風光る 脳腫瘍闘病記

えっ二つ?



もう何回もMRI検査はしてるからその流れのコツはつかんでいる。いつもの様に技師さんに体を支えてもらって抱っこしてもらって寝台へ。

「はい、じゃあ、造影剤打つけどどっちの腕がいいですか?」

「はい?いきなりですか?」

普通は造影剤なしの撮影と造影剤流してからの撮影をするのに今回はいきなり初めから造影剤注射にビックリ。

私の左腕にはリストカットした後があるからいつも注射をしてもらう時は意識して右腕を出している。

耳栓をして寝台に寝て、右腕に造影剤を注射してもらい、いざ撮影。

胸部と腰部を2ヶ所撮るので時間はかかったがいつも通りに何事もなく終わった。結果は後日改めてとなった。

結果報告の日、その日は麻酔科も受診だったので結果が早く知りたかった私は麻酔科の先生にお願いしてこの前撮った脊髄のフィルムを見せてもらったた。

が、、しかし、所詮二人は専門じゃなく見ても再発してるんだかしてないんだか分からなかった。

「後は脳外で・・」

「うん」

診察室に入ると前回撮ったフィルムと今回撮ったフィルムがズラリと並べられていた。私はこの瞬間が一番ドキドキする。

開口一番「異常はないですね・・」

「あっ、そうですか」「よかった」

脊髄には再発してなかった喜びで胸がホッとした。

でも一向に入院の日取りも決まらず治療方針も決まらずまた2週間後脳外科の受診を予約した。

すると先生が「髄液を取らせてもらえますか?」と聞いてきた。髄液に悪い細胞がいないか調べる為だ。

一旦部屋を出てまた別の部屋に通されそこで寝台に横になってエビみたいに私は丸くなった。

局所麻酔がものすごく痛くて私は「痛い」を連発。肝心な髄液はちゃんと採取されたがこの「髄液採取」これがまた後に大変な事になったのだ。

髄液を採取して3日後、私はシャワーを浴びていた。そしたら急に頭が痛くなり始めてそれがもう尋常じゃない痛みに変わり、吐き気もあって、私は急いで服を着た。

着たと同時に私は倒れてその場で吐いた。死ぬ思いで車椅子に座りベッドへ・・。ベッドでも何回も吐いたし頭痛が治まる気配はなかった。

翌日頭痛が治まらない私は病院へ電話をして症状を説明。

「安静にしてると痛くないんですけど下向いて顔を上に上げるとたまらなく痛いんですよ」

先生はその説明に納得したかのように「髄液漏ですね」と言ってきた。簡単にいえば髄液がもれたのだ。

「1週間もすれば治りますよ。水分を沢山取ってね」と早々に電話を切った。

1週間?1週間どころかこれが長く激しい頭痛の闘いになった。

丸2週間、私は動く度に頭が割れる様な痛みに耐えたのだった。いつも同じ事の繰り返しで生活している私の2週間はとても早く感じられたが今回の2週間は頭痛との闘いで長く感じられた。

2週間もしたら徐々に痛みも治まった。行けないかもと思っていた病院にも行けた。

今回の受診で治療方法がほぼ決まった。・・けどまず驚いた事が腫瘍が二つもあった事だった。今までは一つという説明だった。担当医が見落としていたのだ。

「どこにあるんですか?」

「小脳に二つですね」

腫瘍は一つだと思っていたのに二つある事実に驚愕した。

「手術したら聴力とか治りますか?」

「いや、その反対です。顔の麻痺はひどくなり、耳は聞こえなくなるでしょう」

話を聞くと神経に腫瘍が絡んだ状態なのでそこにメスを入れるという事は神経を触ってしまわざるおえない。だから手術は止めた方がいいという。

「そしたらガンマーナイフしかないじゃないですか」

「リスクを考えたらガンマーしかないと思うよ。僕の一個下の先生がいる病院に紹介状書いとくから行ってみて」

こうして私は紹介状を手にしてK病院に行くまで安静にしとく私であった。

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