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2023/12/28/木曜日/晴れると日差しは強い旧市街までなら150バーツ均一タクシーで、旧市街の予約していた小ぶり、お安めホテル到着。タイのタクシーはぼったくりが多い、の風評はよく聞いたけれど、今までのところそんな心配無用の対応が行き届いていて、観光客への配慮を感じる。チェンマイの人はどの人もびっくりするほど人当たりが柔らかく温かい。台南とか沖縄のようなリラックス感あふれるなぁ。8時過ぎの到着なのに、当たり前のようにフロント女性が荷物を運んでくれる。チェックインは10時!に可能、えー!よかったらカフェで飲み物をどうぞとのこと。凡そ日本では得られない歓待ぶりに感激しまくり。たくさんの欧州人をチェンマイの空港でも街でも、よく見かける。日本人は減少傾向らしく、街角はタイ語、英語、中国語だけ。コーヒーを飲んだ後、二つのお寺を徒歩で参詣◾️ワットプラシン観光で賑わう街中なので、つい忘れがちだけど、ワット=お寺は神聖な場所。タトゥーも肌の見せすぎも禁止です。社会科の郊外学習中の女子中学生に囲まれて、インタビューを受けてしまいましたー明るく、元気で可愛らしい。大勢のお坊さんが朝のお勤めを行じていました。タイの方は老若男女、敬虔な仏教徒が多い。↓左はワットプラシンの一番好きな仏さまお寺出口の辺りはモン族のハンドクラフトショップや飲食の屋台が出て、この辺も一層の賑わい。マカデミアナッツが500バーツ。2400円は高い。明日、モン族の村を訪ねる予定なのでリサーチ程度に気にしておくことに。◾️ワットチェルディアン↓看板に惹かれて入って行くと、門は閉じられていた。どうやら180度向こうに回らないと入れないらしい。↓目と鼻の先なのだけど。ぎらぎらの日差しの中を半周、ようやく門へ。入場料のために入り口を一つにしているのかな?因みにタイの人は無料。このお寺はチェンマイの中でも権威の高い、古いお寺で、その創立の頃から生えていたと言われるゴムの木が入場者を迎えてくれる。お寺はこの木と命運を共にしているとのことで、とても神聖な木なのだ。ジグラット?か出雲大社かチェンマイ旧市街のほぼ中心にあり、ランナー王国の仏教帰依、王の権威の象徴でもあるような仏塔。14世紀末に建てられ始め、15世紀半ばに完成した。タイがいくつかの王族に分かれ、西のビルマ北の元など中国からのせめぎ合いの中で王国を数百年繁栄させたその始祖はメーンライ王それは鎌倉幕府成立の百年後のこと。スリランカから高僧を招き、一時期は南アジアの仏教のセンターにもなったという。↑右上、歴代の高僧のポートレートの中で好きなお顔
2023.12.30
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2023/12/28/木曜日/朝曇り午後晴れ4時起き。朝未だ来のホテル予約リムジンバスの集合時間は4:50スワナンプーム空港へは10分ほど。空港到着ロビーは4Fここにチェックインカウンター、荷物ドロップ。エアアジアカウンターはDかFなので、バス到着の入り口ナンバー4からは左サイドを目指す。自動チェックイン機を使っていると、空港の親切なスタッフがガイドしてくれる。親切で美しいお嬢さんたち!タイ国内便でも空港には2時間前に着くのがオススメとのことだったが、早朝ゆえか。ボーディングはとてもスムーズ。国内移動のサインを追って、41ゲイトへ。朝ごはんお店ロードの最終辺りで、亭主の好きな飲茶、肉まんとエビシュウマイ朝ごはん。↑このエビシュウマイはお値段多少高めと思ったものの、大変美味しかった。エアアジアは1時間のフライトなので、前のクラス席以外は飲み物もなし。機内がとても寒いので、上着が必要。スワナンプームを朝焼けの中、飛行機に乗り、90分くらいで着いたチェンマイ空港では、この街らしいモン族の民族衣装がお迎え。旧市街内に宿を予約したので、移動のタクシーを探す。旧市街までは一律150バーツでタクシーが直ぐに配車される。
2023.12.29
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2023/12/27/水曜日/バンコクは生温かいかつて高速道路の事故で出発便に間に合わなかった事がトラウマになり、空港まで車の時は十分早く家を出ることに。↓頂き物の干し柿を家に残す気になれず持参する。41ゲイト待合で、二人してぱくつく。タイエアラインの出発は15分ほど遅れる。到着もしたがって遅れる。成田を12時に離陸、飛行機から解放されるとこちらの時間で夕方5時45分ほど。夕日がとても美しい。スワナンプーム空港到着は2階。地階のマネーチェンジショップの方がレートがよい、と聞いて垂直移動する。EVはとにかく満員、遅い。のでコストコで見るような移動方式の方へ。イタリア人らしき人が、団体でのイクスチェンジは大金だから、レートの良いところがいいんだけど、みたいな窓口で尋ねていたが、その窓口さん曰くどこも一緒です。みたいに答えてたので、レート微妙なのかも。ざっと1バーツが4.68円。ほぼ5円。円が随分安くなっているとため息。ホテルに予約を入れた送迎車。到着後に電話しても、これがつながらない。タイの国際番号二桁を省いた後、0を足して電話するまでにも手こずる。ショップのお姉さんに助けてもらう。別の電話番号を調べてくれた上に電話までしてくれるもつながらない。タクシーで行こうかとも思ったのだけど、日本からレスキュー登場。何と日本からはスムーズにつながった模様。4番出口と3番出口の間にボードが左右ずらりと並んでいて、そのボードを管理している人に予約している旨を伝える仕組みたい。↑しかし沢山の中から探し当てるまでに時間がかかる。ホテル名を見つけた時は奇跡?みたいな気持ち。待つように指示される。ひたすらぼんやり待つ。あのーとおずおず、未だでしょうか?と切り出そうとすると、担当のおじさんは5分待てという。私たちの側でまた欧米人カップルが、ボソボソとまた5分待てって言ってるわよ!と。しかし、5分待つことなくさくさくと乗り合い場所へと誘導リムジンバスは私たちだけを乗せて空港最寄りのホテルまで10分ほど。ホテルの部屋たどり着くともう8時前である。ホテル外に出て、地元の人で賑わうマーケットみたいなレストランで、トムヤムクンとフライドライス、ビーフンと牛肉のスープ、シャンビール330パーツで夕飯を済ます。昔のほうが安い、でも少しは安い!旨い!一人800円くらい。明日は4時起きで移動。
2023.12.27
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2023/12/26/火曜日/だんだん明るくなる〈DATA〉 出版社 双葉社著者 上田早夕里2023年3月25日 第1刷発行「小説推理」2021〜2022掲載の加筆修正〈私的読書メーター〉〈金本位制ならぬ阿片本位制。そんな東南アジアの近現代史がよく分かるノワール小説。清朝末期の混乱が凝縮したような魔都上海を中心に、青幇と呼ばれる組織に関わりを深める黄基龍こと日本人ジロー。貧農を嫌い一旗あげようと辿り着いた上海で営む小商い。そこにやって来た謎の女が差し出す最上級の阿片種を巡り帝国軍秘密組織や青幇組織、国民党、雇われ暗殺集団などが入り乱れる抗争に英仏からの独立を目論む植民地国の動きまで、複雑な背景をすっきり読ませる。中国的擬家族の結束に招かれながら個人であることを選択するジローの新しさ、良し。〉大英帝国とは恐ろしい妄想帝国だったのだなぁ。インドを侵略、綿花プランテーションを建設し、現地の人間を安い労賃で奴隷の如くこき使い、植民地や同等の国々に売り捌く。ところが対中国貿易では豊かになった英国国民のお茶の流行の背景もあり、赤字がかさむ。時はアメリカ独立戦争の時代、戦争には金がかかる。そこでインドで作らせたアヘンを中国に蔓延させて巨富を得るべく動き出す。狙い的中、中国人のアヘン中毒患者は年を追うごとに倍増していった。本当に酷い。モラルとか人間らしい心のカケラもない。こんな行為が彼らの宗教心にフィットするのか。そんな思想のたどり着く果ては不毛の極寒地だろう。アヘンと共に恐ろしいのが金、なのである。差配一つ、指一本で巨万の富を得て権力の上に立つ、そんなゲームが大航海時代から繰り広げられている。そんな世界は要らない。心穏やかな、慈しみあう世界を取り戻したい。WHOのやっていること財務省のやっていることまさにお薬と金、だと知る2023年末
2023.12.26
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2023/12/24/日曜日/クリスマスイブ最終的にはサンルームでしっかり乾燥させる。 着てもらうのを待つプルオーバー糸問題で悪印象をイトイさんに負わせたりして申し訳ないと思いつつも、考えざるを得ない。立派な上場企業代表取締役の氏にとって、末端もよいところの一消費者の私の懸念なんぞ、へとも思わないでしょうけれど。手編みという温かい世界に、資本の利潤横取りは、私はちょっと違うと思うのだ。このキットは2万円を超える買い物になる。三國さんがダイレクトに販売すれば3割はお安く、編み物好きに届くのではないだろうか。糸の製造者にしても応分の利益が上がるのではないだろうか。それが全体を包み込む〈贈与〉に近いのではないだろうか。とつらつら考えたので、キット残糸を直接オフィスまで返しに出かけることにした。先様は幸い我が事務所からは徒歩圏内。真意をお互いに伝えあうというか、トラブル解消は顔と顔を合わせて禍根を残さずに。対応の担当者はうら若いお嬢さん。 こんな方がさまざまな苦情を引き受けているのか、ビジネスとしての組織の一員なのかと思うとほろりとする。ビジネスではなく、営みとしての編み物を作家、糸の製作者、編み物ファンと繋がる仕組みはもっと小さくてよいと思う。そんなことまで伝えることはできなかった。彼女にしたってたまたま異動でニット担当なんだろうなあ。特に手編みが大好き、という風ではないのだし。別の日サイチカさんのインディなショップの、彼女のキットが再販売されていた。12000円ほど。これも配送ではなくダイレクトに買いに伺った。大きな組織の販売と何が違うか。カラフルな毛糸の飾り紐は、私に手渡す前にクルクルと自ら撒いて贈り物のように手渡してくださる。あ、これこれ。喜び重なる。三國さんキットと合わせての出費は少々痛い。けれどこれも勉強のための経費かな?もれなくニットの手編みが付いてくる!のだし。小さな心遣いが心に火を灯すクリスマスイブ編み始めるのはちょっと先アンゴラモヘアのふわふわくんにやられたか、くしゃみ鼻水の花粉症模様
2023.12.24
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2023/12/23/土曜日/これから世界は明るくなる朝に京都で舞台を観てからすでに30余日が過ぎた。その間未知の3人の女性と会話した。新規の飲食店7軒ほど利用した。決算、納付、歳末新年事務仕事を終えた。週末立て続けに離れた街で暮らす子ども夫婦が泊まりに来た。山小屋の冬仕舞いをして、数冊の本を読み、セーターを仕上げルームシューズを編んだ。初試みの野沢菜漬けはカビを出してしまった。その間にも折に触れレイディマクベスを意識に甦らせた。東京公演の抽選が全て外れた中、自嘲気味に京都公演を申し込んだら一つだけ当選してしまった、という。11月16日の夜の公演京都滞在23時間で、紅葉も見ず。甚だ印象深く忘れ難い公演となった。舞台そのものに加え舞台を観に行く、という行為そのものにおいても。なんといっても、アダム・クーパー に舞台で再会できる喜び。併せて天海祐希が共演という信じられない贅沢な千載一遇。天海祐希さんはアダム・クーパーの大ファンだとか。彼女にとってもこの舞台はドリームカムツルー思い起こせば、昨年2月の雨に唄えばコロナ禍の大規模規制の艱難辛苦を潜り抜けて、満を辞しての華やかな喜びに満ちた舞台、の筈が。スタッフに感染者が出てしばらくお預けの中、泣いていいのか、笑うべきか。私たちは舞台を観た。2年間味わうことができなかったそれを。観客は全員マスク、拍手は立つこともなく、粛々と退席する運びではあったけど、想像もつかないリスクを取って舞台で躍動したアダム・クーパーそして何とまあ、今回は日本語で演じられる舞台に彼が立つというのだ。とてつもないリスクをまたもや。一体どんな舞台になるのか。オファーを受け入れたアダムの勇気をアマミ・ユウキの膨大なセリフが鼓舞する。現実と芝居が撚り合わさり、歴史と時代が撚りあわさる。或いは男性性と女性性、支配と被支配、子どもと大人。肉体と精神、知恵とさかしま、嘘と誠。鳴り止まぬ戦禍の背景だけが太古からの魔女の声のように、人の心の荒野に吠え続ける。一際印象的なレイディとマクベスの腕だけのDNA様のダンス。それが見る者をして過去も未来も、この今という時間の中でねじれねじれて、原作では仄めかされるだけの、存在しない二人の子どもが、娘として立ち現れる。吉川愛母レイディは初め白いパフスリーブの付いた黒いロングドレス。そのパフがいつの間にか取れて、現れる娘の白い、愛らしいワンピース。原作では王の正しき後継をエンパワメントする侯爵マクダフが、弾丸ならぬダンカン王の縁戚で、女性で、レイディの友人役、というねじれねじれた設定の白黒ドレスで現れる。鈴木保奈美原作では逡巡するマクベスを腰抜けと叱咤し、王殺しを遂行させるレイディは、結局その猛々しいパーソナリティを女の肉体が持ち堪えられない生理として表現されているように思うが。舞台のレイディは子どもを出産することで戦場に明け暮れた無敵の肉体が働かなくなり、城=木枠の東屋か鳥籠のような舞台設置の内に留まる暮らしとなっている。そんな彼女はマクベスをそそのかし、ダンカン王を亡き者としてマクベスを王に据える。しかし戦争に明け暮れたマクベスの心はすでに壊れて、王として屹立することができない。歯噛みしながら臣下の不審を取り繕うレイディは、マクベスに弾を撃つ。唯一自分を慰めてくれた父であるマクベスの喪失を前にして、娘はレイディと同じことをレイディに果たしてしまう。始終、鳥籠の外部にいた娘はこの時、鳥籠の内の人に変化する。マクダフはすかさず、転げ落ちている王冠を娘に被せるも、娘はそれを払いのける。マクダフはそれを拾い上げ、再び娘の頭に王冠は座る。と同時に鳥籠の中に更に小さな檻が天井から落ちて彼女は捉えられる。彼女は叫ぶ。どうする!あなたはどうする?そんな問いを残して舞台の幕が降りる。ああ、なんて暗いテーマなんだろう。なんて暗い時代だろう。しかしこの舞台を作り上げるために海を超えて言語を超えて、一座は想像も及ばない努力を重ねただろう。コミュニケーションギャップを超える試み、それこそ芝居の原点で、見せるものとその舞台裏も捻り合わせの一芝居、ご覧じろう、という心意気。感ず。
