RE雨宮なブログ

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tokyo seven 【1】


倉田直樹は、眼をこすり、あくびをしながら ホームに一人、佇んでいる。_

直樹 「ねみぃ……。夏休みなのに、何でこんな早起きしなきゃなんないんだよ。父さんも、仕事でどうせ会うんなら、俺に行かせなくても良かったんじゃないの?」

手には「歓迎! 藤宮家御一行様」と書かれた旗が。

「ご丁寧にこんな旗まで作っちゃって……」
アナウンス 「間もなく10番線に、寝台特急『出雲』号が到着致します。黄色い線の内側までお下がり下さい」
直樹 「やっと来たか。えっと、3号車だったかな?」

EF65型機関車に率いられた青色の列車が入線する。
やがて、ドアが開き、旅姿の乗客が吐き出される。

「あ、いたいた!」

そこには、清楚な雰囲気をかもし出すロングヘアの少女が。

月詠 「お待たせ致しました、直樹さん」
直樹 「長旅お疲れさま。久しぶりだね、月詠(つくよ)」
月詠 「直樹さんも。…………?」
直樹 「どうしたの?」
月詠 「……恥ずかしくありませんか?」
直樹 「…………かなり」
月詠 「おばさまですね?」
直樹 「やっぱり分かる? 全く、いくつになっても気持ちだけは若いんだよな」
月詠 「おばさまらしいですね」
直樹 「まあね。さて、じゃあウチに行こうか!」
月詠 「はい」

10番ホームを降り、山手線ホーム(5番)へ向かう。雑談をしながら進む二人。

月詠 「東京は人が多いですね」
直樹 「これでもまだ少ないほうだよ。まだラッシュの時間じゃあないしね」
月詠 「そうなんですか」
直樹 「(またもあくび)ね、ねみぃ……」
月詠 「本当に申し訳ありませんでした」
直樹 「気にすんなって。どうせ、今日は学校に行かなきゃいけなかったんだから」
月詠 「学校に?」
直樹 「俺さ、新聞部の部長やってて、それで夏休みに何か一つ特ダネをぶちあげよう、ってことになったんだ」
月詠 「特ダネ?」
直樹 「ああ。ほら、運動系の部活って、夏休みに遠征とか合宿とか行くだろう? でも俺達はそんなことしないし。でも、なんかやってみたいって気分になって、それで……。? 月詠?」

振り返ると、月詠が緊張した面持ちで、その場に立ち尽くしている。

月詠 「何かいる……」
直樹 「……で、どんな感じ?」
月詠 「分かりません。でも、何かいることだけは確かです」
直樹 「ふうん。とりあえず、ウチに行こうぜ。朝御飯、まだなんだろう?」
月詠 「はい」

再び、歩き出す2人。
「何か」が気になるのか、月詠はしきりに辺りを窺っている。
そうこうしているうち、二人は山手線ホーム(5番)に辿りつく。

アナウンス 「間もなく5番線に、品川・渋谷方面行きの電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください」

アナウンスは2回流れる。
隣のホーム(京浜東北線南行)のアナウンスも重なると面白い?

直樹 「ま、今そんな事を気にしてもしょうがないだろう? それに……」
月詠 「それに、何です?」

列車がホームに入ってくる。

直樹 「そんなに気になるなら、あとで俺が連れて行ってやるから」
月詠 「本当ですか?」

二人が乗車する。車内は適度に混み合っており、座れない。
ドアが閉まり、二人はドアにもたれるようにして、話を続ける。

直樹 「言い出したら聞かないからなあ。ま、俺もそう言うのは嫌いじゃないし」
月詠 「あの?」
直樹 「何でもないよ! ……待てよ? そうだ!」
月詠 「? どうかされましたか?」
直樹 「そうだよ! その手があった! 月詠!」

直樹、いきなり月詠の手を取り、思いっきり振る。

月詠 「えっ? あ、はい?」
直樹 「楽しい夏休みにしようぜ、な!」
月詠 「……は、はい……」

アナウンス 「間もなく浜松町、浜松町です。東京モノレールと、地下鉄大江戸線は御乗換えです。お出口は左側です」
直樹 「降りるぞ」
月詠 「あ、はい」

直樹は、何やら嬉しそうである。

【2へつづく】


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