最終話-前編


軌跡をたどってみれば、それは明らかにローディス=スタンフォードの人生そのものであった
社員を振り回し、周りに迷惑を振りまいて・・
しかしどんなにふざけていても、彼はやることはきっちり成し遂げていた
そう、最後の最後まで

だが彼の存在は消えてしまった
・・生涯貫くであろう仕事を「中途半端」にやり残して。

まぁ・・この物語も「主人公」がいなくては始まらないのだが。




 最終回
「そしてこの街で」



1・・「記録」
2・・「降り注ぐ隕石」
3・・「帝国の逆襲」
4・・「予告なし。」
5・・「兆し」
6・・「完全復活」
7・・「衛星軌道の一対一」
8・・「大決戦!」
9・・「冬」












1・・記録

十二月二十五日
・・今回の仕事は爆破装置の解体作業。
私たちが手を出すまでもなく、シュウ様がちゃっちゃと片づけて終了しました
(ちなみに爆薬はシュウ様がくすねました。)

十二月二十七日
・・遺跡調査に再び行くことになりました
ま、今度は観光用遺跡の調査だったので問題ありませんでしたが。

十二月二十九日
・・この日は雪が降りました

十二月三十日
・・雪は降り積もって、衛星港への発着便も欠航。
久しく事務所で一日を過ごしました
・・・・マスターが殉職してちょうど二週間
・・相変わらず寂しいのには、変わりないです


2・・降り注ぐ隕石

本格的に寒くなりつつあったある日の朝。
シュウは地下室でやはり何かの発明に取り組んでいた
いつも通り何の変わりもない朝だったが・・
「ん・・・」
けたたましく警報が鳴りだして、シュウはバイザーを上に上げた
しばらく寝ていなかったらしく、目は充血している
「・・衛星軌道に接近する影、数機・・・か。」
レーダーには三~四機の影
「ま、コースがあっていても・・・ね・・・」
シュウはふらふらとバイザーを下ろし、何事もなかったように行動を再開した

・・しかし、その数分後・・

海岸で素振りをしていたガンマが、その接近する物体を確認した
「あれは・・・・・・?」


遙か彼方からいくつもの赤い光が落ちてくる
一つは、こちらに向けて・・
「!」
ガンマは剣を引き抜くと、並列に構えた
赤い光が頭上に迫った瞬間、それに向かい跳躍する
「二段一文字!」
がきぃぃ・・・ん
光は剣に叩き切られて、砂浜に沈んだ
振り返り、その切ったモノを確認するガンマ
「・・これは・・」
数十センチの石が二つ、えんえんと煙を上げていた
流れ星の燃え尽きなかったもの・・「隕石」である
・・ただの隕石か・・
そう思ってガンマはいつものように剣をしまおうとした
「・・・・・!!!!
な・・・・・・・・・なんと・・・・」
二本の剣のうち、炎皇の刀身がぼろぼろになっている
「ふ・・・・・不覚・・
・・隕石は地球外の金属か・・・・・・・」
地球最強の金属で作られた剣には限界があった
・・それ以外の惑星で作られた未知の物質には無駄。
ガンマは炎皇をひきずり、とぼとぼと事務所へ帰っていった

「・・じゃ、さっきの警報は・・?」
「ええ、隕石が降ってきたことに対しての反応だと思います」
「・・・・・」
シュウとネスの話す横、一段暗い雰囲気のガンマ
「・・で、それを切ったガンマ君の炎皇が刃こぼれした・・と?」
「・・・無念です」
「・・ま、まぁそんな落ち込まんと・・」
シードの慰めもそこそこに、余計にどんよりとした雰囲気が事務所を包む
「剣・・か。
これなら直せないこともないけど?」
「・・・お願いします、シュウ様」
そう言うとガンマは炎皇をかちゃり・・とテーブルに置き、事務所から出ていってしまった
「・・それにしてもなんでこんなものが降ってくるんだろ?」
・・基本的に隕石など落ちる確率は何百万分の一でしかない。
近年では天王星圏に到達した時点でほとんどが破壊されるようになっているはず
それが、さきほどの確認では二十三個も発見されたのだ
「・・誰かが人為的にやったとしか思えない。」
「・・ですよね・・
・・・・でも・・誰が?」
「んなことどーでもええやんか。
とにかく飯にしよーや、メシ。」
「ですね。」
食い意地を見せるシード、そしてさわやかに笑うネス
そう・・・「実害なし」と判断したのだった。

・・少なくとも、この二人は。

・・実際、裏で何が起きているかも知らずに・・


3・・帝国の逆襲

「じぃえいちないんてぃないん「ドーマ」!
メイナード=リィオン!!いっきまぁぁぁぁぁすぅ!!!!」
スピーカーの許容範囲外の声で叫ぶメイ。
ドーマがそれに続いて宇宙へと飛び出す
「・・急に演習なんて・・
どうかされたんですかシュウ様?」
「仕事のない内にセプター化の研究をしておかないといけない・・と思って。
・・・・・いざという時のために。」
「ずいぶん心配性になったんなぁ、シュウ・・・」
「備えあればなんとやらって言うでしょ。
まぁとにかく演習始めよう。」
ブレードバッシャーのカタパルトからいくつかの光が飛び立つ
赤・・青・・黄・・・・
さながら信号機のような量産型ギア三機。
「・・で、なにするの?」
きょとん、としてつぶやくメイ
すると青いギアと赤いギア・・「青の1」と「赤の2」がライフルを構えた
「え」
銃身はドーマを捉える
どがががが・・・
「うっひゃぁぁぁぁぁぁっっ!?」
とっさながらもしっかりと弾を避けた
「あ・・・・危ないじゃないぃっ!!いきなりなにすんのシュウっ!!」
「演習だから・・ね、演習。」

