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突き飛ばすと、スザクはあわてて体を離した。「ご、ごめん……とにかく君が心配で」 本気ですまなそうな表情をしている。 あいかわらず天然なところは変わっていないのをからかってやりたくなる。「心配? ちょっと前まで私と戦ってたクセに。それに――」 あの大爆発の記憶がよみがえり、怒りの炎が胸にわき上がる。「フレイアなんてもの、打ち込んだくせに!」「……すまない」 素直にスザクは謝った。こういうところが好きだったのだ、とかつてギアスに操られていた自分を思い出す。 一見落ち着いているようでいて、中身は素直な少年の部分を兼ね備えた彼が大好きだった。 まっすぐな愛情を向けてくれる彼が側にいてくれて、心の底から安心できた。 それは生まれてこの方、カレンが味わったことのないものだった。 たとえそれがギアスによる偽りでも、スザクは自分を愛してくれていたのだ。 おそらく、今も。 カレンの態度が軟化したのに気づいたのだろう。 しばしためらった後、スザクが口を開く。「言い訳だと思って欲しくないんだけど……いや、言い訳だと思うんだけど、カレン。君には聴いて欲しい。本当のことを。お願いだ」”嫌よ” 思い切りばっさり切ってやりたかったが、カレンの唇は正反対のことを答えていた。「……いいわ」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月30日
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「マクロスF」の最終回が個人的にかなりアレだったので(詳しくは先日の日記参照)あいまいなラストで終わって、「劇場版でまた観てギアス!」でも来るのかと思っていたら、まったく違っていた。 断言しよう。 よくやったよ、「コードギアス」ならびにR2。 私としては「ガンダム」「エヴァンゲリオン」「イデオン」などあまたのロボットアニメ名作選の中に殿堂入りさせてもいい作品だと思っている。 正直、不満がまったくないとは言えません。 どうしてナナリーがルルーシュの手を握っただけですべてを知ったの? とか、 結局ラクシャータとロイドの確執って何? とか、C.Cって最後どうなったの? まだコードなの? とかいろんな謎は残されています。 ここらへん、全部ノベライズ版で補完されるんだろうなあ。 それに正直、ルルーシュが世界征服者を名乗った時点でラストは見えました。 あそこまでやっちゃって、なおかつ視聴者に好感を持たれるキャラにするにはあの方法しかないもんね。 しかしまあ、これだけ「急展開に次ぐ急展開」「先が読めないストーリー」をうまくまとめあげたものです。「エヴァ」はこれができなかったんだよね~。 その結果、社会現象を巻き起こしたわけですが、「コードギアス」は今ひとつ一般層に注目されてないから、このまま「アニメファンだけ知る良作」として埋もれちゃう可能性もある。 できればもっとたくさんの人に観てもらいたいんだけどなあ。 長年アニメファンやってると、「これは次はこうなるな」とか、「ここで視聴者を引き込もうとしてるな」とか、ひねこびた邪推をしてしまうもんなんですが、ギアスは本当に一視聴者として楽しませていただきました。 ありがとう、スタッフの皆様。 しかしできればこのレベルの良作を一年に一本のペースで作って欲しい。 80年代のアニメはそれができていたと思うんだけど。 やっぱり良いライターを育成することがアニメ業界の課題だと思います。 コードギアスワールドを知りたかったら、副読本としてこれらのノベライズを読むことをおすすすめします。 特に「エントランス0」を読めば、今回スザクが取った行動の意味がよくわかります。a href="http://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/014ff475.c4fa16b5.0229572b.8738d316/?pc=http%3a%2f%2fitem.rakuten.co.jp%2fbook%2f4709424%2f&m=http%3a%2f%2fm.rakuten.co.jp%2fbook%2fi%2f12239957%2f" target="_blank"> web拍手返信です。 長年「愛人管理全百科」につきあっていただいてありがとうございます。 今後オリジナル小説は発表していくつもりなので待っていて下さい。
2008年09月29日
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スザクとの戦闘を終えた後、額の汗をタオルで拭いていると、C.Cがいつのまにか隣にいた。 以前から、カレンはこの少女が苦手だった。 ルルーシュの傍らにいつも寄り添っているに嫉妬していたのかもしれないし、何よりまったく得体の知れない存在感が畏怖を抱かせた。 そういえば、自分がスザクを恋人だと思う直前に、あのナイトオブラウンズの少女――アーニャが近づいてきた。”あなたに魔法をかけてあげる” そう言って、彼女は皇帝を連れてきた てっきり殺されるのだ、と思った途端、記憶は途切れ、自分はスザクを愛していると思うようになっていたのだ。 今思えば、あの時のアーニャは明らかに普段のアーニャではなかった。 もっと謎めいていて、大人っぽくて、そして――禍々しくて。 どこかC.Cに似ていた。 神とも悪魔ともつかない、とにかくこの世のものではない存在。『な、何か用?』『ああ、そうだ』 そっけなく近づくと、C.Cはカレンの額に手を置いた。 ひんやりした感覚を覚えた時、すべての謎が解けた。 なぜ自分がスザクを愛してしまったか――それは皇帝のギアスの力だということを。 そして、皇帝とマリアンヌにスザクと二人で玩具にされていたことも。 今、ここにいるのはギアスと同じ、この世のものではない力のためだろう。 辺りを見回しても、明らかにここは通常の場所ではなかった。”C.Cっ? あんた、いったい何を企んでいるの? 私の夢を叶えてやるだなんて……スザクともう一度愛し合うのが私の夢だなんてっ?” そう問おうとしたが、すでにC.Cの姿はなかった。 あの華奢な体を思うさま揺さぶって罵倒してやりたかったが、相手がいないのでは怒りの矛先をぶつけられない。 それは、自分を抱きしめたままのスザクに向かった。「離してよ! 痛い!」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月28日
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が、自己嫌悪と畏れの代わりに胸にわき上がってきたのは、甘くて切ない感情と、スザクのおもかげだった。 もう一度、スザクと愛し合いたい。 そんなことを強く願っている自分がいる 「そ、そんな……私が、あいつを好きだなんて……」 我知らずつぶやき、両腕で体を抱きしめるカレンにC.Cがひざまずいて顔をのぞき込む。その瞳は今まで見たことのないあたたかいものに包まれていた。「素直になれ。そしてふたたび、あの男と愛し合え。それがお前の本当の望みなのだから。そして”ここ”ではお前たちの望みを叶えてやれる」 C.Cの大きな瞳が、魅入るようにカレンをのぞきこむ。 途端に、脳裏に電流のようなものが走り、一つの言葉が脳裏に浮かんだ。 ずっと秘めていた想いが。「スザク! 私、今でもあなたが大好きよ!」 瞼を開けると、スザクの顔があった。 泣きそうな表情で、こちらを窺っている。 カレンの意識が戻ったのがよほど嬉しかったのだろう。 飛び上がらんばかりに喜んだスザクに抱きしめられる。「良かった……良かった、カレン! 」 スザクの腕につつまれたのは、あのいまわしいギアスにかかっていた間以来だった。 ギアス解除後もその間の記憶は残った。 スザクを幼なじみの恋人だと信じ、自ら進んで抱かれていた自分。 スザクを想い、彼に愛され、それだけがすべてだった自分。(ど、どうして私、あいつのことこんなふうに思ってるのっ?) 正反対の理想を持つ敵。 忌むべき相手だったはずなのに。 けれどもスザクへの想いは消せなかった。 そんな自分の二律背反が許せなくて、ますますスザクを憎むことで、想いを忘れようとした。 彼さえこの世にいなければ、また元の自分に戻れると思った。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月27日
