第01話-4



ロディ達は遠く離れた地、とある惑星近くの衛星港にいた


あの時ワームマインは、岩塊に穴を開けるつもりで放ったのだが、結果として岩塊は四散し、元の形を止めない程に・・

・・ま、結果オーライっと。


「お堅いおっさんだなぁ、ったく・・」


衛星港の小さなカフェでクライアントに会っていたのだが、ロディはうんざりといった様子で戻ってくる

今回の依頼は警察からの直接の仕事・・そういうお堅い人物が接触してくるのは目に見えていた

・・だが、うんざりしていたのは遅刻寸前で来た事をとがめられたからであって、決して仕事がイヤになったわけではない

・・イヤならとっくにやめている、とでも言うだろう。


「シュウ、行くぞ」

「了解です、ロディさん」


ロディはシュウを連れ、ネス達と分かれた

・・それは、三十分も前の事・・


今回の仕事は実質、ロディとシュウだけで行う

コロニー内部へ潜入し、その中で違法取引の証拠またはそのものを見つける事・・

当初ロディは「俺が暴れて陽動する、その間に探してこい」という指示を出したが、コロニーを破壊しかねないので皆、却下した

仕方なくネスの発案で彼とシュウ、二人の少数潜入捜査となった


「・・なんでこーいう時って排気ダクトから潜入するんだよ・・」

「セオリー通りでしょ」

「・・・正面から乗り込めばよかったのに、楽だし・・」


・・それじゃ最初の作戦と同じでしょ・・


シュウはにこにこしながら、心の中で静かにツッコミを入れた

ロディ達が腹這いに進むダクトは、さきほどの衛星港から直通でつながっている工業コロニー「アルト」の内部にある

アルトは「S.P.F」という会社が所有しているコロニーだが、表の大企業という肩書きは有名ながら、裏の悪名もそれなりに噂されていた


S.P.F社はS.Gからマークされていたのだが、どうもS.G上層部には内通者がいるらしく、残念ながらその捜査すらも満足にできない状態だった。


・・それにしても・・潜入は随分楽に進んでしまった

鍵がかかっているハズのドアは開いていたし、ロックがかかっていてもそれはシュウに簡単に開けられるようなものだった


・・ずさんだな・・


ロディがそんな事を考えていた時・・


「このドアはどうやって開きます?」

「・・なんだこりゃ」


そのドアだけはどうしても納得のいかないものだった

今まで普通の自動ロック、パスワード、キーロックなどをパスしてきたが・・


なぜか、「南京錠」だった

しかも、これでもかと言わんばかりにごちゃごちゃとくっついて・・(汗)


「呆れる通り越して、もうどうでもよくなってきた・・」

「で、解除しますけど・・全部開けますか?それとも一気に焼き切ります?」


聞くまでもなかった

ロディはシュウを押しのけ、上着に手を突っ込むとどこからともなく小型の加工用トーチを取り出した


「今どこから出しました?」

「気にするな」


ロディはシュウを無視するように作業にかかる

彼の上着は全く仕組みがわからないが、なぜか色々なモノが出てくるようになっていた

まるで青い猫型ロボットの「四次元ポケ・・・」のように。

シュウはしばらくロディをジト目で睨んでいたが、彼の作業が終わりかかっている事に気付くと


「ここから4ブロック先に中央制御室があります。」


とりあえず先の案内をする


「開いたぞ」


ロディはまたそのトーチを上着に・・懐に当たり前のようにしまって、ドアの持ち手に手をかけた


がち。


「開かねぇぞ」

「そんなわけ・・ロックはもうないハズですよ?」

「だが開かねぇぞ」


ロディの顔がだんだん引きつってくる


がた・・がたがたがたっっ!!

何度試しても開く様子はない・・ドアにガタがきているのか、微動すらしない・・


すると、ついにキレたロディが強行手段に出た


「でぇぇぇりゃぁぁぁぁぁっ!!!!」

ずどっ!!!

「はい・・っ!?」


あれほど淡々としていたシュウの顔が、初めて驚きのものに変わる

ロディはなんと・・・これまで慎重に慎重に開けてきたドアを、 「蹴り倒していた」


うぃぃぃ・・・


当然のように、異常を感知した警報装置がうるさい音を立て始める

同じくロディ達の周囲に赤い回転灯が現れ、忙しく回り始めた


「・・どうします?」

「どうって?・・行くしかないだろ」


ロディはシュウを引っ張るようにして、開いた(倒した)ドアの先へひた走る


外のネス達も、その様子に感づいていた


「・・やらかしたみたいですね、マスター・・・(泣)」


彼は心の底から、泣くしかなかった。


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