こしゃくな読書

こしゃくな読書

ギムレットの海 (幻冬舎文庫)オキシロー


価格:(定価:¥ 520)
http://www.amazon.co.jp/dp/4877285571/ref=nosim/?tag=donzoko-22


 カクテルの名前を覚えたいわけではないけれど、カクテルの由来や

命名にはそれぞれ、歴史があり、世界中の名もない酒場や旅人や

労働者の人生が絡んでいると、こんな風に物語で語られると

いくつかのカクテルの名前はいつの間にか覚えてしまいます。

想像力をいやでもかきたてられるのは、身近にありそうな素材が

一枚かんでいるストーリー仕立てだから。それらのいきさつを読むと

カクテルでも・・・飲みたいな、たまにはと思ってしまいます。

お気に入りの話に出てきたカクテルの名を、いつの間にか何度も

つぶやいてしまうのです。


  カクテルを飲まないから、興味がないから、と、読まないでいるには

あまりにもったいない本です。ビール党でも、おしゃれなお酒の世界を

知っていたっていいんです。ひとつひとうのショートストーリの最後に

その物語で取り上げられたカクテルを紹介するページがあります。

そこにはカクテルの由来とレシピ、そして、ちょっとした一言。

ダイキリだったら、

「ヘミングウェイが愛飲していたことで知られています」

など、好奇心をそそられます。


 カクテルのイメージはグラスの形や素材の色、飾り付けのフルーツ

塩、冷やし方、香りなど、さまざまな切り口からかたられます。

そのイメージに合う登場人物が、男と女が、それぞれの人生を背負っ て

現れ、いっときのカクテルタイムに、そのクライマックスをあわせて

鮮やかな映像のように映し出され、余韻を残して消えていく。

そして最後のページにはカクテルグラス。なんとも心憎い。



 「この本のどのカクテルが気に入った?」

とためしに誰かに聞いてみたくなりました。

その選択の理由には、当然登場人物に対する共感があるはずです。

胸にしまってあるひそかな思いや経験が、無意識にカクテルを

選ばせてしまうのではないでしょうか。

カクテルセラピーなんていうのも、案外可能なことかもしれません。

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