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マクロスFは今期のアニメで「コードギアスR2」と同じくらいに夢中になったアニメだった。 どっちかとゆーと、私的には「コードギアス」の方が好きなのだが、これはあくまで好みの問題。 もし「コードギアス」がなかったら、ここ数年ぶっちぎりで好きだ、なおかつ完成度が高いと他人におすすめできるアニメだっただろう。 「コードギアス」はどちらかというとストーリーのおもしろさで見せる作品だと思うんだけど(もちろんキャラも大好きです)、「マクロスF」の魅力はキャラクターの立ちっぷりだ。 ランカのワガママと紙一重の純粋さ、シェリルの強気を装うけど本当は孤独な女王様っぷり、ダブルヒロインの個性の描き分けがお見事。 サブキャラもクラン・クランといい、ミシェルといい、皆それぞれに人生があり、あの世界で精一杯生きていっているんだなあと思わせる。 これは本作のチーフライターである吉野氏の持ち味だと私は思う。 お話的にはわりとオーソドックスなんだけど、キャラの描き方が本当にうまい。 今は亡き星山氏を彷彿とさせる。 で、最終回。 綺麗に終わるとは予想してました。 「コードギアス」と違って、毎回急展開! 視聴者の予想をいかに裏切るかってタイプの作品でもなかったしね。 結果的に、うまくまとまったとは思う。 けどさ~~~~~~~~。 これって、本当にスタッフが描きたかった最終回なの? まずシェリルの不治の病がランカのビンタ一発で治ったのがよく分からない。 まあ、ランカはバジュラの理解者だから、その力を借りることができたのかも……なんて想像はできるんだけど、詳しい説明はない。 私の頭が悪いせい? と思い直して、もう一度作品に戻っても、ランカに「馬鹿っ!!」と説教されて、あっさりシェリルが納得するタイプにも見えない。 以後のランカの説明台詞オンパレードにも違和感を感じる。 今まで「マクロスF」ってものすごく丁寧に作られてて、こういうことはしない作品だと評価していたんだけど……。 そこで、私の頭に妄想が浮かんだ。 場所は某会社の会議室である。 座席にはレコード会社やアニメ会社のお偉いさんが背広を着てずらりと並んでいる。 彼らが見つめているのは、「マクロスF」のDVD、CD、および関連グッズの売り上げ表である。 誰かがぼそっ、とつぶやく。「マクロスF、予想外に売れてますねえ」「はい」と一同。「これ、終わらせるのもったいないんじゃないですか? 脚本変えましょうよ。もっと続編作って、グッズもバンバン売りましょう! ビジネスはこれからですよ!!」 そんな妄想を繰り広げているうちに、本編はランカとシェリルのデュエットで幕を下ろした。 ああ、これで終わったか……と思いきや。 劇場版制作開始、のテロップが。 あああああ~、やっぱり~~!! いえ、「マクロスF」、好きですよ。 キャラにはみんな幸せになってもらいたいと考えてましたよ。 でもね、なんか取ってつけた香りがするんです。 納得できないんです。 今回の最終回もアニメ一般のレベルから見れば良作だし、ぜいたくな不満だとは分かってます。 けど、「マクロスF」だったらもっとちゃんと感動させてくれると期待してたんだけど。 今後の予想。 劇場版と同時にマクロスFのパチンコができる。ポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月26日
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先週、予告でこのタイトルを見て「え、えええええ~!?」と叫んでしまった全国銀魂視聴者一万五千人(推定)のうちの一人です、私。 正直言って、今日本編を見た時よりも先週の予告の方がインパクトありました。 だっていつもと同じ楽しい放送に笑い転げていたら、最後に銀さんが映画のパート3について語りだし、「あー、銀魂らしいツッコミトークだなあ」と思っていたら最後の予告タイトルであれだもんね。 今思えば、スタッフはにやにやしながらあれ作ってたんだろうなあ。「君たちが好きな銀魂がもう少しで終わっちゃうよ? 悲しいでしょ、ブログに感想書くでしょ?」みたいな。 いろいろ論争されている来年3月以降のことですが、たぶん私は本当に「終了」だと思います。 まず、原作ストックがヤバい。 いっそのこと「ケロロ」みたいに開き直ってほとんど原作と違うストーリーにしてくれてもかまわないんですが、ジャンプアニメって「ドラゴンボール」以外、そういうことやりませんからねえ。 「テニプリ」もさんざん惜しまれつつ終了しちゃったし。 「テニプリ」や「ハンター・ハンター」で人気があるアニメを終了させても、後でOVAにして売れば儲かるっていう先例ができてるから、おそらくその形を取るのでしょう。 そういえば「ワンピース」も「NARUTO」もオリジナルストーリーが続いてますが、銀魂スタッフって結構こだわり強そうだからそういうことはやりたがらないような気がするんです。 銀魂ってギャグと会話のセンスで大きく評価されてる作品でしょ? オリジナルストーリーを連発して、ネットで「やっぱり原作と比べて面白くない」って書かれたら、スタッフは本気でがっくりするんじゃないかな。 今までいくつか「銀魂」、オリジナルストーリーやったけど、どれもハイクオリティだったと私は思います。 スタッフ、原作に負けないようにみんなで知恵をしぼったんだなあ、と。 あれを毎週やるのはつらいはずです。 一応、神楽が「終わる、終わると言いつつ続くというパターンもある」ってぼかしてるけどやっぱり続きはOVAではないでしょうか。 まあ、それにしても「マクロスF」も「コードギアスR」も終わっちゃうしで10月からのアニメライフがずいぶん寂しくなるなと思っていたんですが、来年4月から銀魂もなくなっちゃうかと思うと、本当に寂しくなります。 ファン心理から言わせてもらうと、オリジナルストーリーをがんがん作って続けてもらいたいのですが……。ポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月25日
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カレンは夢を見ていた。 いや、正確に言えばそれは回想だった。 ブリタニアに捕らわれていた時、なぜかスザクを幼なじみだと思いこみ、彼を一途に慕っていた自分。 夜ごと、喜んで彼に抱かれていた自分。 初夜の痛みはやがて甘い快楽に変わり、カレンは戦士としてではなく、女としてスザクを慕い、求めていた。 そしてスザクもそれ以上に愛してくれた。『スザク、スザク、愛してるわ! もっとあなたをちょうだい!』 おのれの嬌声を何度苦々しく思い出したことか。 きっとあれは、皇帝たちが何らかの使ったために操られたからだ。 カレン自身の意志ではない。 憎むべきは皇帝であり、ブリタニア――いや、卑怯な命令に従ったスザクだ。”私はスザクなんか大っ嫌いなのよっ” 夢の中で叫ぶカレンに、一人の少女が静かに呼びかけてきた。 C.Cだ。いつも通り、白い顔に落ち着いた表情を浮かべている。「本当にそうか? お前はスザクを憎んでいるのか?」「当たり前に決まってるでしょ! あいつを紅蓮で倒したくて仕方ないのよ!」「……青いな、お前は。”女”としての自分をどうしても認めたくないか」「そ、それは……」 カレンは黙り込み、うつむく。すべてを見透かしているようなC.Cを見るのが怖かった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月24日