2023.12.23
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2023/12/22/金曜日/冬至イサガーのアランツイード 100g編みながら足に合わせて細部を変更している。サイズM左M、右Sでかつほぼ編図どおり。右はクリが深い。私的には履き口ができるだけ甲に被るのが好み。指定より2段早めに左右の召し合わせをしている。次は四段早めに召し合わせしてみようかな。この糸は100gあるので、M一足半が編める。ブーツタイプだとM一足とS半くらいは作れる。ひとかせ2090円くらいで購入できる。糸の性質とルームシューズの性質、それにデザインの三相がこの上なく組み合わせがよい。履き心地抜群、温かい。機内持ち込み用にしたい。プレゼントにも!速目に編める方なら半日でできそう。
2023.12.22
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2023/12/20/水曜日/うららかな南窓先月中旬頃から編み始め、思わぬアクシデントで途中のお休みを挟み、昨夜遅くとじはぎも糸始末も終わる。ところで、このアンゴラヤーン。毛足がふんわり長く、模様編みの隣り合わせの色が微妙に馴染んで仕上がるところがとても好くて購入に至ったのだったが。小一時間も編んでると右下画像のように毛が盛大に衣服に付く。室内をふわふわと飛んで、目や鼻、口にも侵入して来る。翌朝顔を洗うとモヘア状が手にまとまりくっつく、という試練であった。やれやれ( ´Д`)y━・~~完成の開放感!モヘアくしゃみからの開放感!元々は自分へのクリスマスプレゼントだったけど、ちゃんとクリスマスに間に合う!トップダウンで編むセーターの袖丈は難しい。自分に合わせながら適切な長さを選択できるという利点が活かせないのである。以前編んだセーターも、手を前ならえすると腕が10センチほど飛び出てしまう。これはデザイン上致し方ないのだろうか?実は今回もやや短めに仕上がってしまった(;_;)袖とのバランスを考え、身頃は編図より7センチほど短めに仕上げた。袖のゴム編みが身頃のゴム編みよりずっと下にあるフォルムが好み。身頃を短くしたのはヨーク部分が編図より膨らんで大きくなったのも原因。針の指定は2号だったけれど1号で編んだ。にも関わらず、大きめに仕上がった。糸2本の模様編みはどうしても膨らみがち。↓水通し前に平場で確認あちゃー、発見。目こぼしがある!まあ、こんなものである。ワタクシですもの。すでに糸始末したのに、修復する→右。水通しを15分くらい。そっと押して排水、バスタオルにくるんで水分吸収、平干しこれを眺めるのが編み物全ての中で一番好き。しかしこの糸は水通しするとメリヤスの目が殆ど見えずフェルト地みたい。手で成形していると、モワモワとまたもや毛玉がΣ(゚д゚lll)右↓
2023.12.20
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2023/12/19/火曜日/最高気温8度、曇天の1日〈DATA〉 岩波新書 1944著者 國分功一郎2022年10月20日 第1刷発行〈私的読書メーター〉〈新書であるのに読むのに随分時間が掛かった。新書というのは知識の概要とか表面をさらっとおさらいするイメージを勝手に囲っていました。全て咀嚼することは能わず、ただ朧げに今まで折りに触れ読んできたシュタイナーの人智学、論語、或いは仏教の理性的論者方の文章に触れた思いがします。スピノザの認識の三段階の先にはどうしても学解の対象ではなく実践の理解が示されている、と思いました。そういう意味では学問を超えているような。こんな知性が17世紀半ばにオランダで、民衆の理解し得ない共和制と共に息付いていた事実に驚くばかり。〉読書中、最も心動かされたのは、実はオランダのハーグで1672年に起きた、共和政指導者デ・ウィットに対する民衆の非道な「厄災の年」殺戮事件だった。私はこの事件を扱ったとも知らず、デュマ『黒いチューリップ』を読みたいリストに入れてみたものの、そのまま長く放置している。この事件が起きた時、しかもその現場から徒歩にして15分ばかりの場所でスピノザはエチカを記述していたという。当時の欧州は、新旧キリスト教徒の間で残忍な殺戮が100年も続いていた。魔女狩りと称して、薬草で病人を救ける女たちが告げ口で火炙りにされ、村人や町人の見せ物と化し、恐るべき暗黒の歴史を刻んでいたのだ。シェイクスピアはその時代に生まれた旧教徒で、『ハムレット』はオランダの王家の悲劇だった。『ハムレット』に見られる王殺し、姦通、自殺、毒殺さえ、優雅な推理小説に思えるほどに「厄災の年」殺戮事件は陰惨だ。優れた理性的なリーダーが世に現れて、人間の尊厳をかかげ、理想的な統治を法に基づき執行しようというのに、民衆はたとえ愚鈍だろうと年幼かろうと、血すじとしての王を求めるのだ。そして知的な理想は、民衆になぶり殺され、その皮は剥がされ、肉がこそがれ、市場で売り捌かれるのだ。この現実!自己の中にエチカ=倫理を持ち得なければ、一神教の妄信的行為は人をして、かくまで惨虐に兄弟を殺し得るのだ。民衆が煽られた背景には、100年を超える宗教戦争、大航海時代の貿易がもたらす巨大な富と利権が絡む、秘密裏に結託した英仏のオランダ侵攻があった。煽られる民衆とは私に他ならない。何が真実かも見えず、小さな利益に汲々として。老いてどんな変化が心身に訪れ、どのように朽ちるのか、漠とした不安は予測される自然災害と捻り合いながら私の意識を昏くする。コロナは、ワクチンは、国家主権は、個人の人権は、少子高齢化は、経済は、パー券は、万博は、ひもじい思いをしている子どもたちは、インボイスは、リニアは、木原事件は、出稼ぎ男娼は、、、われら民衆はどうしたいのか、世界がどうあってほしいのか。デカルト:Cogito ergo sumスピノザ:Ego sum cogitans考えつつ存在する「スピノザは、総合的方法こそが哲学の真の方法であると考えた。」「定義、公理、定理、証明」ユークリッド幾何学原論、「エチカはこのような様式で書かれた」手の仕事を科す素描画家/アムステルダム/レンブラントレンズ職人/デルフト/フェルメール倫理的決断が理性を自立せしめるその名も『知性改善論』という自伝的著作。所有、官能、名誉の欲からどれだけ自由でいられるか、の考察。それを考えている間はそれから離れられるという発見精神がものを理解することが多くなるにつれて、同時に精神は、理解の道をいっそう容易にたどるための新しい道具を獲得していく真であることは公共的に共有されるとみたデカルトの道は科学へと進行し、共有されないとみたスピノザは、ある種秘教としての哲学は進んだのか?人間の本質は欲望悪魔のようなものは四角い円のようなものでありえないと分かるものに過ぎない。「どうすれば人間は、悪魔を仮定しようなどという考えが心をかすめもしない生き方ができるようになるか、それを考えようではないか。これこそが【エチカ】で開陳されるスピノザ哲学である。」神には外部がない神は永遠であって始まりも終わりもない。神は存在し、また作用するにあたって、自身の法則以外のなにものにも左右されない。全ては神の法則、すなわち、自然の法則に従って起こる。神は実際には、常に既に変状して存在している。「存在するすべての物は神の本性あるいは本質を一定の仕方で表現する」これはまさに大乗仏教的な思想ではないだろうか。人間精神とは身体を対象とする観念しかし、人間精神は身体を認識しない。精神が身体について認識するのは身体に起こることだけである。スピノザは動物どころか無機的な物質にも精神があると(程度の差こそあれ)みているキリスト教密教とか神秘思想のようでもあるが、観念に目を凝らしていけば矛盾なく成立する、のだろう。意識が陥る原因目的の転倒のメカニズム現れている意識の下の広大な無意識層について、フロイトに先駆けての考察自由な意志というものはない。感情の模倣喜び、悲しみと欲望の3つが基本的感情であり、こらの組み合わせによって全ての感情は説明される。同類と感じる者には、その者と似た感情を抱く。妬みは受動のモード、能動的に生きるにはどうするか。『エチカ』の中断エチカを中断し、『神学・政治論』を執筆しなければならなかった、時代背景序文での呼びかけ、来るべき哲学者にむけて。ものごとを自分で判断する自由、考えたいことを考える自由は誰も放棄することはできない。これは最大の自然の権利である。なぜ思想の統制を行なってはならないか。それが権力の自由にできるキャパシティを超えた目論見であり、それを目論む体制は暴力的にならざるを得ない。自然状態ならば人は意識を伴う衝動によって自然権を行使しているだけだが、契約が成立し法が存在するなら、行為のもたらす意識は法についての表象をもたらす。ここまで。エチカについて拙い反省を試み、短日の半分を費やした。経験を通して、つまり身体の変状を通した意識は、この世に悪も善もないことを理性に表象した。という言い方はできる?ただ悪い関係と良い関係はある。スピノザのいう能動的に思考し、生きるということは倫理の実践を必ずや伴うのだと理解する。欲望が私を存命させるが、理性はそれに意味を与えんとする。大いなる自然の現れの中で、客観を主体的に生きる、ことを常に意識する。
2023.12.19
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2023/12/17/日曜日/晴昨日とうとうサイチカさんのワークショップに参加できた。情報をキャッチした時には既に満席、という連続だったのだ。松陰神社前駅まで乗る世田谷線が大好き。このお店に立ち寄る気分が上がります。その線路の際、駅とは目と鼻の先に小さなニットのお店が不定期開店一番手前にあるコーナー的なお店は、ラトビアの大きなバスケットがお出迎え小さなスペースなので、参加は4名まだらしく、それでいつもすぐ満席になることが分かった。本日はルームシューズ作り。製作図は暮しの手帖今月号に掲載なので、それを購入して参加のこと。編み物苦手な編集者さんが頑張って編みながら、詳細に手順を載せてくれている、との楽屋話も。糸はイサガーのアランツイード手のきつい方7.ゆるい方6号を用いる。サイチカさんのショップ、糸と針にはイサガーの糸がたくさん揃っています。好みの糸を選び、ヤーンを糸巻きして、開始なんと、こんな方法があった!展開図である編み図をコピーし、立体模型をさささ、と見せて頂く。かわいいカップにルイボスティー、ほっこり休憩していたら。他のみなさまとのサイズ違いにアレ?と気づく私。6号のつもりでなんと!9号で編んでおりました(T-T)ロックのイヤミスΣ(゚д゚lll)もう半分以上時間を費やしてしまったので、解くことは諦めてアドバイスに従い、このまま編み進めて仕上げまでの手順を習うことに編みながら、フェルト化させて縮毛してもよいかもと考える。編み方を忘れない内にと、帰宅後に糸の分量を考慮して6号針で始めから編んでみる。大きさを比べると歴然。大きい方は可愛くない!そんなこんなで、やはり6号で。爪先まで到達してばたんきゅう。
2023.12.17
