フィリピン(その4)


駐在のT.N氏は、私に帰国するように勧めてくれた。私自身も帰国以外に何も出来ない。かえって足手まといになるとの判断で、帰国の準備を始めた。

日本工営のマニラ事務所で、秘書のアイリーンさんに帰国のための手続きを依頼した。6ヶ月のアサインで来ているので、それまでに帰国することは難しいのだ。期間中2度と入国しないとの誓約をして、移民局の行列に並んだ。
帰国の書類は整い、現地でのお金の精算も終えて、待たしていた、ジョーの車で、逃げるようにマニラ空港に向かった。
道路の混雑は私の計算には入っていなかった。ジョーに近道を採るように指示したがどこも一杯だった。気持ちが焦ってジョーを何度も叱った。
空港にはぎりぎりセーフだった。ジョーにと思って、私が貯めていたペソのコインをナイロン袋に入れていたが、急いだ余り渡すのを忘れてしまった。
よく仕えてくれたのに、悪いことをしてしまった。

急いで荷物をカートに積み、チェックインカウンターに向かった。
キャシーにも、ニカにも挨拶は出来なかった。

私を乗せた、ビジネスシートは、ほどなくマニラ空港を後にして、まどろむまもなく成田に着いた。

後味の悪い出張だった。
日本工営との契約期間は後1年半残っている。T.Kさんから○○さん(私)は急病との事前連絡に、慰労の声はあっても、
早く帰ってきたことを誰も責めなかった。それが私には有り難かった。

しばらくは医者と工営の事務所に通った。「黒い犬」の原因が取れたので、徐々に回復していった。




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