「ふぇぇぇぇ・・・・・答えになってなぃよう・・・・・(泣)」
「とにかく、セプター化のためだし・・
それと、その連中は強化の限りをつくしてあるから逃げようとか思わないことだね・・(微笑)」
「・・・・シュウ、お前・・そういうシュミあったんか?(大汗)」
・・モニターを確認する
ドーマは未だに避け続けていた
「ああんっ・・・もうっ!!
・・・・・やればいいんでしょっ!!やればぁっ!!」
ドーマが静かに瞬いた
・・そして光がモニターを包む
「エネルギー値上昇中・・!」
白く輝く翼がふわりと大きく広がった
鋭い目をぎらつかせた白い翼のギアが、ドーマの代わりにそこに出現した
「・・これの練習って意味あるのかなぁ・・・
まぁいいや、とにかくそこの「信号機」潰せばいいんだね?」
彼女は静かにつぶやき、間近にいた「青の1」に向かった
いかにシュウの改造といえど、量産型。
攻撃をかわしきれずに、メイが放った右腕が頭部にめり込む
数間隔おいて発振したレーザー・ブレードがその胴体を真っ二つに切り裂いた
巻き起こる爆発
「ははん♪一匹目ぇ~♪」
楽勝といわんばかりにVサインを決めて見せた
ふりむいた瞬間、背中に連続で痛みが走る
「うわわわわっっ!?」
信号機が放っているのは演習用に模擬弾。
しかし直接撃たれているようなモノだ、彼女にとっては
「・・・・い・・・・・・いったぁぁ・・・・っ
ひどいっ!・・急に撃つのは卑怯だよぉ・・・・(泣)」
「実戦で敵は遠慮してくれないよ?
それを考えて戦わなきゃ。」
「実戦って・・そんな仕事でもあるのぉ・・?(泣)」
「・・多分・・ね」
「まさかシュウ様の言っている「敵」って・・・」
・・どぉおん!!
勢いのある爆発がモニターを占拠したのはそのときだった
「なんや・・・「黄色いの」が爆発したでぇ?」
「・・なんでしょうね?」
「おおかたシュウの失敗工作やったんやないの?(笑)」
「・・レーダーの表示を忘れてた・・」
シュウはそう言ってレーダーを展開する
・・と・・接近する影「数千」のマーカーがモニターを覆い尽くしていた
「!!!!!!!!
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「ててて・・・敵ぃぃ・・!?しかもこの数もしや・・!」
「・・「帝国艦隊」・・・・」

・・・・一方、地球は中国大陸・・
「機動巡視艇スカイ・イージス・・発進ッ!!」
「・・了解」
リィズ達八小隊は、宇宙へと出港する寸前であった

「新兵器のテストってここんトコ毎日やってませんか?」
「しゃーないでしょ、この隊にいる以上はそれが本当の任務なんだから。
ラルフ、そうじゃなきゃあなたグラスバードに乗れなかったんだし・・違う?」
「ごもっともですけど・・なんかそういう実感って湧かないんですよ」
「・・そうかしら?
・・でも今回は後方支援があなたの任務だからね」
「へ・・?
でも今回の演習、テストパイロットは俺しか・・・?」
「どぉこに目つけてんのっ!?
・・・目の前にいるじゃないの、すごいのが一人・・・♪」
狐につままれたような顔をするラルフ
そして・・重く長い空気が流れ始めると、リィズはキレ気味に言った
「私が乗るっての!!
・・はぁ・・(泣)な~んでわかんないかなぁ・・・・・」
「でも・・隊長って機動兵器免許持ってましたっけ?
持ってるのって言ったら休暇中に取った「某挌ゲーの認定ライセンス」くらいしか・・・」
ごすっ
言いかけた彼の顎をリィズのアッパーが砕いた
「・・・昨日とってきたわよ、失敬ね(怒)」
・・そう。
昨日確かにとってきたのだ、しかも大型兵器免許を・・
「少々強引でしたけどねぇ~・・・」
レオネがブリッジに入るなり、会話に突っ込んだ
「・・お話中悪いですけどぉ・・署長から伝令です
・・「帝国艦隊が再び動き出した、演習を中止してSG艦隊と合流せよ」・・とのことです」
「・・実戦テストかぁ・・・・それも悪くないわね♪」
「そんな呑気な・・・」
リィズはラルフを「きっ」とにらんだ

「どーでもいいの!!進路変更!
さぁっ私の「スパイラル」の初陣よ!!」
「・・・す・・「スパイラル」・・・っすか?」
・・少なくともラルフには、それがグラスバードとは比べモノにならないコトはわかった。

なにより、「リィズ専用機」という時点で。

・・火星圏・・
ブレードと帝国艦隊は、小競り合いを続けながらここまで流されていた
「・・ガンマ君がいないのは痛いですね・・」
「しゃーないやんか!あの状態じゃ戦っても負けるだけやしっ!!」
現在の戦力、ブレードバッシャーとセプターモード・メイ。
例によって執拗に追ってくる敵に、さしものユニオンも苦戦を強いられた
「あーもううざったいっっ!!」
キャノンから赤い光が連続して放たれる
いくつかの戦艦を仕留めるが、それでも一向に減る気配はない
むしろ、後から湧いて出てくるようだ
「・・・いい加減にしてよぉっ!!・・・・・もうヤダぁっ!!」
「やむを得ないか・・」
シュウは目の前のコンソールを操作した
画面に「封印解除」の怪しい文字が点灯する
「・・あの、何をする気で?」
「最終兵器を使うしかない・・
ガンマ君がいるならともかく、今のメイちゃんとブレードバッシャーじゃとても勝ち目がない」
「威力はいかほど・・で?」
「ここから撃って「そこの星」が半分消滅する。」
シュウは淡々と「火星」を指さした
ネスは無言でシュウの肩をぽん、と叩く
「・・やめましょうよ。」
「・・そだね。」
・・再び、画面は封印された。

・・そのころのスカイ・イージス艦内。
「・・隊長、妙な機影を確認しました」
「はぁ?・・何よレオネ、その「妙」ってのは?」
「これなんですけど・・」
モニターに映し出されたのは青白い尾を引く影・・・
・・の群れ。
「・・・・彗星群っ!?」
「あれ・・?戦艦じゃなかったんですね・・・」
「どこをどう見てんのよっ!!
・・だけどなんであんなのがそろいもそろって太陽系内を・・?
天王星空域で彗星は「掃除」されるはずじゃなかったかしら・・?」
「先端部に一隻、機影がありますが?」
そこがクローズアップして映る
「・・これは帝国の・・・!?」
「隊長・・まさかヤツらが故意に引っ張ってきたんじゃ!?」
「あり得るわねぇ・・でもあいつらって「惑星の征服」が目的じゃなかった?」
・・どちらにしても、リィズ達の位置からは遙か彼方。
ただ位置的に見えたというだけの映像であった

そして・・スカイ・イージスの前方に「帝国艦隊」が現れた
「ところで隊長殿・・試作型で大丈夫でしょうか?」
「何・・・?あなた私のギアにケチつける気なの!?」
「い・・・・いえ!失礼いたしました!!」
慌てて撤回するパイロット
「行くわよラルフ!」
「了解・・・」
「GーH/SGーX2「ゲリュオン・スパイラル」!
発進ッ!!!!!」

「・・バリア出力二十%ダウン!
だめですっ!!ブレードバッシャーがもう持ちませぇぇぇぇぇぇん!!!」
「やっぱり封印を・・・」
「シュウそりゃもっとあかんがなぁぁぁぁっっ!!!!」
「ふぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!もうやだっもうやだっもうやだぁぁぁぁぁぁっ!!!(泣の三乗)」

リィズ達はユニオンの窮地など知る由もない
・・彼女らの発見したのは、艦隊の端の端だったのだから。


4・・予告なし。

「・・・ははは・・・情けねぇ・・・」
ロディはがくりとうなだれたまま、地面に座り込んでいた
その場所は・・辺り一面ただっ広い草原という殺風景なところ
・・ま、近くに川があるといえばだいたい想像がつくだろう
「・・あんな砲撃で死んじまうなんてなぁ・・
ネスの言ってたことも当たらなかったか・・・・」
・・本人もここはいろいろと聞いて「知っていた」
世に言う、「三途の川」というヤツだろう
「・・そのうち迎えが来るんだろーか・・
あ、その前に爺さんに会って挨拶でも・・・」
ごすっ・・
「でぇぇっ!?」
ロディは後頭部への打撃を受けて目を覚ました
「・・いっつぅ~っ・・・・・!!!
・・・って・・あれ?」
はたと我に返って見回せば、そこは先ほどと風景が一転していた
・・見たこともない部屋だ
何かの研究室のようにも見える
「夢・・・?・・俺は・・死んだんだよな・・?」
「・・そりゃちょっと気が早いんじゃないのかにゃぁ?」
彼のつぶやきに変な口調の声が重なった
思わず「ぴた」と止まり、声の方へゆっくりと首を向ける
「・・・・お前は・・・まさか・・・・」
目線の先・・・そこには白衣を来た分厚い眼鏡の少女が立っていた
少女とは言ったところで、自分と同い年の・・
「おひさぁ♪
元気してた?」
・・・サクラ。
ユニオン非常勤社員とでも言うべきだろうか
たま~・・・・・ぁに事務所にやってくる「ごく普通の」遺跡研究者。
(ちなみに以前書いたとおりシュウの「姉」である)
「元気もどうも・・俺は反重力砲の直撃を受けて・・・」
「そう、確かに死んじゃったわよん。」
きっぱり言われると余計にわけがわからない
「・・・・・・・じゃ、なんで俺がここに?」
そう言うとサクラはにやりと笑い、近くにあったファイルを手に取った
「説明しましょう。」
眼鏡が妖しく光る
「まず、ロディちょんが「どっかーん!」と反重力砲に当たっちゃいました。
ふつーならこれでおしまい・・反重力に飲まれてちゃって跡形もなくぺったんこ
でも・・ロディちょんはここで「根性ばりあ」張ったでしょ?
だからそれが「ちょっとした現象」を引き起こしちゃったのよ」
「・・・現象・・・」
「そう、力点がずれたおかげで亜空間航法と似たのが発生してぇ・・
ゼファーごと別な所へ飛ばされちゃったってワケ。
ま、それがたまたまあたしの出張先だったから、あたしが拾ったんだけど♪」

