第02話

CHAPTER-02
   「結成!僕と景と忍の組織」



・・・まずは


裕司「手短に!僕の名前は鈴宮裕司、13才!遅生まれでっす!!」

景「天導寺景!スパロボ大好き眼鏡っ娘、14才!」

忍「高杉忍!ケンカと乱闘は俺の専門!なぜか忍者な14才!!」

雫「真中雫~・・いちおー委員長やってる14才~☆」

明「早月野明、戦車とか銃が大好き!・・あ、14才。」


明「早口で毎回自己紹介するんだっけ?」

裕司「どっかで見たようなネタはやめてよね・・」

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「・・・夢か」


ワケのわからん夢だ・・

僕は朝のぽけーっとする頭で、今の夢を思い出していた


「・・最近見たからかな・・」

「何を?」


不意に景が声を発した(そこにいた)ので驚いた僕は壁際まで退いてしまった


「び・・びっくりするじゃないかっ!!独り言に介入してくるなよ~っ!!」


景はにっこり笑って


「寝言の一人ボケ突っ込みの方が楽しかったわよ。」


僕は顔を真っ赤にするしかなかった


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行きがけの道を歩きながら、裕司はさっきの事を思い出していた


「・・不法侵入だよ」

「え?・・お母さんには許可もらってるわよ・・?」


第一、景が裕司を起こしにくるのは今に始まった事ではない

小学生の頃からすでに寝坊体勢に入っていたのは彼なのだ

それに景が悪いことをしているわけではないし・・


「・・だけど・・プライバシーの侵害だよ・・」

「まぁまぁ、あたしとユウちゃんの仲じゃない♪」


景は裕司の背中をぽんぽん、と叩いた


・・君との仲ねぇ・・


裕司は昔を思い出そうとしたが・・当時のすさまじき破天荒ぶりに思い出す事をあきらめた

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・・今日は遅刻せずに学校へ到着

僕は少しだけ安堵の表情を浮かべ・・席に着いた


「お、裕司・・今日は遅刻しなかったなぁ?」

「なんだよ~・・僕が遅刻常習犯みたいに・・って うわぁぁっっ!?


忍が 「窓の外に立っていた」 ので思わず叫んでしまっていた

・・ここは2年生のクラス・・という事は2階、しかも外には足をかけるような場所もない真っ平らな壁・・!!


「ふっふっふ・・これぞ「忍法」壁歩き」

「だぁーっ!!「忍法」で済ますな非常識っ!!」


いつもの掛合いに周りにいたみんなもくすくすと笑っている

・・見慣れた光景だもんね、まぁ・・


ところが、今日はその後が違った

担任の松原先生がいつもより早く来て・・


「はい、皆さん席についてください・・」


丁寧な口調で席に戻るよう言った

僕らの担任はこの、年中にこにこ顔のおにーさん(20代)

ホントにどんな時でも、怒る時でも笑顔を崩さない、好印象といえば好印象の先生だ

「忍くん、そこは危ないから早く席に戻りなさい」


先生・・!?忍の立ち位置に突っ込みはないの!?


・・という感じにちょっとズレてるんだけど(天然なのかも・・)

にしても、どうして今日は十分も早く来たんだろう?


「はい・・では転校生を紹介します」


・・と先生が言えば定番の反応は口笛吹く奴、意味なく吼える奴、立ち上がってなぜか狂喜乱舞する奴・・・

・・ウチの場合そんな事ないけど、隣のクラスからは以前そーゆー声が聞こえてきた


皆が無言で迎える中、その転校生が入ってきた


「外人さん・・?」


誰かがぼそ・・とつぶやく

そう、転校生は金髪に青い瞳・・左右で髪をくるくると巻いた、すらっとした体型の女の子・・


「グレートブリテン・及び北アイルランド連合王国(正式名称)からいらした・・・」

「フランチェスカ=クロードです・・よろしくお願いします。」


松原先生が喋り終わらない内に、彼女はぺこり、と礼をひとつ

先生は頬に汗を一つ流していた


にっこり笑う彼女・・みんな好印象を持ったようで、僕もそう思った(単純にかわいいし)