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「カレンに何をしたっ?」「大したことはしていない。ただ”ここ”に連れてきただけだ」 その”ここ”とはどこなのか。それを尋ねようとした時、カレンの瞼がぴくりと動いた。 C.Cが軽く顎でしゃくる。「ほら、お前が騒ぐから起きてしまったではないか」 C.Cの話し声がよけい意識を覚醒させたのだろう。 カレンの瞼が大きく痙攣してからぱっちりと開く。「ここは……?」 寝ぼけたような表情はすぐにスザクを見て、驚愕に変わった。起き上がり、敵意をむき出しにして叫ぶ。「スザク! それにC.C! どうして私、こんなところにいるの? もしかしてスザク、私を誘拐して……」「違う! それは違うんだ、カレン!」 必死に否定しても、カレンは疑いを消せないようだった。立ち上がり、腰のベルトにさしてあった銃を取り出し、その銃口を向けてくる。 そのことが、たまらなく哀しい。 やはりカレンにとって、自分は今憎むべき敵なのだ。(当たり前だよな……ついさっきまで、戦ってたんだから) 互いが互いを傷つけ、殺し合う戦場に二人はいた。『あんたなんか、大っ嫌い!』 宮殿でのカレンの言葉が鈍い痛みをともなって蘇る。 かつて、二人は互いを求め合っていた。 しかし、それはあくまでも「ギアス」というまがいものによって作り出された愛情だったのだ。 きっと、カレンにとってスザクとの蜜月は恥ずべき記憶でしかないのだろう。 リフレインの件といい、幾たびもカレンを傷つけてしまった。 その代償を償うために、カレンに殺されたい。 けれど、ルルーシュによってかけられたギアスはまたしてもそれを許してはくれなかった。 ギアスの力により、体は勝手にカレンの攻撃を避け、背後に回って銃を取り上げる。 スザクに羽交い締めにされ、カレンは憎しみのおたけびを上げた、「離せ! 離せったら! 私に触れるな、スザク!」「僕だってそうしたいんだ。君に殺してもらいたい。けど……」「……それって、どういう意味?」 途端にカレンの抵抗が止まった。素直な驚きを込めた表情で振り返る。その瞳に恋人時代に見せてくれた優しさがひそんでいると感じたのは気のせいだろうか。 膠着状態に陥った二人に、C.Cが腕組みをしてため息をついた。「まったく世話が焼けるな。頭の固いところはルルーシュとそっくりだ」 そう言って、C.Cはスザクに羽交い締めにされたままのカレンにすぅっと近づいた。「な、何よっ?」 ただごとではないものを感じ取ったのだろう。前に向き直ったカレンの声が尖る。 カレンの抵抗をものとももせず、C.Cは彼女の額に手をかざした。スザクにした時と同じだった。 途端に、カレンの体が崩れ落ちる。 あわてて彼女を支えながら、スザクは必死に尋ねた。「カレンに何をしたっ?」「素直にさせてやっただけだ。日本やら、ブリタニアやらの軋轢を忘れてさせてな。目覚めた時、彼女は本当の気持ちに気づいているはずだ」 そう言い放った後、C.Cの姿は足元から先に消えていった。 やはり彼女は――いや、この空間は尋常な場所ではない。 自分と、そして何よりカレンの危機を感じたスザクは消えゆくC.Cに向かって、必死に叫ぶ。「待ってくれ! カレンをどうする気だっ? 君はどこに行くつもりだっ!」「現実世界に戻るのさ。何かと忙しい身の上だし、あの男も私がいないといろいろいらぬ詮索や心配をするだろうからな」 そう言ってから、上半身だけになったC.Cは意味ありげな笑みを浮かべた。「それに私は、色道にかけてはそう鈍くないつもりだ」「えっ?」 ドキリ、と胸が高鳴った時。 C.Cの姿は完全に消え、この奇妙な空間にはスザクとカレンのみが残された。そっとカレンの体を床に横たえる。体が痛まないよう、おのれが身につけていたマントをシーツ代わりにして体の下に敷いた。 きっと目覚めたら、ブリタニアのマントになんか寝かせるなと悪態をつかれるだろうなと思った。 私に触れるな、寝ている間に何をしたと。 が、カレンの寝顔は二人で過ごした夜と同じく、美しくいとおしかった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月23日
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瞼の裏にほの明るい光を感じ、スザクは目覚めた。 起き上がると、辺りは奇妙な空間だった。様々な絵画が壁一面にびっしりと展示され、天井からは海が見える。 明らかにここは今までいた戦場ではなかった。「ずいぶんと驚いているようだな」 声のする方向を見ると、C.Cが壁にもたれかかっていた。 子猫を見守るような笑みを浮かべている。 からかわれているような気分になって、スザクは立ち上がり鋭く問うた。「ここはどこだっ? いったい僕に何を……」「お前の夢を叶えてやるだけだよ。ほら、こうやって……」 そう言って、C.Cは指をパチリと鳴らした。 途端に、カレンの姿が現れた。 ぐっすりと眠っているようで、瞼は重く閉じられている。少し前までのスザクもそうだったのだろう。 それとも、もし彼女に何か危害が加えられていたとしたら。 ゾッとして、激高する。「カレンに何をしたっ?」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月22日
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勇作は貧乏ゆすりしながらじっとこちらの答えを待っている。すがる子供のような瞳を受け止めるべく、まっすぐに勇作を見据えて答える。『先生、今度俺のヌード写真撮ってくださいよ』『……高くつくぜ』 鼻の頭を照れくさそうにかいてから、勇作はそう答え、玲にくちづけた。 それから一週間後の今。 結局勇作は玲の裸を撮っていない。なぜかというと、いつも瞳に焼き付けているから撮影する必要はないそうだ。『俺以外の奴に見られて、お前を奪られちまったら困るからな』 大まじめに気障なセリフを吐く彼に思わず吹き出すと、軽く頭をこずかれた。 その代わり、玲は他の写真を勇作に撮られたが、それはヌードではない。勇作にもらった万年筆を手にして微笑んでいる写真だ。 それはとある雑誌に載せられた短編小説に添えられた写真だった。原稿依頼してきたのは悠実だ。あの喫茶店に呼び出された時、てっきり玲は謝罪を要求されるのかと思い、すでに到着していた悠実の姿を見た途端、頭を下げた。『顔上げてよ。こんなところで恥ずかしいわよ』 ハイヒールを履いた脚を組みながら、悠実はそっけなく言い放った。上目で見るとどこか彼女が寂しそうに微笑んでいたと感じたのは、気のせいだろうか。 すぐに悠実は編集者の顔に戻り、テーブルの上に一冊の雑誌を置いた。『これ、うちの出版社で創刊したばかりの雑誌なんだけど書いてみない? 大河内先生があなたを推してくれたの』『えっ? 先生が?』 思わず声が大きくなる。後足で砂を掛けるようなマネをしたというのに、あの大作家がそんな手配をしてくれるとは思っても見なかった。悠実も同じことを思っていたようだった。大きくうなずく。『私も信じられないわよ。けど、あなたの純愛に感動したんだって。大河内先生のおかげで、うちの編集長もべつに怒ってないわよ。あなた、大河内先生に一生脚を向けて寝られないわね。まあ、先生のことだから今度の作品のモチーフにされるかもしれないけど』 最後の一言に、思わず頬がこわばる。それを見て悠実はカラカラと笑った。『まあ、そんなに気にしなくてもいいわよ。先生大人だから、あからさまにモデルにしたりはしないだろうし』 ホッと一安心している間に、悠実は考え深げにうつむいていた。ぽつり、とつぶやくように言う。『アランさんから聞いたわ。フリーハウス、大変だったんだってね』『悠実……』 知ってたのか、と問いかけようとした時、悠実はきっぱりと首を横に振った。『私のことはもう悠実、なんて呼ばないで。私たち、編集者と作家なんだから。あなたが呼び捨てにするべき人間は、他にいるでしょ?』 悠実の大きな瞳はかすかにうるんでいた。『……ありがとう。大杉、さん』 そう答えると、玲の肩を「がんばっていい原稿書いてよ!」と強く肩を叩かれた。痛みに顔をしかめながら彼女を見ると、涙が少しこぼれていた。 料理本に視線を落としている玲に、勇作が膝に頭を置いてくる。「何なんですか、唐突に」「いいじゃねえか、膝枕くらい。これも愛人契約のうち――じゃなくて」 そう言って、勇作は手を伸ばして玲の頬に触れた。「俺たち、本当の恋人同士になったんだからさ」 胸が熱くなる。自分を見上げる勇作の顔が、いとおしさに満ちあふれていたからだった。 こんなにも勇作は愛してくれているのだ。いつもなら「何気障なこと言ってるんですか」と憎まれ口でも叩くところだが、今日の玲は違った。 悠実に言われた言葉を思い出し、深呼吸してその言葉を口にする。