アーモンド入りチョコレートのワルツ


アーモンド入りチョコレートのワルツ

↓単行本にもなってます。


アーモンド入りチョコレートのワルツ

3つの短編の入った本。
以下、話の内容にふれていますので、
まっさらな状態から読みたい人は、
ご注意ください。



















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子供は眠る
 ロベルト=シューマン
<子供の情景>より

主人公は13歳の男の子。
1つ年上のイトコの一声で、イトコの別荘に集まるのが例年の慣わし。
この夏は、いつもと違う夏になった…。
思春期の男の子たちの力関係、複雑な感情。
最後の夜に頭1つ抜けて、ほんの少し大人になる主人公。
ぼく(恭)、智明、ナス、じゃがまる、別荘の主の章くん。
5人の夏の物語。
中学生は主人公だけれど、じゃがまるは、ナスの弟で、
まだ小学生だから、小学校高学年だったら、
結構、わかるかも。


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彼女のアリア
 J=S=バッハ
<ゴルドベルグ変奏曲>

中3のぼくと、藤谷りえ子の淡い恋のお話。
ゴルドベルグ変奏曲は、
バッハがひどい不眠症に悩む知り合いの伯爵から、
この眠れない夜をなぐさめる曲を作るように依頼されて
作られたものらしい。
へぇ~、へぇ~、へぇ~。
子守り歌調ではなく、スルスルと軽快なテンポの曲らしい。

このお話は、トキメキが大切なので、ここまで。(^-^)







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アーモンド入りチョコレートのワルツ
 エリック=サティ
<童話音楽の献立表>より

これは、ちょっと切なかった。
悲しいとかいうんじゃなくて、
甘酸っぱい感じ。

主人公の「わたし」は、15歳の奈緒。
主な登場人物は、ピアノ教室の絹子先生。
同じ教室に通う友達の君絵。
そして、サティのおじさんと呼ばれるフランス人のおじさん。

最初読んだとき、サティのおじさんという文字を見て、
頭の中で、スーパーのサティで働いているおじさんを想像してしまい
???と何度も読み返してしまった。(^^;
最初にエリック=サティとあるのに。
フランス人のおじさんは、サティに似ている風貌で、
サティのように子どもが好きで、ワルツが好きで、
とってもおちゃめな人だった。

奈緒が「わたし」なんだけれど、
多分、この登場人物の誰が欠けても話は成り立たない。
15歳の女の子…どちらかといえば、
君枝の方が印象に残る。
それは、奈緒がいるからこそであり、
奈緒が語っているからこそなのだと思う。

森絵都さんの本には、しばしば、
家庭の事情が複雑な少年、少女が登場する。
この話では、まさに君枝の家庭がそうだ。

話の終盤前の君枝のセリフがいい。

「(略)  大人はいつだってそうなんだ。
 なんでも好きなようにつくって、
 好きなように終わらせるんだ。」

「あたしたちが大人になったらさ、
 好きなもんを好きなように好きなだけつくって、
 そんで毎日を木曜日みんたいに、
 きらきらさせてやろうな。
 そんで、そんで……」

「そんで絶対に、終わらせないんだ」

子どもというのは、どうしても
大人に依存していくしかない部分があって、
その現実を十分わかっていながら、
それでも、自分は変えてみせるという強い意志が
思春期独特の潔さというか、なんというか、
たまらない若々しさを感じる。


森絵都さんの作品で読んでいないものは、
まだまだたくさんあるのだけれど、
どれを読んでも、すごくいい。
大好きな作家さんだ。




(2008/07/26)

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