・・でも、その時忍だけは明らかに違う視線を送っていた


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お昼休み・・・

僕達は「メシの時間」をここで過ごす

結構なスポットだというのに、昼にはだーれもこない

・・・考えてみると立ち入り禁止の張り紙あったような・・


僕と忍は入り口の、段になった所へ座って話をしていた


「どうかしたの、忍・・?」

「ん・・いや、ちょっと気になってな・・」


忍はフランチェスカさんを見た時に、あんなおっかない目をしていた

知り合い?・・それとも・・・


「あいつ、ただの転校生じゃねぇぞ」

「は?」


僕はきょとんとしてしまった

てっきり彼女との因縁みたいなものでも語ってくれると思っていたから・・


忍は右手に力をこめ、シリアス顔で続ける


「そうだ・・俺はあいつを見た瞬間に気が付いた、きっとあいつは俺と同じか・・あるいは別の存在だ」

「・・・忍者だっての?」

「うむ。」


忍は僕に背を向け、風を受けて格好良く演出する


「あいつの目を見て気付かなかったのか・・お前ほどの手練れが」

「・・手練れって・・僕はケンカキライなの、好き好んで強いワケじゃないの!」


忍は聞いてくれない。


「・・というワケで俺はこれからあいつの追跡を始める。」

「はぁ?」

「正体をつきとめて・・敵なら倒す!!」

「・・・・・・・」


フランチェスカさん、転校早々迷惑なのに目付けられちゃったなぁ・・

僕はそんな事を思いながら、一人演出にこっている忍を置いて屋上を去った


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それから二回授業があったけど・・

やっぱり転校生が来た日っていうのは定番なのかな、みんななんだかんだで大騒ぎ。


僕や忍、景はまだ彼女と話してもいない・・・

・・見たところは好印象・・


だけど、忍の言った事もあながちバカな事じゃないのかもしれない


時々彼女は・・鋭い目を僕達に向けてきたから

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その日の帰り・・忍はやっぱり、いつもと違う道を行ってしまった

彼女を追いかけるんだろう・・本気で


「ユウちゃん」

「あ、何?」


景は僕に紙切れを手渡した

不思議に思いそれを見てみると・・


「Advanced.Radical.Keepers(アドヴァンスド・ラディカル・キーパーズ)・・・?」

「略してA.R.K。・・十分戦略的に、しかし明るく街を守りましょう!・・って意味。」


無茶苦茶こじつけな略称に、思わず苦笑いがこぼれた

しかし景の顔はこれ以上ないほどの笑顔・・アキバで買い物してた時くらいの顔だった

「アークね、まぁ・・いいんじゃないの?」

「ユウちゃんがブルーナイトになって戦って、あたしがメカ作って、忍くんが情報収集する・・うん、これで完璧♪」


・・そういうワケで、僕らのチーム名はA.R.K・・「アーク」に決定した


結局あの怪物と戦うだけなんだし・・チームうんぬんはホントにどーでもよかったけどね。

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一方・・俺は相変わらず「あいつ」を追っていた

きっと何かある、あいつには秘密が・・


俺は忍者、気配を消す事くらいは昔の特訓で心得ている

・・暗殺術だって習ったんだ、ゴルゴですら俺には気付かないぜ(自信過剰)


「・・タカスギさん。」

「っ!?」


突然あいつが俺の名を呼んだ、死ぬほど焦ったぜ・・


「なるほど・・確かに忍者というのはすごいものです」


バレてたのか・・

俺はあいつ・・フランチェスカの後ろに立つ

あいつはこっちを振り返って、無表情のまま俺を見ている


「率直に質問だが・・・お前は何者だ?」


鋭い目をこちらに向ける・・なるほど、やはりこいつは・・


「あなたになら話しても大丈夫でしょう・・お分かりの様子ですし・・」


チェスは胸元に手を入れると、すらっ・・と一丁の拳銃を取り出した


「うぉっ!?」

「安心してください・・弾丸は一発しか装填してありません」


・・入ってるし実弾だし!!

俺は本物の拳銃を向けられてさすがに冷や汗を流した


「英国諜報部員・・00エージェント」

「・・映画の?」

「いえ、私の本職です」


・・フランチェスカ=クロード・・こいつ、とんでもねぇ・・

その手には確かに、英国王室の印が押された赤い手帳とお約束の支給拳銃「ワルサーP99」・・


「スパイ」

「私は009、もう七代目になりますけどね」


・・14才で00エージェントって相当すごい事じゃないのか・・

今になって俺はそう思う


「フランチェスカ・・お前は何の目的で輪中(輪舞第三中学校の略)に来た?」

「ええ、先輩の情報支援と・・近々日本で起きると予告された大規模テロの実体を調べに・・です。・・・そうそう、それから・・」


一度咳払いをすると、今度は穏やかな表情になって言った


「私は「チェス」と呼んで頂いて結構です。・・お友達になったのですから、愛称でどうぞ」

「・・そうか、そーだな・・・なら俺も「忍」って呼び捨てにしてくれりゃあいい。」


・・俺はその真実を知って、なぜかチェスに協力する気になっていた

ある意味同業者のよしみという奴だろうか(スパイと忍者は似たようなモンだろ?)


「これからよろしくお願いしますね。」


・・しかし、まだ腑に落ちない点もあった

チェスがエージェントにしては若すぎるという事だ


「いずれにせよ・・分かるまで待つしかねぇな」

俺は一人、無意味に納得していた


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