「そうですね……俺もあなたが好きです、先生……じゃなくて、勇作さん」 ロマンティックな告白のつもりだったが、勇作の反応は期待と違っていた。本の乱丁に気づいたように、眉をひそめている。「ど、どうしたんですか?」 何かまずいことでも言ってしまったのかと訊ねると、勇作はふと笑みを漏らし、ちっ、ちっと人差し指を顔の前で振った。「お前、今あわてて先生から勇作って呼ぶ直しただろ」「それは……そうですけど」 からかわれていたことが分かって、ほっとすると同時にむっとする。「ずいぶん無理してるんだろうなと思ってさ。以前、俺、何度かお前に名前で呼んでくれって頼んでたこと、覚えてたんだな。そこまでして俺を喜ばせてくれようとしてるのか、そうか~。うーん、可愛い奴」 がばっと抱きつかれる。大型犬になつかれるように、何度も頬をすりつけられた。「や、やめてください、先生」「ほら、また先生って言った」「す、すみません、先生……じゃなくて、勇作さんっ」 あわてて言い直すと、いきなり抱擁を解かれた。いつしか勇作は真顔になっていた。つつみこまれるように見つめられ、鼓動が早くなる。「いいよ、先生で」「えっ、でも……」 言い募ろうとしたら、こつん、と額に額をくっつけられた。視界いっぱいに勇作の顔が広がり、慈しみに満ちたまなざしで見つめられる。「こんなことで俺、お前の気持ちを試さなくてももう知ってるから。お前が俺のこと想っててくれるってこと――それ以上に、お前のこと何でも知ってる。百科事典みたいに」 じわり、と体があたたかくなった。 ずっと今まで素直になれなかったのに。 さんざん困らせてきたのに。 こんなにも、勇作は愛してくれている。「……先生」 それ以上、言葉にならなかった。涙が後から後からあふれてきて、あわてて手の甲で拭う。 そんな玲の頬を勇作は大きな手のひらでつつみこんだ。親指で優しく涙を拭われる。また勇作の前で泣いてしまった照れかくしに、自分で自分にツッコミを入れる。「俺、馬鹿ですね。あいかわらず名前で呼べなくて」「べつにいいって言っただろ。それに俺、お前の管理人でもあるから、それ許可する」「えっ?」「ずっとお前のそばにいて、守ってやる。さしずめ俺とお前がフリーハウスの管理人であるみたいに、俺もお前の管理人なんだよ。お前のこと何でも知ってる管理人。玲、頼りないから俺がそばにいないとなあ、やっぱり」 わざとらしく腕組みをしてうなずく勇作に、玲は思いっきり悪態をついてやる。「うぬぼれないで下さいよ、まったく!」 そう言ってあっかんべえをすると、舌がぬくもりでつつまれた。勇作に深くくちづけられたのだった。 やがて玲も勇作の背中に手を回し、その優しさに身を委ねる。体の中の澱が、すべて解けていくようだった。これから作家としてやっていけるかどうかは分からないが、ただひとつだけ確かなことはある。 勇作が、たいせつなひとであるということ。 玲の好きな部分にくちづけを落とし続けた後、ふと勇作がつぶやいた。「俺、今いいこと思いついた。お前の次の作品に使えよ」「……何ですか?」 熱い吐息の中、訊ねるといたずらっぽく勇作は答えた。「愛人管理全百科。契約だけで繋がってる人間を、どうやって本当の恋人にするかっていう小説」「……馬鹿!」 そう言って、玲は自分から勇作を求めた。ふと視線を感じ、窓の外を見ると黒猫――グレンがいた。声に出さずに、玲は呼びかける。”俺、もうずっとここにいる。先生たちと一緒に生きていく”と。 グレンは満足げに鳴き声を上げて去っていき、玲はふたたび勇作と求め合った。 玲の著作が書店に並ぶのはそれから一年後のことだ。内容は作家志望の主人公がマンションの管理人をしていくうちに黒猫と対立し、やがて友情を結ぶというファンタジー小説で、読者から読むと幸福な気持ちになると好評だった。ファンタジーでありながら、リアルな雰囲気もあるところが魅力だと。 玲の成功を一番祝ってくれたのは勇作――いや、グレン、それとも亡き茂内氏だったかもしれない。 とにかく、玲は勇作のそばで幸せだった。いつまでも、いつまでも。 終わりポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月21日
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「答えは期待するな。今、この人格の私がここに存在することは、あの男とて知らぬのだからな」「あの男っ? ルルーシュのことかっ? 奴は今どこに……」 気色ばんだ途端、額に冷たくてやわらかなものが当てられた。 c.cの手だった。 急に頭がぼんやりして、視界に霞がかかる。目の前にあったクレーターも見えなくなり、体がふぅっと軽くなる。 小さくc.cがつぶやく声が聞こえた。「やはりあの娘――カレンにいまだ恋慕しているのか。マリアンネめ、シャルルと組んで罪なことをしてくれたものだ。他人の心をおもちゃにして……当人同士はどうなる? 敵味方に分かれてしまった今も、心の奥底ではお互いを愛している二人は?」 おだやかな話しぶりだったが、明らかにc.cはシャルル――ブリタニア皇帝と「マリアンネ」という人物に立腹しているようだった。(どうして? 彼女と皇帝に何の関係があるのだ?) 今度は何かに抱き上げられた。重くなった瞼を開けると、C.Cが微笑んでいるのが見えた。「重く、ないのか? 僕が……」「そんなことをこの期に及んで心配するのか? 他人に対する気遣いは抜群だな、お前は。ルルーシュから聞いていた通りだ。まあ、それが純粋なものかどうかは別の問題だが」 どこまでこの少女は自分のことを知っているのだろう。もしかして父親とのことを言っているのでは……なぜそんなことを。 激しい戸惑いと畏れのために、どうにかあがいてC.Cの手から逃れようとする。が、特に押さえつけられた様子もないのに、体はぴくりとも動かなかった。 混乱状態に陥りそうになった途端、またあの冷たい手が額に当てられ、意識が遠のいてゆく。 目眩に落ちる間際に、C.Cにささやかれた。「安心しろ。お前とカレンにつかの間の夢を見せてやるだけだ。お前たちが秘めている願いを叶えてやる。そのくらいしてもかまわないだろう、マリアンネ?」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月20日
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血が染め上げた夕陽を見上げ、スザクは哄笑していた。 恐ろしい新兵器、フレイア弾頭を打ってしまった自分が愚かしくてたまらなかった。(馬鹿だ、最低だ、僕は――ユーフェミア様に、あれほど平和な世の中を作ると誓ったはずなのに……) たとえルルーシュにかけられた「生きろ」というギアスのためとはいえ、たくさんの人を殺してしまったのは自分。 先ほどニーナには強がりを言ってしまったが、間違いなくスザクはおのれの行動を悔いていた。 このまま死んでしまいたい。 けれど、かけられたギアスは自殺をも許してくれない。 そんな無力な自分がたまらなく滑稽で空しくて、自分で自分を嘲笑った。 そうすることで、どうにか自分を客観視して、生き抜いていこうとしたのだ。 どの道、血まみれの道を歩いていくしかないのだから。 が、やがてそんな強がりも尽きてしまう。 いつのまにか日暮れた廃墟の下、がっくりと膝を落とし、スザクはフレイアによってもたらされた巨大クレーターを見つめていた。 おのれのなしてしまった業を、あらためて思い知らされる。 いつしかぼんやりとスザクは、あの少女のおもかげを追っていた。(カレン――君になら、僕は殺されても良かったのに……いや、君の手で生命を奪われたかった)「そんな形でしか、僕たちはもう繋がれないんだから……カレン」 そう独り言をつぶやいた時、ひんやりとした声が答えてきた。「そこまで彼女を想っていたのか? まるでロミオとジュリエットだな」「!?」 振り向くと、そこには長髪の美少女が凛然と立っていた。 長い髪。 華奢で、白い肌。 その姿に、スザクは見覚えがあった。「c.cっ? なぜ君がここに……」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓ポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月19日
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翌日。 スザクは浮き立つ足取りで、カレンの元に向かった。 きっといつものように、彼女は喜びいさんで自分を迎えてくれるのだろう。 が、今日のカレンは明らかにいつもと違っていた。 まず最初の頃のように牢屋に入れられている。 そして、顔からはうち解けた笑顔が消え、代わりに凍り付いた表情が張り付いている。 嫌な予感がして、スザクはカレンに歩み寄った。 カレンが鋭く叫ぶ。「こっちに来ないでっ! この卑怯者!」「そ、そんな……」 突然の事態に戸惑いつつも、スザクはカレンの牢獄に自分も入った。途端に、カレンの平手打ちが飛ぶ。 痛みを感じている暇はなかった。「この卑劣漢! 妙な力で私を洗脳して、よくも、よくもあんなことを……」「そんな、カレン、違うんだ!」「いや! いや! 離して!」 泣きながらカレンがおのれの腕から逃れようとする。 昨日まで、あんなに自分を愛してくれていたカレンが。 彼女を離したくない。 その一心で、スザクはカレンを抱きすくめ、強引に押し入っていた。 カレンの叫び声が単なる怒声から、やがて甘いうめきに変わっていく。 彼女の体は、確実にスザクを覚えていたのだ。 やがて、カレンは高みに達し、スザクの腕の中でのけぞった。「あっ――!」 強く抱きしめると、カレンは小さくつぶやいた。「スザク……」 その声が慈しみに満ちていると思うのは、スザクの気のせいだろうか。 身繕いを終え、宮殿を出るとすでに夜はとっぷりと暮れていた。 一人の少女がじっと自分を見つめているのに気づき、スザクは脚を止める。「君はいったい何を企んで、こんなことをしたんだいアーニャ? いや……別の人」 アーニャは優雅な仕草で肩をすくめる。「最初考えた計画が失敗だったって分かったから、ギアスをキャンセルしてもらったの。このままじゃ、あなたあの子に勝てないわ――ルルーシュに」 スザクの目がギラリと光る。「ルルーシュっ? やっぱりゼロはルルーシュなんですかっ?」「それを確かめるためには、カレンにこれを注射しなさい」 そう言ってアーニャが差し出したものは注射器とアンプル――リフレインだった。 翌日。 リフレインを持ったスザクは、カレンのいる宮殿へと向かう。 きっとそこには、憎悪に満ちた彼女がいるのだろう。 魔法が解け、苦い現実に戻った姫君が。 そしてスザクも、ゼロ――ルルーシュを追い詰めるという本来の目標に立ち返った。 もう確信している。 カレンは二度と、自分に心を許してくれない。 あの甘やかな日々は、すべてギアスが見せたまやかしだったのだ。 それでも、スザクはそれを忘れることができなかった。 カレンのいる宮殿に脚を踏み入れ、リフレインを取り出した時でも。 第一章 fin
2008年09月18日
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一ヶ月後。 今夜もスザクとカレンは抱き合っていた。 すでにカレンの体は男を受け入れられるようになっており、それに喜びを覚え始めていた。 いつしかカレンは、自ら進んでスザクと快楽を分かち合うようになっていた。「もっとあなたを感じたいの」 そう請われるまま、スザクはためらいつつもカレンに様々なことを教える。 実に彼女は飲み込みがよく、積極的な生徒だった。 綿が水を吸い込むように、スザクを吸収し、おのれも惜しみなくスザクに分け与える。 今やスザクは、二人の関係がギアスによってもたらされたものということすら忘れかけていた。 いや、もしカレンのギアスが解けても、彼女は自分を好いてくれると思えるのだ。 そして今夜も、愛し愛される喜びを初めて知ったスザクはカレンと抱き合う。 幾度か交わった後、カレンはスザクの胸の中でつぶやいた。「私、あなたの子供が産みたいわ」 スザクは夢心地で、そんな彼女を抱きしめていた。たっぷりと注ぎ込んだ自分がもしかして新しい生命になっているかと思うと、うれしさで胸がはちきれそうだった。 このことで父親との確執も、忘れられるような気さえしていた。 スザクとカレンが過ごす宮殿のそばにある噴水前で、アーニャと皇帝――シャルルは対峙していた。 二人とも宮殿から聞こえる二人の声に耳をそばだてている。 それは時に愛を語り、時にみだらな喘ぎになっていた。どちらも明らかに心から愛し合う恋人同士のものだった。 シャルルがおもむろに口を開く。「どう思う、マリアンネ? あの二人のことを」 アーニャ――いや、今やマリアンネに精神を乗っ取られたアーニャは冷ややかに答えた。「別れさせた方がいいわね。最初のもくろみと違って、物事は私たちの計画に悪い方向に動いている。今のスザクもカレンも、戦士の顔をしてないわ。今の二人じゃ、戦場で人は殺せない」「――自分はさんざん人を殺してきたのに? 私やルルーシュ、ナナリーというものがありながら」「それはあなたも同じでしょ、シャルル?」 二人はしばし笑い合った。 やがて思い立ったようにシャルルがアーニャを抱き上げ、その唇にキスする。 濃厚な口づけを終えてから、アーニャ――いや、マリアンネは結論を出した。「明日、カレンのギアスを解きましょう」 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月17日
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顔を真っ赤にしながら、カレンが夕暮れにスザクのマントを引いてきた。「スザク――今夜はここに泊まっていかない? 侍女たちは皆、下がらせておいたから」「カレン、それはできない」「なぜ? あなた、私のことが好きじゃないの? 私、あなたのこと、こんなに想ってるのに……」 いつもは気丈なカレンの瞳に、みるみるうちに涙がたまる。 泣き顔を見せたくなかったのだろう。 カレンは顔を覆い、後ろを向いた。 ドレスに覆われた肩が震えているのを見たら、抱きしめずにはいられなくなり、気づいた時には、彼女をベッドに押し倒していた。「スザク――嬉しい……」 涙に濡れた瞳で、カレンは笑顔を向けてくれる。 それを見た時、思わずスザクは今まで押さえていた言葉を口にしていた。「僕もだ――君が好きだ。ずっと大好きだった、カレン」 生まれたままの姿になったカレンは、思いの外華奢で色白だった。 白い肌が月明かりに照らされ、内側から光っているようだ。 やはり恥ずかしいのだろう。両手を使って、乳房と秘所を覆い、長いまつげを伏せている。 そんな彼女を安心させるようにスザクは頬にくちづけし、自分も衣服を脱ぎ、そっと覆い被さる。「怖い?」「怖いもんですか! 私を舐めないでよ!」 この期に及んでも強がりを言う彼女がいとおしくてたまらなくなり、ひとおもいにくちづける。「んっ……」 緊張した声を上げながらも、カレンは慣れない様子で懸命に応じた。舌をからみあわせようとすると、違和感があるのか少し逃げ腰になるのが愛らしい。 彼女が乙女であることを実感せずにはいられなかった。 だからこそ、優しくしてやらねば。 そう考えたスザクは、そっとカレンの脚の間に指を這わす。そこはまだ少しの潤いも帯びていなかった。 ついばむように乳房にくちづけしてから、足元にひざまずく。「あっ……スザク、やめっ……」 乳房への愛撫で小さなあえぎ声を漏らしていたカレンは、突然羞恥に駆られたようだった。 あらがう彼女に幾度も「大丈夫」とささやくと、ようやく抵抗がおさまる。 頃合いを見計らって、スザクはそっとそこを舌で覆った。 桃色の芽をそよがせるたびに、カレンは潤い、唇からあえぎ声が漏れていく。 やがてそれは堪えきれない叫びとなった。「あ――あっ、スザク、スザクっ! 来て――私のところに」「行くよ」 かすれた声で答え、スザクはカレンにふたたび覆い被さり、深く身を沈めた。 カレンの緻密な襞が抵抗してくる。 同時に、彼女が苦痛に顔をゆがめた。「どうしよう――やめようか?」 心配して訪ねると、カレンはまぶたを開けてきっぱりと首を横に振った。「いいのよ、スザク。これは私たちがひとつになる証なんだから。さあ、早く!」 こんな時にも見せる彼女の気丈さがいとおしくてたまらなかった。 つらい時は少しでも短くしてあげよう。 そう決意して、スザクは一気に身を進める。 何かを突き破る感覚とともに、カレンが悲鳴を上げた。「い、痛い――っ」「ごめん、ごめん、カレン」 あわてて抽送を止めるスザクに、カレンは無理に笑顔を浮かべて見せる。「謝らなくていいの……私が望んだことだから。ねえ、私の中で弾けて。もっとあなたを感じさせて」 そしてカレンはスザクの背中に自分の腕をしっかりと巻き付けた。「大好きよ、スザク」 その声とともに、スザクは果てていた。 しばし後、カレンはスザクの腕の中で眠っていた。初夜の緊張と痛みが彼女を疲労させていたのだろう。 カレンが熟睡しているのを確かめてから、スザクは起こさないようにそっと彼女の身を清める。使った手ぬぐいには、カレンの処女の証がしっかりついていた。 この期に及んで、ようやくスザクは気づいた。 カレンが妊娠してしまったらどうしようと。 が、すぐに思い返す。(生んでくれたらどんなに嬉しいか――僕と、彼女の子供) もしかしてその存在が、自分という人間に生きる喜びを与えてくれるかもしれない。 たとえこの手が血に汚れていようとも。 そう感じた時、スザクの頬は自然とゆるんでいた。 子供時代以来、初めて見せた彼の心からの笑顔だった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月16日
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どうもコードギアス、ジノとカレンがいい感じになっちゃうみたいですね。 私は第一部でカレンとスザクが島でいっしょに遭難した時からスザク×カレン派でした。 ラジオ「コードギアス」で櫻井さんの発言によると、「カレンはスザクをまったく恋愛対象として見ていない」ということなので、まったくこのカップリングは無しですね。 そういえばジノ、とらわれのカレンにいろいろ話しかけたりしてたから当初からこのカップリングっていうのは考えられてたんでしょう。 それでもやっぱりスザク×カレン派としては寂しいものがあるので、SS書いてみました。 噴水からほとばしる水が、燦々と陽光に照らされている。 本来なら見事な光景に心おどるはずなのだが、今のスザクにはすべてくすんで見えた。 猫を抱きながら、何度めかのため息をつく。 理由はただひとつ。 ブリタニアの人質となっているカレンの処遇だった。 ゼロの正体を問い詰めるために彼女を幽閉しているのだが、生来の頑固者ときているからいっこうに口を割らない。 かと言って拷問にかける勇気はスザクにはなかった。 仮にも彼女はアッシュフォード学園は友人だったのだ。 互いに秘密を隠し持っていたとしても。 それに。 スザクにとって、あの赤い髪の少女が悩みの種である理由はもう一つあった。 自分では意識していないが、明らかにスザクはあの少女に惹かれているのだ。 気性の激しさをそのまま表したかのような赤い髪。 ひきしまった筋肉と少女らしいまろみを帯びた胸。 そして――スザクを射貫く大きな瞳。 いつのまにかスザクは彼女のおもかげを追い求めていた。 無意識のうちにぼそり、とつぶやく。「紅月カレン――……」「そんなに彼女が好きなのね」 幼い声に驚いて振り返る。 そこにいたのはツインテールの少女――アーニャだった。 スザクが驚いたのは、突然話しかけられただけではなかった。 アーニャの話し方がいつものそっけない口調と違い、愛想が良く、さらに無表情に近い顔が輝くばかりの笑顔を浮かべていたからだ。 アーニャはつい、とスザクに歩み寄り、その隣に腰掛けた。 洗練されたムダのない動き――まるで成熟した淑女のようだった。「アーニャ、どうしたの? いつもの君と違う」 スザクの問いに、アーニャはおどけた仕草(ふだんは絶対にしない)で肩をすくめた。「そんなこと、どうだっていいじゃない。それより、スザク」 そう言ってアーニャはスザクの顔をのぞきこんだ。 人を魅了するようなまなざしだった。とてもローティーンの少女が見せる笑顔とは思えない臈長けた魅力だった。 どきり、と胸が高鳴る。 そんなスザクにアーニャはからかうように微笑むと、その手を引いて立ち上がらせた。「いいものを見せてあげるわ。あなたにとっての、とっておきの贈り物」「そ、それ……何のことだい?」「いいから、こっちに来て!」 スザクの戸惑いをよそに、アーニャは宮殿の一つに向かった。 そこは、カレンの幽閉されている宮殿だった。 宮殿に足を踏み入れた時、スザクは驚愕のあまり息をのんだ。 カレンが牢から出されているのだ。 しかも逃げ出そうとする風もなく、幸せそのものの笑顔を浮かべ、スザクに駆け寄ってくる。「いったい何がっ?」 アーニャが答える以前に、カレンはドレスの裾をなびかせてスザクに抱きついてきた。 甘い体臭と、心地よいぬくもりがスザクをつつむ。 どくん、と心臓が高鳴った。 カレンは顔を上げ、紅潮した頬でむくれて見せた。「今日は遅いじゃない、スザク! どうしてもっと早く会いに来てくれなかったの?私、ずっと待ってたのよ」「……つまり、ギアスをカレンに使用したということですか」 さんざんスザクと宮殿内で語り合ったり、ゲームをしたあげく、カレンはすやすやと寝息を立てて眠ってしまった。 その寝顔は今までのような剣のあるものではなく、あどけない少女そのものだった。 スザクとともにテーブルについて紅茶をすすっているアーニャは何食わぬ顔でうなずく。「そうよ。人造ギアスの持ち主の一人にかけさせたの。記憶改ざんのギアス。自分は何不自由なく育ったブリタニア人で、お母さんもブリタニア本国で幸せに暮らしている。そしてあなたとカレンは――」 そこでアーニャはカップを置き、艶然と微笑んだ。「幼なじみで、婚約者同士。彼女はあなたを信頼しきって、惚れこんでいるわ。そしてすぐにでも抱いて欲しがっている」 あけすけな言いぐさに、スザクは頬が熱くなるのを感じた。そこに性的な興奮がないといえば嘘になる。 が、すぐに本来のスザクに立ち戻り、詰問した。「なぜそんなことをするんですかっ? 彼女の意志はどうなります? あまりにも非人道的過ぎます」「まず最初の質問に答えるわ。カレンが我がブリタニアの味方になれば、強力な戦力になる。今の彼女なら、あなたのために喜んで戦うでしょう。それに日本人であり、ナイトオブラウンズであるあなたと黒の騎士団だった彼女が婚姻すれば、ブリタニアとしては国交に有利になる。黒の騎士団の志気も下がり、さしものあのゼロも追い詰められるでしょう。自分の部下に裏切られたのですから」「け、けれど、それはあくまでギアスの力によるもので……」「でもスザク、あなたにとってこれは嬉しい事態じゃない?」「……」 いいえ、と即答できない自分が不甲斐なかった。 自分を恋人として慕ってくれるカレンは、明らかにスザクが思い描いていた夢だったのだ。 そんなスザクをからかうように、アーニャは言葉を続ける。「それにこれは一番リスクの少ない、人道的な作戦でもあるわよ。あなた、カレンにどうするつもりだった?」 問われて、答えに詰まる。 たしかに今まで思い描いていた数々の計画は、どれもひどいものばかりだった。 さて問題は解決したとばかりに、アーニャはカップをソーサーに置いて立ち上がった。「それじゃスザク。彼女をしっかり愛しておあげなさい。すぐにでもあの娘はあなたに抱いて欲しがっているわよ――情熱的な娘なのね」「そ、そんな……」「嫌ではないでしょ?」 いたずらっぽくウィンクし、アーニャは部屋から立ち去ろうとした。 あわてて椅子から立ち上がり、彼女を呼び止める。「アーニャ。君、アーニャじゃないね? あの子は紅茶なんか大嫌いだったはず……」 スザクの問いに、アーニャは謎めいた微笑を浮かべた。「そんなの、大した問題じゃないわ」 それ以上何も聞けない迫力を感じて、スザクは押し黙った。それほどまでにアーニャは威厳に満ちていた。 一人残されたスザクの横で、カレンは一人寝息を立てていた。「こんなところで寝ちゃうなんて、風邪引くよ」 戸惑いつつも、ドレスのまま眠っているカレンに毛布をかける。 むにゃむにゃとカレンは寝言を言った。「スザク――大好きよ」 こんなの間違ってる。 それは分かっていても、スザクはときめきを押さえることはできなかった。 こうしてスザクは、カレンと奇態な関係を結ぶことになった。 おそらくカレンはギアスによって、ブリタニア国の王女という記憶をすり込まれているのだろう。 何の疑いもなく宮殿で生活し、ただひたすらスザクとともに過ごしたがった。 カレンのことをよく思わない人間も宮殿には数多くいるだろうに、誰一人として彼女にイヤガラセをする人間はいなかった。 ある日、ジノが教えてくれた。「皇帝じきじきに、カレンは丁重に扱えって指示が出てるんだってよ」 そこにスザクは、何らかの違和感を感じずにはいられなかった。 アーニャが突然、アーニャではなくなった時の違和感。 当のアーニャといえば、あの日以来、普段通りに戻って生活しているから、スザクは何も相談することはできなかった。 やがてある晩、スザクがついに恐れ――そして望んでいたことがやって来た つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月15日
