古 りにし里に 降らまくはのち (天武天皇 巻 2-103 )
わが岡の おかみに言ひて 降らしめし
雪の
摧
けし そこに散りけむ (藤原夫人 巻 2-104
)
降る雪は あはにな降りそ 吉隠
の
猪養
の岡の 寒からなくに (穂積皇子 巻 2-203
)
田子の浦ゆ うち出でて見れば ま白にそ
富士の高嶺に 雪は降りける (山部赤人 巻 3-318
)
富士の 嶺
に 降り置く雪は 六月
の
十五日
に 消
ぬれば その夜降りけり (高橋虫麻呂 巻 3-320
)
道に逢ひて 笑
まししからに 降る雪の
消
なば 消
ぬがに 恋ふといふ 我妹
(聖武天皇 巻 4-624
)
わが園に 梅の花散る ひさかたの
天
より雪の 流れ来るかも (大伴旅人 巻 5-822
)
梅の花 散らくはいづく しかすがに
この 城
の山に 雪は降りつつ (大伴百代 巻 5-823
)
妹が 家
に 雪かも降ると 見るまでに
ここだも 紛
ふ 梅の花かも (小野国堅 巻 5-844
)
奥山の 真木の葉しのぎ 降る雪の
降りは増すとも 地に落ちめやも (橘奈良麻呂 巻 6-1010
)
沫雪
か はだれに降ると 見るまでに
流
らへ散るは 何の花そも (駿河采女 巻 8-1420
)
我が背子に 見せむと思ひし 梅の花
それとも見えず 雪の降れれば (山部赤人 巻 8
ー 1426
)
明日よりは 春菜摘まむと 標
めし野に
昨日
も 今日
も 雪は降りつつ (山部赤人 巻 8-1427
)
沫雪の ほどろほどろに 降りしけば
奈良の都し 思ほゆるかも (大伴旅人 巻 8-1639
)
我が岡に 盛りに咲ける 梅の花
残れる雪を まがへつるかな (大伴旅人 巻 8-1640
)
沫雪に 降らえて咲ける 梅の花
君がり遣らば 寄
そへてむかも (角広弁 巻 8-1641
)
たな 霧
らひ 雪も降らぬか 梅の花
咲かぬが 代
に そへてだに見む (安倍奥道 巻 8-1642
)
天霧
らし 雪も降らぬか いちしろく
このいつ 柴
に 降らまくを見む (若桜部君足 巻 8-1643
)
我がやどの 冬木
の 上
に 降る雪を
梅の花かと うち見つるかも (巨勢宿奈麻呂 巻 8-1645
)
ぬばたまの 今夜
の雪に いざ濡れな
明けむ 朝
に 消
なば惜しけむ (小治田東麻呂 巻 8-1646
)
梅の花 枝にか散ると 見るまでに
風に乱れて 雪そ降り来る (忌部黒麻呂 巻 8-1647
)
十二月
には 沫雪降ると 知らねかも
梅の花咲く 含
めらずして (紀女郎 巻 8-1648
)
今日降りし 雪に 競
ひて 我がやどの
冬木の梅は 花咲きにけり (大伴家持 巻 8
ー 1649
)
池の 辺
の 松の 末葉
に 降る雪は
五百重
降り 敷
け 明日さへも見む (巻 8-1650
)
沫雪
の このころ継ぎて かく降らば
梅の 初花
散りか過ぎなむ (坂上郎女 巻 8-1651
)
松陰
の 浅茅
が上の 白雪
を
消
たずて置かむ ことはかもなき (坂上郎女 巻 8-1654
)
高山の 菅
の葉しのぎ 降る雪の
消
ぬとか言はも 恋の繁けく (三国人足 巻 8-1655
)
我が背子と 二人見ませば いくばくか
この降る雪の 嬉しからまし (光明皇后 巻 8-1658
)
真木
の 上
に 降り置ける雪の しくしくも
思ほゆるかも さ 夜
問へ我が背 (他田広津娘子 巻 8-1659
)
沫雪の 消ぬべきものを 今までに
ながらへぬるは 妹に逢はむとそ (大伴田村大嬢 巻 8-1662
)
沫雪の 庭に降り敷き 寒き夜を
手枕
まかず ひとりかも寝む (大伴家持 巻 8-1663
)
御食
向かふ 南淵山
の 巌
には
降りしはだれか 消え残りたる (柿本人麻呂歌集 巻 9-1709
)
み 越路
の 雪降る山を 越えむ日は
留
まれる我を かけて 偲
はせ (笠金村 巻 9-1786
)
うちなびく 春さり来れば しかすがに
天雲
霧
らひ 雪は降りつつ (巻 10-1832
)
梅の花 降り 覆
ふ雪を 包み持ち
君に見せむと 取れば 消
につつ (巻 10-1833
)
梅の花 咲き散り過ぎぬ しかすがに
白雪庭に 降りしきりつつ (巻 10-1834
)
