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なぜカレンのことになると、こんなに真剣になってしまうのだろう。 が、今はそんなことを考えている場合ではなかった。 ドアが開かれた寝室の前で、カレンが呆然と立ちすくんでいた。 ドアの中の風景を見て、思わずジノも瞠目した。 数々の修羅場を乗り越えて来た彼でさえも、その光景は目を覆いたくなるばかりのものだった。 看護師たちが怯えたように部屋の片隅に集団でうずくまっている。 部屋全体は荒らされていて、花瓶が割れて床に飛び散り、椅子や机が投げ出されていた。 ナナリーと咲世子が息をのむ気配がして振り向く。 芯の強いナナリーも、そしてふだん滅多に感情を表に出さない咲世子でさえも、呆然としていた。 彼女たちが一様に見つめていたのは部屋の中央でうずくまっている人物――スザクだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月30日
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両手を組み合わせて祈りを捧げるカレンを、ジノが気遣わしげに見つめる。 通信を終えたナナリーも、そんなカレンに瞳を揺らがせた。 緊迫した自体をなだめるように、咲世子が微笑んだ。「大丈夫です。ゼロ様は現在、看護つきでお休みになられておられますから……」 スザクの悲鳴が聞こえたのは、その時だった。仮面を通しての声ではなく、彼本人の悲鳴が。「うわあああああ!」 何事かとカレンは立ち上がる。 スザクにもしものことがあったら、命を賭けて守ろうとドアを開いて廊下に駆け出す。 背中から咲世子の必死の声が聞こえた。 「いけません、カレン様! テロリストたちの仕業だとしたら、お命の危険です! ここは護衛隊と私に任せて……」 咲世子の制止はほとんど耳に入っていなかった。 まっしぐらに廊下を駆け抜け、スザクの元へと向かう。 ナナリーはその後ろ姿を見送ってから、何事か決心したように咲世子に命じた。「咲世子さん、私の車いすを押してゼロの寝室まで連れて行ってください」 「しかし、お嬢様……」 ためらう咲世子の肩を叩いたのは、ジノだった。「大丈夫だって! 俺がついてるよ」「は、はい……」 やはりジノが頼もしかったのだろう。 咲世子はナナリーの車いすを押し、廊下に出て行った。 二人を守るようにジノが前を行く。 銃を手にしたジノは内心つぶやいていた。(カレン、本当は誰よりも君を守りたいけどこれってエゴだよな……ナナリーより、咲世子さんより君が一番大切だなんて……恋心って、厄介だよな、本当に。俺ってこんなにウブだったんだな。恋はたくさんしてきたつもりなのに――) つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月29日
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警官が映るモニターを前にしたナナリーが、華奢な肩をしぼませる。「そうですか……結局のところ、犯人は見つかっていないのですか」 じっと様子を咲世子とともにうかがっていたジノが慎重に口を開いた。「その……スザクの容体はどうだい?」 通信をまだ終えていないナナリーの代わりに、咲世子が小声で答えた。「ゼロ様の反射神経が良く、うまく弾丸をよけられたのと、医療団の手際が良かったため命に別状はなく、怪我も軽いご様子です。現在、寝室でお休みになられています」「……そうか」 安堵と複雑さが入り交じったため息をジノはついた。 ソファに落ち着かなく腰を下ろしながら、カレンはきっとジノと自分は同じ気持ちなのだろうと思った。 仮面の下の素顔を隠すために、スザクには特別の医療団が存在する。 彼らは絶対の忠実を持って、ゼロの正体を隠しているのだ。 しかしそこまでしてスザクはゼロであり続けなければならないのか――。 いや、ならないのだろう。 ゼロの存在あってこそ、世界は少しは安定していられるのだから。 それをよく分かっているから、こんな非常事態でも咲世子はスザクを”ゼロ”と呼ぶ。 しかしカレンはそこまで割り切れなかった。 今、全身全霊をかけて心配しているのは”ゼロ”ではなく、柩木スザクその人だった。(スザク、今すぐあなたの元に飛んでいきたい――!) つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月28日
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ナナリーが車いすから転げ落ち、咲世子に抱きかかえられている。 二人とも紙のように白い顔で、一点を凝視している。 そこにいるのは、黒いスーツの腕から血を流したゼロだった。 テロリストに、とっさにナナリーを庇ったゼロが撃たれたのだ。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月27日
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「ようこそ、ナナリー様!」「よくぞおいでになりました!」 歓迎ムードの最中、不意に咲世子の眉が跳ね上がると同時に、ゼロが叫んだ。「みんな、伏せろ!」 動揺する以前に、体が動いたのはカレンもジノも同じだった。 小さな破裂音とともに、悲鳴があちこちから上がる。 悪い予感がして顔を上げると、的中していた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月25日
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その時、カレンはナナリーの傍らにいるスザクも同じことを思っているのではないかと感じた。 スザクこそ、ルルーシュを手にかけた人間なのだから。 が、あれ以降、何度ルルーシュの話題が出ても、ゼロとなったスザクは何も言わず、平静状態だった。 仮面の上からは、何も見えない。 そうしている間に季節は巡り、ナナリーもカレンも笑ってルルーシュのことを話せるようになった。 やがて車は病院の前に着き、運転手がドアを開け、ナナリーは咲世子の介助を受けながら車いすに乗る。 人々の歓声がわっと沸き上がった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月23日
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そんなナナリーを抱きしめ、カレンは慰めたものだった。『あなたのせいでルルーシュは不幸になんかなっていない。むしろ、あなたのおかげで幸せでいられたの』 ナナリーの側にいる時、ルルーシュはどんなに安らいだ笑顔を浮かべていたか。 何よりも楽しそうだったか、と。 が、ナナリーとともにカレンも泣きたかった。 ルルーシュを不幸に追い込んだのは自分だと。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月22日
