ウミテング夫婦愛物語

ウミテング
umitenngu
海の中には色々、ユーモラスな連中がいるが、この ウミテングはその中でも代表格に選ばれるにふさわしい、変な魚です。

まず見た目がどう見ても 魚らしくない。
名前の通り天狗のようなとがった鼻で、羽があって、しかも足まである。

そして、 泳がない。

魚は普通泳ぐものという概念があるけれど、ウミテングは私が知っている限りでは 決して自ら進んでは泳ごうとはしません。
いつも足をつかって、エッチラオッチラという感じで歩いています。

私は一度捕まえて、水中に放したことがありますが、確かに泳がそうとすれば泳ぐのだけれど、丁度カブトムシとかゴキブリとか、普段あまり飛ばない虫が飛んだときみたいに、羽を広げ短い尾を懸命に振り、足をエビのようにシャカシャカ動かし、 本人の努力の割にはスピードが出ないという、なんとも間抜けな泳ぎ方を見せてくれました。

その姿はやっぱりどう見ても、魚というより虫に近く、「伝染するんです」で世に名前を知らしめた 吉田戦車が描く「カブトムシ人間の斎藤」 みたいです。

umitenngu2
ウミテングは通常ペアでいるが、どう考えても、 あまり生活力がなさそうな夫婦という感じす。

なぜか、潮の流れが強くなると出てくる傾向にあるようで、かなり速く強い流れの中、海底を夫婦そろって懸命に這いつくばって歩く姿は、 厳しい現代社会の片隅で、サラ金に追われ人目を避けるようしながらも、けなげに生きている夫婦 のようで思わずエールを送りたくなります。

そしてウミテングはそんな厳しい環境下でも大体いつも同じところに仲良くいます。
まずしいながらも片時も離れ離れになろうとしない強い夫婦の絆を持っているようです。

まさに海底界の 「さくらと一郎」
歌うはもちろんこの歌!
『昭和枯れすすき』
♪(オス)まーずーしさに まけたー 
(メス)いいえ世間に負けたー
※   中略
(二匹)およーぎさえ 知らぬ~
   ふたーりは ウミテング~

彼らがこの歌を知っているかどうかは疑問だが、
もしもウミテング夫妻とカラオケに行くチャンスがあったら、ぜひともリクエストしたいなあ~・・・と、私は常々思っているのです。

次は 「エビとハゼの奇妙な同棲」



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: