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第05話
CHAPTER-05
「激走!急な坂道登ったら」
裕司「鈴宮裕司・・・ちょっとぐったりしてます・・・」
景「天導寺景!・・眠いからお休み~(徹夜)」
忍「高杉忍!「あの人」以外ならケンカ相手募集中!」
雫「真中雫~・・前回出番のなかった委員長~(怒)」
明「早月野明、銃の事ならなんでも相談♪」
チェス「出張中(張り紙)」
メイ「メイナード=リィオン!ボクだけ2990からゲスト~♪」←ホント
小麦「・・・・(甘夜小麦、14才・・ドリフターズを心の師匠と崇めてます)」
大介「沖田大介、サッカー部所属!趣味は旅だぜィ!!」
マル「ピィ~、ピィィ(マルで~す、僕にも一応AI積んでありますのでよろしく~)」
明「毎回楽しいよな?」
裕司「・・・どーでもよくなってきたんだけど・・」
##########################################
長い長い時間だった・・
そのヘンな夢のあと、僕はもうひとつ夢をみた
ハリセンだ、とんでもなく強烈な一撃が僕の顔面に直撃していた
・・思えば、スカートめくりなどというアホな罰ゲームが原因ではあるけど
「ま・・またあの夢・・」
僕は大汗をかいて、飛び起きた
ハリセンの一撃といえどもそれは重く、確かに僕の脳裏に強烈な一撃として残っている
おかげで三日も学校を休んだくらいだ、忘れたくても忘れられない・・
「ユウちゃん」
「あ、景・・?」
ここで、ひとつの間違いを覚える。
飛び起きたときにつかんだのはシーツだったはず・・だが。
「・・・・・」
景のスカートが、しっかりまくりあがっていた
シーツだと思ったそれは、近づいて起こそうとした彼女の衣服で・・・
「・・・・・・」
すっかり顔がひきつっている景
笑って返す僕だけど・・
###################################
「そうか、朝からそんな仲がよかったのか・・」
「・・バカにしてない?」
景はあの後僕に思いっきりマルをぶつけてきた
魔球44ソニックも真っ青の速度でピィピィしゃべるボール型ロボットが直撃し・・
マル自体はバスケットボールくらいの弾力だけど、超強力な一撃となった。
「・・ところでさぁ、お昼で、屋上に来たのはわかるけど・・・」
僕は「周りにいた」メンバーを見て言った
「今日はどうしてこんなに人が・・・?」
きょとん、とした様子でその人たちがこっちを向く
景、明、小麦ちゃん、メイちゃん、チェスさん、委員長に・・大介。
「別にメシ食うのに場所をどうこう言う必要はねーだろ」
「・・まぁそうだけどさ」
僕は手にしたビニール袋からあんぱんを取り出すと、とりあえずぱくり、と一口・・
忍はそう言っているあいだにもう食べ終わっていた
「そういえば景さん、スーパーロボット計画ってのはどうしたんですかぁ?」
委員長の一言で景が目を輝かせる
「順調に開発中よ♪・・そりゃもうスペックはダイターン3を凌駕する装甲とガンダムエックスとバンダールを超える火力にサーバインを超える機動性とシルバーボルトを超えるスナイピング精度にEVAを超える暴走能力!!」
「・・いや、最後のはいらんだろ」
景は自分の世界に陶酔していて、もう忍の突っ込みなんて聞いていない
聞いてみた委員長も、いや、むしろあの委員長ですらも圧倒されている・・
「そ、それで・・景さん達がなんかヘンな組織を作っていると聞いたんですが本当でしょうか?」
ぎくぅ!!