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2023/12/15/金曜日/曇り小雨静邨 ★初訪問千代田区12/15 ランチ訪問半カレー丼ともりそば 1000円先ず半カレー丼が。出汁で伸びたカレーには豚こま肉が数片、ルーはとろみが強く、蕎麦やらしいもの。日本のご飯によく合う。全体的に馴染客が多そうで地元で長く繁盛している様子が伺える。自家製石臼挽き東京二八蕎麦加盟店らしい。おお。久しぶりにお蕎麦にウズラ卵初めての紅葉下ろし添え、更に胡麻ダレも。蕎麦はとても美味しい。つゆは江戸前の、濃い甘口。蕎麦湯はさらさら。私的にはツユを濁らせたくないので、カレーにウズラ卵を落とす。うわ、美味しい。胡麻ダレのツユも混ぜずにこれのみお蕎麦をちょちょっと付けて、最後は蕎麦湯割りで頂く。神保町の、いかにも東京らしい蕎麦屋さん。ついでに さゝま に寄って和菓子3種を買う。一つはツレ、二つはアテクシ↑上から うす氷、柚子饅頭、冬ごもり和菓子は名前もうつくしい。
2023.12.15
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2023/12/14/木曜日/晴世田谷蕎麦 石原本店 ★初訪問世田谷区12/13 ランチ訪問日替わりもりそばと牡蠣の炊き込みご飯 1265円これは二八だけれど十割も扱いあり。人気店らしく2時頃伺ったけれどほぼ満席。蕎麦は細めだけれどコシも強くツユも旨い。オネギの量が多いけれど、ツユの量は少ない。よく冷水で締めてある。BGMがジャズ、という蕎麦こだわりの飲み屋的なお店。そのブームはいつ頃始まったのだろうか。これとは別にジャズを流さず、ひたすら求道的に蕎麦にこだわるお店もポツポツとある。お蕎麦に目覚めたのはこの数年なので、背景はよく分からない。清潔できっちり仕事をしているお店が好みではあるけれど、それぞれの個性が楽しめるのも良い。LINE友だちになれば百円クーポンがもらえる。ランチで使用させて頂きました。
2023.12.14
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2023/12/12/火曜日/雨のち晴知られざる未開の道はなを永遠に黙して永く永く無限に続く新聞記事で見つけたコンサートはタイトルが長すぎて覚えきれず、知人に伝えるのにマゴついた。ただただ伊藤野枝の名に呼ばれて会場へその内容は伊藤野枝とその同時代を生きた女性音楽家たちをめぐるコンサートとトークと銘打ったとおりのものだった。↑明日館へは目白駅から歩くことが多い。今回は徒歩時間の短い、慣れない池袋駅を下車した。メトロポリタン口に近いところでは光輝く広場が迎えてくれる。明日館の建物、その風景は都内建造物中で一番好きかもしれない。学校建築をフランクライドライトに設計依頼する、という驚き。当時の日本の文化度は世界でも先進的で優れていたのだはなかろうか。しかもこれが一私立学校の学び舎なのだ。垂涎、自由学園。伊藤野枝は1895年生まれ、1923年没。自然死ではない、関東大震災の大混乱に乗じて憲兵大尉甘粕正彦に殺害されたのだ。未だ20代であった。ライトの設計監督によって二代目帝国ホテルが披露されたのはまさに関東大震災のその日のこと。百年の来し方を瞑目せずにいられない。今年、まさに9月1日、の帝国ホテル百年事業のランチに出かける前には映画福田村事件を観た。未曾有の災害に、社会主義者も朝鮮人も癩病者も被差別者も新聞報道も転倒した、させられた、ことを映画は鋭く描写していた。軍部の権力が勃興し、自由や権利は後退した。圧倒的武力の前で、徒手空拳の私たちは「壁にぶつけられる卵」のように無力だ。今宵、百年前に立ち戻り、伊藤野枝の激しい生涯を野枝と同時代の日本女性音楽家による3曲、日本の語りに即した楽器琵琶のための新曲が披露された。野枝に捧げる琵琶の作曲及び企画はフランチェスカ・レロイという英国人の若い女性音楽家だ。会場は断じて自由学園でなければならないだろう。学園の創立者、羽仁もと子は当人によれば、日本最初の女性新聞記者、なのだ。学園はヨハネ福音書の「真理はあなたたちを自由にする」から名付けられたという。それは震災の2年前のことだった。あなたたちには、男だけでなく、女も子どもも、世界中の人が含まれる、ということを感覚的に身体的に把握できない男たちが制御する当時の日本で、豊かな才能、思想を変節することなく伸びやかに歌い切った女性作曲家、すなわち幸田延/ ヴァイオリンソナタ第一番変ホ長調外山道子/ 日本民謡による組曲 〈子守唄〉〈追分〉〈籾引歌〉吉田隆子/お百度詣の代表作が演奏された。西洋音楽受容の幸田延それに対して日本のオリジナルを問うた外山道子社会や環境音楽を見据えた吉田隆子重なりながら展開される音楽の喜びが披露された。演奏はヴァイオリン、吉田薫子ピアノ、前田朱音二人の呼吸はぴったり、吉田さんの繊細な音の響きは美しいだけでなく芯を感じさせた。これを英国人女性が見せてくれた、なんだか日本の女性を勇気づけてくれているような音楽会幸田延の第二楽章辺り、涙ぐみそうになった。私たちの賢明な選択がきっと世の中を明るく温かいものにしていく、と歌っていた。こんなステキな女性たちが全く初めての道を勇気を持って一歩踏み出していたよ、百年前に、と。↓来年2月、伊藤野枝の映画が公開される。レロイさんは、瀬戸内寂聴の『美は乱調にあり』を読んで伊藤野枝に強く関心を抱いたという。瀬戸内寂聴は震災の前年1922年の生まれ、百年を超えて生き今年亡くなられた。合掌。
2023.12.12
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2023/12/11/月曜日/政局キックバックがにぎにぎしい曇天ここまで編んでストップ。というのもメインの糸の状態がやはり納得いかず。家人からもきちんとクレームするべきだ、双方にとってそれが良いことなのだとエンパワメントされる始末なのだった。それやこれやで十日ばかり放置する。ほぼ日さんとのやりとりは最初はうまく噛み合わずようやくに納得して落ち着いたのは、メインの糸の交換、というもの。当初はロットが違えば色が変わるとか、未使用分の糸の交換を提示されたが次第に上の結論に至った。そんなやり取りの中、私も今まで編んだ部分を全て解くことを覚悟した。ツレの入院先、京都弾丸も重なり目まぐるしさもほどほどにならないかしらん。そうしこうしている内に届いたスペアの糸。↓上の巻。最初のキット糸は下の巻画像からは認めにくいかも、だけど。糸端のコンディションや巻糸小口のコンディションからも余りに状態が違うではないか。キットの糸はまるで解いた糸の巻き直し、という印象、まるで中古品である。スペアの巻は、後ろ身頃分を既に使用したキットの巻よりも量が少なく見えるのだが、容量を測ると細いスペア糸の方が60gほど重いのである。スペアの糸は艶やかでしっかりしている。編み地の表情が異なると予測され、後ろ身頃裾のゴム編み残り部分をスペアの糸を用いることはできず、ボワンと膨らんでいるキットの糸で編み切った。編んだ部分を解くことは先に諦める。アンゴラという糸の性質かもしれないけれど、まるで使用前使用後状況を二つの巻糸で見てしまったために、これはムリかもと判断した結果。何度かのメールのやり取りの結果、納得した落としどころではあったが、三國さんのキットには手を出し辛い、という印象が残った。糸の製作者とニットデザイナーがダイレクトにやり取りできない仕組みが、手編み愛好者には向かないと思う。大きな株式会社が間に入る事業とは思えない。比較も兼ねて、大好きなニット作家のサイチカさんから購入しようと考えてインスタ見たら、いいなぁと眺めていたソルドアウトのプルオーバーが再開、のタイミング♬
2023.12.11
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2023/12/10/汗ばむ陽気〈DATA〉著者 三國万里子発行所 新潮社2022年9月30日 発行2022年12月20日 4刷〈私的読書メーター〉〈タイトルのイメージとは随分異なる。作者であるニット作家の三國さんがどんなきっかけで編み物と出会い、デザインし、実際にどんな作品に結実したか、そんな回顧が作品と共に展じられるのかなあと妄想していたので。表紙の人形。素材である木とマッチングしていてとてもよい。人形はお顔が命?メムリンク彷彿の禁欲的な求道的な堅さが私好み。三國さんによるカーディガンもしっくり馴染んでいる。ポングラッツ人形も奥さまが草木染めした毛糸で編まれた衣服でそれが木彫の顔とこの上なくよい取り合いだったなあ、と思い出した。〉本書で一番心惹かれたのが、Sasha Luneva さんの木彫りのこの人形。って、だって彼女の作品はこの人形に着せたミニチュアカーディガンくらい。随分前に彼女の編み物本を買い、その中でも和風ウロコ紋様のミトンが気に入り何枚か編んだ。他にも作品を見て想像しながらボレロも編んだ。そうしてキットを「ほぼ日」から取り寄せた。取り寄せたキットの編み方図。作り目=キャストオンは、その手法の指定が無い。作り目はおろそかにできない、ということを最近ようやく理解するようになった。デザインや糸の個性に相応しい作り目の手法が本当に豊富にある。それらの技術は考案した人からその知合いへと次々とリレーされ、改良されて、みなの集合知になって来た歴史そのものなのだ。どんな作り目を選択するのか。その集合知からもっとも相応しい一つを最初の作り手が決裁するものなのだ。と思うのだ。これが無いことの頼りなさ。というものを感じた。思いかえせば、インディ意識の高い編み物仲間は、三國万里子さんのデザインを求める人が少ないように感じる。言葉で直接聞いた訳ではないけれど。楽しく編めればそれでよし、なのではあるけれど。デザインが好みならそれでよし、かもしれないけどもやもやとしてしまう。
2023.12.10
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2023/12/08/金曜日/陽光眩しい大寒〈DATA〉著者 ウィリアム・シェイクスピア訳者 木下順二発行所 岩波書店1997年9月16日 第1刷発行2021年7月5日 第24刷発行〈私的読書メーター〉〈ある台詞が放たれるや登壇する人物。異なる話題なのに台詞内容はその人物の内実や未来を暗示している、とシェイクスピア劇を観ていて感じたことがある。リエゾン視覚化?木下順二氏の後書きにその点が触れられていた。大海の水と洗面器一杯の水の対比や王が身にする衣装の比喩の指摘など改めてなるほどなあ!魔女的存在はマクベス自身気づいてない自分の、否、人間の地金が独特な気候風土の中でホログラム化した、の印象強まる。魔女裁判の時代に沙翁のメタ認知、木下氏のいう今日的マクベスが時代に符合し過ぎ、かの政治家にこの台詞ぴったりとは。〉木下訳の言葉のノリは江戸っ子伝法な、というか石原裕次郎の若い頃の東京ことばはきっとこんな、みたいな勢い。しかし下品に落ちることはないのが氏の持ち味。翻訳って面白いのねえ。戯曲って面白いねぇ。時代がかった言い回し、宗教的な了解の引用、語られれば即ち現実という即妙、なんぞはシェイクスピア劇のドラマツルギーそんな緊迫やスピード。それが会話一つ一つに欠損なく幕が降りるまで一貫して流れる。素人の私にも感じられる木下訳の上質感。こんな台詞で聞かせられれば、換骨奪胎、時もところも変えて戦後間もない日本の、仁義なき、大企業出世闘争物語にもなりうると感じた。言葉ってすごい。話し言葉って。さて。ヒースで魔女に初めて出会ったとき、マクベスは同輩バンクォーと共に在った。それは彼らには予期せぬ遭遇だった。そそのかす魔女にマクベスの心は千々に乱れるが、バンクォーは冷静であった。再び魔女に会ったとき、マクベスは一人であった。しかも自ら望んで会いに行った。魔女と人間が出会うために、また預言と幻影を得るために、あり得ない種々を大鍋のるつぼに混ぜ入れる、かの儀式。そのナンセンスなごった煮。マクベスは人間界では悲劇だが、転倒した魔女界からは滑稽な見ものだったのかも知れぬという惨劇。レイディマクベスの落差の振り幅は人間界を超えているようにさえ感じる。あのような認識を生身の人間は長時間持ち堪えることはできない故の狂い死にの結末なのだろう。病膏肓に至った妻に効かせる薬をマクベスが叫ぶ。「大黄でもセンナでも」大黄は漢方薬、これらは女性の便秘薬に用いられる。最近、丁先生の対談読んだところなのだ。過剰なもの、停滞したものの排出。そっか。断捨離だ!世のレイディのみなみなさま。塵は塵に 灰は灰に
2023.12.08