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"お客さんが同時代を作品に感じてくれなければ、観てくれない” ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫の言葉だ。 その点、この「コードギアス」という作品は見事に今私たちが生きている時代を作品に取り込んでいる。 ルルーシュとシュナイゼル、二人とも敵対しているけれど互いに理想は確固として持っている。 その理想自体、よく似ている。 二人が望むものは「平和」だ。 それなのにそれを手に入れるために、多くの犠牲者たちの血を流してしまう。 築かれるのは幸せな人々が暮らす生活ではなく、死体の山。 今回、ルルーシュにいたっては味方まで殺してしまう。 一番ハッとしたのは藤堂がルルーシュによってギアスをかけられたブリタニア軍の兵士たちに「哀れなものよ。ギアスなどというものに踊らされて!」と叫びながら撃墜するシーンだった。 藤堂は信念に生きている人だから、ギアスなどというものは卑劣そのものな能力と唾棄しているのだろう。 けれど藤堂の信念がギアスに比べて崇高かどうかは別の問題だ。 実際、彼は信念のために行動していたはずなのに、日本軍、黒の騎士団、そしてシュナイゼルのもととせわしなく立場を変えている。 ノベライズ版を読むと分かるけれど、彼は「正義」や「信念」なんてものが一筋縄で通ると思っている人間でないことは明らかだ。 自分でもそういう矛盾を抱えているのを自覚しているから、長く付き合っていた恋人に(おそらく)プロポーズしたのだろう。 藤堂の場合は愛する女性がいるからまだ救いがある。 もっと哀しいのはルルーシュだ。 スザクは「俺は彼の剣になるから、君は盾になってくれ」とc.cに命じた。 君はルルーシュの共犯者なんだろう、と。 そこで彼女は「共犯者か……」と寂しげな微笑みを浮かべる。 きっと彼女はもう自分がルルーシュの共犯者でたりえないことに気づいているんだろう。 それほどまでにルルーシュは孤独な王の座についてしまった。 C.C.も、そしてルルーシュ自身もそのことに気づいているはずだ。 今回、おそらく二人はベッドをともにしたと私は邪推する。 けれど、あくまでそれは愛の交歓ではなく、C.Cがルルーシュに一時の安らぎを与えただけ。 「コードギアス」の世界では、少年がセックスを知ることが必ずしも成熟した大人になり、世の中を平和に渡っていけるわけではないのだ。 これは私たちが生きる世界も同じことだ。 愛は地球を「すべて」救うわけではない。 恋は人を「完全に」変えられるわけではない。 二人がベッドの上で背中合わせに座っていたのはそれを象徴していたように思える。 いっしょにいるからといって、見ているものが同じとは限らないのだ。 C.Cはその寂しさに耐えられなくて、ルルーシュが皇帝になってからずっとぬいぐるみを抱きしめているのだろう。 彼女が「R2」になっていてから着ていた黒のドレスから、ふたたび拘束服に着替えたのは哀しい意思表示だと思う。「自分は世界を変えられる魔女などではなく、あくまで特殊な能力を持っているだけの一人の女でしかない」と。 ナナリーがスィッチを押してしまったシーンといい、どうにもやるせない回だった。 けれどもこんな重い話を見るのがしんどい、と思う自分がいると同時に、現代社会が抱える厄介な問題をアニメに取り入れてしまったこの作品がどう結末を向かえるのが楽しみで仕方がない自分がいるのだった。ポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月14日
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『まあ、ちょっとは俺の下心もあったさ』『下心って?』『どうしてもお前といっしょにいたかったんだ。ほら、久しぶりに再会した晩のこと覚えてるか?』 そう言って勇作は明かしてくれた。 玲が大学進学をきっかけに実家を出たことは知っていたが、時折おもかげを求めてその周辺を散策していたのだと言う。 そんな時、偶然ふたたび出会うことができたのだ。 俺、ストーカーみたいだろと自嘲する勇作に、玲は不思議に思って訊ねてみた。『どうして先生、俺の住所両親に訊くなり何なりして尋ねてくれなかったんですか? 先生なら喜んで俺合ったのに』『不安だったんだよ。お前の迷惑になるんじゃないかって』『どうして? 何が不安なんですか? べつに俺、先生のこと迷惑なんて思ったりなんか……』『お前、俺にヌード写真撮らせてくれって言われた時、どう感じた?』 そう問い返されて「あっ」と玲は口をつぐんだ。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月13日
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「あさっての献立、何にしましょうか?」 そう訊ねると、畳の上であぐらを組んでカメラをいじっていた勇作は大げさな表情で首をひねった。「そうだなあ。玲の作るもの、何でもうまいから迷っちまうよ。ビーフストロガノフもいいし、グラタンもいいし……」「先生、それ洋食ばっかりじゃないですか。何でもおいしい、っていう割にはすごく好みが入ってますね」 そうツッコミを入れると、勇作は少年のように唇をとがらせた。「だって好きなんだから仕方ねえじゃねえか」 そんな彼の子供っぽさが愛らしくてたまらないと玲は思わず笑い声を上げる。つられてすぐに勇作も破顔した。こんな和やかなやりとりができるのはこの一週間ほど――レイがフリーハウスを去り、玲が正式な厨房係となってからだった。 現在、厨房は玲が一人でやりくりしている。最初はレイと二人がかりでやっていたのに、ちゃんと切り盛りできるか心配だったのだがそれは杞憂に終わった。たしかに二人がかりでやっていた頃より仕事量は多いが、勇作もよく手伝ってくれるし、元々一人でできる仕事だったのだ。 そう思い当たった玲は、勇作に尋ねてみた。厨房補助として自分を雇う必要があったのかと。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月11日
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いつだって勇作は玲を守ってくれた。大きな翼のような愛でつつんでくれた。 そう思い当たった時、自然と玲の唇は動いていた。「先生、好きです。俺、先生のことが好きです――大好きです!」 言い終えるや否や、待っていたとばかりに貫かれた。腰を強く両腕で抱かれて、引き寄せられる。 一番深くつながったまま、かき回される。泣きじゃくりながらしがみつくと、勇作はそれ以上に強く抱き返してくれた。「俺もお前が好きだ、玲。大好きだ。一生、そばにいてくれ。ずっと俺から離れるな――!」「はい――はい、先生!」 夢中でうなずきながら、自分からも勇作をもとめる。何度も突き落とされ、そのたびに熱い腕で受け止められる。いつしか玲は絶頂の中、無我夢中で叫んでいた。「先生、大好きです、先生――!」 叫ぶたびに、心の中につもっていた澱が取れていくようだった。やがて玲は勇作の腕の中で深い眠りに落ちていった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月08日
