さくらの 読みがたり&創作などなどいろいろ ダイアリー

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にゃーごの会通信2003・5月号より 



 今年の3月、東京・清瀬市で開催されたましませつこさんの絵本原画展に参加した際に、この絵本『あかいそり』に出会いました。原画のそばに見本としてあったこの絵本を開くと、故郷の空気が広がってくるのを感じました。読み進むうちに、地名や方言に熱くなり、地吹雪のシーンではとうとう涙がこぼれるのでした。子どもの頃、地吹雪の中、学校から帰るときには、強い意志のようなものが必要でした。少しでも気を抜くと飛ばされそうになりました。その上、すぐ前の友だちが見えなくなったりしたので、そんなときには、みんなでしっかり手を握り帰りました。顔は痛いし、なかなかうまく歩けないので、たいへんな思いをして帰ったのでした。私にはこの絵本のようなお兄ちゃんはおりませんが、上級生のお兄さんが強い力で手をつないでくれて歩いたこと、当時の防寒着のにおいまでも、この本によって思い出されました。また、どこまでもどこまでも続く田んぼが雪に包まれた風景に、実家からの風景に重なるようでした。
 この本に出会って、同郷である真島さんがこの本を描いてくださったことに感謝しましたが、すでに絶版状態であることを知りました。どうにかして手元におきたいと思っていた矢先に、真島さんから大切な蔵書の中からお贈り頂き、飛び上がるような気持ちで手に取りました。真島さんにお聞きしたのですが、この絵本は松居直さんの強いお薦めで描かれたということでした。この絵本に出てくる方言を子ども達に語れる特権を私は持っているので、これから冬にはこの絵本を子どもたちと開きたいと思っています。 



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