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2023/12/06/水曜日/雨のち晴うむ。我が家からは多摩川越えて、神田川越えて、隅田川越えてやって来たのだ江戸川。とおい、とても。うらうらと陽光届く土手の空のまあ、どこまでも広いはるかさよ。その土手の緑がお日様の光を呼吸している、そんな様子が窓いっぱいに輝いているげんげ工房5日前の予約とあった。第3、4週の水木金土とあった。お茶とお菓子付きとあった。10時から3時までとあった。幾つかを全て取り払い、ヒンメリを教えていただいた。お昼をどこかで買って伺いますという私にマクロビランチと息子さん手製オニオンスープとトマトエリンギひき肉パスタまで用意くださった。それに有機農法ワインも!話がどんどん弾んだ。話があちこち飛んだ。共通の知り合い、共通の考え方が重なり積もる。工房を主催する恵津子さんは小学生の先生を定年まで全うして、その後5年間教師指導官を務め、退任された。3人の息子さんを産み育て。全給食の時代、マクロビ弁当を持たせ。↑左の本が一人で作るのに役立ちそうだった。夏休みには平和や原発、環境人権、パーマネントカルチャー問題に絡む世界中のカンファレンス、見学、学習会に参加してきたという。いわゆる観光旅行はしたことがないのだとか。そして、自宅の一部を地域に開放し、幼児から高齢者まで、アート手仕事を教えながら社会問題への発言や上映会、哲学カフェも開催する。こんな場所があるってすごいことだ。恵津子さんだからできるのだ。↓大麦はご友人の育てたものとか。市販の下の麦と色がまるで違う。濃淡があり、あるものはまさに金色に輝く。我が家からは往復5時間。それでもまた訪ねたい。恵津子さんに会いに。そんなに長く学校の先生をなさっていたら、記憶に強く残る生徒さんもいるでしょうね?と尋ねたらぱっと顔を輝かせ子どもってすごいですよね!とおっしゃった。すべての子どもがかけがえがない宝なのだ、彼らに育てられてきたのだ言外にそう言ってられるように感じた。その一言の中に出会った全ての子どもの顔がうかびあがるかのように。そうしてヒンメリが出来上がった。我が家に光が灯る、金色麦の。
2023.12.06
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2023/12/05/火曜日/家にいる日は曇天でも好〈DATA〉著者 ウィリアム・シェイクスピア訳者 石井美樹子発行所 河田書房新社2021年5月20日 初版印刷2021年5月30日 初版発行〈私的読書メーター〉〈同じ翻訳テキスト再読。あらら読むたび新た。2年前の私は今の私ではないことの証明か。先日の初冬が本日は小夏。今どきの天候のように落ち着かぬマクベスが心情。ヒースに現れた三人の魔女にたぶらかされ夫人に油を注がれ、忠臣マクベスは王を殺害し、側近に罪を被せた上で彼らも討つ。さもさも忠君義憤の二枚舌。悪業がばれれば王殺し、の恐怖に彼の剣は次々と血塗られる。死人に口なし。死者の思いはマクベスの独白に、彼の幻視に、大地の空気に織り込まれマクベスという人間を震わせる。或いは、過去から未来から三人の魔女の姿を結ばせる。〉問題の fair is foul, foul is fair. 石井訳では 晴れは曇り、曇りは晴れこういう訳は初めて。きれいはきたない、が慣れ染めている。スコットランドやアイルランドの変わりやすい天候は、短日滞在の私も経験している。一日の中に晴れも曇天も雨も夏も冬もあるような日には「fair is foul, foul is fair. 」とも確かに言いたくなるだろう。それに連動するマクベス登壇の最初の台詞を「こんなに天気が悪いのに戦いに勝ち、こんなに良い日は初めてだ。」と訳している。これはどうか。救いようもなく人殺しに堕していく主人公マクベスの第一声とするには物足りない。これから先のマクベスの運命が織り込まれたものになるにはどうすべきなのか。魔術によって、「バーナムの森がダンシネンの城にやって来るまで」、また「女から生まれた」者によってはマクベスは滅ぼせない。本書訳では女から ではなく女の股から、と表現される。マクベスを討ち取るマクダフの産まれた経緯からするとその方が整合性も高く、すっきりする。この言い回しについては、後書きにシェイクスピア時代のイギリス国教会埋葬式の『共通祈禱書』から次の引用がある。「女から生まれた者が生きるのはつかのま、人生は悲惨に満ちている。…花のように伐られ、やがて影のように消える」OED Oxford English Dictionary を駆使し、幅広くキリスト教研究も重ねている訳者の努力に敬意。訳者が『マクベス』の主題は二律背反の二枚舌、と見る歴史背景に、議事堂爆破計画未遂事件があったという。これぞ王殺しとテロを目論む事件だった。カソリック神父ガーネットの『二枚舌の論考』は、英国で締め付けのきつくなったカソリック信者が生き延びる方便として書かれ、二枚舌論が巷間、論議の的となり、社会現象となったという。事件の真相は、カソリックの根絶やしを図った英国王の最側近である国務長官のでっち上げ、というのががまことしやかだ。盧溝橋事件であるか。事実、この事件を機に英国のカソリック教徒への差別と迫害の歴史が始まる。とどのつまり誰が益したか。歴史はそこからよく見えて来る。宗教と政治の権力闘争の17世紀初頭英国、大航海時代の富が偏在しはじめたその時代。大資本家時代の幕開けに。11世紀のスコットランドを舞台に、魔術的二律背反の枠組みの中に、二枚舌のマクベスなる臆病な残忍な偽の王をいっとき現出させ、結果、人間の留まるところを知らない欲望を裁断する。マクダフのいう自由はどこまで有効なのか。そんな問いも含み幕が降りる。バーナムの森は動いた。女の股から生まれなかった漢がいた。この二律背反はどうか。動く森バーナム。トールキン『指輪物語』のエントはこれが源泉か。お釈迦さまは母である王妃が花園で咲く花に手を伸ばした時、その脇から生まれ出て歩いたのだった。聖王の統べる古い秩序世界が、サカシマに破壊された。それは二枚舌を繰るニセの王だった。二律背反に符合した新たな勢力はこれを討伐した。穏やかな眠りが再びもたらされた。しかし、fair is foul, foul is fair. と見据えた魔女らは杳としてその行方が知れぬ。ヒースに忽然と姿を現すか、我らの時代に。
2023.12.05
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2023/12/04/月曜日/快晴白州手打ち蕎麦 くぼ田白州町 台ヶ原天もり十割蕎麦 1950円二八+小天丼 1750円ということでやっぱり外食の時にはツイお蕎麦。平日のお昼ちょっと前なのに並び待ち。外に並んでいても、中に記入ボードがあるのです。二八と比べるとやはり十割蕎麦が断然お蕎麦そのものの魅力を放つ。ここのツユはバランスが取れている。天ぷらは衣がやや重い。この蕎麦屋には別の訳もあって寄り道している。愛犬が亡くなる一ヶ月前の昨年8月に、お店の入り口でレオを暑さしのぎさせていただいた。大人しく待てるようならどうぞ、とのことだった。レオはとても大人しかった。未だ知り得なかったけれど、その頃から悪性のリンパ腫に犯され始めていたのだ。この蕎麦屋の、この場所に、一年四ヶ月前、確かにレオはここにいた。ケージの中で静かに私たちの食事が終えるのを待っていた。新蕎麦は甘くて少し喉につかえる、のだ。
2023.12.04
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2023/12/03/日曜日/山は寒いが好天満月庵北杜市武川町蕎麦と炊き込みご飯 ¥1000半年ぶりくらいかな、須玉から甲州街道を少し戻った辺り、右手にある満月庵本日のお蕎麦は、この武川町で、お店のご主人←かわいい元気な女性←が育てた常陸秋蕎麦の実を用いた二八。初めての試みなのだとか。しかも本日が初日。初の初の新蕎麦!小さな畠につき2、3日で使い終わる分量らしい。同時に収穫の山ワサビ=ホースラディッシュも添えられて。凄い巡り合わせでお蕎麦が頂けた。感謝、感謝。常陸秋蕎麦らしい淡い緑色先ず山ワサビと一緒に口に運べば蕎麦の強い甘さにびっくり。水分多めに含んだ蕎麦は瑞々しく、身体内部からの清流を感じるよう。ご主人さま、あとはツユの出汁をもう一踏ん張り。いやいや、この蕎麦は塩が良いかも。炊き込みご飯がまた、実家で食べるような慈愛溢れるお味。ごちそうさまでした!↓同行のレオぽんも他にお客さんがいないとあって三味線演奏してくれる。窓の向こうには富士山が遠く臨めるのだった。
2023.12.03
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2023/12/01/金曜日/好天手打蕎麦 ふじや新宿区十割蕎麦 ¥980月に少なくても一度は訪れる、わたし的蕎麦のスタンダード店。わさびの量がたっぷりあるのも嬉しい。しばらくわさびだけで頂き、ツユを使う。なので、割と多めにツユが残る。こちらの蕎麦湯、ちょっと粘度が強い。もう少し緩く、熱くしてくれるといいな。
2023.12.01
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2023/11/29/水曜日/温かい初冬10月28から11月18日の3週間の間に、どうしたものか濱田庄司、河井寛次郎、柳宗悦の旧居を連続して訪ねた。日本民藝館以外はそこが第一の目的ではなく、付随しての見学だったが案外それら御三人の住まいが、心に沁み込むこと大だった。かつてそこに在り、その空気を動かし、影を刻んだ姿をぼんやり空想すると、気配はいよいよ濃密になる。その気配の色合いにも御三人の個性は立つ。▼濱田庄司旧居素晴らしい茅葺きの、堂々とした農家。心の故郷ともいえるような益子の風景と住まい。濱田庄司の、昨日は居たけど今日は留守、明日はどこなと出かけてます、の意の揮毫らしき一枚実は庵の奥深く、ひたすら土をこね土の声を聞いている気配濃厚だ。ここは土地の風景が格別素晴らしい。景色が魂を潤す。▼河井寛次郎旧居↑思索のためか、二畳の離れ田舎の好々爺、元先生の住まいのような風情がある。重さと軽さが同居している。ちょいと足を伸ばせば祇園、先斗町の町中に一つの宇宙がまろくある、という印象。禅問答のようなインスピレーションの書が多々。好きなのが、手霊足魂 の四字柳は紋様のための紋様を嫌ったそうだが、河井寛次郎は手を彫り、手を描いて紋様に昇華している。↑手の紋様。他にも関節毎に球に近いような作品もある。右は五世井上八千代氏の手。あ、河井寛次郎の手だ、と驚く。器の初源、掌。▼柳宗悦旧居↑日本民藝館玄関扉ガラス面に映る旧居2階豪農の長屋門は、栃木日光街道沿いにあったという。徳川家代々が目にもしたろう。同じ栃木でも濱田庄司の参考館辺りとは異なり、風格とか威厳が限りなく権力というものに近づいているような。そのあまりの重厚感は、瓦に用いられている大谷石が発する。しかしながら玄関土間にも大谷石が敷かれていて、頭の上と足の下が同素材というケレン味内部空間もその長屋門に同調するように重い。黒光りの木材は、長年囲炉裏で炙られた色であったとしても私には重か感じられる。ほっと息が漏れるのは民藝館玄関扉の白木の肌合い。その軽さと長年手に触られ練れた明るみ。畳面や障子、和紙、竹。できる限り素が、私には好ましい。柳宗悦旧居の、日本民藝館西館からの帰途、小さなギャラリーでレードルを求める。↑竹俣勇壱作/素材ステンレス型あり/仕上げコタタキ工業製品+手工芸 シン民藝?大皿の汁ものの取り分けに重宝している。
2023.11.29
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2023/11/25/土曜日/いきなり昨日の半分の気温11月2週目頃から取り組み始めたキットのヨークフォレストグリーンと命名されたメインカラーの糸が途中でぷっつり切れる災難に遭いながらもキャリーオン。襟周りで糸つぎしているので肌への触りがきになるけれど、襟は後で折り返す指定なので、まぁ何とかクリアするでしょう。21日火曜日 ここまで編み進み、大丈夫かフォレストグリーン。ああ、やっぱり。事故のようにぷっつりと。同じ位置で2回。糸が切れている。何か原因があると思われるB級糸かと思う。さすがに問題であろう。ここまで編むと愛着が湧いて、返品をする気にはなれないけれど事実をお伝えしよう、発行主体の株式会社ほぼ日さんにも価値ある情報と考えます。あー、アンゴラの毛が着ているものを色まぶししながら昨夜もがんばりましたー。ヨーク部分あと少し。↓先日京都街角のギャラリーで見たニット。お、ギャップ糸多色遣いの参考品となります。
2023.11.25
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2023/11/24/金曜日/インディアンサマー市比賣神社の真名井の水が、確かに携行ボトルに入っている先週金曜日。↑稲荷神社も同祀されている。お稲荷さんは秦氏の祖先を祀るとか。京都は古来秦氏の所領地朝は京都にいたのが夢幻の如く、午後は水道橋のお教室で、ニットを編んでいるのだった。本日のお題は、最新刊毛糸だまに案内されている、小さなレース編みのようなピースと、クロシェで星を編む、というもの。↓左は私の編んだもの短めに仕上げた。こんな小さなトライアルでも先生のようにクリアで目が揃うようには編めない。繰り返し編むのみ、である。ああ。お星さまも編み間違えて、小さなドワーフに変え。本日習ったモチーフをどんなふうに活かせるかな、わくわく(^^)
2023.11.24
