪ピアスの二人はあくまでふざけた様子である。だが、彼らの目は笑っていないことに上条は気づいていた。
まだ『くさや&ばななパン』を食べたことはないが、その威力だけは嫌でも耳に入ってきていたので、さすがの上条も焦る。


(こいつらマジだ! さすがにこれはヤバイか? いや、でもこれさえ乗り越えたらパンが食えるわけだし、そうすればこの空腹から逃れられるあぁぁどうしようどうしよう)
「さあ、頑張れカミやん! こいつらがお前を待ってるぜい!!」
「――へ?」


 悩む上条の前に積み上げられたのは、食い手を今か今かと待つ色取り取りのパンたちだ。
明らかに3人分以上ありそうな気がするのは、立花が上条のために大量のパンを買っていた――どうやってそんな量を買ったのかは不明である――からなのだが、上条がそれに気づく由はない。
 しかし、『それ』は上条の悩みを取り払うのに十分だった。


「ええい、たかがパンが怖くて空腹に耐えられますか!! こんなパン一口で食ってやる!!」


 所詮パンだと。空腹には耐えられないと。ここに、上条当麻は『くさや&ばななパン』に勝負を挑むことを決意した。
 教室内から歓声が上がり、彼は一瞬にして注目の的となった。ある者は期待の、ある者は羨望の眼差しを向け、またある者は驚愕の表情を彼に向ける。上条に昼食のパンを買ったはずの立花でさえ、その目には少しだけ期待の色が混ざっている。

 教室内は無言。
 それを確認すると、上条はヒーローになったかのような気持ちで『くさや&ばななパン』の封を開けた。

 まずは肝心のブツを掌の上に乗せる。見た目は色、形、大きさ共に何の変哲もなさそうなクリームパン、臭いは無い。ここまでは聞いていたとおりだ。聞いた話によるとパン生地は普通で中に入っているクリームが『異常』な程に不味いらしい。


「さあ、カミやん、食うんだ! 我らが宿敵をぶっ潰すんだにゃー!!」
「そうや! それができるんはカミやんしかおらんで!」
「おう、やってやるぜえぇぇぇ!!」


 『クラスの三バカ《デルタフォース》』による三者三様の叫び声が上がり、その一瞬後、上条は掌に乗っていたパンを全て口の中に詰め込んだ。
 実際、上条にはちょっとした勝算があった。それは『くさや&ばななパン』のパン生地は極普通のパン生地だという点である。要するに中のクリームが出てくる前にさっさと飲み込んでしまえばいいのだろう、と上条は思っていたのだ。

 それが、どれだけ浅はかな考えかも知らずに。

 実はこのパン、かなりの薄皮なのだ。しかも学園都市の進んだ技術を無駄に利用しているせいでパン生地の厚さは1mmを切る。そのため、噛むどころか口の中に入れただけでもクリームの、くさや七・ばなな三の風味が口の中に広がるのだ。
 そしてそれは上条とて例外ではない。

 口の中に広がる、くさやなのかどうかも怪しい味、そのすぐ後に妙にフルーティーなばななの味、最後にほんの少しだけパン。
 その三つが織り成す味は、上条の想像を、想像できるかどうかは別として、遥かに上回っていた。上条は両手で口を押さえて床を転げまわる。その姿を、誰もが無言で見つめていた。

 それから約一分後。静まりかえった教室内に、


「ぐっあああぁぁぁぁ!? まずぅーーーーー!!」


という、上条の叫び声が木霊していた。


 4


 第4学区へと続く道路を赤いスポーツカーが走っていた。運転しているのは東雲百合、ここでも気だるそうに助手席に乗っているのが木下匡だ。


「……あの聞き方はよくないんじゃないかしら。あの子、明らかに怪しがってたわよ?」
「別に構わんさ。俺たちが知りたいのは『アレ』の事だけだ。その過程でたかが女子生徒に怪しまれようが問題ない……違うか?」


 それもそうね、と東雲は運転に集中する。
確かに木下の言うとおり、別にあの少女に信用してもらう必要は無い。そのせいで事件のことを詳しく語ってくれなかったことに問題はないのか、と問われても問題ないと答えられる。恐らく昨日の事件の全容は監視カメラにでも映っているだろうし、そこで何が起こったのかは容易に想像できる。

 『上条当麻』が自らの『能力』で男の能力を打ち消し、殴り倒した。

 この程度のことだろう。状況から見てそうなったのは十中八九間違いない、が、東雲は内心でため息を吐いていた。隣に座る木下に対してだ。
 木下は、仕事の出来る男かそうでないかというと、誰もが出来ると答えるほどの男だ。しかし、一度何かしらの目標を持つと、他の事を蔑ろにしがちなのが玉に瑕なのである。まあそれを解っていて行動を共にしている自分にも、きっと問題があるのだろう。