「・・・・・・・ちょっとまて
・・それでも俺は反重力を食らったことにならねぇか・・・・?」
サクラはファイルをめくりながら続ける
「そりゃそーよぅ。
だってあたしが見つけたときは・・
ゼファーが粉みじんになっていてぇ、
かろーじて原型とどめていたこくぴっともひしゃげてすっ・・・・・ごい状態だったしぃ、
・・特に・・・ロディちょんの「身体」なんかすごかったんだから・・・・」
「はぁ?
・・・全然無事だぞ、俺。」
「それじゃぁ・・そこでよーっく自分の身体見てみて。」
「・・・んなこと言ったって俺の身体・・・・・・・・・・・・」
鏡を見てぴたりと動きが止まった
重い空気が流れ始める
「お・・・・・・
お・・・・おわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!?」
ロディが目にしたものは・・
自分の姿ではなく、どこかの子供の姿だった
・・やたら、自分の面影があったが。
「お、俺の身体・・・・・!?」
真っ青になるロディ
「そうそう。
縮んじゃったの。
・・ま、一時的な状態だから気にしないでね♪」
「大幅に気にするわっ!!
どぉこをどーしたらこうやって縮むってんだぁっ!!!」
「それはロディちょんの細胞から作った体だからぁ、あくまでも仮の姿ってこと。
わかりやすく言えば「脳だけクローンに移した状態」ね。
本体はナノマシンが再構成してるから」
「をい・・・ホントにそんなコトができんのか・・・・・・・・?」
「えぇ~?・・・・でも、できなかったらロディちょんはそのまんまなのよん?。
ま、それはそれでいいわよね・・その方がかわいいし♪」
「・・・・・疑って悪ぅございました(泣)」

・・ふう・・・
ロディはとりあえず安心する前にはた、と考えた
・・俺の身体ってそんなにひでぇ状態だったのか・・?
想像して思わず身震いする
「・・・・とりあえずはサクラに感謝だな・・・・」
反重力の中で唯一、着ていた上着が無傷だった方が恐ろしいと思うが。
とにかくローディス=スタンフォードは生きていた。
・・それでいいのだろう・・・それで。


5・・兆し

「よぉしそこぉっ!!!!」
リィズの叫びに呼応するかのように、赤い高熱線がウデから放たれる
襲い来る帝国ギアがその直撃を受け、ことごとく爆発に飲まれた
「・・ちょっと残念ね、火炎放射とかあるのに・・
宇宙空間で使えない武器ってなんで積むかなぁ?」
実際、スパイラルには物騒な兵器が多々積み込まれていた
彼女が取ってきた免許が示すように、スパイラルは大型ギアである
後方支援するグラスバードがかなり小さく見えた
「隊長!突出しすぎです!!いくらなんでも俺達だけじゃ・・・」
「・・おっしゃいくわよぉっ!!!!!
メガロマックス・・ファイヤァァァァァァァッッッ!!!!!!!!」
全身のカバーがオープンし全方位レーザーが周囲のありとあらゆるモノを貫いた
かの板野サーカスのごとく、旋回しながら回避するグラスバード
「隊長セリフ違いますよ・・
それに俺まで死ぬトコだったじゃないですかぁ・・(泣)」
「いいじゃないの!こういう巨大メカで大暴れするの夢だったんだから!!」
「右舷後方敵機四!!」
スパイラルはそれをかわして上昇した
「イナズマ・・・キィィィィィィィィィィィィッック!!!!!」
バーニアを急展開し、急降下する
・・威力はすさまじかった、戦艦という戦艦がへし折れていく
それ相応の花火が宇宙を白く染めた
「・・無茶苦茶だ・・」
ラルフは心底、涙した

・・そこから一、七光年先・・
「ネス君いくらなんでも使わせてもらうよ。」
「い・・いけませんっっ!!火星を壊す気ですか!?」
「もう火星なんざぁどーでもええっ・・!!
・・・この戦況なんとかしたってぇなぁ~っ!!」
「だめですよ!いくら敵を倒すためと言ってもそんなの・・・!!」
ブレード艦内はよもやコントの嵐であった
「増援三隻確認!!」

「もう堪忍してぇなぁ!!
第一SGは何をやっとんや!!ワイらに任せっきりにしよってからにっ!!」
「メインリアクター臨界まで十三分
・・・つまりバリアの限界まで。
今ならワームドライブで逃げることもできるけど?」
「そんなことしても、敵が地球に到達するのと同じでは意味がありませんよ!」
「休憩入れる暇も無いだろうしなぁ・・」
「ちゅーか敵さんがそんなん入れるかっ!!」
その「増援」の一機が、レーダー上で急加速していることに気づかない三人