忍は平静を保っていたけど、僕と景はもう顔に出てしまうくらいあせった
「組織・・?」
「なんでも・・怪物のうわさが出るようになってから景さん達がみょーな行動を繰り返しているという情報がありましてねぇ・・☆」
「な・・何を根拠に??・・わ、私達が何故異形と戦っていると?」
「いぎょー」?・・なんですか、それ。私は怪物が出るらしいとしか聞いていないんですが~?」
じーっと景の顔をにらみつける委員長
景は後ずさりしながらも顔は笑っている
・・苦笑いで
委員長は猫のようにふふん・・と笑うと
「・・まぁいいでしょね☆・・そのうち答えはわかりますから♪」
くるっときびすを返すと、屋上から出て行ってしまった
「組織・・・?」
「なんか面白いコトやってるの、ユージたち?」
僕達はその場を繕い、とりあえず難を逃れた
##################################
「・・よく考えると別に、僕は組織・・A.R.Kの事がバレたところで何も影響ないんじゃん」
「・・じゃあ聞くが裕司、もし雫のヤツがその辺のマスコミにでも触れて回ったらどうする気だ?」
頭の中の絶対式
委員長(真中雫)→お喋り→加えて情報通→その辺で話して回る→噂→報道される
「・・学校帰りに買い食いしてることすら町中の噂にしちまうような女だぞ?・・第一お前、ブルーナイトの事バレたら洒落にならないだろ?」
「某国防総省で調べられるとか・・?」
「いやいや、エリア51で宇宙人とお友達、一緒に調査解剖・・・」
ぞく、とイヤなイメージが背筋を寒くする
「・・なんでアメリカなのさ?」
「・・やってそうじゃんよ」
映画の見すぎだとも思ったけどね。
そのとき、後ろからメイちゃんが走ってきた
「ユージ・・待ってって言ってるんだから待ってくれたって・・」
「あ、ごめん・・ちょっと話し込んでたもんで。」
僕は息を上げているメイちゃんの背中をさすりながら、とりあえず謝罪する
「ボク、さっき大変なこと言い忘れてた!!」
「え?」
「チェスがね、ユージとシノブに言ってって「5時までにあっちの山の上に・・」って・・」
あっちの山というのは、まぁ・・・どこにでもあるちょっとした丘みたいなもの。
だが、六澄の場合は心臓破りの坂で有名なとんでもなく急なところ・・
「な、なんであんな所で待ってるんだあいつ!?」
・・とまぁ、一般人ならずともこーいう反応をしたくなるような坂道なワケ。
行きたくないけど用事も気になるし・・行くしかないのかな・・ヤダなぁ・・(汗)
##########################################
坂道は長く長く続いている
それは、果てしなく続く地獄のごとき様相で・・・
##########################################
「坂道を登るとそこは・・」
「雪国ではないよ・・・」
僕は忍に突っ込みを入れながら、坂道の頂上まであと一歩に来ていた。
頂上・・てっぺんでチェスさんは何用で待っているのだろう?
あと距離にして二十メートル、しかしなぜか・・この坂はきつく、しんどい
よく登ってきたもんだ・・
総距離にして数十キロはありそうな坂(比喩的)
「・・とにかく、さっさと行こうか」
僕は忍に続き、数分後・・なんとか頂上に到着した。
##########################################
チェスさんは頂上にある小さな公園・・
東京湾が一望できる、今は丁度夕暮れ時の公園に佇んでいた
息をあげる僕達を見つけると・・彼女はすたすたと近寄ってくる
「遅いです。」
「・・・しょーがないでしょ・・・・この坂だよぉ・・・」
「こんな坂道で息を上げているようではまだまだですね、裕司さん。」
・・言われてみると確かに・・忍は息をあげていない
ていうか、チェスさんもここ登ったハズなのに・・!?
やっぱりこの二人、何かとんでもない人種なんじゃないの・・?
