2009年02月22日
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雪下ろしはまかせて
 午前5時新潟県の豪雪地帯。雪下ろしがもう始まっている。「去年は6時頃からでもよかったが、今年は5時からだよ・・」と屋根の雪下ろしをする人たち。2006年の冬の豪雪で100人もの人が全国で亡くなった。雪下ろし中の事故が多い。屋根がつぶれては困ると、人は屋根に登る。老人が多い地区では無理なところもある。こういった災害時にどう対処するかが国としての最大の課題ではないかと思う。朝5:10分、気温零下12度。身も凍る寒さだ。雪は無情に降り続く。「でもさ、いいこともあるんだわ」と一段落ついてお茶を入れてくれた、敏雄おじいさん。米子おばあちゃんも口をはさむ「若い人がアルバイト感覚で雪下ろし手伝ってくれるんだ。」「そうさ、よく働くよ、2時間で4000円かな・・」「高いと思うが、国と市からの補助・・そしてほらうちでとれた米を5キロ付けるさ・・喜んで帰っていくよ。いや帰らないなあ、あの公民館に泊まり込みいぇってくらるさ、」「雪下ろし隊とかいってね」「じいちゃんそればかりじゃないら」「言ってもいいかな」「いいさねえ」この話は誰にも言わないでと言うので実名を隠して話をするとじいさんは座りなおした。
東京には各地からたくさんの人が働きに来ている。中でも新潟県人は多い。雪で仕事がままならないということと、地元には働き口がないというのも理由だそうだ。高校を卒業して、毎年2000人、卒業生が働きに来る。まじめで健康で、よく働くと評判がいい。でも近年の不況で受け入れる会社は減ってきている。21歳になる元暴走族「レッドハンター」の頭のAくん。地元の高校を出て東京への就職を希望するが、受け入れ先がない。17歳で就職浪人。その苛立ちと、何とも言えない鬱屈した気持ちがわき上がり。「レッドハンター」を立ち上げる。仲間は最初5人だったが次第に大きくなり50人を越える族となる。気だてが優しく、ケンカが強い。仲間思いのAくんは他の族からも尊敬された。
彼の出身地は山の中の小さな村。11月の初雪から3月の雪解けまで村は静まりかえる。
作業着に身を包んでいるAくん。胸のロゴをみると「レッドハンター」でなく「ホワイトハンター」になっている。「あれは8年前のこと・・・」公民館床にひいてある布団の上で話し始めた。午前5時30分。
彼の故郷は「山辺村」人口1800人。産業は林業とキノコ栽培である。村に中学校まであるが高校はない。高校を出た者は競って大きな町に行く「とにかく、仕事がないんだわ」「それに冬のあの閉鎖された毎日は、どうしょうもない」「雪が降ると全てがとまる」「テレビと酒の日々さ」話は隣にいた親友のBに移る「そうさ、なにしろ雪がわんさか降るんだ。毎日毎日雪下ろしさ。現金収入を求めて、おかあ達は町の部品工業に働きに行く。おとうは道路工事の仕事さそれしかないんだわ」「毎日腰がいてえいてえと言っていた爺ちゃんが、無理して雪下ろしていたら・・・」「どうした」と下向いている彼に覗き込むようにして聞くと「死んじまった・・・屋根から落ちて雪に埋もれて・・」無理がきかねえのを知っていても雪を下ろさないと家がつぶれてしまう。Bが続ける「そんなある日、Aの親父が死んだんだ・・」「雪を下ろして、トラックで雪を捨てに行く最終谷にトラックごと落ちた。」さえぎるようにしてAが「オレが20の時さ、ハンターの頭になり、冬でもあったけえ所に行って走っていた。何日も家を空けてさ・・」
「雪を恨んださ」「でもどうしようもない現実があったのさ」その直後、会社を立ち上げる「ホワイトハンター」だ。雪下ろし専門会社である。社員30名、元ではなく今でも暴走族が多い。「走るのは春と夏と秋だね」「冬はAの会社で働いている。」「12月から2月の3ヶ月で1年分稼げるんだぜ・・朝辛いけどな」雪の日には会社の電話はなりっぱなし。時給5000円と銘打って、臨時に高卒プータローや他の暴走族をを集める。すぐに集まる。彼らは「人のためになる」ことをすることが何よりうれしい。今では新潟県内に10の支部をもつ。会社の建物はない。「電話はこの携帯さ」と雪焼けしたAは言う。さらに「バイクがあるから雪のない国道を選んですぐにいけるのが強みさ」と腕を組んでニコットする。こんな時にバイクの運転の腕が役に立つ。ひとりで稼ぐやつは月100万以上「ちょっとしたホストぐらいかな・」と照れるCくん。「この前さ、雪を下ろして一杯お茶を呼ばれていたとき「おい、おまえ」というから見てみると、いつもオレを追っていたマッポさ。足をけがして療養中でさ、雪がおろせなかったそうだ「ありがとう」なんて言われたのでうれしくてさ。笑いながら今度は目の前の別のやつに言う「そうそうおまえが一番得したな・・」と肩をたたかれるDくん。「いやあ」と照れる25歳。話によると毎年雪おろししている家にいるおばあちゃんが亡くなった。そしたらそのおばあちゃんは実はとんでもない人で、その村の大地主だった。死後遺書が書かれていて。その内容の中にDに財産の10分の一相当の土地を譲ると書いてあった。弁護士に呼ばれたDはびっくり。10分の一といっても元が総額30億の土地。いろいろな税金を引いても2億円相当の土地が入ったのだ。その上孫娘といい仲になり結婚することになる。「そうすると・・・財産が・・」と指を折るDの頭をこづき「おれは純粋に好きなんだ」顔が赤くなる「それでもってあの土地に工場を造って、俺たちみたいのが東京に行かなくても済むようにするんだ」そこのいた10人にうなずきと静寂が流れた。





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最終更新日  2009年02月22日 10時36分38秒
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