メイが、その姿を直接捉えた
「?・・・・・」
赤い影が見えた
・・明らかに他とは違う色だ
「な・・何・・・・?」
しっかりと確認した途端「光」が放たれた
見た目にはわからないが、デストロイの加速粒子砲と同等のものである
回避できる速度ではない
仲間のギア隊を飲み込みながら、すさまじいエネルギー質量がせまる
「ふぇぇぇっ!?」
とっさにバリアを展開する
ゆっくりと光の壁がきしむ・・
あわや割れる寸前まで行ったものの、かろうじて消える前に、粒子砲のエネルギーが散開した
光に包まれていた視界が晴れていく・・
・・や・・やった?・・
防ぎきったと思い、安心した瞬間・・・
ぐしゃっ・・・・ざくっ・・・
イヤな音が聞こえた
・・メイには何の音かわからない・・・
「・・・え・・・」
すぐに理解はしたが。
彼女の右の肩口から左足にかけて、深い傷ができていた
「ふ・・・あ・・・・・・・・あああああああああああああっっっっっっ!?」
傷口から吹き出した「血」が、緑の機体を赤く染めていく
「ぃ・・痛いよ・・・・・・・・痛い・・・・痛いよぉ・・・・・」
「あらら・・いきなり直撃しちゃったの?
全く・・ぜんっぜんダメね、あんた」
そんな声が喘ぐ彼女の耳に届いた
「・・・う・・っ・・・く・・・・・・・」
・・視線の先・・赤いギアがこちらを見ていた
異形の形であったが、メイはうっすらと赤の色合いに見覚えがある気がした
「いきなり「ヴァーミリオン」出すまでもないじゃないの・・
そーでなくともあんたごときに本気出す必要もないんだけど」
それは少し前事務所に「届け物」をしていった赤いIFR、サイレントの声だった
もっとも・・彼女は聞いていない声だが
「あれでライゼル閣下を倒したつもりだったわけ?
はは・・呑気ねぇ~?あの程度で?」
ヴァーミリオンの四本のウデがメイの肩をつかんだ
「・・・そういう風にあたしのマスターを侮辱すんの・・・
・・はっきり言って許せないのよね」
「・・ふ・・・・ぇ・・・・」
・・・両肩から何十本もの刃が姿を現し、メイに襲いかかった

・・ブレードバッシャー艦内・・
「急速接近するギア一機確認!!」
・・さっきから何機もそういうのはいたが、今度はスピードが極端に違う
「・・・加速粒子砲です!!」
「やばいやんか!?」
「・・・確かにまずいかも」
・・「赤いギア」から放たれた粒子が、ブレードを飲み込んでいった・・

・・と、宇宙では真面目にやっていたそのころ・・・
「・・ようっ!!」
ロディは二週間ぶりに、ユニオン・リバー事務所のドアを開けた
「・・なんでぇ、誰もいねぇのかよ・・・
ちぇ・・俺が帰ってくりゃ腰ぬかすと思ったのになぁ」
しかしよく見れば・・
「うぉっ!?が・・・ガンマっ!?」
どんよりと空気を漂わせながら、ソファーに腰掛けているガンマがいた
「・・あ、ロディ様・・
生きていらしたのですね・・
そうですよね・・・やはりロディ様ならあの程度で・・・」
「・・お前、よくこの姿で俺だとわかるな?
それになんで驚かねぇ・・・?」
端から見れば口の悪い子供にしか見えないはずだ
「性格が出ていますから・・
それに、「根性派」のロディ様なら生きていて当然でしょう?」
「ま・・まぁいろいろあったけどな・・(笑)
・・他の連中は?
それにお前、なんでそんなに暗いんだよ・・」
「シュウ様の提案で演習に出かけました。
・・それと、炎皇が刃こぼれしてしまって・・・・」
「炎皇?
それぁこれのことかぁ?」
ロディは身体とほぼ同じくらいの剣を持っていた
「ま・・間違いなくそれは・・・!」
「ガレージに立てかけてあったんだけど・・
んなとこにどーして?」
「シュウ様・・お仕事速いですねぇ・・(感動)」
そう、炎皇は新品同様に修復されていた
「そりゃそれとして・・ヤツらんとこに顔出してくるかな
・・ぜってぇ驚くぜ(笑)」
「そうですね(今回は本当に)」
「つーてもギアがねーんじゃぁな・・
相棒はこのメモリーカード残して吹き飛んじまったし・・
ましてやリニアバードじゃ登場のハデさに欠ける・・」
「・・・・そういうことが気になるので?」
「ああ、やっぱ自分の愛機で登場してこそ主人公だろっ!」
目を輝かせて言う。
「シュウ様がゼファーを元に作った「新型機」ならありますけど?
確か・・衛星港のいつもの係留ケージにあるとか。」
「・・シュウが作ったっちゅーと引っかかるモンがあるが・・
ま、代わりにそれでも使わせてもらっとくかな。
・・ゼファーのメモリー勝手に組み込んでやれ(笑)」
ロディはそう言うとうれしそうに上着を羽織った
「では、私も行きましょう。」
「おう!いっちょハデに大騒ぎといくかっ!!」

・・果たして彼らがシュウ達の窮地を知ることがあるのだろうか・・
そもそも、SGの本隊が到着するのはいつのことなのか(なんかリィズ達だけだし。)

6・・完全復活

「・・無ぅぅ限ぇぇぇぇんミサァァァァァイルッ!!」
無限とまではいかずとも、長距離ミサイルが雨のように飛び交った
引き続いて吹き飛ぶ周囲の戦艦、ギア部隊・・
これまでに先行したグラスバード、Gスパイラルの二体だけで百数機をしとめている
本隊がようやく到着したと聞いたが、そんなことはおかまいなし
「隊長!バッテリー残量三十%切りました!!一度スカイイージスへ帰還を・・・」