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2023/11/23/木曜日/早朝の雨〈DATA〉著者 坂田和實 尾久彰三 山口信博発行所 新潮社とんぼの本2008年5月20日 発行〈私的読書メーター〉〈民藝館へ2度訪問の谷間で読む。「とんぼの本」って気楽なガイドブック、の印象だったがいやいや。どうしてどうして、予定調和なき坂田和實氏と尾久彰三氏とのやりとりの迫力に読む私も痛みを感じるほど。古道具坂田は閉店。遂に訪ねることができなかったがその道でつとに高名で彼の元から民藝が軽やかに広がったように感じられる。日本民藝館即ち柳のチョイスを坂田好みチョイスした品々を鼎談するのだが、鈴木大拙の名は出ずともやがてその思想に環流する。ように思う。千宗屋「民藝と茶の湯はある意味同じ問題を孕む仲の悪い兄弟」、包摂平和祈念〉柳宗悦の御伴侶が声楽家であったことが、柳宗悦の欠けたるところを補って余りあるように思った。即ち、ものの美は上々。その一方で音楽が日常に溢れていたこと。演奏されるその時のみに立ち現れ消える一回性の美、だ。しかも人間の声の。柳兼子さんは当時、声楽の神さまとまで称され、ドイツ留学の折のベルリンリサイタルも大好評を得たという、正真正銘の芸術のミューズだ。旧居の図面では、民藝館側に音楽室が大きく取られている。軍歌は強要されてもそれを拒み、柳宗悦と共に半島に渡り、日本の圧政を非難しながら当地の文化を守った。本書に寄って知ったが、空襲の火の手がすぐ先まで迫った時、オロオロする柳宗悦を横に建物に水を撒きかけ防災に奮闘したという。火の手は手前で奇跡的に消えた。後年、自宅と民藝館は米軍の攻撃対象外指定であったことを夫妻は知る。敗戦間も無い国破れた風景。亡失の男が幼い娘と二人で、導かれるようにこの無傷の建物を訪れた。建物に入ると娘は何故か赤とんぼを歌いだす。遅れてそれに合わせ美しい声で唱和する女性の声。それは兼子さんだったろう、という思い出がとてもうつくしい。兼子さんは経済的にも柳を支え、晩年まで一線で活躍した。柳宗悦の見る目は人間においてもかくも。彼女を主体にしたストーリーに出会いたいもの。
2023.11.23
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2023/11/22/水曜日/晩秋日和◼️手打ちそば 大川や★初訪問千代田区せいろ大盛り 1200円+カキ酢 880円お昼は2時半までとあるけれど、2時かラストオーダーらしく、2時前到着のぎりぎりセーフ。せいろの蕎麦は何gかと聞くと110gで大盛り150gとのこと。私の適量130〜140には帯に短し襷に…仕方ない。大盛り発注。「海老が売り切れましたが、牡蠣なら天ぷらできます」、の牡蠣に鋭く反応。今シーズン初めての牡蠣!やはり生で頂きたい。アルコール無しだけど酢牡蠣もお願いする。紅葉下ろしの赤、食用菊の黄色、ワカメの深緑アサツキの緑、器との彩りもよい。先付けの酢牡蠣が終わる頃に蕎麦新蕎麦の甘味、蕎麦のヌメリなども感じる。香りはそこまで来ないような?ツユ、私好みのカツオ強めで旨し。ただ山葵がもうちょっとほしかった、と伝えると「今年の天候で不作の山葵の高騰が」と申し訳なさそうに。ここの山葵はじんわり丁寧に下ろしていることがよく分かる。山葵と蕎麦の甘みの清涼感がたまらぬ。十割かと思いきや、二八とのこと。好い蕎麦屋さん。
2023.11.22
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2023/11/21/火曜日/穏やかな日和〈DATA〉 編者 河井寛次郎記念館発行所 講談社講談社カルチャーブックス1291998年10月5日 第一刷発行〈私的読書メーター〉〈耳目に届いていても実は何一つ知らなかった。そんな事ごとの山に分け入り、丹念に葉裏まで確かめながら何事かを感じ考え糧にして生きていく「暮らしが仕事」になればなぁ!天才寛次郎は、土を捏ねてもロクロ回しも釉薬研究、上手の中国、李朝の写しにも遺憾無く才能を発揮した。当時柳宗悦とは誌上議論がぶつかり不仲だった。京都疎開中の柳宅を訪ねようと後輩濱田庄司に促され、渋々の体で訪ねた先で柳の木喰仏に遭遇する。寛次郎の魂消た反応をみて一瞬の内に彼らは氷解する。晩年民藝のその先へ全く自由になる作品群は岡本太郎のエネルギーの如く〉同じ講談社の自然科学系ブルーバックスに対応するのか、人文系カルチャーブックス。シリーズ発刊の言葉は野間佐和子氏。「新しい時代において、私たちがなすべきことは、「物質文明」の追求ではなくて、「精神文化」の充実を図ることであり、国際化がますます進む現代社会において必要とされるのは、ビジネスのことだけではなく、自国、他国の文化を理解することです。…」経済大国も今は昔。インドや韓国にも抜かれそうな具合で、貧困層は3度のご飯が頂けない一方、世界二位の金持ち者数とか?ただし2021年の円レートらしいけれど。いつの間にか、ほんとに歪な国になったもんだ。「物質文明」はお金がなくちゃ対応不能でしょうが。「精神文化」ならいつでも対応可能。世界のトレンドに即しているなあ、わがニッポンあ、金持ちが世界二位ほどいるんだっけ。私とは縁もゆかりも無いからツイよその国のように思う。貧しいことは恥ずかしいことでは無い。恥ずかしいのは人間の品位を貶める行為だ。私の親はそのように子の成長を促したけれど、今になって周囲を見回すとそれは少数派だったかもしれない。バブル以降の世にあって、隔世の感がある価値観ではあるけれど、それが私の「美の標準」だ。たまにその標準を持ち合わせ生きる人を見つけてはとても嬉しく心が軽くなる。河井寛次郎もそのようなひとの一人と確信する。
2023.11.21
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2023/11/20/月曜日/晴れるらし弾丸京都の最大目的はこれ↓東京の予約は全て空振りですっかり諦めていたところに、京都公演を知る。冗談半分に申し込んだら、三つの内の一つが、なんと当選!行くしかない。芝居の日程だけは縦にも横にも動かせぬ〜翌日午後イチで水道橋に居なくてはならない。そんなこんなで弾丸旅芝居のはねた後のお楽しみ、前回外したおばんざい屋さんはその夜は急なお休み。当日行き当たりのめぼしいところは予約のみ。四条辺りはそんな風なのね、ふらりが楽しみなのに。高瀬川沿いに小さなおばんざい屋さんを見つけ落ち着く。静かなお店でお腹もほっこり。翌朝のお散歩でお水を頂きに円やかな美味しいお水をありがとうございます。緩急ありて車上のひとに。↓帰りの富士京都駅の周囲は何しろ大きなトランク、スーツケース組がごった返す熱気、東京駅では働く人7割目のわっしょい混雑に気も遠く。怒涛の人波に押され、水道橋駅。圧倒的若者群と共に吐き出され、よろよろと月イチのN先生クラスへそれでもの遅刻。レイディマクベスについてしばらく持ちこたえて味わいたい。
2023.11.20
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2023/11/19/日曜日/うららかな晴天↓作業場に続く庭に出る前に鏡が掛けてある。心遣いの。↓故郷有志のみなさんが贈った竣工祝いの球体石は寛次郎所望のカタチ↓素焼き窯の前に、元作業場の所にも小ぶりの椅子お国柄も素材も違うけれど調和している。↑左の室はロクロを引く部屋、右は土コネの間だったか。手前には素焼き窯が設置されている。↓素焼き窯↓この造形そのものが神聖だ。↓地域の工人と共有したという登窯↓後期作品群↓中期作品群↓初期作品群↑左下、最初期作品↓晩年の頃↓暮らしの中に戒をもつことの大切さ。ましょう、の繰り返しが柔らかくかつ鍛錬された意識を伝えます。↓またおこしやす。草花も作品も生き物もそのように私に語りかける。
2023.11.19
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2023/11/18/土曜日/風あるも晴れ金曜日の朝、東京目指す新幹線ひかり米原は曇り、千代田区は土砂降りの様子今回のタンカン京都 のツインピークスの一つ。それは 河井寛次郎記念館佇まいのその静かな表に、よもや急な休館ではなかろうかと恐る恐る重め格子戸を引く。あ、開いた。入れる。やれ嬉しや。↓吹き抜けの、炉のある応接の間には小さな家のような家具のツマ側に火伏せの神棚か?この吊り戸棚をもう少しゆっくり見てくればよかった。ここにも火伏せを祀る?方角は登窯ではなかろうか。屋根付き家具南面と囲炉裏↓囲炉裏の隅の意匠。火、の文字が見える。↓応接の間。三本脚の椅子と不思議なオブジェはストーブだろうか?↓ウスのイス階段家具の手摺り?握り玉↓2階階段ホール。どことなく日本民藝館のような↓卓のテクスチャー↓階段ホールの出窓風↓ホールにつながる、上座敷き。小上がり床になっている。素晴らしい母子像。寛次郎作と思われる。↓お琴が立て掛けてあったと思う。お嬢さんの部屋かしら、青のガラス花瓶蓋付き作品の配列↑手考足思
2023.11.18
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2023/11/17/金曜日/朝は小雨昨日出発の新横浜は良いお天気今回の京都弾丸一泊は、会員にはなったけれど一回しか使ってない大人の休日倶楽部を利用して、と思いきや。これは西方面にはご利益はさっぱり、だった。というか。2割お得で使えると宣伝の、新幹線はひかり、こだま。のぞみには適用されない。これならJR東海ネット早割がお得でした。反省。弾丸から濁点取ってタンカン、くらいの勢いで列車の人となる。まあ、行きも帰りも富士山ロケーションを考慮頂いたのでヨシとする。ここ最近新幹線から拝めなかった富士山がくっきりと。それから。伊吹山。ひょっとして違う?でも私はいつもこれを見るとあー伊吹山って思うのだ。間も無く琵琶湖の南端を過ぎ、トンネル出ると京都なの、である。京都弾丸の目的とは別に、せっかくだから先ず行こうと考えたのが、怪談和尚三木住職の蓮久寺。↓大宮通りの立体歩道橋から南以外を見回す。京都の良さは街中からも山が見えること。山の姿でオリエンテーションが認識しやすい。蓮久寺へは地下鉄五条駅を降りて15分ほど歩く。お寺のある通り入り口にはおや、三喜という名のお好み焼きやさんが。あらー本当にまっかな山門が。高名な花魁の寄贈と聞くけれど、さすがに歳月を経ています。↓なかなかお商売上手お守りが欲しくてやって来ましたが、とてもお忙しいらしく、土日以外はお守りも対応しないとはびっくりです。それでも近しい所にいらっしゃいます、大黒さま大雲住職の夢枕に何度も現れ、今日の盛運を授けたという。福々しいお姿でございます。お仲間も続々とお揃いで↓本堂は既に完成全体は年末までには完成らしい。おみくじを引きました。半吉(~_~;) 確かに。一見さんではお守りも頂けぬ京モードをしみじみ感じましてござります。滞在時間は短し、いそげや先に。角を回ればはや、住之江につきにけぇり〜街を歩けば神社仏閣に当たります。
2023.11.17
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2023/11/16/木曜日/朝は快晴蕎麦の実よしむら京都市中京区本日膳 1600円本日はぐーんと遠くまでやって来た。京都ならうどんでしょ、と言いたいところだけど京都でも旨い蕎麦やに当たりたい。一応評価を気にしてやって来たのが五条烏丸のよしむらさん。あー、お店が見えたあたりから観光客向けなのかなぁ、と引いてしまうがとにかく食べてみるまでは結論は出せない。京都はちょー少ないお馴染みさんとその他観光客で回ってるところだしねえ。お店の前にはここで並び待ちください、みたいな指示があったのだけれど、お昼前はその姿もなくすんなり入れる。メニューから本日膳を選択、お蕎麦を十割にしてもらう。お蕎麦は常陸秋蕎麦とのこと。わざわざ沖縄のお塩も添えてサービス。ありがとう意外なことに京都弁が周囲から聞こえる、ということは在住の方も結構ランチしに来ているのかな?十割蕎麦そのものは美味しく頂きましたが、温かいとろみ蕎麦がダメ。蕎麦そのものの美味しさが生きない感じ、、あと、木葉丼てずっと油揚げとネギかと思っていたが当店では卵とかまぼこでした。お漬物はとても美味しい。一階に降りてお勘定する頃には観光客らしき集団がわっさと混み合っていた。↓ここもチェックしてたのだけど、ここまで到達する前に空腹に(~_~;)
2023.11.16
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2023/11/15/水曜日/最高気温14°曇天浅草橋界隈は旨い蕎麦やが分散している。張り切ってさかき にやって来たが、水木休店(T-T)でも 分散の土地の良さ。他にも寄りたいところあり。手打ちそばと海鮮と鴨 和仁 浅草橋店★初訪問ランチセット 十割蕎麦+天丼¥1400↓店名が長い。そうそう、和仁で良くない?蕎麦やを訪ね、歩き回り空腹で、天丼によろめく。入り口に 新蕎麦 の貼り紙の白さが嬉しいねぇお蕎麦を十割に指定しても値段がそのまま1400円。デザートも付いて。お香こ以外の一品も付いて!ありがたい。肝心のお蕎麦も甘味が強く香る。コシが強く咬みごたえ十分。天つゆは濃いめ甘口、海老がぷるる。イカに茄子、さつま芋。ごはん粒はしっかり。蕎麦のつゆはカツオがやや負け?昆布勝ちかな。江戸らしい濃さ。次回は粗挽き蕎麦食べようかな。でもその日によって支度がない時もあるみたい。ご馳走様でした!↓ああ新蕎麦
