さくらの 読みがたり&創作などなどいろいろ ダイアリー

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にゃーごの会通信 2004 9月号より




☆第22回 子どもと本と文化のつどいIN 三川(山形県)に 参加してきました! その1

8月4日から6日まで行われた、第22回 子どもと本と文化のつどいIN 三川(山形県)に、上村さん、比留川征子先生(仲町小)と参加してきました。
今年の集会は、私の故郷、山形県鶴岡市のとなりの町、三川町で行われました。故郷での開催、実行委員長の齋藤まきさんとも親しく交流させて頂いていたこともあって、私も、実行委員の一員としてお仲間に入れて頂き前日から参加させて頂きました。今までの集会では、毎年、たくさんのみえないお土産をもらって帰ってはいましたが、今年は、ひとあじもふたあじも違う感激・感動をもらってきました。

オープニング・開会宣言から感動!

 初日のオープニングでは『てんさらばさら てんさらばさら』(わたりむつこ 作 ましませつこ 絵 福音館) 
の構成劇。年代ものの着物を着た実行委員の子どもたちが登場しました。『てんさらばさら・・』は鶴岡出身の絵本作家、ましませつこさんの地元山形庄内地方の言い伝えを絵本にした作品。今回の実行委員の山形の鶴岡支部、あさひ支部が地元の絵本として熱意で復刊した作品。今回の集会開催に至るまでになくてはならない作品でした。その中にでてくる唄に曲をつけ、子ども達が唄ってくれました。私は、方言で書かれているセリフを子ども達が言うのを聞きそれだけでジーンとしました。
 斎藤まきさんの熱い熱い開会宣言。ぎりぎりまで決まらなかった、小林豊さんの原画展、開催までの苦労。話を聞きながら、この日を迎えるまでのさまざまの準備の大変さを思いました。


小松崎進先生の『さるのひとりごと』

 小松崎進先生の基調報告では、東京の小学校へ読み語りに出かけたときに「あしたもくるよね」と言われて胸が熱くなったこと、荒れているという6年生に読み語りに行きどの子ども達が荒れているのかわからないほど楽しんで聞いてくれたことなどの実践を通じて、子どもたちはお話が好きなこと、言葉で語られるお話が子ども達の心を高揚させ、解放するものであることを話していただきました。最後に、日本海側の庄内地方を意識されたのか、『さるのひとりごと』(松谷みよこ 再話 司 修 絵 童心社)を読み語りして頂きました。私は、小松崎先生に初めてこの絵本を読み語りしてもらったのは、大学の授業の時でした。そのことをすっかり忘れていたのに、この本だいすきの会の絵本研究会で「うみはええなあ・・」というさるの言葉を小松崎先生に読んでいただいた瞬間にこれ「読んでもらったことがある!」と思い出した作品でした。その時から、この作品が大好きになりました。その大好きな作品を、大好きな小松崎先生に、故郷の空気に包まれて読んでいただけたことは、私にとって本当に幸せな時間でした。
                                                                  (次号にづづく)


☆ セロ弾きのゴーシュを読んでもらえる幸せ            
7月にゃーごの会 報告

テーマは宮澤賢治で、小松崎進先生に久しぶりに参加して頂きました。参加者それぞれが宮澤賢治について思うことや作品について話していただいたあとに、小松崎先生に『セロ弾きのゴーシュ』を中心にお話して頂きました。

ゴーシュが楽長に指摘された欠点を、出会った動物達に教えられながら成長していく姿を、宮澤賢治の文章でなぞりました。また、宮沢賢治が生前に出版され、かなりの赤を入れて推敲したものは、『セロ引きのゴーシュ』と『注文の多い料理店』の短編集に集められているもの(角川文庫が忠実に再現している)であること、賢治の作品には、自然との共存が多く描かれているというお話もして頂きました。賢治の作品への思いを語っている、『注文の多い料理店』のまえがきの部分(序)も読んでいただき、小松崎先生の語る声を聞きながら読み返すと、不思議に賢治の作品のよくわからないと感じていたものが少しだけ理解できたような気がしました。
 小松崎先生は、賢治が書いた原文のまま出版されたものを何ページにわたって印刷してくださり、一字一句、小松崎先生の言葉で読み語りをして下さいました。あの長い作品を読んでもらう、それだけで胸がいっぱいになりました。小松崎先生がお使いの文庫本には、青鉛筆と赤鉛筆で文字が見えなくなるほどの書き込みがあり、日に焼けた本の色とともに、読み込んだ跡がありました。いい作品は、何度読んでもいいもので、その時々で違ったものをもらえるということを、その文庫本が物語っているようでした。
今回、読んでもらうことで、小松崎先生が「いいなあ」と思う気持ちまで私たちには伝わってきました。「いいなあ」と思うというのは、並大抵ではない作品理解と、人物理解の上での賢治への共感があるからこそではと小松崎先生のお話をお聞きして思いました。                           

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