「なに言ってるの!?
やっと火星圏まで来たのに!」
モニターにどアップで怒鳴るリィズ
思わず後ろに退くラルフ
「で・・ですから、先頭に追いついたにしても俺達だけじゃ・・」
「あなたねぇ・・もしかして知らないの「合体」のこと!?」
「合体・・?
初耳ですけど?」
「・・合体してこの二機は完全体・・って話。
まぁ簡単よ、タイミング合わせて起動キーを叩くだけ。
どーせテストなんだしやってみますか。」
「ま・・待ってください!?」
・・彼女はすでに実戦という概念を持っていないようだ
「合体シークエンススタートッ!
・・さあ!タイミング合わせてよっ!?」
「・・はい・・・」
「・・5」
グラスバードが変形した
「・・4」
加速をかけてスパイラルの前へ出る
「・・3」
スパイラルとグラスバードの目が輝いた
「・・2」
なおも加速する二体
「・・1っ!
プログラム・ドラァァァァァイブッ!!」
・・がしゃん
プラスチックに包まれたボタンが叩き割られる
そして、二体のギアが変形、合体を始めた・・・

・・ブレードバッシャー艦内・・
「損壊率四十%・・
かろうじて再起動できます・・・ね」
流れてきた小惑星に姿を隠したブレード
加速粒子砲の直撃によってブリッジにはいまだ警報が鳴り響いている
警報のレッドランプが辺りを赤く染めていた
「なんとかなったのが・・・奇跡のようやで・・」
「・・・バリアを多重展開して正解だったね・・・」
そういうとシュウは突然咳きこんだ
「シュウ・・様?」
「頭が痛い・・・」
「ま・・まさかさっきのでどっかぶつけたんか!?」
「・・・それになんかだるい・・」
「って・・・・・・・・それは風邪の症状ですよ・・・」
「こじらせたかな?一週間も徹夜したもんだから・・」
「・・・・・・・・・」
返す言葉もないネス、シード
「こんな時になって・・・(泣)」
「しかし・・さっきの赤いギアはなんやったの?
加速粒子砲撃ってくなんざぁ・・・」
「・・・また増援反応!?」
ネスの絶望の混じったセリフがそれを遮る
「・・・ちょいまちぃ・・
あれは・・・・・!?」
モニターに亜空間離脱してきた影・・「ギア」が一体映った
「・・・・ゼファー・・・・・」
ネスは見覚えのある機体に呆然となった
「あれ?・・「ヒバリ型」がなんでこんなところに・・・?」
それこそシュウの作った「ゼファー二世」であった
もちろん、ロディ専用の装備で。
「・・シュウ!!!
ブレードに傷つけるどころかぶっ壊しやがったなぁ!?」
「その声は・・・」
「マスタァァァァァッ!!!!!!!」
やっぱり・・という顔のシュウ、思わず感極まって叫ぶネス
「どええええええええ!?化けてでよった!?」
「をい・・・(怒)」
・・シードだけは別な反応で迎えてくれた(笑)
「俺はこのとおり生きてるっつーの!」
やっと通信が正常化し、ロディがモニターに映ると・・・
全員がジト目に変わった
「・・誰なん・・この子供・・・?」
「マスターには似ていますが・・ねぇ・・・?」
ぷち
「て・・・て・・・・てめぇらぁぁぁぁっ!!俺を見忘れたか!?
ユニオン・リバー社長っ!!
正真正銘俺がローディス=スタンフォードだぁぁっ!!」
「・・何があったか知りませんが間違いなくマスターですね・・・その短気な性格。」
「・・・をい・・ネスてめぇ・・(怒)
・・・ところでメイはどうした?」
「それがさっきから音信不通のままなんです・・
私たちも「赤いギア」にやられて・・」
「赤い・・ねぇ・・・
よーしわかった!・・・俺らが行って来るぜ!!
メイのことも、ワケのわからん赤いギアも、ついでにここのザコ共も俺とガンマに任せとけ!!」
「あや?・・・ガンマ君もいたんですか?」
「ええ・・
ところでシュウ様、炎皇の件有り難うございました」
「ああ・・・ちょっと手を加えといたから、今度は隕石切っても大丈夫だよ」
・・他にも改造したけどね。
こっそりシュウがそう思ったのは言うまでもない
「ま、後は俺らに任せてそこで見物でもしてな
・・・・・へへ・・ずいぶんと久しぶりな気がするぜ・・・・
いっくぜぇぇぇぇっ!ヒバリッ!!」
「きぃぃぃぃぃ・・・・・・っ!!!!」
元からはずいぶんと背が縮んでいたが、そこはやはりゼファー「二世」
ロディの無茶な操縦にも完全に対応している
「右前方ザコ三機!
左後方ザコ四機!!!」
くるりと旋回しながらレーザー・ブレードを展開し、黄色い目を光らせる
「おおおおおおおおおおおおおおぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
小柄な身体から素早い剣技が放たれる
以前にもましてスピードは上がっていた
ある一体は頭部を飛ばされ、ある一体は胴体から真っ二つになり、
またある一体は斜めに両断されていた
「まず七匹ッ!!」
順番に爆発が巻き起こり、ヒバリが照らし出される
「ロディ様、私も出ます」
「おう!そんじゃメイのヤツを捜してくれ!!
俺は赤いヤツを探してとっちめる!」
「・・・了解しました
デストロイ!合身GO!!」
ガンマがコクピットから宇宙へと射出される
「グォォォォォォォォォォォ・・・・・・・」
例によって例のごとく、敵戦艦を叩き割って現れるデストロイ
「目標設定・・・以下省略!」
ガンマを収容すると、手当たり次第に近くにいる敵に襲いかかる