「しかし、あの女子生徒は使えそうだな」


 ふと、車が信号待ちで停まっている時、木下が思いついたように呟いた。信号待ちで停まっているとはいえ、未だ運転中なので大げさに首を向けることはせず返事をする。


「例の計画に?」
「ああ。常盤台中学ってのは少々面倒くさいが、まあ、やってみる価値はあるだろうよ」


 言って、木下は懐に手を入れて携帯電話を取り出した。東雲はほぼ横目の状態でその様子を見ていた。
 電話を掛けるつもりなのか、木下は携帯電話の数字のボタンを不規則に押している。相手の電話番号を電話帳からではなく直接打ち込むつもりか。ただ、その電話番号を思い出すのに頭を捻っているところからして、やはりどこか変な男だ、と東雲は思う。
 漸く全て思い出したのか、木下は黒電話の受話器が少し浮いているような絵の描いてある通話ボタンに指を置き、


「お前はどうなんだ、東雲?」


そう、東雲に尋ねた。
 どう、というのは中々に伝わりにくいニュアンスだが、言いたいことは解る。東雲は顔を正面に戻し、アクセルを踏み込みながら、


「……賛成よ」


自らの意見を、述べた。後に続く言葉を飲み込んで。

 満足したのか「よし」と木下は呟いて指に力を込める。すると通話ボタンが押され、数秒の後に木下の携帯は単調な呼び出し音を奏で始めた。


「はーい、こちら兎刀《うとう》でーす。どちらさんっすかぁ?」


 それから約十秒後、単調な呼び出し音に代わって車内に響いたのは少しふざけているような感じの、ともすれば相手を舐めているともとれる調子の声だった。男であることは間違いなく、声にはどう考えても木下や東雲のような『大人』にはない幼さが入っている。


「……木下だ。その話し方はどうにかしろと言ったはずだ。正直、気にくわないんだよ」
「あー、それは無理っす。性分なんで。まあ我慢してくださいよ、木下さん。俺もアンタに逆らおうなんて馬鹿なことはしませんから」


 兎刀は言う。その口調は相変わらずふざけているものの、どちらが上でどちらが下か、それぐらいは彼でも理解している。
 そして、逆らった場合にどうなるのかも。


「それが解っているってんならいい。他にも言いたいことはあるが、今はとりあえず用件だ。お前に依頼がある」


 少し不満げにしていた木下だったが、気を引き締めたのか機械のように表情を無くした顔で言った。文句を言うにしろ何にしろ、用件のほうが先だ。


「依頼っすか? 珍しいなー。おっと、怒らないでくださいよ、木下さん?」
「別に怒っちゃいねえよ。お前がそうしてほしいってんなら……」
「それは遠慮しときますよ。それで、依頼の内容は?」


 呆れた感じで応対していた木下だったが、今度は電話の向こうの声から感情が消えた。感情も何も無い、声を聞いているだけの東雲ですら電話の向こうの男は表情がないのだろうと推測できる声で、兎刀は話し続ける。


「木下さんから直接依頼があるって事は、普通のことじゃありませんよね? まあ、余程のことでもない限り引き受けるんで、何なりと言いつけちゃってくださいよ」


 相も変わらずふざけた口調ではあったが、兎刀の言葉に感情は戻らない。それを確認すると、木下は、


「今からお前の携帯にデータを送る。話はそれからだ」


そう告げて、兎刀の返事を待たずに通話を切った。そのまま無言で携帯を操作し始める。運転席に座っている東雲からはその画面まで覗き見ることは出来ないが、恐らくあの少女のデータを送信するために操作しているのだろう。

 そのやり取り、行動に対して東雲は何も言わない。言う必要も意味もそこには無いから。

 しばらく続いていたボタンの押される音――東雲は今更、木下がボタンを押すたびに出る電子音を切っていることに気がついたのだが――が途切れる。と、同時に木下は軽く息を吐いた。その間もスポーツカーは彼らを乗せて走り続ける。


「お前は。東雲は、何か意見は無いのか?」


 先ほども聞いたようなことを、ポツリ、と木下は呟くように言った。わざわざ名前を言い直すことに何の意味があるのか、果たして彼女には解らなかったが、取り分け考えることの程でもない。何せ彼女の答えは決まっている。そう、いつの時も、だ。


「無いわ。私は『観測者《オブサーバー》』だもの」


 観測者は対象に干渉してはならない。例え対象が人であったとしても、感情を抱くことさえ許さない。

 それが、彼女が彼女自身に課したルールの一つだ。

 木下もそれは知っている。だからこそ聞いてみたくなったのだが、どうやら徒労だったようだ。彼は仕事に追われるサラリーマンのような、遊びを忘れ疲れ果てた顔で笑うと、再び感情を顔から消して、


「そうだよな。お前は『観測者』だ。なら、差し詰め俺は『実行者《エクスキューター》』といった所か」


何の感傷も無い声で、そう呟いた。その言葉にどれだけの感情が込められていたのかはわからない。ただ、東雲はそれがある種の決意を含んでいると感じていた。
 木下は車のシートに体を預け、前を見る。どうやら目的地は近いようだ。おおよそ500m先の交差点を左折し、少し行けば、彼らの帰るべき場所があるのだから。

