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昨夜(6月17日)、鹿児島市民文化ホールで「立川志の輔独演会2011」が開催され、私は妻と一緒に聴きに出かけました。なお、私たち夫婦は昨年の3月18日にも同じ鹿児島市民文化ホールで開かれた「立川志の輔独演会」にも出かけていますが、そのとき志の輔師匠が話したのは古典落語の「猿後家」と「紺屋高尾」の二席で、楽しみにしていた師匠の新作落語を聴くことができなかったのがいささか残念でした。
さて、昨夜の独演会では、最初に志の輔師匠の弟子の立川志の彦さんが古典落語の「元犬」を話し、つぎに志の輔師匠が高座に上がって新作落語「異議なし!」を話し、中入り後に松永鉄九郎さんが三味線長唄を弾いた後、再び志の輔師匠が高座に上がって古典落語「徂徠豆腐」を話しました。
志の輔師匠の新作落語「異議なし!」は、板橋ヒルズというマンションで4人だけが出席した同マンション自治会が開かれ、防犯カメラをエレベーターに設置することを議題にして業者を交えてすったもんだの議論をした挙句、結論は何も出ないという、日常社会でいかにもありそうな噺でした。志の輔師匠の新作落語の多くが、この噺と同様に登場人物たちが各人各様の意見をとりとめもなく戦わすのですが、そこに「いまの社会」が風刺されているような気がします。
古典落語「徂徠豆腐」は、世のため人のためにと学問をしている貧乏学者先生と、そんな彼のために朝昼晩とおから(雪花菜) を届ける豆腐屋さんとの心温まる交流を描いたものですが、志の輔師匠はこの人情噺を会場の笑いが絶えない愉快な噺に作り変えています。
私は従来の伝統のうえで言えば、特殊な育ち方をした落語家ですよね。まず二十九という遅い年齢での入門も特殊だし、入門した直後に師匠が落語協会を脱退して寄席に出られなくなったというのも特殊
昨夜の独演会では、会場は爆笑につぐ爆笑で、特に古典落語の「徂徠豆腐」を話した最後に、登場人物の学者先生のことを紹介して、彼が忠臣蔵でお馴染みの赤穂四十七士の吉良邸討ち入り後の処分を徳川政権に「切腹とすべし」と提案した荻生徂徠であるとし、なぜ彼が歴史上の有名人物となったか「ガッテンしていただけたでしょうか」と結んで会場にはひときわ大きな爆笑が起こりました。
「徂徠豆腐」終了後、幕がいったん降りたのですが、会場では拍手の音が鳴りやまず、再び幕があがり、師匠は噺の途中で会場でケータイが鳴ったことを「困ったことですね」とちょっと苦言を呈し(そのときまたケータイが鳴り出したので、みんな苦笑い)、その後、東日本大震災の被害者を励ますための一本締めを会場のお客さんと一緒におこなってお開きとなりました。
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