「・・おぉりゃぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
背中に背負った巨大な剣「フォトン・サーフィングブレード」を振り回すヒバリ
凪ぎ払われた宙域に立て続けに起こる爆発
それを確認する間もなく、ヒバリは次の目標に斬りかかった
「よっしゃキリ番!!
・・百匹目達成ってな!!」
セリフはそうなっているが実際にはそれより二十パーセントほど余計に撃破していた
・・あくまでも、斬った回数でカウントしていたらしい。
「ヒバリだけどもツバメ返し!!」
今度は戦艦を叩き斬る
・・しかしさすがに数が多いため、さしものロディも焦っていた
・・ちっ・・アリみてーにぞろぞろと・・・
「ガンマ!全方位レーザーとかねぇのか!?」
「無理ですね・・
デストロイには直線系兵器しか・・」
「くそっ・・一匹づつしとめろってのかよ・・
いくらなんでも病み上がり(?)にこいつぁ・・・」
正確には死に上がり・・とでもいうべきだろうか。
とにかく、縮んだ身体では本調子がでないようだ
「サクラのヤツ・・せめてもう少しまともな身体を・・・」
「全方位誘導レェェェェェェザァァァァァァァッ!!!」
「あ・・?」
スピーカーを通してトーンの高い声が響いた
続いて、モニターを数百条の光が埋め尽くした
戦艦という戦艦、ギアというギアが貫かれ光に還元する
「うぉわっ!?危ねぇぇぇぇぇぇ!?」
「デストロイ、三時方向急速回避!」
ロディはギリギリ、ガンマは余裕で避ける
「だ・・誰だっこんな見境無い攻撃すんのぁ!?」
モニターの直上にやたら巨大な青いギアが映った
なにやら腕組みをしたポーズで、その場にとどまっている
「・・・・・SGマーク・・?
って、警察があんな強力な機体持ってるわけが・・・」
「それが持っていたりするのよね~♪」
「・・その声は・・」
ロディはイヤな予感がしつつも、もう一度そのギアに視点を変えた
「セントラルガード第八実験小隊所属!
超巨大機動可変合体ギア「ガン・ゲリュオン」!!
定刻通りにただいま到着!!・・ってね!」
自信たっぷりに笑うリィズ
その後ろに、勢いに押されて引いているラルフがいたのを、ロディは見逃さなかった
「お前らか・・」
「何なのよ・・そのため息は・・(怒)」
「隊長・・・・お願いしますから落ち着いてください・・・(泣)」
もはや押さえのきかないリィズ
「・・にしても・・
よく生きてたわね、ロディ君」
「まぁな」
やっぱその話題か・・
そう思いつつもロディは答えた
「細かいコトはどうでもいい。
ちょっと捜し物をしててな、あんたらSGにザコ任せてもいいか?」
「ザコってことは・・もしかして捜し物って・・」
「あー、大物だ
ブレードバッシャーを半壊させやがった張本人。」
・・あの化け物戦艦を沈める機体って・・・
ちょっと背筋が寒くなったリィズだったが、表には出さずに答えた
「そんなヤツがいるんだったら隊長がこのガン・ゲリュオンで・・!」
ごすっ!!
勢いのある音がして前のシートのラルフがコンソールに突っ伏した
見れば、リィズが投げたヘルメットがヒットしていた(本来は今かぶるべきモノ。)
「・・ったく、エネルギーがないって言ったのぁ誰よ」
ちょっと気の毒に思える
「もうすぐ艦隊が合流する頃だし、それまでなら私がやっとくけど?」
「・・そんじゃ頼む。」
・・そうそう、そんな危なっかしいのと戦って万が一にもこのギア壊したら・・
裏があるのだがこれも表には出さない
・・これでいいのか警察官・・
「よぉーし!まずはあっちに行ってみるか!!!」
そしてヒバリは、景気づけに戦艦を一隻落としていった。