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カレンは安堵する。 ルルーシュの話題を、以前何も知らないリヴァルやミレイが出した時はもっとナナリーは沈痛な表情をしていた。 ルルーシュを不幸な道にたどらせたのは、自分のせいだとナナリーは彼らが帰った後、泣いた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月21日
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思わずカレンはバックミラーから声をかける。「あなたのこんな姿、ルルーシュが見たらさぞかし喜ぶでしょうね」「はい! お兄さまの期待に応えられるよう、私、がんばります!」 振り返り、笑顔でナナリーはうなずいた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月20日
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「ナナリー様! なんて愛らしい!」「私たちの平和のためにがんばってください!」 ナナリーは和やかに彼らの声援に応えるため、手を振っている。 そこにはかつての弱々しいおもかげではなく、自立した女性の姿があった。 つづく
2009年04月19日
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テロリスト予防対策である。 通行人たちが、一目ナナリーを見ようと、歩道に立ち並んでいるのが車窓から見える。 人々は口々にナナリーの愛らしさを褒め称えていた。ポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月19日
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大した距離ではないのだが、護衛が厳重、交通整備までかけていたので時間が必要だったのである。 カレンとゼロたちが乗ったリムジンの周りを、警官たちがバイクに乗って取り囲み、さらにその周りには警備員たちが通行人を整備している。 これはもちろんナナリーが今や、ブリタニア代表となったこともあるが、理由はもう一つあった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月18日
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アリエス離宮から、病院までは二時間ほどかかった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月17日
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「すまない」 そこには、柩木スザクはいなかった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月14日
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そして昨日と同じく、ゼロはあくまでゼロとして、スザクに礼を言った。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月12日
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「了解! 任しとけって!」 ジノの態度は、昨日と同じくゼロがスザクであり続けた頃、彼が仲間だった頃のものだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月11日
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「今日、ナナリーの護衛を頼む」 ジノが大きくうなずいて、くだけた仕草で敬礼する。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月09日
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もしかして何か親しい言葉をかけてくれるのかも、と思ったカレンの期待に反して、彼はあくまでビジネスライクだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月08日
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咲世子に代わって、ナナリーの車いすのレバーを握ってから、ゼロがこちらを向いた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月06日
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仮面の上からでも、ゼロはまったく動揺のそぶりを見せずに――いや、カレンのことなど意識していないようだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月05日
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(もしかして私が、ジノとつきあっているかもしれないと思われていたりして……) だが、カレンの心配は杞憂に終わった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月04日
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黒いマントを翻し、ナナリーに向かって歩いていく。 ゼロとすれ違った瞬間、カレンはきつく目を閉じた。 昨日、ジノに押し倒された自分をゼロ――スザクはどう思っているのだろうか。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月03日
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我に返ったカレンはジノの視線の行く末を見て、息をのむ。 ゼロだった。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月02日
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無意識のうちに双眸を潤ませるカレンを、ジノは複雑な面持ちで見つめていたが、やがてある気配に気づいてカレンの肩を肩でつついた。 つづくポチっと押していただけると嬉しいです!↓ ↓ ↓
2009年04月01日
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