 その後すぐ、交差点まで400mを切ったという時に、木下の携帯から単調な呼び出し音が鳴り響いた。先ほど電話を掛けていたときと同じ音だ。そういった設定などはあまりしないのだろう。木下は、表示されている電話番号が先ほど自分が掛けた番号だというのを確認すると、通話ボタンを押して電話に出た。


「木下さーん。これ女の子の秘蔵データじゃないっすかぁ。わざわざスリーサイズまで調べてあるなんて驚きましたよ? しかも常盤台中学の子だし。今度誰かに売りつけてやろーっと」


 スポーツカーは交差点へと差し掛かり、


「止めろ。そんなことをすればお前の首が飛ぶぞ。現実にだ」


交差点を左折して、


「おおっと、くわばらくわばら。気をつけときまーす」


その先にある少し小さめの交差点を直進し、


「とにかく、今は依頼の話だ」


向かって右側にある小道へと入ると、


「ういーっす。で、具体的に俺はあの子に何をすればいいんすか?」


T字路を元の大通りに戻るような形で右折して、


「そうだな、とりあえずは――」


白く大きな建物のある敷地内に入ると、


「とりあえず?」


その駐車場に赤いスポーツカーは止まった。


「――誘拐しろ。常盤台中学だというのは少々面倒だが、下校時を狙えばお前らなら造作もないだろう?」


 そう言い放って、車から降りた木下の前には、大きな大きなそれでいて中はとてつもなく狭い、彼らの帰るべき『研究所』が聳え立っていた。横では、東雲が何か言いたそうに同じく聳え立つ建物を見つめていた。





第二章 すれ違う言葉 Lie_or_truth


 1


 所変わって常盤台中学、の前の道路の歩道の上。学園都市の大半の生徒が放課後となる時間に、未だ暑い――茹だるような、というほどでもないのだが――少し傾いた日差しの中、灰色のプリーツスカートに半袖の白ブラウス、袖なしのサマーセーターと、この季節にしてはやや厚着とも思える格好をした少女が二人、並んで歩いていた。
 『常盤台中学』のブランドを背負う二人の少女は、片方が肩まである茶色い紙に白い肌、それでいて活発そうな印象を受ける少女であり、もう片方は長めの茶色い髪をツインテールにした、先の少女よりもお嬢様っぽい印象を受ける少女だ。
 『超電磁砲』こと御坂美琴と、彼女と寮で寝食を共にしている白井黒子だ。彼女らは何やら話しながら歩いているが、見る限りツインテールの白井の方が美琴に対して一方的に騒ぎ立てているようだ。


「まったく、あの殿方ときたら、助けた女の子を私に預けてさっさと帰ってしまったんですのよ? おかげで私の仕事も増えましたし、気分が悪いったらありゃしませんわ!」


 ウガーッ!!、と白井は殆ど叫ぶように捲くし立てる。下校中の生徒の中で騒いでいるせいでそれなりに注目を集めていたりもするのだが、慣れているのか隣の少女は特に気にする様子も無い。

 それに、彼女自身が学園都市に七人しかいない『超能力者』なのだから、いちいち注目されるのを気にしていられないのかもしれない。


「ふ、ふーん。そう、アイツってばまたそんな事してたんだぁ……」


 いつもなら、隣で騒ぐ白井を窘めている美琴である。が、今日に限っては引きつった笑顔でそう言っているだけだった。こめかみには青筋が立っているような気がしなくもない。そのうち前髪からバチバチと放電し始めそうだ。


(思ったよりも効果覿面ですわ。これでお姉さまのあの殿方への評価が下がって私はお姉さまとあんなことやこんなことをうふへげへはぁ!)


 と、白井が自らの策略を思って心の中で山賊笑いをしていた時だった。ちなみに、白井が美琴のことを『お姉様』と呼んでいるのは別に血が繋がっているから、という訳ではない。それだけ白井が彼女を慕っているだけなのだ。襲い掛かろうとすることもあるのだが、そこら辺は置いておくとしよう。永遠に。

閑話休題。

 ふと、二人で歩いていた時、後ろから声をかけられたのだ。


「あの……白井黒子さん、だよね?」


 ん?、と名前を呼ばれた張本人、白井黒子は振り返った。それに合わせて美琴も振り返る。
 そこにいたのは、首までしかない短く黒い髪をした少女だった。短くも綺麗な髪が風で穏やかに揺れている。


「あなたは確か、柚桐、乃依さん?」


 思い出すように、確かめるように、質問を質問で返す形で白井が彼女の名前を口に出すと、彼女は少し照れくさそうに頷いた。「この人誰?」とでも聞きたそうな顔の美琴を無視して柚桐は話す。


「昨日はありがとね。で、その……ちょっと聞きたい事があるんだけど、いいかな?」


 そこまで聞いて、ようやく美琴は柚桐と白井の関係が理解できた。


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