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第03話
CHAPTER-03
「突っ切れ!戦慄のサバイバル・ゲーム」
裕司「手短に!僕、裕司!13才・遅生まれ!!」
景「天導寺景!14才!」
忍「高杉忍!14才!」
雫「真中雫~、14才~☆」
明「早月野明、14才。」
チェス「・・フランチェスカ=クロード、14才・・」
明「楽しいな、自己紹介ってさ(笑)」
裕司「だからなんでだよぉーっ!?」
##########################################
「・・・また夢か」
またしてもワケのわからん夢だ・・
僕は寝ぼけている身体をのそのそと動かし、ベッドから上体を起こす
「・・僕って何かに憑かれてンのかなぁ・・・・・」
「お疲れ?」
不意に景が声を発した(そこにいた)ので驚いた僕は壁際まで退いてしまった
「だ・・だからっ!!独り言に介入してくるなよ~っ!!」
景はにっこり笑って
「だってユウちゃんの一人ボケ突っ込み楽しいんだもん。」
僕は力の限り抗議した。
・・今日という今日は侵入禁止条例を締結させてくれようぞっ!(?)
##########################################
「議会提案は破棄されました」
昼休み、輪中屋上・・
裕司がぼーっと空を眺めながらつぶやくのを聞いて、俺はふっ・・とかすかに笑った
・・いーよな、お前は・・そういうアホな事で悩めてよぉ・・
今の部分は口に出さないでおく
「ねぇ忍」
「なんだぁ?」
「最近暇だよね、怪物でなくなったし」
「・・怪物じゃなくて
「異形」
・・って呼び名ついただろ?・・まぁ俺もまんまだとは思うけどよ・・」
「僕は戦うの嫌いだから、その方がいいんだ・・」
裕司はそう言って黄昏れている
「僕、ケンカ大嫌いだもん」
何を言ってるんだよ・・、「ケンカ最強」なのは俺とお前で組んでのタッグファイトだろうが・・?
・・俺は趣味で街にいる不良・ヤクザの下っぱ、とにかくガラの悪くて強そうな連中にだけケンカを売っている
裕司の奴はよくそれに付き合わされ、なんだかんだと言いながら・・
「忍~く~ん~☆」
・・ンだよ、せっかく裕司と俺の武勇談を語ろうとしてんのによぉ・・
間延びした声と共に階段の下から走ってきたのは・・なんだ、雫・・もとい、委員長じゃねぇか・・
俺達の前でぴたりと止まり、奴は笑顔で俺に紙切れを差し出した(手紙のつもりらしいが紙がテキトーすぎるぜ)
「・・俺に?・・なんでぇ、ラブレターってのは靴箱と机の中って相場が決まって・・」
「はぇ?・・私は忍くんに好意なんてカケラもありませんよ~?・・何を勘違いしてるんですか☆」
・・にゃろう
俺はひきつった笑いを浮かべ・・とりあえず手紙を読んでみる
「・・読みにくい・・・・何なんだこりゃぁ・・・??」
委員長は「ふふ~ん♪」と笑った
「持ってきたガラの悪そーなお兄さんによると、忍くんへの挑戦状らしいですよ☆」
「・・読んでみるか、なんとか」
委員長、それから裕司の奴も手伝って解読に取りかかる(そこまで大がかりな事しないと読めなかった)
・・これはお前に対する復讐戦である・・挑戦を受けなければ人質の命は保証しない・・
・・なんでぇ、俺がいつかボコった奴かよ・・どうせ手応えねぇんだろうな・・
そんな事を考えたが、気になることが一つだけ
「・・なぁ、人質って誰だ?」
「誰でしょう?・・忍くんの恋人さんとか~☆」
ばしっ!!
さすがに今度はハリセンを取り出し、突っ込みをいれる
・・「どっから出した?」とかは聞くな。
「・・そういえば、一時間目の後くらいから景がいないんだけど・・」
「おい」
裕司にも突っ込みを入れる
生来の腐れ縁(笑)のやつがいなくなってたら、普通気が付くだろうが?
「景が捕まってると判断すべきだろうな」
「・・なら、僕も行くよ」
「お?珍しいな裕司・・ケンカ嫌いじゃなかったのか?」
「・・嫌いだけどさ・・景を助けなくちゃ」
「ふふ~ん・・がんばってくださいねぇ~☆」
委員長はさっさと行ってしまった。
・・っつーかお前は何もしないのかよっ!?
##########################################
僕達は学校を密かに早引きし、問題の工場へ向かう事にした
工場というのは湾岸に建っている廃工場で、今では資材置き場くらいにしか使われていない
・・僕と忍は少し真剣な面持ちで・・街を歩く
「なぁ、俺たちも行くよ。」
不意に声をかけられて止まるとそこには明、フランチェスカさんがいた
「お前ら・・?」
「俺ケンカダメだけど、援護射撃くらいはできるからさ」
明は得物を取り出し、構えてみせる
エアガンだ、しかも明のオリジナルブランドの「ストライク・イーグル」という銃
物騒なくらい「威力がある」と定評だ
「私も対人格闘術なら少々知ってますから」
フランチェスカさん・・あ、「チェスって呼べ」って言ったか・・
チェスさんは見た目からは想像もつかないほど色々な技能を持っているらしい
・・なんかすごい人なんだよね・・まるでどっかのスパイみたいな活躍するし(←当たり)
「・・よし・・とにかく工場へ急ごう!」
「だな」
「うん」
「・・・」
僕達はそこから走って、数分の位置にある目的地を目指した
###########################
「・・あのぉ、いつ開放されるんでしょうか?」
あたしはとりあえず、近くにいた比較的まともそうな男に聞いてみた
みんなそろって「ガラの悪い」人がいて・・・でもってなぜかあたしは誘拐された挙句に縄で縛られてたり・・
・・しかも聞いてみるとあたしの友達が悪いとか言ってるし・・
・・ま、忍くんだと思うけどね・・こういう人たちと関わりあるっていったら・・
「お友達が来て、俺達にボコられてからすぐに開放してやるよ」
「・・それより・・もう少し縄緩くしてもらえないんでしょうか~?」
正直腕が痛いし、胸元きついし・・・
何よりズレている眼鏡を直せないのが一番きついのよ、もう!