「・・で、用件を素早く話せ」
「ええ、この頂上近辺に衛星アンテナがあると聞いたもので・・」
「アンテナ・・?」
衛星アンテナというのは、まぁ当然だけど気象衛星とか放送衛星とかにアクセスするために設置されている衛星通信専用のアンテナのこと。
・・でも、少なくともテレビ見る以外で中学生がそーいうものに用があるとは思えないんだけど・・
チェスさんは忍に耳打ちしている
(実はここらへんに中継アンテナを設置しろと言われているのですが、都心では目立つもので・・)
(・・・衛星アンテナに装置仕掛けて勝手に使わせてもらう、てか。)
僕にはさっぱりだったけど、忍は意図を理解したらしく僕に合図を送る
「あのアンテナなら定時になると警備が薄くなる、その隙をつけば一発だ・・なぁ、裕司?」
「え・・・・警備?・・・隙をつく?」
なんだかどてらい話になってる気が・・(汗)
##########################################
「だんだらだんだーん・・だんだらだんだーん♪」
「・・忍、お遊びでもそーいう曲はやめてよね?」
僕はなぜか衛星アンテナのある発信局に潜入することになってしまった。(しかも今の忍の歌って007メインテーマだったし)
チェスさんと、忍と・・・
三人でみょーな緊張感の中、「交代時間で警備の薄くなった」発信局の中を進んでいく
・・こんな広いトコがあるなんて・・
外見からは想像もつかないほど、中の通路は広く間が取られていた
その通路から放送設備らしきものが立ち並ぶ部屋を通り・・アンテナケーブル室まで順調に到着した
「これを配電盤の裏にでも設置して下さい、後はこちらでコントロール可能になりますから」
「これ?・・・・・なになに・・
特殊モデム
・・?」
思わず、僕は右手を振りながら大声をあげていた
「これじゃまるでスパイ大作戦じゃないかっ!?」
・・・がた・・ん・・・・
うぃぃぃ・・・
叫んだ直後、部屋の隅にあった防犯装置らしきものが作動した(音声に反応するものなのだろう)
「モデムは設置しました!脱出です!」
チェスさんが叫び、突然の警報にびっくりしていた僕も思わず我に返る
「どうするの!?」
「逃げるぞ!!」
「そうですね・・」
##########################################
・・その、少し・・わずかに前・・・
通信局の壁の外を、普段着のルインが歩いていた(さすがに外歩きでウェイトレスの制服というワケには・・)
「あ・・武くん達ですぅ♪」
あの坂道を登ってきたというのに彼女は余裕の顔・・
対して、通信局の前に座り込んでいた
「武」
と
「数騎」
はすっかり疲れ切った顔をして、ひぃひぃ言いながら坂を登っていた
「ルイン・・お前いつもよく余裕だよなぁ・・・」
「・・・ですね・・なんであなただけ息も上げずに・・・」
「はにゃ?・・・そうですかぁ?・・慣れればそんなもんだと思いますよぉ?」
ルインと、その同級生である武、数騎。
武は地べたに倒れ込み、すでに汗だくで死にそうだったが・・数騎はまだ少しは余裕がありそうだった。
・・・がた・・ん・・・・うぃぃぃ・・・
「ん・・・・・武くん・・今何か聞こえませんでした?」
「なんだ、幻聴聞こえて・・?」
「違います!!・・・そうじゃなくて、何か物音というか、警報というか・・・」
・・・直後
・・「そう、なんだかそこの通信局から聞こえてくるような」と言いかけた数騎の真上から・・
人が、降ってきた
ぷぎゅ・・っ・・
数騎が、三人分の体重を食らって潰れる
武とルインの顔が真っ青になる
「脱出成功!」
「な、なんか誰かの上に着地しちゃったみたいだけど!?」
「・・・脈はあるからいいでしょう。」
チェスさんは下敷きになっている数騎の脈をとり、ささっと右手でサムズアップを決めると走り出していた
忍も、何事もないかのように走り出す
裕司だけはしばらくその場に留まり・・・
「す、すみませんでしたっ!!!」