2023.11.15
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2023/11/14/火曜日/小春日和↓10月末に届いた手編みキット mizudoriお高いので躊躇しつつも、自分へのクリスマスプレゼントなんぞと弁解を重ねて発注した。しばらく7号とか8号で編んでいたので、細い針はもはや懐かしささえ感じるこの頃。アルバイト仕事は決算の山場を越えて、心底ほっと緩む。さあ、新しく取組むときが来たとばかり気分も上向く。ゲージを取らずにダイビングしてしまった首周り。え!メインの緑の糸が途中でぷつりと切れているではないか。仕方ない。糸を継ぎ足して編み、目数を再確認。あーあ、四目多いではないか、解き編み直し。まあ、糸切れ無しで首周りは編みたいしねえ。↓糸切れの地点でまでを残しておく。再度の作り目はレシピ通り、ごく一般的なロングテイルにした。一目ゴム編みのキャストオンは数え間違いが多く、目数の多い時は苦行ではある。ところが糸切れは尚も続く。襟の一目ゴム編みの仕上げまでに3回糸切れが発生。これは返品すべきかと悩む。しかも指定の段数に達していないのに、指定の3センチを超えている!模様のヨーク部分は2号針指定だが、1号針をキープオンした。悩みつつも気持ち緩めで編み進める。金額2万円越え!のキットの場合は、今後はできるだけ対面で買うことにしたい、と思った。どうぞこれ以上、糸ぷっつんがありませんように。昔から思ってたんだけど。イトイシゲサトって何となく胡散臭い。林真理子と同じ体臭がある気がして苦手。あくまでも三國さんに半目は向かないアタシ。手を動かすヒトを最後まで信用する。ので、まあ己が不運をかこつ。のだ。それでも編み物は楽しい!しあわせ。
2023.11.14
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2023/11/13/月曜日/何故なの?急な寒さまだまだどっさりとあります、草木染めギャップ糸こと G Gヤーンこの糸の手触りと色味は、前々より思っていたけどサイチカさんのカケラというリストウォーマーは、実はよく映える。サイチカさんは縄文土器のカケラをイメージしたという。うん、この糸は縄文に反応したのだろう。緩めツイードジャケット、できれば手縫い。みたいな袖口から出してみたいなぁ。↓スタディC一目ゴム編み のよじれ変形の自由律がこの糸の大らかさに似合う。ハタ。と考える。これだけを単体で着用すると、目立ちすぎないか。この糸は目立ちたくないのだ。応用してスヌードか、話題の首だけセーター?みたいなものを遊び編みしてみる。↓適当に山を拵える。うむむむ。あと少しというところで糸が足りずに、やや濃い目を足して裾を編み、閉じた。↓着用してみる。ジャケットの下でいいかも。スタディD↑ツギハギみたいなカウル風オリジナルなので名前をつける。「行きあたりばったり」再現性なし。で、持って無いんです。緩めツイード、手縫い。みたいなふっくらしたジャケット。落ちてないかなぁ、何処かに。落ちているものはどんぐり。↓スタディE↑残り糸でどんぐり編んだ。ravelry にレシピが落ちていた。糸はともかく、この色は、自然の形象=事物=どんぐり、を編むのにはとても相応しい。皿は言問団子屋で昔使われていた団子皿のB級品と思う。三浦乾也ものが欲しかったのだが。右、5号針。左、2号針。スタフにする端糸も増えたので、丁度好い。待ちぼうけのウサギにならないよう、せっせと探求してみるかな?緩めツイードの手縫い風ヂャケッツ、柳や吉田が着てたような。↑『日本民藝館へ行こう』から
2023.11.13
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2023/11/11/土曜日/めっきり晩秋先週連休の好いお天気に誘われて、駒場公園の前田侯爵邸を見学した。文化の日の催しウィークとかで、フリーガイドが設置され参加してみることに。ツアーは小一時間。長いと躊躇したが、それでも早足巡りだった。見るべきものが豊富だ。↓東門の方からアプローチした風景前田侯爵邸は第16代当主、前田利為トシナリその人の時、竣工した。本郷の土地をT大に譲渡した代替地に、侯爵が望んで駒場の土地、当時3万坪だかを入手し、等価交換でお屋敷も構えたらしい。↓玄関ホール侯爵は英国留学や大使付き武官としての赴任の経験で英国式のカントリーハウスへの愛着があり、駒場の風景はそれを思い出させたらしい。 ↓広々とした芝生の裏庭からはお屋敷も小ぶりに見える。因みに、現代当主はこの11月に前田利宜トシタカ氏が19代になったらしい。ガイドツアーならではのタイムリーな話題も。トシタカ氏は京都でコーヒー屋になった云々を聞いて検索すると、なんとまぁ。「京都の朝はイノダから」の、イノダコーヒーの代表になられたのだった。 慶喜公もすなる珈琲を加賀の殿さま末裔も?そういえばツレの従兄弟も東京在住で京都にコーヒー屋を持ったとか。末裔から庶民までなんかいいらしい、京都でそれは。↓バルコニーに設けられた水鉢。家紋?玄関ホールを入ると素晴らしい階段が左側にある。階段下の空間がイングルヌックになっている。当時からイングルヌックの名で呼んだのだろうか。それは英国ではなく北欧のものだから。昔、とある方のアトリエをデザインしたことがある。その方は北欧暮らしが長く、イングルヌックを所望されたのだった。イングルヌックとは何ぞや、調べるにも資料の乏しい時代だった。今は何と便利なことだろう。前田邸の1階は来客に接する、或いはもてなすためのオフィシャルな空間。各部屋やコーナーに相応しい暖炉が設置されてはいるが、実はセントラルヒーティング方式なので、それらはお飾り、というのはいかが。↓こちらは温風吹き出し口?どことなく北欧の住宅で見かけるような。ハマスホイの絵とか。一つの暖炉で隣接する部屋も暖める、例の方式に用いるものに似ている。↓吹き抜けのホールはかなり寒かったようで、このイングルヌックは温熱が留まり愛されたとか。本物の火が見えたらどんなにかよかっただろうに。2階はプライベートと使用人の空間。女中も金沢辺りのしかるべく筋の娘さんらが、行儀作法の学びを兼ねて集められた。かつての江戸屋敷スタイルが踏襲されたのだろう。地階は厨房や機械室3階にはランドリーが。長女の酒井美意子さんら子ども室も当時に近い姿で見られるが、当初の用意は美意子さんだけだった。図らずも子福が得られ、談話室とか図書室など別用途の部屋が順次子ども室に変えられたという。このお屋敷で最も麗しいのが夫人室見た瞬間に好みのレベルを超えて、その優雅さにため息がもれる。当時の家具は殆ど残ってないらしいが、この部屋の壁紙、カーペットは当時を再現した。お屋敷の中で最上の場所に最上の意匠と品質を、建築評議会の最中に侯爵が指示したのかしら。この部屋の主人は侯爵後妻の酒井菊子さま。久邇宮朝融王婚約破棄事件の方故に、侯爵がいかにも丁重にお迎えしたのであろうか。或いは加賀百万石の名にし負わば。酒井美意子さんの思い出には、母はベッドに入るまで靴を脱がないで暮らした、とあるそうな。うむ。庶民とはチガウ。菊子さま、侯爵より長身であらせられる。それにヒールともなると、いかにも女主人。寄木の床と絨毯に段差のない工夫。これなど、当初からオーダーメード以外の選択肢は無いという発想↓夫人室は衣裳部屋や談話室も伴ったという、侯爵も及ばない待遇。その談話室で妻子は多く過ごし、朝の食事も摂った。↓夫人室からダイレクトにつながった主寝室。珍しく家具がかなり残っている。寝台は英国だかフランスだかで作らせた。枕元に懐刀を置くためのニッチが設けられている。うむ。庶民とチガウ。↓こちらは侯爵の書斎だったか、親しい人を招く部屋だったか。夫人室隣接。簡素ながらも風格のあるデザイン。執事は近い部屋に控える。うむ。庶民とはチガウ。一切の和モード無し、純然たる洋館は、しかし日本式住宅、和館と長い廊下で繋がっている。渡り廊下の建築も洋から和へ、違和感なく繋げるため仕上げで変化させる工夫が洋館窓から覗ける。↓大広間のクリスタルカットされた窓ガラスは、広い庭からの陽光を虹色に部屋に落とす。建築にあたり評議会が持たれ、当時の最高水準のチームが内外の美と機能を入念に研究し、打合せを重ね、竹中工務店によって建造された。設計は学士会館やライト後の帝国ホテル設計の高橋貞太郎前田家が建て、資本家が買い、進駐軍に接収され、やがて目黒区の公共財産になった。建物は時代時代の権力や財力へ振れながら、今現在はコモンへと移った。百年に満たない歳月でさえ、生者必滅会者常離だ。↓分かり辛いが、大理石甲板に閉じ込められ、スライスされたアンモナイトが上中に。屋敷で繰り広げられた晩餐会や夜会に現れては消える登場者を見ていたのは、このアンモナイトかも↓日本家屋の玄関アプローチ。昭和初めの職人たちはこちら側の普請では、何となし呼吸がしやすく手業した、ような印象をもつ。和館内部も次回はガイドツアーで見学したい。↓駒場公園入り口も重厚感がある。ここも加賀藩藩主、前田侯爵の敷地だった。文学館までは寄れなかったが、そこは当時、温室と厩舎があったそうな。まさにカントリーハウスかマナハウスだ。当主は46歳で、太平洋戦争時に南洋に向かう飛行機の事故で亡くなった。これを戦死とするか事故死とするかで残された遺族の立場が大きく異なる。事故死を主張したのは東條英機だった。陸軍大学校首席卒の前田利為と東條英機は同期とはいえ、東條は4年も遅れて卒業した挙句、何の成行か陸軍大将のまま総理大臣になった。東條は嫉妬深い性格で、人事権を得るや対象人物を隔離、危険な任務に当たらせたという。家柄も知性も品位も敵わない利為にも勝手に恨みを募らせた。男どもの嫉妬恐るべし。政治家を希望していたという前田利為が東條と入れ替わっていたならば、日本は異なる敗戦と戦後だったろう。悪貨良貨を駆逐する悪いものが悪いものを呼んでやがて国破れ。今この時どこかで生じているバオバブの弊害を、目を凝らして摘み取らねばならない。星の王子さまのように。
2023.11.11
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2023/11/10/金曜日/いきなり最高気温17°草木染めギャップ糸。長たらしいので、G Gヤーン。と呼ぶ。この魅力をなんとか引き出せないかと9月以来の夜なべ継続中→電車で爆睡。↑スタディA媒染に工夫すれば様々な色が出せるのだろうが、それらを用いない私の経験では、草花は淡い黄色に染まる。同じ鍋で同じ時間煮詰めても色合いが微妙に異なるのは面白い。しかし、この G Gヤーン様は、何度トライしてもフェルト化が難しい羊毛だ。フェルトにするには確かランビエがよいと記憶する。ランビエは割とボソボソとした手触りで、この糸も近いように感じたのだけど。フェルト化が難しいので、袋物はダメかしらん。とりあえず、今度は同じボーダーでも、ぐるっと輪編みしてみる。↓スタディB、である。裏側は段増しをしてこんな感じ。糸のよりがすごく異なるために、自然とドレープみたいなうねりが。ヨークの編みはじめ部分は糸が細い。うーん、色はソフトだけど個性的なガンコちゃん水通し、平干し。ややうねりが落ち着いたかも。水マジックであります。↓スタディBスタディBは丸洗いや石鹸熱湯茹でをしていない。 G Gヤーンは何になりたいのか。どうなるのが自分に相応しいと思っているのか。模索は続くが。そろそろ細い糸でしんみり編みたくなっちゃったなぁ。↓秋バラも初夏のバラとは違う。どこかひっそりしている
2023.11.10
