こしゃくな読書

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TUGUMI(つぐみ) (中公文庫) [文庫] 吉本 ばなな (著)


吉本 ばなな (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4122018838/ref=nosim/?tag=donzoko-22





 淡々とした吉本ばななさんの文章の中に含まれる

命のうねりのようなものにめまいがする…と思ったら

震度四の地震でした。



 おいおい、元旦から勘弁してくれよ、と言う気持ちで

本を閉じ、携帯からSNSに入り仲間の安否を確認します。


去年の3.11以来、条件反射のようにこうするようになりました。



当たり前の日常が当たり前で無くなってしまった仲間たちは

今も仮設住宅や、放射能の危機にさらされながら暮らします。



“チーム日本“なんていうスローガンだけのごまかしに

私たちはだまされてはなりません。


しっかりと、見るものを見て、主張することをして、

早く仲間たちに、“日常”を取り戻してもらおう、と考えます。


 それは他人事ではない。


「原発がどんなものか知ってほしい」というサイトがあります。

http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

たとえば、このサイトを見るだけでも、私たちはいかに

自分自身で考える事を放棄してしまっているのだろう、と

深い傷跡を思いだし、痛みを感じます。







 つぐみは、吉本ばななさんの分身です。

それは本人が書かれているように

「この性格の悪さ、そうとしか思えません。」

ということではなく、一人で考えてきた、という点に置いて。



 彼女はほんの5,6歳のときに

父親のところに出入りしていた編集者ヤスケンと出会い、

「将来なにになりたいの?」

と、“およめさん”“や花屋さん”などという答えを期待して

発せられた質問に、憮然として答えたといいます。たったひとこと、

「作家」と。



 そんなに幼いころから書き続けてきた力量と言うのは、

やはり並ではあり得ません。

文章を読むだけで、波音が聞こえて来たり、

その浜辺に佇んでいる物悲しさと、言葉にならない感情が

私の中に入ってきます。


 あとがきで

「特に安原顯さんに感謝します」

という言葉を見つけたときに、ヤスケンの発掘力にも今更ながら

下を蒔くしかありませんでした。


 ヤスケンも、吉本ばななさんも、

「どんな時でも、

こんなに何もかもに対して無関心になったことなんてない」

のでしょう。

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