簡単ながら大きく謝罪すると、だだーっ!・・と逃げるように走り去った
武とルインはぽかんとしていたが・・・その後ですぐ数騎に駆け寄る
「大丈夫か、数騎ッ!?」
「ええ・・・ちょっと・・・お星様が見える程度ですから・・・」
がくり、と力無くうなだれる数騎
「し、死ぬな数騎ーっ!!!!」
「いや、だから生きてますって(汗)」
もう一度目を開いて、ぼそ・・と一言言うと・・
再び数騎は、ダウンしてしまった
そんなコントのような事をやっている三人の隣を、忙しそうな数人の警備員が走り去っていった
##########################################
翌日・・
輪中屋上、またまた昼休み・・
「・・どうしよう・・あの時はわかんなかったけど、あれ絶対ルインさん達だよ~(泣)」
「?・・ああ、昨日「潰した」人な・・顔は見えなかったけど間違いなく「平泉先輩」だ。」
平泉・・というのは数騎の名字。ルインのお友達という事で忍は彼らを知っていた
宮本武、平泉数騎、ルイン=ミュール・・皆揃って輪中の3年生だ
他にもルインとよくいるのが「アルフレッド=マイトナー」。
一部では「剣聖」と呼ばれる伝説の剣道部員なのであるが・・彼はなかなか外で見かける事はない
友人関係が妙なら知り合いの関係も妙、彼らもまた・・そういう「ちょっと変わってる」人々なのだ。
##########################################
ところで、事の次第を先ほど聞いた景達は揃って質問してきた
「衛星アンテナなんて・・何をしたかったの?」
僕と忍は受け流すように、チェスさんに視線を送るが・・・
「私、一度見学してみたかったんですよ」
チェスさんはにっこり笑って言った
普通そんな言い訳が通用するハズもないが、このメンバーは・・・
「なんだぁ、だったら言ってくれればあたしン家の系列で衛星通信設備あったのに~」
「天導寺重工が作ったモンだから、まぁ妙な仕掛けがいっぱいついてるけどよ」
大介は景に・・またしてもどこからともなく取り出したハリセンで殴り倒された
「不用意な発言は控えてもらえるかしら?」
「・・・うい。」
大介は泣きながら頭を抱えている
しかし、今の彼の発言は事実である・・
景の家、天導寺重工の系列は色々あるのだが・・どこもかしこも会長である彼女の父「天導寺舞人」の趣味が出ている
そのままで十分超高性能なアンテナを作っているのに、なぜかそのアンテナに不必要な展開変形ギミックがついていたり
車の部品を作れば、座席の右にブーストレバーがついていたり、パソコンを作ればOSに「GUNDAM」と表示されたり・・
とにかく性能はいいのだが、なぜか不必要なギミックが多い事で有名だった。
「ともかく、ちょっと見られればよかったんですから♪」
「・・あららぁ?でも新聞に載ってましたよぉ☆・・
「アンテナ施設に謎の侵入者!?」
って。」
「いいじゃん、三面記事だから目立たねぇよ」
忍の案に賛成らしく、小麦もこくこく、と頷いている
雫はむむっ・・と難しい顔をした
「・・・それよりさぁ、ゴハンにしようよ~・・ボクもう死んじゃうよ~・・・(泣)」
メイが泣きながら裕司の制服の袖を引っ張り、訴えるので・・もう少し話をしようと思っていた一同は一段落つけることにした
・・にしても、本当にチェスさんは見学がしたかっただけなんだろうか?
裕司の胸中で、一つの疑惑がふくらみつつあった
果たして・・フランチェスカ=クロードなる少女は実際の所何者なのだろうか?
・・だが、裕司はそれよりも昨日の帰りの事が一番に脳裏に焼き付いてしまっていた
あの地獄の坂道を、警備員から逃げおおせるために全速力で駆け下った時だ・・・
・・フリーフォール状態・・
そこまで急な坂道ではないのだが・・・絶叫マシン嫌いの裕司にとっては一生に残る経験となった。
・NEXT-06「発進!青い閃光・・」
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