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2023/11/09/木曜日/秋らしくも立冬〈DATA〉 著者 里文出版編平成二十三年二月二日 発行〈私的読書メーター〉〈「民芸の100年展」以来、モノ、特に家屋や里山を歩き見る事が俄然増した。鄙びた里山歩きの参考になるかしらと手にした本書。6組の対談集なのだが、どなたがコーディネートしたのか登壇者の振れ幅が凄い。志村ふくみ×近藤高弘、岡村美穂子×千宗屋の対談からは柳宗悦と鈴木大拙、民藝がまるで今ここにある生々しさと迫力がある。柳から破門された志村の、対談の末に現れることば。原点への創発というか、常に初に生まれ変わり続けることで自分自身であり続ける様、人間存在の極意を見る思い。大拙の秘書を長く務めた岡村さんがまた素晴らしい。〉▲濱田琢司×久野恵一 ー本来「民藝」というのはスピリットだと思うんですが、その部分が伝わらなくて、表面的なスタイルだけが伝わっているのではないでしょうか。久野恵一さん 私の好きな民藝小鹿田焼 飴釉打刷毛目大皿濱田琢司さん 私の好きな民藝河井寛次郎記念館 臼のテーブル▲尾久彰三×豊島愛子・鄭玲姫小谷伊太郎さんはご存知ですか?素敵なかたで、艶福家で、自前で遊んだかたですからモテたんです。尾久彰三さん 私の好きな民藝革製水注 イギリス 18世紀豊島愛子さん 私の好きな民藝鉄製の燭台▲志村ふくみ×近藤高弘ひょっとしたら、柳先生が民藝を発見されたときから、民藝は民藝じゃなくなってしまってるのかもしれない。「糸である、繭である、植物である」.こういうところに視点をもっていかなければ、できあがったものを見せても、着られもしない高い着物、そんなもの見せて何になろうかというところに、内藤礼さんの展覧会で気づかされたんです。志村ふくみさん 私の好きな民藝飛天(梵鐘) 慶州泰徳寺近藤高弘 私の好きな民藝鋳鐘窯 河井寛次郎記念館▲千宗屋×岡村美穂子ふだんの柳先生は身体から感じられるものは、一言でいうならば、「孤ボウ庵の井戸茶碗」ですね。お点前をしたりするのは「和敬清寂」の「寂」を自由に動かすためのお稽古である、という「寂」の解釈がいいなあと思います。「生死」も相対の次元を指す言葉ですから、「生きながら死人となりてなり果てて、思いのままにする技ぞよし」という至道無難禅師の偈があります。 つまり自由になるということは、一度生きながら死ぬことにある。いっぺん死んで生きるというのが、利休さんにもあったのではないでしょうか。美しさの基準がどこにあるのかを知る必要があります。柳先生は、民藝は「自由」と「安らぎ」の作であって「無心」である「無有好守醜」の境地から生み出されているからです、とおっしゃった。人もものも救われないと「用の美」ではないわけです。ー柳が禅宗から浄土真宗に行ったのは、転機になる何か決定的なことがあったんでしょうか。禅も真宗も何も釈尊の教えですのでもとより相違はないのです。柳先生は恐らく『大無量寿経』に書かれている四十八願のうち、第四番目の願文にいたく感動されたのだと思います。「無有好醜」の願ともいいます。…何れの願文も相対の次元を超えることを約束されることにあるのです。上下、左右、高低、遠近、善悪、好醜などなど。その次元を超えることを仏教では物事がまだ分かれていない「大本」「本来」を確認することにあるのです。分かれるということは分かれていない「本」がある。柳先生はきっと、美とか醜とかが未だ分かれない大本を指して、計らいのない無作為の世界に民藝を見ることができたのだと思います。人間から手仕事を奪うと必ず心の病に悩まされます。健康であることは「手と頭と心のバランス」だとバーナード・リーチ先生はよくおっしゃっていました。それはまさに民藝の本質でもありますし、宗教もまた同じでしょう。千宗屋さん 私の好きな民藝絵唐津秋草文壺岡村美穂子さん 私の好きな民藝柳宗悦「無有好醜」▲星野若菜/五十嵐恵美×田中敦子やっぱりつくっている人も楽しくないとダメなんじゃないでしょうか。工程に関わる全部の人、買う人も、使う人も、つくる人も、私たちもみんなが幸せでないといけない。幸せな気持ちから生まれる心地よさはものに現れると思います。星野若菜/五十嵐恵美 私の好きな民藝足立茂久商店のわっぱセイロ田中敦子さん 私の好きな民藝豊岡杞柳の飯行李▲馬場浩史×テリー・エリス/北村恵子今回は「民藝に未来はあるか」というのがテーマだけど、むしろ未来が民藝的な世界観を必要としてるんじゃないか、と思っているのです。馬場浩史さん 私の好きな民藝藁作りの神馬テリー・エリス/北村恵子さん 私の好きな民藝ゆしびん 上江洲茂雄
2023.11.09
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2023/11/08/水曜日/立冬小田急東北沢駅から徒歩13分くらい。民藝館入り口の建具が素晴らしい。民藝館の全ての中で、私にとってはこれが一番と言えるかもしれない。面の取り方が丸く柔らかで、訪問者を招き入れる気持ちが伝わる。↓当日の展示11/23まで中は撮影禁止、一箇所だけ撮影可能な場所があったが、そもそも柳宗悦の尽力で建てられた館。写真など撮って、余計な知識など蓄えて何するものぞ、ということか。直観の力で見よしかし若い見学者は何と館内で動画を撮っているではないか。びっくり。禁止されてるみたいよ、とは伝えてみた。見学者の多さにも驚く。こんな辛気臭い?所に大勢、若い方や海外の方も集まって来るって、何が起きているのか。井戸茶碗と椅子、アイヌのタバコ入れ、キセル立て、刺繍、古い椅子などが目を引く。↓撮影許可のあったもの。これでは何とも。↓柳宗悦の旧宅、長屋門は栃木からの移築。西館これが柳宗悦の嗜好する住宅建築モデルだとしたら、重い。風格があるがちょっと厳つい。日本民藝館はこの意匠に合わせ、柳宗悦がデザインしたもの。西館の方の見学は第2と第3の水、土曜柳宗悦が没するまでここで暮らしたという。内部空間はどうか。次はこちらも訪ねたい。しかし次の展示の入れ替えの際には長期間閉館するらしく、ぶらり派の私もさすがに自分に注意を促したい。↓パンフレットとショップで買ったもの柳宗悦の書いたものと柳宗悦について書かれた最新研究の新書。鶴見俊輔が著したものとで悩んだが、中見真理氏の小文を先日読んでとても共感したので。民藝バックナンバーは吉田璋也の名を認めて帰途、先に気になったパン屋さんにてバゲット他も買う。
2023.11.08
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2023/11/07/火曜日/最後の夏日かな❶ 路庵世田谷区せいろ合鴨丼セット 1200円このお店はお昼3時まで開いているのが有難い。駒場公園から怒涛の歩きで2時半に入店。え、それでも先客2名待ち。前回訪問はお昼時。酷暑の中1時間ばかり並んだのだった。下北沢が最寄りの駅で、また来ようと思える蕎麦屋さん。蕎麦は玄蕎麦、十割オネギは九条か?これが残念。今日は空腹過ぎて小丼を付ける。満腹、お漬物も美味しい。
2023.11.07
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2023/11/06/月曜日/朝のうち雨↓新幹線移動中に読み終える〈DATA〉 NHK美の壺制作班2009年5月30日 第1刷発行〈私的読書メーター〉〈偶に見るこの番組、これは見逃していた。書物で読めるのは幸い。本書でも指摘があるけれど、柳宗悦が果たした「用の美」の着眼は、それまでの美への考えを反転させ、新たな気づきを日本人の感受性に与えた点で千利休に匹敵すると思う。豪華絢爛ではない侘び寂びに、ときの権力に抵抗する千利休。日韓併合の、国も民もこぞって雪崩れた時代に朝鮮の素朴な、無心の工人の手業に驚嘆し、当地に関心を寄せ芸術の尊敬の念を醸した柳。そんな背景が短い文章にしっかり記述されている。ブレイクから入り木喰上人、他力へ至る柳の柔らかい微笑が好い。〉益子の一日訪問の移動には新幹線に3回乗る。その間、どうせ風景は楽しめないから、軽く薄い本を探していたら、丁度こんな本に遭遇はあ、東北大震災前に放送、上梓されていたんだ。番組の構成に沿った編集壱のツボ てらいが無いから美しい弍のツボ 自然の意志を感じよ参のツボ 使い込むほど美しい浅川兄弟が挨拶がわりに持参した李朝の小壷冊子白樺に、後期印象派の作品論文などを20歳そこそこで載せていた柳宗悦。私の記憶では、彫刻をする浅川兄が、柳宗悦がロダン作品を有しており、それを見せて貰うために訪ねたのだった。ところが、李朝の工芸品を愛する浅川兄弟の手土産に柳は打たれる。その刹那、民藝運動が始まった。それまで生活雑器であったものが一変する。見るものをして「これは美しい」と承認させるパラダイムシフトがおきたのだ。柳が美しいというまで、それはただの古臭いやぼったい下手物に過ぎなかった。それまでの詫びや寂びの中に美を研ぎ澄ました日本的感性に、更に民衆の中にその創造者を発見した、という点で柳は偉大な思想家とも思う。達人のことば、という本書の結びに日本民藝館学芸部長、杉山喬司氏の一文がある。そこに引用された『柳宗悦 時代と思想』(中見真理著 東京大学出版会) に心惹かれた。「柳宗悦の生涯を貫く問題意識の核心に、『複合の美』の思想があることを指摘している。そしてこの思想は強者の力によって世界が一色になることに抗い、大小の草花が共生する自然界のような『複合の美』の世界を、非軍事的方法によって作り上げていくこと」を希求するもので、これは近代日本人が持ち得た内発的で良質な平和論の一つであると高く評価している。と記される。巨大なプラットフォーマー、或いは超監視国家によって知らず自分の思考も感受性も一色に染められかねない現代である。私もまた『複合の美』の端で、糸を染めたり編んだりしながら、よく知る顔の他者に身に付けてもらえるような努力を重ねたい。いや、全然見知らない人のためにもいつかおくりものとして届けたい。
2023.11.06
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2023/11/05/日曜日/ほぼ晴れ前夜は高崎の娘夫婦宅でお泊まり。本日は、その夫婦がそれぞれの両親を積善館にご招待くださる!とのこと。ありがたやー10/28 四万温泉は紅葉が始まっていた。↑紅荘で鰻重ランチお蕎麦を所望したのだけれど、12時で既にお蕎麦売り切れ、もう一軒の蕎麦屋には数人が並び待ち。なのに何故か6名が待たずに、いつも人気らしい紅荘に入れた奇跡を皆で喜ぶ。四万川を眺めながら、満腹の面々はチェックインタイムまで、小さな温泉街を散策。↑この店主の会話が面白過ぎた。あとで食べようと戻ってくるともう店じまい。↑少し塩味が混ざるお味。ミネラル豊富な印象↑四万川に降りてみる↑↑積善館上にある温泉宿たむら。ここにも温泉を飲むスポットあり。↓たむら の歴史古い地味な温泉地ではあるけれど、歴史は古い。3時には少し早いけれど伺うと受け入れてもらえる。混む前に取り急ぎ温泉へ。宿は山に沿って三層の造り。一番上が一番新しく温泉設備も整う。ここに露天風呂あり。二層目には家族風呂。他に岩風呂があったようだけれど今は使われてない?お次は目当ての大正風呂。ここは温泉目当ての日帰り客も利用できる。↑風呂場左の小さなにじり口は温泉蒸気を利用した蒸し風呂サウナ。しゃがんで入る。1.2mも無いような低さと暗さ、湿度と生暖かさに母胎回帰願望ある向きは癒される。閉所恐怖症の人にはホラーか。この時間に入れたので温泉独占!夕飯を頂き、夜のライトアップを楽しむ。宿を背中にすれば叢雲に月。みるみるぽっかり丸明かりの、月と宿の饗宴床に就く前に再び湯に浸かる。私の部屋から三層上の露天風呂へは複雑な迷路を辿る。これが面白い。↓千と千尋のモデルと言われる温泉宿本家らしく。↓宿の中は改装を重ねている様子。あちこちに休憩室やコーナーも配置されている。泉質が柔らかく透明、匂いは少し感じることもあったけれど、ほぼ無臭。湯上がり、肌しっとりを実感する。女性に抜群の人気を誇るというのもよく分かる。目覚めの一浸かり、極楽はあ〜婿殿、娘よありがとう。夫は次は草津だーとのたまう。
2023.11.05
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2023/11/04/土曜日/昨日のように晴れ↓婿殿用サイズで編むと、ベストでも糸が足りない、草木染めの手紡ぎ糸が5kgはある。微妙に異なるけれど同じ草木仲間。媒染で引き出される色々はペンタトニック。そこに不協和音はない。それで。同じ太さの糸を混ぜて試作してみる。↑ボーダー、ドルマン、七部袖のイメージのプルオーバーは、女性M寸法もしも娘がこれを気に入れば、クリスマスプレゼントにしようかな。旦那さんのベストと微妙なハーモニーペアになるだろう、不協無しの♬↓編み終わり、水通し、石鹸ゴシゴシで縮毛させて平干し。しかし、この羊毛の特性か、或いは染色の湯通しゆえか、殆ど縮毛せず。↓編み地はこんなに元気である。10日余り放置して、本日↑石鹸粉を入れた大鍋で、5分ばかりセーターを茹でる。↓軽め脱水して、再び平干し。前後計測してない!が、印象としては2.3%ほどは縮んだかな?↓それでもフェルト化は殆ど起きていない。このまま5日くらい平干しさせてみよう。洗濯機で丸洗いできるよ!何なら乾燥までOKなセーターだよーと伝えれば娘、感涙かも?↓庭のデッキの鉢で水を飲む山鳩の番のように仲良しでね
2023.11.04
