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これは、一年ほど前のことである。
仲間と温泉で落ちあって、座興がてらにお色気話しで酒を酌み交わした時の話しである。
その時に、一風呂浴びて例の如く座敷テーブルに陣取った。
お色気名人の「ホンダホンダの爺さん」に、さっそく土建屋の「ドラ太さん」が話し始めのだ。
「いやぁ、初めてだったなぁ、あ~言う女はさ~」と、ドラ太さん。

「あ~言う女だぁ、そうかい、あんまり狭くて 一物 ( いちもつ ) が入らなかったとでも言うのかい?」と、ホンダの爺さん。

「いや、そうじゃねぇんだ、スッポンポンなんだよ」。「なにっ、スッポンポン?

それを言うなら、パイパンだろうがさ?」。「なんと、パイパンか、まさか肝心な所の毛が全部禿げ上がった女じゃねぇだろうな?」と、元デカのチョビ髭さん。

「いや、あそこの部分の毛は禿げることはねぇがあれだな、ストレスとかで抜けることはあるがな」と、ホンダの爺さん。
「で幾つくらいの ( ひと ) よ、まさかばぁさんじゃねぇだろうな?」と、私。
「いやーな、幾らなんでもババァにありつくほどに落ちてはいねぇさ。
聞いてみたところ、33とか言うておったなぁ。

なんでもな、これまでによ、5、6回しか経験していなかったとか、言うておったなぁ」。

「なーるほど、数が少ねぇと言うことはあれだな、へその下の毛が少のうて恥ずかしかったと言うことかいな。頷ずけられるな、少女見たいじゃの~」と、ホンダの爺さん。

「それでよ、そのアンダーヘァだがな、どんなスタイルがあるんだ?」と、今度はチョビ髭さんがヒョンなことを言い出した。
「あーん、スタイルだー? 
要するに、生え方と言うことかいな。
そりゃー、三つくらいあるなそうじゃな」。

「まぁ、クッキリ別れていると言う程でもないがの、例えばハマグリの上の方に紡錘形または楕円形に生える ( ひと ) 、ちょっと角ばって見える長方形の生え方とかさ、逆三角形の状態の時などがあるそうじゃ」。

「じゃーあれかな、その形状で 塩梅 ( あんばい ) も違うのかな?」と、チョビ髭さん。

「多少あるともさ。逆三角形は芸が淡白だと言うからな。長方形は、品物に大した変わりがねぇが、その代わり焼餅らしぃな。

で楕円は、やはりコッテリ形で温厚なタイプが多いと言われているな」。「じゃ、楕円は名器で奥ゆかしいんだ?」と、ドラ太さん。

「と聞くとさ、こりゃーあれだな、さっそくかかぁのを調べて見んにゃならんな、これは。
どうも淡白でいかんワイな」と、再びドラ太さん。
「それでかぁ、チョコチョコ相手を代えているのは」と、チョビさん。
「そのなんだっけ、パイパンだかサイパンだかがさ、あまり寂しいからってよ、カツラを付けたらしいんだワサ」。
「なにっ、 カツラッ 、どこによ、へその下にか ?」と、チョビさんが驚いたように多きな声を出した。
見知らぬ周囲の人たちが、何事かと言わんばかりに一斉にこちらの座敷に視線を当てた。

「ややっ、これは済まん」と言うように、それらの人たちに軽く頭を掻き掻き一礼をしていた。「カツラとはなぁ、そんなのあるのかい本当に?」と、元銀行員の浅倉さんもビックリしていた。

「それがあるにはあるんだがさ、そのカツラヘァがよ、取れてしまったんだってさ、お風呂で」。
「なんと、自分の家でか、それならいいさ。
誰も見ていねぇだろうからな」と、ホンダの爺さん。

やはりな、こんなような温泉だったらしいんださ。
誰かがの、それを拾ってカウンターに届けたらしいんだな。
とてもじゃねぇが、それは私の物ですとは言い出せなかったと大笑いしておったよ」と、ドラ太さん。
さすがにこれには、みんなも吹き出してしまった。

「まぁさ、たまには禿げ隠しのカツラではないが、ここでやはり頭髪用のカツラを拾った ( ひと ) もいたようじゃが、それとは全く別物だもんな。

で、そのカツラを取らずじまいで捨てて来たか?」と、ホンダの爺さん。「それだがさ、受け取った連中もよ、いったい何に使われる物だか判別出来かねてな、一週間ほど預ってはいたが誰も申し出る人がおらんでの、結局捨てたようじゃな」。

「幾らしたもんだろ、そのカツラ?」と、浅倉さん。

これはさ、アデランスやアートネィーチャーのような人工物じゃねぇんだとさ。
人の毛なそうだ。人工物は、熱に弱いんだってさ。
普通はよ、取り外すんだがその時はさシャワーだけにしてよ、すぐ出るつもりだったんだそうだ。
ハッと気が付いてよ、後ろを振り向いたならさ、すぐ後ろの人が拾い上げてしまってよ、私のですと言えかねたなそうじゃよ。
偉い失敗したと、寝床の中で大笑いしておったよ、あの女」と、ドラ太さん。
「そりゃいいがさ、随分とお高いようだがさ、笑っている場合じゃねぇだろうさ?」と、チョビ髭さん。
「なーに、そつちの男こっちの男とさ、金次第でお付き合いするクラブのビタ(女)だもんな。この手の毛なし女は、男好きなそうだ。
そんな金は、へいちゃらさ、いつでも湧いてくると言うもんさ。

それもそうだがよ、なんと言うのかな、そのカツラの跡と言うのかな、何となくその部分が 白気 ( しらけ ) て見えるんだよな。

へその下からよ、ハマグリいやアワビの上までストレートと言うのもよ、何となく寂しいような感じがしたなぁ」。「よく眺め尽くしたか、珍しかったかろうからな」と、満更でもないような顔をして浅倉さんが、顎を撫でながら上目使いで遠くを眺めていた。

「おい、朝やん、さてはお主、あったな、過去に?」と、ホンダの爺さん。「いやぁー、それはねぇが、あるいは娘が・・・・」と言って、口篭もった。

と同時に、みんなが一斉に浅倉さんに視線をぶつけた。
彼は、「しまった 」と言わんばかりに懸命に手を振った。

「うちの娘じゃねぇぜ、元同僚の娘の話しなんだがさ」と、この場に合わない言い訳をしていた。「そうかいそうかい、まぁいいさ。

どっちにしろ、こりゃ~希少価値かもな」と、ドラ太さん。
「希少価値 そんな娘に 案ずる顔」 のような、気もしないでもない。

そのためなのか、その後に何となく口数が少なく感じたような気もした。 





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Last updated  2013.10.27 08:21:10
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