「・・小僧が来たか?」
ガラの悪い人たちは外へ出て行ってしまった。
#################################
潮風が吹いていた
波の音も聞こえて、まさに刑事ドラマか青春ものの決闘シーンのようだ
「用件はひとつ!お前らが大人しく俺らにボコられる事だ!」
「ほぉ・・そーいう手を使わないと一撃も与えられないか?」
忍の言葉に怖そうなお兄さん達が一度に殺気立つ
・・た、頼むからそーいう挑発はしないでよぉ~!!・・
「いいぜ・・俺達は手を出さねぇ」
大人しく両手を後ろに組む忍
「・・え?・・僕も一緒にやられろっての!?」
「景のためだろ?」
そう言っている僕達をよそに、その人達はもう突っ込んできていた・・
「き、聞いてないよぉ~っ!!!!!!」
掴みかかってきた男が、僕の顔面めがけてパンチを放つ!
・・僕はさっ・・と右へステップしてよけてしまった。
忍は取り囲まれていたけど、見れば簡単に攻撃をかわしている
「て、てめぇら!当たれ!!」
「手を出さねぇとは言ったが、よけねぇとは言ってねーぜ?」
「このガキ!!」
ぱぁん!
・・びすっ!・・と忍に殴りかかった男の一人が、どこからか飛んできた「弾」を腹に食らって倒れた
「そ、狙撃!?」
「明、随分・・精度が悪いな」
「はぁ!?」
忍が某コメンテーターのような難しい表情で見つめる先は・・工場のクレーンの上
この広場からは二百メートルはある
「・・明の銃ってエアガンだよね?」
「ああ・・法に触れるくらいの改造はしてるらしいがな」
僕達は話をする間にも攻撃を回避している
もう慣れてしまっているのか、この人たちの攻撃は単調過ぎて楽に避けられる
##########################################
明はその「二百メートル離れたクレーンの上」にいた
サングラスをかけて、立て膝の姿勢で・・静かに「PSG1狙撃ライフル」を構えている(エアガン)
「・・そうだな、確かに精度が甘い・・」
明は冷静な口調で照準機を回し、再び構えた
##########################################
びずっ!・・
ばじぃっ・・ん・・
「ぐえっ・・」
「うぉっ!?」
立て続けの狙撃・・今度は正確に、急所を狙って飛んできている
・・明がこーいう事得意な人だったなんて・・
背筋に寒い物を感じながら、僕は忍と一緒に「その時」を待つ
・・だが・・それは以外と早く訪れた
「救出完了です、忍さん、裕司さん」
チェスさんが工場の中から、景を連れて現れた
・・景は縄で縛られていて・・何となくぐったりしているようにも見える
「景・・大丈夫ーっ!?」
「・・胸が苦しい・・・」
・・そりゃそーだろーよ。
僕は忍から「合図」を受けると、一気に反撃に転じた
殴りかかってきた攻撃を受け流し・・背負い投げでぶん投げる
叩きつけられたのを確認するでもなく次の攻撃を回避し・・鳩尾に一撃をたたき込む
(以下略)
・・終わった
本当に何もかもが終わるのは数分もかからなかっただろう
・・何せ辺りにはガラの悪そうな人たちが倒れていて、僕と忍・・チェスさんと景が立っていただけなんだから
「一件落着」
忍の声で、みんな静かに微笑んだ
##########################################
「・・で、結局何事もなく助かったんですかぁー?」
「・・そうだけど・・あたしはヒドイ役割だったわよ・・ただ縛られてただけだし、チェスも助けてくれた後すぐに縄ほどいてくれなかったし・・」
景は委員長に話を聞かれていたけど・・むっとした顔のままだった
僕は後ろの方の席の、その様子を見てからまた前を向く
「裕司ぃ、お前ホントに強かったんだな」
「・・明こそ、あんな遠くから狙撃なんて・・」
「ま、いいじゃねぇか・・俺らが組めば無敵って事が分かったんだからよぉ♪」
・・だから僕はケンカがイヤなんだって・・
そう言う忍はまた、忍法だかなんだか知らないけれど「窓の外」に立っていた
「裕司さん、忍さん、明さん・・お疲れ様でしたね。」
チェスさんも笑いながら声をかけてくれた
・・でも、なんだかしっかりと喜べないんだよなぁ・・・
結局原因は忍なワケだし、僕が行かなくても多分カタついたし、僕はまた嫌いなケンカをしてしまったし・・
僕は暴力とかそういうのが大嫌いなのに・・
そんな事を僕の友人達は、分かっていないんだろうなぁ・・と思うと、やっぱり泣けた
・・またこーいう事件起きるのかなぁ・・・ヤダなぁ・・・
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