今さらに 雪降らめやも かぎろひの
燃ゆる春へと なりにしものを (巻 10-1835
)
風交じり 雪は降りつつ しかすがに
霞たなびき 春さりにけり (巻 10-1836
)
山のまに うぐひす鳴きて うちなびく
春と思へど 雪降りしきぬ (巻 10-1837
)
峰
の 上
に 降り置ける雪し 風のむた
ここに散るらし 春にはあれども (巻 10-1838
)
君がため 山田の沢に ゑぐ摘むと
雪消
の水に 裳の裾濡れぬ (巻 10-1839
)
梅が枝に 鳴きて移ろふ うぐひすの
羽白たへに 沫雪そ降る (巻 10-1840
)
山高み 降り来る雪を 梅の花
散りかも来ると 思ひつるかも (巻 10-1841
)
雪をおきて 梅をな恋ひそ あしひきの
山 片付
きて 家居
せる君 (巻 10-1842
)
山のまに 雪は降りつつ しかすがに
この川楊は 萌えにけるかも (巻 10-1848
)
山のまの 雪は消ざるを みなぎらふ
川の沿ひには 萌えにけるかも (巻 10-1849
)
雪見れば いまだ冬なり しかすがに
春霞立ち 梅は散りつつ (巻 10-1862
)
あしひきの 山かも高き 巻向
の
崖
の小松に み雪降り来る (巻 10-2313
)
巻向の 檜原
もいまだ 雲
居
ねば
小松が 末
ゆ 沫雪流る (巻 10-2314
)
あしひきの 山路も知らず 白橿
の
枝もとををに 雪の降れれば (巻 10-2315
)
奈良山の 峰なほ 霧
らふ うべしこそ
籬
のもとの 雪は 消
ずけれ (巻 10-2316
)
こと降らば 袖さへ濡れて 通るべく
降りなむ雪の 空に 消
につつ (巻 10-2317
)
夜を寒み 朝戸を開き 出で見れば
庭もはだらに み雪降りたり (巻 10-2318
)
夕されば 衣手寒し 高松の 山の木ごとに 雪そ降りたる (巻 10-2319 )
我が袖に 降りつる雪も 流れ行きて
妹が 手本
に い行き触れぬか (巻 10-2320
)
沫雪は 今日はな降りそ 白たへの
袖まき 乾
さむ 人もあらなくに (巻 10-2321
)
はなはだも 降らぬ雪ゆゑ ここだくも
天つみ空は 曇らひにつつ (巻 10-2322
)
わが背子を 今か今かと 出
で見れば
沫雪降れり 庭もほどろに (巻 10-2323
)
あしひきの 山に白きは 我がやどに
昨日
の 夕
降りし雪かも (巻 10-2324
)
雪寒み 咲きには咲かず 梅の花
よしこのころは かくてもあるがね (巻 10-2329 )
八田 の野の 浅茅色づく 愛発山 峰の沫雪 寒く降るらし (巻 10-2331 )
降る雪の 空に 消
ぬべく 恋ふれども
逢ふよしなしに 月そ経にける (柿本人麻呂歌集巻 10-2333
)
沫雪は 千重に降りしけ 恋ひしくの
日
長き 我
は 見つつ偲はむ (柿本人麻呂歌集 巻 10-2334
)
吉隠
の 野木
に降り覆ふ 白雪の
いちしろくしも 恋ひむ 我
かも (巻 10-2339
)
一目
見し 人に恋ふらく 天霧
らし
降り来る雪の 消
ぬべく思ほゆ (巻 10-2340
)
思ひ出づる 時はすべなみ 豊国
の
木綿山
雪の 消
ぬべく思ほゆ (巻 10-2341
)
夢
のごと 君を相見て 天霧
らし
降り来る雪の 消
ぬべく思ほゆ (巻 10-2342
)
我が背子が 言
うるはしみ 出でて行かば
裳引
き 著
けむ 雪な降りそね (巻 10-2343
)
梅の花 それとも見えず 降る雪の
いちしろけむな 間
使
ひ遣らば (巻 10-2344
)
天霧らひ 降り来る雪の 消
なめども
君に逢はむと ながらへわたる (巻 10-2345
)
うかねらふ 跡見山
雪の いちしろく
恋ひば妹が名 人知らむかも (巻 10-2346
)
海人小舟
泊瀬
の山に 降る雪の
日
長く恋ひし 君が 音
そする (巻 10-2347
)
和射美
の 峰行き過ぎて 降る雪の
厭ひもなしと 申せその兒に (巻 10-2348
)
梅の花ひとり見つつや 2024.01.13 コメント(6)
梅一輪の春咲きにける 2023.01.14 コメント(8)
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