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(さっき、俺がつい優しくしちゃったせいだ) そう思い当たって、玲は口をとがらせて抗議する。「先生、調子に乗ってるでしょう? さっきは俺に、あんなに低姿勢だったくせに」 勇作がむっとした様子で、指を動かす。「んっ……!」 少しだけ触れられただけなのに、体がうずいて涙が出た。すすり泣く玲を容赦なく攻めながら、勇作は訊ねてくる。「俺のが欲しいか?」「……」「へえ、欲しくないのか?」 勇作の指が、感じる部分から離れた。それに耐えきれなくて、羞恥心をかなぐり捨てて答える。「はい……ほ、欲しいで、す……」「じゃあ、言ってみろ。俺が好きだって」 そう言われて、呼吸が止まった 。 今まで心の奥底にしまいこまれていたその言葉を、勇作は玲から引き出そうとしている。 ふたたび抱き上げられ、勇作の膝の上に脚を開いて乗せられる。あと数センチでおあずけにされながら、また言われた。「なあ、言ってみろよ。俺が好きだって」 そうささやく勇作の瞳は、あふれるばかりの情熱といとおしさに満ちていた。急に出会った時から、今までの勇作との思い出がよみがえる。年上の男として、彼を尊敬していた学生時代。男同士なのに愛を告白され、戸惑いのまま抱かれた夜。そして悲しい別れと、再会。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月07日
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もう勇作は、その行為を止めはしなかった。 代わりに玲の体を軽々と抱き上げ、体勢を真逆にして、仰向けになった自分の上にのせる。視界一杯に勇作のそこが広がり、口元に垂れていた。自分のそこも勇作にさらけ出されているのだろう。蕾に舌が差し入れられ、指で杭を愛撫される。「玲……」 うながされるようにささやかれて、玲もそれに応えた。少し顔を上げると、自然と勇作が口に入ってきた。一生懸命がんばらなくても、すぐに勇作は昂ぶり、それを玲も欲しくなる。「先生……」 もうこれ以上待てなくなって、乞いながら振り返ると、少しだけ意地悪く勇作は微笑んだ。「だめだ。もう少し、我慢しろ。その方がもっと、気持ちよくなれるんだから」「でも……」「ほら、お口がお休みになってるぞ」 おどけた仕草で腰を振られる。仕方なく言われた通りにしたが、じわじわと溶かされるうちにどうしても辛抱できなくなった。「先生、お願い……」「何をだ?」 問われて、思わず唇を噛む。いつのまにか勇作は大人の余裕を取り戻したようだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月05日
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玲の意識が他に向かっているのに気づいたのだろう。腰の動きを止め、勇作が背中から訊ねてくる。「どうした、玲? 痛いのか?」 不安げな声に振り返ると、頬をこわばらせた勇作が見えた。これ以上ないほどからみ合っているというのに、まだお前の心は手に入れられていないのか。そんな哀しい表情を浮かべていた。ただ彼の不安を晴らしてあげたくて、玲は自分から勇作にくちづけ、恥じらいを込めてささやく。「いいえ、先生――痛くなんかありません。もっと……もっとしてください。俺に、先生をいっぱいください」「玲……」 勇作の瞳が潤む。「嬉しいぜ、ここで死んでもいいくらいだ――お前が、俺にそんなこと言ってくれるなんてよ……!」 途端に、勇作ははじけてしまった。バツが悪そうに、わびを入れられる。「す、すまねえ。俺だけいっちまって……」 自分から腰を動かして、玲は勇作を引き抜いた。正面に向かい合う姿勢を取りながら、勇作に呼びかける。「じゃあ、次は一緒にいきましょう」 そう言って、ふたたび勇作のそこをふくむ。体液でそこはぬらぬらと光っていたが、少しも汚いとは思わなかった。ただ、いとおしいと思った。自分のものと勇作のものが混じり合う様が穢れているなどと思えないのだ。以前、勇作が手の中に放たれたものを丹念に舐めていた気持ちが、今にして分かる。ようやく玲はここまで来たのだ。勇作の元へと。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月04日
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痛いほど抱きしめられながら、勇作に何度も名を呼ばれる。「玲、玲、玲――!」 今までのように愛している、とも好きだとも言われていないのに、それ以上に勇作の気持ちが伝わってきた。それに応えるために、強く玲も勇作を抱き返す。 しばし後、もどかしげに勇作がつぶやいてきた。「すまねえけど俺、もう我慢できねえ。だから……」 器用に体を反転させられる。四つんばいになるように手足をセッティングされたのは、布団を敷いていない畳の上でも痛くないようにするための、気遣いだろう。こんな時でも、彼は思いやりを忘れない大人だった。 愛撫を受けなくても、すでに玲のそこは勇作を求めていたのは、一目見ただけで分かったのだろう。一気に勇作は押し入ってきたが、少しも痛くはなかった。それどころか、全身を喜びが駆け巡る。 無意識のうちに、声を上げる。「あ、あ、あ――ああ……んっ……」 勇作のそこが出たり入ったりするたびに、声と快楽は増していった。二人の体がぶつかり合う音と、濡れた音が室内に響く。 あまりの心地よさに畳に爪を立て、もっと勇作が欲しいと自分から腰を上げた時、何かに見られている気配を感じた。気配はベランダの窓から来ていた。金色の瞳と目が合う。グレンだ。 あの時――愛人契約を結んだばかりの頃と、同じ状況だった。が、今はもう、おびえることなく黒猫と目を合わすことができる。少しもやましさを感じず、フリーハウスに、そして勇作のそばにいたいと思えるからだった。しばらく猫はじっと玲と勇作が交わる様を見ていたが、やがてきつい瞳が笑みを浮かべた。猫が笑うなど本来ありえないはずなのだが、それでもグレンは微笑んでいた。 お前はもうここの住人だと私は認めるよ、と。同時にそれは茂内氏の言葉であるように感じられた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月03日
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勇作が戸惑った様子で、身を引こうとする。「玲、お前……」 ひざまずいて、玲は勇作の股間に顔をうずめていた。こんな行為をするのは初めてだったし、今まで汚らわしいと思っていたが、今、そんな感情はどこかに消えていた。ただ勇作に想いを伝えたい願いを込めて、そこに舌を這わせる。あわてた様子で勇作が制止する。「よせよ! こんなこと、お前はしなくていいんだ!」「先生は俺に、たくさんしてくれたのに?」 顔を上げると、戸惑った勇作の表情が見えた。考えを巡らすように、何度か瞬きする。やがてその瞳は喜びの色に塗り替えられた。しみいるように、勇作はつぶやく。「玲、お前、もしかして俺のこと……」 返事の代わりに、そこを大きく飲み込む。今までたっぷりと体で形を覚えさせられてはいたが、やはり頬張るのはつらいほどに勇作は大きかった。苦しさをこらえながら、舌でくるんでいるうちにどんどん勇作のそこは育っていく。切なげに勇作は訴えた。「玲、もうやめろ――俺、俺、もう……!」 勇作の手が玲の頭をはずそうとしたが、それでも玲はやめなかった。勇作の体が大きく震え、苦い飛沫が口腔に広がった。肩で息をしながら心配げに、勇作が口元に手を差し出す。「ここに吐き出せ。さあ……」 勇作が言い終えないうちに、それを飲み下す。あわてた様子で、勇作が両肩を抱き、顔をのぞきこんできた。「大丈夫か? 俺のこんなもん、飲んじまって……」「先生の、だからいいんです。先生も、以前言ってたでしょ? 俺のだから飲むのが嬉しいって。それと同じです」 言いながら、頬が熱くなるのを感じる。初めて自分の想いを口に出せた喜びのため、口の中にまだ残っている苦さまで忘れてるほどだった。不安げだった勇作の表情が見る間にほぐれていく。輝くような笑みを浮かべたと思うと、ひとおもいに抱きしめられた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2008年09月02日
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