苦手なもの


父が亡くなって、我が家は母子家庭となりました。
一番下の妹が、まだ2才だったこともあって、母方の父(祖父)が我が家にちょくちょく来るようになりました。
正直言って、当時、私たち姉弟は、この祖父が苦手でした。
祖父は厳格な人でした。
外見からして、子供心に”こわい人”に見えました。

父が亡くなって最初の夏休み。
母は毎日仕事のため、私たち姉弟のお昼は、祖父が用意してくれました。
初めて祖父が作ってくれたのが「やきそば」でした。
大きなフライパンにたくさん作ってくれました。
とっても、おいしかったので、何度もおかわりをしました。
祖父は、あまりにもきれいに平らげたので、よほどうれしかったのでしょう。
その日から、毎日毎日、お昼になると「やきそば」を作ってくれました。

具はもやしと挽肉。

一週間が過ぎた頃、私たちは焼きそばを残すようになりました。
毎日も続くと、さすがに飽きてしまうものです。
けれど、一生懸命に作ってくれている祖父に「食べたくない」とは誰も言えずにいました。
残った「やきそば」は、その日の夕食に出されました。
毎日、夕食に「やきそば」が出るようになり、母が気がつき私に聞いてきました。
私が母に伝えると、母は祖父にそれとなく言ってくれました。

次の日の昼・・・
フライパンの中に、たくさんの「やきそば」ができあがってました。
結局、夏休み中のお昼は「やきそば」でした。

夏休みが終わり学校が始まると、祖父はおやつを用意してくれていました。
「バナナ」と「ふかし芋」
これも「やきそば」と同様、毎日続きました。
しかも、量が半端じゃなかったのです。
一人に一房のバナナ。蒸し器に山盛りの芋。
祖父としては、おなかにたまり栄養のあるものをと言う思いだったのでしょう。
けれど、これも毎日も続くと飽きてしまい食べなくなりました。

以来、私たち姉弟は「やきそば」「バナナ」「ふかし芋」が苦手となりました。





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