天は人の上に人を造らず

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鳩ポッポ9098

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2008.12.14
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 来年の大河ドラマ「天地人」のLOVE侍こと直江兼続なのですが、率直に言って、エッ?というかんじです。もっとも、僕らの中学時代のように「戦国オタク」や「三國志オタク」ばかりでなく、最近は一般女性にも戦記モノ読者が増えているらしいのですが、なんか長身・イケメン・義理人情だけが独り歩きしそうな匂いがプンプンします。何年か前でしたか、「義経」があまりにもいい人すぎて、今一つ骨肉相争う醜さが伝わってきませんでした。昔の「伊達政宗」みたいな名作は、出てこないのかな?母親から疎んじられ、温厚な父を敵の奸智で失った青年が、情け容赦ない野望と策略で一大強国を築いていく過程は、実に面白かったです。まあ、人間的には最悪な部類に入るでしょうけど(笑)

ボクは個人的に、直江兼続を全く評価しないばかりか、武人としても政治家としても中途半端という印象を否めません。直情径行、忠義に生きる武人である一方、評定でゴネた一方当事者を、屁理屈をつけて打ち首にするという事もやる人です。有名な「直江状」で家康を挑発して、関ヶ原の一歩を作った(三成と兼続の間に意思の合致があったかどうかは、不明)件に関しても、隣国の最上を簡単に攻略できるとタカを括った、完全な戦略ミスであり、慶長出羽合戦では、庄内地方を逆に最上に奪還され、全く成果を挙げていません。確かに米沢撤退戦の、追撃してきた最上・伊達軍に対する采配は見事な物だったようですが、五大老の一人である上杉家の立場という物を、もう少し考えていれば、こういう無謀な判断は、出てこなかったはず。一時は、反徳川のキングであった前田家が、利家の病死があったにせよ、おまつを人質に出してあっさり解決を図ったのとは、対称的なように思います。

家康が動けば、三成が挙兵する事は確実であり、加藤・福島・黒田といった豊臣政権下での武闘派の大大名が、ことごとく三成を人間的なレベルで嫌っていた事実を考えると、全くの短慮であり、結果、上杉家の重臣に逃げられ、慶長出羽合戦のウォーミングアップ期間を最上に与えてしまうなど、全くいいところがありません。

よく「天下分け目」という表現が使われる関ヶ原ですが、ボクはどう考えても、徳川方に分があったと思います。もっとも、関ヶ原自体は、一つの戦闘であり、どちらが勝っていたかはわかりません。史実とは逆に、小早川が銃声にブチ切れて松尾山から慶長の役の時のように、大将自ら槍を引っさげて突っ込んできたら、それこそ徳川に内応してサボタージュしていた吉川隊(+後続の毛利、長宗我部隊)も側面から徳川方に襲いかかってきたでしょうから、関ヶ原自体の結果は、薄氷の勝利と言ってもいい物だと思います。

ただ、組織力の差は歴然としたものであり、徳川方が豊臣恩顧の武闘派大大名をしっかり押さえて、三河武士の強固な家臣団を擁しており、仮に家康個人が討ち取られても損害が少ないのに対し、西軍は、総大将が毛利輝元でありながら、彼は大阪城から一歩も出ず、実質的に人望も役も統率力も見劣りする石田三成が戦場を指揮する事になり、勝っていたら勝っていたで、逆に美濃・尾張征討戦で、二重権力構造の弊害が出ていたであろうと推測します。まあ、この辺の解釈は、イフの領域ですので、殆ど意味がありませんが、どっちにしろ直江の行動があまりにも思慮に欠け、結果的に親友の、有能で実直な三成を死の淵へ追いやった結果は、揺るがないと思います。ボクは、こういった点で、直江をあまり高く評価する事は出来ません。

ボクの希望としては、最近評価の上がっている武田勝頼、軍人としての無能ぶりを曝してしまったけど、徳川の世の基礎を作った(この点、ボクは三代家光が過大評価されている事が実に不満(笑))徳川秀忠、四国の覇者長宗我部元親、忠勇無双の武人島津義弘あたりにクローズアップした作品ができたらなあと。それにしても、戦国時代というのは、恐ろしいほど人材の質が向上しましたので、綺羅星のごとく優れた軍人・政治家がいて、後世の人間から見れば、どんなに学んでも学び足りない魅力がありますね。





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Last updated  2008.12.14 22:17:08
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まぁ  
「天地人」は脚本家が「愛の前立の兜をかぶっていたから愛の人だ」と言う壮絶な勘違いで作ってる作品なので、期待も何もないですね。
 なお、私は伊達びいきなので直江は大嫌いでして、直江が片倉景綱と並んで「天下の二大陪臣」と呼ばれることが納得行きません。戦国架空戦記でも上杉軍がボコボコにされると快哉を叫ぶような奴なので、来年の大河は多分一度も見ないでしょう(笑)
(2008.12.16 01:07:51)

>ナナシィ1190様  
鳩ポッポ9098 さん
>「天地人」は脚本家が「愛の前立の兜をかぶっていたから愛の人だ」と言う壮絶な勘違いで作ってる作品なので、期待も何もないですね。

最近の時代劇は、なんかやたらと現代的な価値観を反映するのが多くて、ムカつきます。(特に女性のキャスティングがなってないですね。)愛は徳の根源的な動機だという観念はあったかもしれませんが、日本では、実践道徳としての十徳を実質的に「愛の体現」と捉えてきたきた為、「愛の人」というのは、当時としてはあまりにも漠然としたとらえ方だと思います。

よく言われる愛染明王か愛宕神社のどちらかが、真相だと思いますけどね。

>なお、私は伊達びいきなので

伊達さんですか。あれだけ反骨精神旺盛で、首を切られなかったのは、やはり凄い事だと思いますが、彼の場合は、得てして周囲の人間が迷惑してるので、ボクとしてはちょっとな、という感じです。松平忠輝の顛末などを見ると、人を育てるのには本当に不向きな人だと思います。

ボクは、ちとマイナーですが毛利勝永、島津義弘あたりが好きですね。自分に足りない物を一番持っている人達なんで。 (2008.12.16 16:48:35)

直江  
やま さん
関ヶ原は東軍の勝利もありえた
島津、吉川、毛利、小早川、などの裏切りがなければ勝ったと思う
もし毛利輝元が秀頼をかかげて戦にくわわれば加藤、福島
は西軍にねがえったかも・・ (2012.01.31 21:39:57)

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夏の日の伯爵夫人@ Re:同期の桜(11/10) ちっとも、気持ち悪くありませんよ。 日本…
赤い月@ Re:犯罪を生む犯罪(05/19) T○Sの学校に行こうで放送されていたマザ…
やま@ 直江 関ヶ原は東軍の勝利もありえた 島津、吉…
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Raio@ とても参考になる記事です! 鳩ポッポ9098遊びにきました。 ため…

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