よぴさんのつぶやき

よぴさんのつぶやき

小さな命の誕生



私の体に小さな命が宿りました。それはあまりにも小さく、はかないものであると知ったのはそれからたった1ヶ月後の事でした。

私はその命の存在を意識した頃、「自宅出産」の方向で行こうと旦那に相談してました。旦那は私の気持ちをわかってくれたので、いつものように「よぴさんのしたい通りにするといい」と賛成してくれました。

お互いの両親に関しては事後報告、もちろん。旦那の両親に私は直接言ってないです、怖くて…ほほほ。

自宅出産専門の助産婦さんに連絡してから2週間後、待ちに待った助産婦さんがうちにやってまいりました、大きな超音波の機械と体重計を持って。

その頃私はねねにうつされたものすごい風邪をまだ引きずっていて、咳だけがひどい状態で残ってました。

それを知った助産婦さんは玄関に入ってまだ腰も下ろしてないのに
「たまねぎある?2個ぐらいちょうだい」と言って包丁で突然刻みはじめ、洗濯ネットにそのたまねぎを入れて「このたまねぎの臭いをかぎながらお話しましょう、たまねぎには殺菌作用があるから。」といいました。

っていうか、結構驚きました。(想像してみて!)

家の中に助産婦さんがきて、私を見てくれるってどんな気持ちかと思っていたけど、結構普通でした。

色々な約束を交わして、書類の事とかお金の事とか用意するものとか、とにかく納得いく様に、私達のペースでかわされていく約束事は、一つ一つ安心できた感じ。

病院だと相手のペースでしょ?気がつくと診察は終わってたりしたりして。でもおうちだと普通に落ち着いて話せるの。
助産婦さんもゆっくり落ち着いて私の話を聞いてくれるし。

これが病院と自宅の違いかなんて思ったりして。これだけでも大きな発見だった。
色々な話しの後、「さあ、見てみましょうか」といって超音波でお腹を見ました。

私が「ここまでじっくり話をするだけして、(子供が)いなかったら笑えますよね」なんて冗談でいったつもりが10秒後、「あれ…」と、助産婦さん。

どう見ても見えないの、私の赤ちゃんの姿。

生理は遅れているし、つわりみたいなものはあるし、妊娠してないって事はほとんど絶対ありえない状態で、前の月経から計算するともう7週にはなっていようかというこの時期に、見えない事はまずありえない。
「え…と…」と、助産婦さんも必死になって探してくれているんだけど、いつまでたっても見当たらない。

私は赤ちゃんが見えないから不安って言うよりも、助産婦さんが家まで来てくれたのに、赤ちゃんがいないなんて、なんか私は悪い事をしちゃったかな?というような、変な感覚にとらわれていて、とにかくなんだか自分の状態がなかなかつかめませんでした。

「もしかしたら何かあったのかもしれないけど、排卵が遅れていてまだこの超音波の機械(お腹の上から見るやつ)じゃ見えないって事も考えられるから、とにかく明日病院行って見てもらおう、ね、ついていくから心配しないで大丈夫、きっと大丈夫だから、心配させちゃってごめんね」と、
それこそ申し訳なさそうに私に一生懸命言ってくれる助産婦さんに、私は「大丈夫です。」と言うしかなかったというのが精一杯でした。

私がお願いした助産婦さんは、自宅で検診する時以外にもいつでも一緒に行動してくれます。病院の検診の時も、どんな時でも出産が入らない限りは。
本当にその助産婦さんがいてくれた事でどんなに私は助かったか、どんなに私は救われたか、わかりません。

知らない病院で一人で待つ事の辛さや、あの診察台の苦痛さを、助産婦さんがどれだけ和らげてくれたでしょうか。確かに会ってからそんなにたってはいません。でも、初めて自宅に来てくれた時にものすごく感じるものがありました。大切な出産を任せようと思いました。

すべてを知っててくれてこそ、命の誕生という大事な場面も任せられると思っていました。
話はもとに戻りますが、自分の人生にこんな事ってあるんだ…とか漠然とおもったり、でもどうしていいかわからなかったり、でも。

その頃さっきも言ったように私はひどい風邪をひいていて、なおかつねねがものすごく私にべったりで(ねねは次の子の存在に、一早く気がついていたのかもしれない)、とにかくおなかの子に対して全然かまってあげなかったっていうか、存在自体も全然意識してあげなくて、妊娠しているって意識がほとんどなくて、だから本当のところ「心配させちゃってごめんね」と助産婦さんに言われても「大丈夫です」というしかなかったんです。

今思うと本当になんて事をしていたのかと思うのです。
その子の存在がたとえどんなに小さな存在だったとしても、命は命なのに、私はその存在を認めてあげる事ができていなかった。

負け惜しみかなんだか知らないけど「妊娠しているって気が全然していなかったんだよね」なんて人にいってみたり。
私は命が大切とか日ごろ思っていながら、実は思っているふりだけで、本当は全然わかっていなかった。
どんなにバカだったか今思っても、その時の私は取り返しがつかない。今思えばどれだけこの子を傷つけただろう。

命の誕生を、私は全身で受け止めていたのでしょうか・・・。

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