だって 好きなんだもん♪

だって 好きなんだもん♪

君のためなら

真向にたつ 悪魔の要塞
見張る男はデカイの何の
君が囚われの身なんて
たとえ夢にも 思えない・・・

『マチルダBABY』 By サザンオールスターズ 



『君のためなら』


ここに 彼女がいるはずだ・・・
俺は そっと窓から中の様子をうかがう


今朝から 彼女は様子がおかしかった
聞くと 今日 ヤツが彼女を連れに来るかもしれないと言う

「大丈夫!俺が絶対守ってやるから!」

そう彼女と約束したのに
俺は目の前で彼女を奪われてしまった!

俺達の前に黒い車が止まり
あのデカイ男が嫌がる彼女を無理やり車に押し込むのを
俺は 止める事ができなかった。

「ちくしょう」
俺は 小さくつぶやくと、一度家に帰り
俺の愛用の武器を持ってあの場所を目指した。

入り口のそばに ヤツの黒い車があった
「やっぱり、ここにいるんだ」
俺は ゴクリとつばを飲み込む
武器を握る右手が 汗ばんでいるのを感じた
勝てるだろうか?あいつに・・・
そもそも、中に彼女の姿がないということは
もう 間に合わなかったのかもしれない

あきらめちゃダメだ!
俺は自分に言い聞かせて
もう1度 右手を強く握り締める

待ってろ、今 助けてやる

俺は意を決して 中に飛び込んだ・・・

ガラッと勢いよく ドアを開けると
中のやつらが いっせいにこっちを向いた
彼女を連れ去った あいつと目があう
あいつはちょっと驚いた目をして
立ち上がり 俺に近づいてきた
と、その後ろのドアが開き
彼女が姿をあらわした

無事だった!!俺は全身から力が抜けていく

「お兄ちゃん!終わったよ!
やっぱり 痛かった~
あれ、亮くん 来てくれたの?」

彼女が俺に笑顔を見せる
俺はだんだん情けなくなってきた

「ごめん、俺 絶対連れて行かせないって 約束したのに・・・」

うつむく俺に彼女は笑顔をみせる

「仕方ないよ。お兄ちゃん車でくるんだもん
お母さんひどいよ!お兄ちゃんをよこすなんてさ」

彼女が頬をふくらませる

「何言ってんだよ。俺はわざわざバイトを休んできてやったんだぞ。 
まったく、虫歯は 歯医者に行かなきゃ治らないって
何回言っても 嫌だっていいはるんだから。」

ヤツはふうっとため息をついて 俺の方も見て笑った
「小学生にもなって おかしいよな
亮太もそう思うだろ?」

おかしくなんかないぞ
歯医者なんて行くやつの気が知れない

「あれ、お前そんなもの持って何してんの?
こんなトコまで来て、ヒーローごっこか?
やっぱり、まだまだ お子様だな」

ヤツは俺の右手に握られたものを見て笑う

俺は悔しくて情けなくて外へ飛び出した

「亮くん、待って」

彼女が追いかけてきて俺の袖をつかむ

「来てくれてありがと。
ちょっと、痛かったけど、大丈夫だから
これ、お礼
でも、亮くんまで虫歯にならないように歯磨きしてね」

にっこり笑うと彼女は俺の手にピンクの包みのキャンディーを握らせて
兄の元へ走っていった

「また、明日 学校でね」
笑顔で手を振って車に乗って帰っていく

それを見送ってから
俺は手の中のキャンディーを 口にいれる

ちくしょー!惣一兄ちゃんめ
今度は簡単に 彼女を連れて行かせたりしないぞ
今は まだまだチビだから
全然 かなわないけど
あと5年 いや10年たったら 絶対 でかくなって
兄ちゃんをやっつけてやる!
待ってろ!

俺は右手の剣を一振りして
家にむかって走り始めた


歌詞は コチラ





古い曲なんです~
サザンのアルバム『綺麗』に収録されてます
この曲 大好きで頭の中ではいろんなお話があったんですけど、結果的にこんなカンジになりました(笑)
シリアスなカンジとか ファンタジーっぽいのとか イロイロなんですけど、設定とか下地の部分が大変そうで 二の足踏んでたんですよね~
こんな ふざけたカンジですが 1つの形にできたんで 満足してます~

ちなみに惣一兄ちゃんはアメフト部所属の大学生
愛車は黒の 男タ○ト!


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