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2023/11/03/金曜日/文化の日、晴れ美術館を出ると、あの雷雨は夢だったろうか、な秋晴れだ。坂の途中の新しい家もスマートだなぁ日常使いの器にも真剣に向かう環境があれば、自ずと住まいも身につけるものも佇まいも底上げされるんだろう。それが文化の底力。↓釜にも暖炉にも応分に薪は必要↓道の左右は陶器屋さんが並ぶ。電信柱が無いのがよい。↓来週の陶器市を待つ姿↓ちょっといい感じのお店で、焼き物買うか迷い、タオルを買う?アテクシ。↓お店かとおもたれば、一般住宅↓陶古というギャラリー、ショップ。建物が素晴らしい。お安いものもあります。↓交差点渡り、振り替えって気づく。なんだなんだ⁈どうやら藍染めの高名な工房らしい。↓茶まんじゅう他買う。↓これ、実は長屋門。おされなカフェとかお店が。↓民芸店ましこここでは濱田窯の焼き物も扱う。あれこれ、じっくり眺めているとお茶が出てきた!↑うつくしい茶の心。結局、今晩お世話になる娘夫婦のお土産にスリップ皿を一つ求める。↓おお。駅に向かう道すがら、アンティークショップを見つけてワクワク覗いてみると、ほぼブティックだった。古い家屋が残っている山里の町はいい。夕焼けに送られて益子の満月に照らされて真岡鉄道の車両に乗って高崎に向かう。すなわち小山から大宮、大宮から高崎へ新幹線乗り継ぎという旅路。↑濱田庄司参考館にあったスタンプ。昨日在庵今日不在明日他行まるで私のごとし。
2023.11.03
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2023/11/02/木曜日/日中は暑くなるらし旅は道連れカゴ。旧濱田庄司邸を背景に、茅の輪くぐりのような。↓藁屋根の厚さ!きれいなケラバ。こんな美しい葺き方を初めて見た。↓お邪魔します。無料である。いつから土間に大谷石?うつくしい色とテクスチャーが年月を経た無垢板と清潔な障子紙に映える。建築関係の外国からの見学者だろうか、ため息混じりに眺め入っていた。濱田庄司は英国でも作陶をし、生活した。彼の芸術果実はとても日本的だが、普遍性の土台は頑丈だ。屋内は平家で、天井は二階家くらいの高さ。↓ステージはロクロを回す作業コーナーが3箇所ばかり。掘り炬燵形式でここに腰掛け作業する。外の光が手元を照らす塩梅になっている。作業コーナー上はロフトのような中二階。作業する場所は天井を低くし、土をこねることに没頭できる配慮が感じられる。無垢板の床が飴色に光を反射する。すぐ側に囲炉裏の火とヤカンの湯↓上画像の大甕。益子の海外交流事業で来日した韓国の作家が益子の登り窯で焼いた作品。見事にこの屋内に調和している。素朴で質実剛健な民家に、華奢で優美な欄間半衿の刺繍を見るようなあわいの繊細さ↓日本の伝統家屋の意匠は屋根にあり。↓参考館ショップで買ったポストカード濱田庄司の掌陶器市1週間前の益子は人も少なく、このタイミングで来てよかった。いつの間にやら晴れ上がる。↑108回を重ねたとはすごい。↓回廊ギャラリーを渡り、芹沢銈介展を見に行く静岡の芹沢銈介美術館にはぜひ行きたいとかねがね思いながら果たせていないのだけれどまさかの益子で 旅する染色家芹沢銈介展が。↑開館30周年記念 益子日帰り がデザインされた表紙↓この建物は今ひとつ感心しない。旅をよくした、民藝運動の芹沢銈介は訪ねた各地の風景、特に手仕事の工房のスケッチを数多く残し、中には手作りの絵本に仕立てたものもある。展示されていたましこひかへりは展覧会の主題。↑芭蕉布に芭蕉の型染め沖縄紅型や、釉薬の流れた甕の図案の着物、暖簾などグラン・パレでの展覧会出品作など展示フランスでの展示会は、あのバルテュスが芹沢作品を愛し、骨折りして開催にこぎつけたという。バルテュスは20世紀最後の巨匠と言われた画家。パリのレアールでの大回顧展を随分昔に見た。晩年スイスの山里で、スイスの古い民家シャーレに着物姿の節子夫人と隠遁暮らししたことに何となく作品との乖離を覚えたものだった。しかしその違和感が芹沢銈介展開催への、彼の奔走の事実を知り氷解したかも。↑このおおらかさと繊細な色調が好い。左は戦前に益子を訪れ、芹沢銈介がスケッチした濱田庄司の工房。右は先ほど訪れた際の画像。おや。同じアングルやなかとですか。軸組はさすがに変わらず、屋根葺材と外壁の仕上げが変わりました。絵の方に住みたくなりまする。↓焼き物展示会場入り口正面に島岡達三作品。↓今回気になった作家、加守田章二加守田章二(1933-1983)は大阪で生まれ、京都で陶芸を学び、益子で独立。遠野で生涯を終える。北上の人、である。受賞後毎に、その作風をがらりと変えた。入場券を買うと、喫茶百円引き券を頂き、見学後カフェにて休憩。ずらりと並んだ中から好みのカップを選べ、とのこと。お、陶芸美術館を謳うだけのことはあります。私のチョイスは岩下宗晶さんの、少し島岡ブルーぽいカップ。先が楽しみな作陶家さん。紅葉の始まり出した丘を下り、陶芸屋さんを冷やかしにそぞろ歩き開始。
2023.11.02
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2023/11/01/水曜日/蚊に刺される参考館を出ると雨は止んでいた。この界隈はいかにも里山の風景立派なお屋敷を構えた家が散見される。↓濱田庄司氏と縁のあるお宅のようだけど?↓その家の前に藁狩場と藁納屋?こんな風景を見ながら浮世をやり過ごせるのは羨ましい。大いに読書し、身体を遣い働く。夜は静かに考える。そんな暮らしが浮かぶ。道々発見の 仁平古家具店アケビのつるかしらん、平カゴを求める。そのカゴを片手にぶらぶらとお昼の蕎麦屋さんへ、更にとよだ民芸店へ戻る。↓あちゃー臨時休業↓益子で重要な陶工四大思えば夏に訪れた、韮崎の大村博士コレクションで島岡達三の作品に触れて、益子に行きたい気持ちになったのだった。道祖土 と書いて さやど と読む。この交差点奥に濱田庄司の工房、現在の参考館はある。地名を聞いて彼は好ましく思ったのではないだろうか。宇都宮からここまでのバス停が示す地名は、物語が聞こえるような響きと文字で印象深かった。地名が薬効をもたらすようなエッセイか紀行文か、梨木香歩で読んだように記憶する。やがて細い道に分け入り、坂を上ると旧濱田庄司邸と益子陶芸美術館のある丘に辿り着く。長屋門風の入り口。2階は敷地高低差を活かしたギャラリー兼回廊↓後日我が家に収まった平カゴ
2023.11.01
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2023/10/31/火曜日/秋深まる週末の土曜早朝、益子へ一度は訪れたいと思いながら、同じ関東でも我が家からのアクセスが悪く先送りにしていたが、ついに私鉄→湘南新宿ライン→新幹線→バス大宮から宇都宮移動は一駅、椅子を温める間も無く宇都宮駅に到着。↑初めて降りた宇都宮駅↓バスの案内がとても分かりやすい事前に練った旅程は待ち時間をできるだけ短くしている。しかしそのプランは女子トイレ長蛇の列を考慮していない。でもわずかでも新幹線に乗れるのでOK。豪華な個室が用意されております。を乗り継ぎようよう 濱田庄司記念館に辿り着く立派な長屋門に駆け込むより早い雨脚おまけに雷さまが轟く手荒い歓迎振りではないか。長屋門左がオフィスとショップ右が一つ目のギャラリー↓今回展示ベスト3、スペインの耳付き壺濱田庄司さんが「負けた」と思ったという手仕事が世界各地で収集されて、ここ益子に北欧、メキシコ、英国、モンゴル、朝鮮、イラン、ペルシア、日本↓左から濱田庄司、柳宗悦、河井寛次郎↓中心上から時計回り 濱田庄司、バーナード・リーチ、黒田辰秋、富本憲吉、河井寛次郎作品▼第二のギャラリーへ↓濱田庄司を紹介するビデオから美しい2号館の内装空間。建物は東北大震災で被災したが多くの寄付金が集まり、2年後には修復、公開がなされた。作品がいくつか割れてしまう被害もあった。今回の展示中のベスト3↓リーチの鹿のプレート↓好きな作家、ルーシー・リー作品が一つ↓上、3号館から2号館を見る 下2号館出入り口▼3号館 沖縄、角形酒注 ベスト31.2.3号館に一つずつとてもいいなぁ、と思う焼きものがあった。既に濱田庄司氏の目のフィルターに掛けられたものなので、どれをとっても素晴らしい。贅沢な選択ではある。▼工房ここで土がカタチになった。もちろん濱田庄司氏もここでロクロを回した。▼上ん台↑頗る立派な百姓家。豪農屋敷と呼ぶべきか。濱田庄司は早い時期から古民家も収集していた。焼き物のみでなく、家具や住まい、風景風物、衣装、染め物、おそらく食事に至るまで、みな民藝の風景の中にあり、それは小津安二郎の映画空間にも流れているように感じる。▼濱田庄司館こちらには喫茶室もあった。お茶を注文しなくても、椅子に座りぼんやりできるのがありがたい。これだけの財産。個人のものに留めれば散逸の難は免れなかった。公開して公共の財産にしていただけたことが有難い。豪農屋敷、上ん台から敷地を下りていくともう一つの長屋門。左右にはやはり小さなギャラリーがあり、濱田庄司氏の生涯とその作品が控えめに紹介されている。↓氏の初期の作品雨の中、入場者は私一人だった。濱田庄司の求めた世界に浸る濃厚な時間だった。
2023.10.31
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2023/10/30/月曜日/晴れ時々曇り❻ ましこの蕎麦 路庵10/28 益子町益子十割蕎麦ととろろご飯セット1220円お蕎麦はコシが強く、甘みも感じる十割蕎麦、地粉を用いる。ツユも美味しく量が多い。お漬物とご飯の美味しさにびっくり。益子には、いくつか蕎麦屋がある。歩き旅の私に便利なのが、このお店だった。
2023.10.30
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2023/10/28/土曜日/天気は不安定10月初めの週に八ヶ岳に出かけた折、小淵沢で人気の酒屋に立ち寄る。ここは山梨県になるため、長野県産を圧倒する甲州産ワインのライナップに山梨愛が伝わる。日本ワインコンクールは今年で19年目、国産葡萄のワイン品質向上を目指し、甲府市で開催されているらしい。長野マンズワインのソラリスが欧州産赤でも白でも、受賞を果たしていたが、お高過ぎて気楽には飲めない。私が気になっていたのは、シャトー酒折の2022甲州ドライ。甲州部門とコストパフォーマンスの金賞。1760円。お店の棚には三本。買い占め恥ずかしく二本購入。6月からの販売らしいから、もう店頭にはないかも。単なる辛口ではなく、ほのかな甘味が柔らかい。和食にピッタリ。この値段でこの内容は文句なし。先日飲んだタスマニア白800円一杯とは雲泥の差だ。この価格帯で、このお味、アロマなら世界相手にやっていけるかも。↑実はワサビチーズと頂いた。合う!
2023.10.28
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2023/10/27/金曜日/天気上々〈DATA〉 晃洋書房著者 谷釜 尋徳 タニガマ ヒロノリ2023年2月10日 初版第一刷発行〈私的読書メーター〉〈なるほど分類384。章ごと参考文献がいかにも学究の第一次資料。といっても堅苦しい研究書とは違い、版画なども織り交ぜながら旅歩きへの憧れを駆り立てる本に仕上がっている。本書が参考にした女性の旅日記(記述者が男性のケースも含む)、年代的には1669年から明治すぐそこ、の1863年まで22巻も!健脚、健啖、物見高さで古の日本女性なれど、すぐ近の共感が湧く。関所越えの緊張、河渡りのヒヤヒヤ、古刹名刹、伊勢参りと言いつつの宿の年若主人の美貌を褒める一筆も。名物、ご馳走、買い物、芝居通いとまぁ我らに似たる人事欠かず。〉うむ。著者の名前が凄い。これは本名であるか?尋徳。漢方医か何か、そんなお家柄よのような。しかしご本人は、『江戸のスポーツ歴史事典』も出されている研究者だ。事典を作るのは大変な難行と想像する。本書はその折の、こぼれ話を拾い集めた気安さ。とはいっても、江戸時代に何故、おなごが日本地理の半分近くを何ヶ月も掛けて踏破できたか。その背景がきちんと論理立てて示される。参勤交代のための街道、宿場町、交通などのインフラが整えられたこと。貨幣経済が全国津々浦々に行き渡り、金貨銀貨を銭貨に両替したり、為替の仕組みもあり、大金を持ち歩く必要がなかった。また、名所図会なる観光ガイドブックがお土産、グルメのご当地情報を詳細に伝えてくれた。何よりも庶民が豊かで文字書きそろばんが行き渡り、旅の計画、予算の計上など旅人として自立できていたこと、などなど。凄いな、江戸時代。あ、書名の江戸は、地域区分ではなく時代区分。タイトルだけを眺めると江戸に住む女子が大山詣とか牛に曳かれて善通寺、とかを想像したけれど。もちろん江戸の商人妻、中村いと←こんな人と一緒に旅したい!←の例などもあるけれど、大半が江戸以外から。藩士藩主の妻なんぞもいるけれど、名主、地主、商人、農民妻もいて、大盤振る舞いも節約もそれぞれに工夫を凝らし楽しむ様子が伺える。しかし出たちは同じように、足袋に草鞋、脚半に道行、杖に菅笠ファッションである。この菅笠を、明治初めに日本奥地探検したイザベラ・バードが激賞していたとか。さて、着物。足さばきが困難と思われるのに、平均で一日30〜40Kmを歩くのだ。2日に一度は草鞋を買い換え、これが土地の農民の現金稼ぎにもなったろう。しかも履き潰した草鞋は捨て場が茶屋近くに置いてあり、集められた草鞋は解いて再利用できるものは再び草鞋になる。もうね、ここまで来ると涙もの天晴れ日本の民衆。質素で簡素でつましく、エコロジーな姿よ永遠なれ
2023.10.27
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