あとがき



 山登りを始めてから40年以上が過ぎた。脳裏の中には時代とともに仲間の顔や景色、花たちの姿が刻み込まれている。
この本を発刊しようと思った目的の1つはバラバラになった記録の整理と、遭難の恐れからいつも心配させた家族や友人に対しての遅ればせの報告をしたいと思ったからです。
私には「山」があってこその人生でした。だからこそ55歳での定年退職をあえて選び、経済欲を振り切った。
 41歳の厄年に患った生死をさまよった病は、その後の人生観を少し変えた。もしも自分が社会の一員として貢献できるとすれば何ができるのだろう、何をすればよいのだろう、と考えさせてくれた。

 一人の人間が悩みながら自己の「ありか」を求めて生き、短い生涯の中で「経済欲」を求めて働きつづけたら後戻りできなくなってしまう。幸せなことに、私の場合は長い年月「山登りや自然」に接してきた。サラリーマンでの仕事は自分なりに納得する時期にきた。
これからを考えたとき、一般的に定年を迎える60歳を前にして、今までの自分を振り返ることから再スタートしようと思った。

 退職してから4年の歳月が経とうとしている。この間、経済成長を求めて犠牲になってきた自然の再生や保存に力を注ごうと思い、尾瀬を中心にしたネーチャーガイドや玉原のブナ再生活動に加わり、里山再生ボランティア作業の立ち上げなどの活動を続け、それなりに充実した日々を過ごしてきた。これらの活動で新たに知り合った人の数は企業人間として生活した時間より多いことは幸せだ。

 私が社会に貢献できる一番向いている仕事は、今までの人生で生きるパワーを与えてくれた自然への恩返しだと思っている。
ここに粗末な報告をしようとした理由は、今まで勝手気ままに自己を主張して周囲の方々に心配と迷惑をかけてきたお詫びも含めて、ハラハラしながら私を見守ってくれた仲間や家族、親戚の方々への感謝とお礼の気持ちでもあります。
 そして、共同出版をしてくださった新風舎へ感謝申し上げます。

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