・・それから間もない頃・・
「・・・・・・・!?」
ようやく発見し、デストロイの目が捉えたメイは見るも無惨な姿であった
体中を無数の傷跡が這い、本来白と緑に彩られていたその機体を「血」が赤く染め上げている
言葉につまるガンマ
「ご主人・・・・・・」
ガンマは言葉を失う
「・・・・・・・・・・無念・・・っ
自分の不覚・・故に守れぬとは・・・・・・・」
・・すると
それをあざ笑うかのようにヴァーミリオンが姿を現した
「あらら・・・残念だったわねガンマ君?
あんたのマスターあんまり弱いから・・片づけちゃったよ
セプターだかなんだか知らないけどさぁ」
「・・・・やはりあなたが・・・・・・」
「そこらの一般兵じゃ相手になりそうもないし、あたしが直接相手してあげたんだから
ま、一撃食らって泣き言言ってるようなガキが勝てるわけもなかったけど。」
「・・愚弄するかっ!!」
デストロイが攻撃を開始しようとした瞬間・・
がごんっっっっ・・・・
五十メートル四方の装甲片が、いきなりデストロイの後頭部を直撃した
「あー悪ぃガンマ!
ちぃーと力入れすぎたわ!(笑)」
「・・ろ・・ロディ様・・(汗)・・ご主人が・・・・・・」
そう言われて目線を移すと、ロディの表情が一変した
・・もちろん、メイの変わり果てた姿を目の当たりにしたためである
「メイ・・・!?
おいっ赤いの!てめぇがやりゃあがったのか!?」
「ええ、そうだけど?
だったらどうするって言うの?」
「・・・・・・・決まってんだろーがっ!!
てめぇは俺がぶっ潰す!!!!!」
「ロディ様!?」
「ガンマ!今回ばっかりは俺がやらせてもらうぜ!
・・・・社員がここまでやられて黙ってちゃ社長の名折れだっ!!」
「・・律儀ねぇ・・・
ま・・・さっきほど退屈しそうにないか。」
「言わせておけばぁ・・(怒)
シュウ!なんでもいいからこいつのOPT射出しろ!!」
「・・は・・・?」
「聞いてろこの発明ヲタクッ!!
全力で叩きつぶしてぇヤツがいるんだ!!とっととやれっ!!」
「了解、ではすぐに・・・・・」
画面の中で、淡々と作業に移るシュウ
「・・へぇ?
そんな小さいのでこのヴァーミリオンに勝とうっての?
・・ふん・・ライゼル閣下の言った通りねぇ
あんたって無謀極まりないわ」
「ぬわにぃおぅ!?
てめぇごときネスにも劣るわ!このエセIFRっ!赤いのっ!!」
「・・・・ひどいですよう・・・(泣)」
聞いていたネスが泣いたのは言うまでもない
「・・とにかく!!
てめぇとは一対一でケリつけてやるっ!!!!!!」
「・・ふん・・望むところね・・」
・・ヴァーミリオンを指さした体勢のまま、しばし沈黙するヒバリ
「・・・・ただし!OPTが到着するまで待て!」
ずどっ
さしものサイレントもこのセリフにコケた
「・・・・あんたって正々堂々としてんの?
・・それとも極端に自己中なだけなの?」
「・・・・・・ほっとけ!!」

・・とにかく、両者のにらみ合いが続いた
OPTが到着するまで「十数分間」も・・


7・・衛星軌道の一対一

「しっかり・・してください!ご主人!」
ガンマがメイを抱え呼びかける
しかし・・その呼びかけに対する反応はない
「・・なんとかシュウ様のところへ・・・」
デストロイはブレードへと、進路を変えた。

・・火星、衛星軌道上・・
ばらばらと大小の岩塊がひしめく・・ヴァーミリオンとヒバリは、そこにいた
・・・ヒバリの後ろには二体のギアがついている
一体は鳥・・かなにかの。
もう一体は戦闘機の形だった
「OPTっていうから武器か何かだと思ったけど・・
ただの無人機じゃない、あんた」
サイレントがあざけりまじりに言う
「っせえ!俺だってそんなのぁ知ったこっちゃねぇんだよっ!!
・・・シュウ!どういうこった!?
俺は強化パーツを送れと・・・」
「・・無限大系ソリッド起動します」
「は・・?」
ヒバリのコクピットモニター全てに、オンラインの文字が点灯する
ヒバリの目、鳥型の目、戦闘機のブリッジが緑の輝きを放った
「うぉわっっっ!?」
何の操作もしていないのに三機が意味不明のフォーメーションを組む
ヒバリに鳥型が、その下からは戦闘機が合体していく
ウデが出てくる・・脚部と肩がせりだす・・
翼が展開し、ヒバリの頭にパーツが重なった
「合体メカですって!?」
「しかも定番のBGM付きでね。」
「・・・せやけどこれってトライゼノ・・・」
「おっしゃぁ!!なんかしらんが合体完了だぜぃっ!!」
コクピットは全天型に変わっていた
どうやら、パイロットの動きをトレースするタイプに変更されたらしい
そして・・改めてヴァーミリオンの前に現れたのは・・
二体の無人機と合体を遂げたゼファーであった
そう、「ヒバリ」ではなく、「ゼファー」だったのだ
「全長十七m・・
重量七百八kg・・
そしてリアクター最大出力四百七十八pa・・
これぞ僕の作ったゼファー「根性合体インフィニオン」です!」
「根性合体・・・・・・確かに当たっていますね(汗)」
「・・い・・いんふぃにおん?・・・」
シュウのネーミングには少々古くさいセンスを感じた
・・が、それはそれ。
今は目の前の敵を倒すことにある
「そうだな・・どうでもいいことは後回しだっ!!(重要な気がするが)
行くぜインフィニオン!!」
「きぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・・」
一声鳴くとインフィニオンは、ヴァーミリオンに真っ正面から突っ込んでいった・・

・・一方、艦隊と戦闘を繰り広げていたガン・ゲリュオンは・・
「そろそろ行くわよ・・!
全バーニア・・・全・開!!」
リィズの叫びにあわせ、ラインを引きながら急上昇するゲリュオン
「スーパー・・・・イナズマ!
キィィィィィィィィィィィィィィィィ・・・・・・・・ック!!!!」
そのまま直滑降する
マッハを越える速度の中、間に入った者は全てことごとく砕かれていった
・・こっちはこっちで滅茶苦茶・・・

そして、「合体兵器で熱血バカパイロット」はリィズだけではない
「必ぃぃぃぃぃっ殺ぁぁぁぁつ!タングラム・ストライクッ!!」
両腕のパーツからパイルが伸び、ヴァーミリオンを捕らえんとするが惜しいところで当たらない


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