灰色猫のはいねの生活

灰色猫のはいねの生活

第十四話


とにかくカゴや箱や、入れる場所がどこでも交信場所になるの。
猫鍋なんて流行ったりもしているけど、あの中で寝たふりをしながらいろんなトコロに交信しているからニンゲンは気を付けた方がいいわ。
誰か拾って下さい….jpg
北の魔境にはダンボールの空き箱が一杯で、あたしは交信場所には困らなかったけど、ある日羽衣音が玄関先にこんなかぼちゃの大きな箱を置いてくれたの。
その中に古着なんかも入れてね。
拾って.jpg
そろそろ北の魔境は寒くなってきて、交信場所と言うだけでなく、あたしははいね親分やちゃとらん子分と一緒に箱の中でぬくぬくとケルベロス状態になったりもした。
拾ってくれるの?.jpg
この頃、あたしは羽衣音との実績を認められて、この更新場所を魔境トンネルに指定した旨、派遣会社から連絡を受けたの。
魔境トンネルって、簡単に言えば猫族のどこでもドア。
ほら猫型ロボットのドラえもんの道具の一つにあるでしょ?
どこにでも行ける便利なヤツ。
あそこまでドアだと、猫手では開けにくいんで、てっとり早く箱がトンネル。
遠く離れた同族のところに必要な時に行けるのよ。
値下げ!.jpg
そんな魔境トンネル宅急便になって、羽衣音のブログ4444番のキリ番プレゼントを配達したり、「かぼちゃの箱」は順番待ちするほど盛況になったっけ。
順番待ち.jpg
羽衣音ぱぱが釣ってきたお魚をボーイフレンドにお裾分けしたりもして。
お返しにクリスマスプレゼントが届けられたっけ。
北の魔境も冬になり、会社の忘年会で一緒に幹事をやった先輩と仲良くなった羽衣音は、スピリチュアル系の本を借りるようになった。

裏切られたなんて思わないで。
誰もあなたを傷つけることなんて出来ない。
あなたは幸せになるために生まれてきた。
その試練はこれから、より幸せになれるためのもの。
別れたことを哀しまないで。
あなたは何も失ってなんかいない。
そんなにも人を愛せたことを誇りにして。
あなたはこれからも誰かを愛することが出来る
愛されることが出来るから。

注目.jpg

あたしたち猫族には猫族のどこでもドアがあるように、羽衣音には羽衣音のどこでもドアがある。
開けてみなよ、自分の力でさ。
そのドアは、もう半分開きかけてる。
「灰色猫のはいねの生活」
それが、羽衣音のどこでもドア、魔境トンネルだよ。
すりっ.jpg

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: