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リウマチについて

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疫学


リウマチの画像集


● 人口の0.4~0.5%、30歳以上の人口の1%にあたる人が
この病気にかかっています。

● 患者は、男性より女性に多く認められます(約3倍)。
● どの年齢の人にも起こりますが、
30歳代から50歳代で発病する人が多く認められます。
● 15歳以下で発病したときは、若年性関節リウマチとよばれます。

原因


不明です。微生物の関与などなんらかの原因により、
関節腔の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こります。
また、関節の血管が増加し、血管内から関節滑膜組織にリンパ球、
マクロファージなどの白血球が遊走します。
関節局所で免疫応答が起こり、
リンパ球やマクロファージが産生するサイトカインの作用により
炎症反応がひきおこされ、軟骨・骨の破壊が進行します。

症状


関節リウマチの症状には関節の症状と関節以外の症状があります。

- 関節の症状 -

手指(指の付け根=中手指節関節、
指先から二番目=近位指節関節)、
足趾、手首の関節の痛みと腫れが数週間から数か月の間に
徐々に起こります。
触れると熱感があることもあります。
肘や膝の関節にも痛みと腫れがみられます。

関節の痛みは最初一つあるいは少数の関節から始まりますが、
長い間には左右の同じ部位の関節にほぼ同じ時期に
起こることが多いのです。

関節の腫れは関節液が貯まったり、
関節を包んでいる組織に炎症が起こるためで、
圧すと柔らかい感じがあり痛みを感じるのが特徴です。

関節を動かし始めるときにこわばって、
なんとなく動かしにくく、
使っているうちにだんだん楽に動かせるようになります。
朝、起きたときに最も強く感じるので
「朝のこわばり」とよばれます。
昼寝をしたり、長い時間椅子に坐っているなど
関節を動かさないでおいた後にもこわばりはみられます。
関節リウマチでは朝のこわばりは数時間続くことが多いのです。

関節痛は、よくなったり、悪くなったりをくり返しながら
慢性の経過をたどりますが、なかには、
数か月で完全に治ってしまう人もいます。

症状は天候に左右されることが多く、
暖く晴れた天気が続くときは軽く、
天気が崩れ出す前や雨の日、
寒い日には痛みが強くなります。
また、エアコン冷房の風が直接関節部にあたると
関節痛が強くなります。

病気が進行すると、
関節の骨や軟骨が破壊されて関節の変形が起こり、
関節を動かせる範囲が狭くなります。

手指が小指側に偏る尺側偏位、
足の親指が外側に偏る外反母趾、
膝や肘が十分に伸ばせなくなる屈曲拘縮がみられます。

頭を支えているくびの骨の関節がおかされてずれやすくなる
(環軸関節亜脱臼)と後頭部が痛んだり、
手の力が入りにくくなったりしびれたりします。


- 関節以外の症状 -

全身症状として、疲れやすさ、脱力感、
体重減少、食欲低下がみられます。

肘の外側、後頭部、腰骨の上など
圧迫が加わりやすい部位の皮下に
しこりを生じることがあります。
皮下結節とよばれています。

胸部エックス線写真をとると胸水がたまったり、
肺の下部に肺線維症の影がみられることがありますが、
症状として表われることはまれです。

涙や唾液が出にくくなる
シェーグレン症候群がみられることもあります。

心臓、肺、消化管、皮膚などに血管炎が起こり
発熱や心筋梗塞、肺臓炎、腸梗塞などの症状をひきおこす
悪性関節リウマチは、
厚生省の特定疾患の一つに指定されています。
治療費の自己負担分が公費で補助されます。


診断

関節リウマチの症状は、ひじょうに多様で
発病初期には個人差が大きく、
また、関節リウマチ以外にも
関節の痛みを伴う病気は沢山あります。

そこで、関節リウマチの診断には、
アメリカリウマチ協会(ARA)
(現 アメリカリウマチ学会(ACR))
がつくった診断基準が使われています。

この診断基準は、

 1)1時間以上続く朝のこわばり

 2)3個所以上の関節の腫れ

 3)手の関節(手関節、中手指節関節、近位指節関節)の腫れ

 4)対称性の関節の腫れ

 5)手のエックス線写真の異常所見

 6)皮下結節

 7)血液検査でリウマチ反応が陽性
の7項目からできています。


このうち4項目以上満たせば関節リウマチと診断します。
ただし、
(1)から(4)までは6週間以上持続することが必要です。


検査


関節リウマチの診断をするときに役立つ検査に、
血清のリウマチ反応、血沈、
CRP、手のエックス線写真があります。

リウマチ反応(リウマトイド因子)は、
関節リウマチの患者の80~90%で陽性となります。
リウマチ患者でも陽性とならない人もあり、
また、関節リウマチ以外の病気の人や健康な人でも
陽性となることもあります。
リウマチ反応陽性でも
すぐ関節リウマチというわけではありません。

リウマチの進行や関節症状の進み方を知るための検査として、
関節のエックス線写真、
胸部のエックス線写真を定期的に撮影しています。

血沈やCRPもリウマチの炎症の程度を知る上で
役に立つ検査です。

リウマチの病勢が強いときには貧血がみられますが、
治療によって抑えられてくると
貧血も軽くなるので参考になります。

リウマチは薬物療法を長期にわたって行うので、
くすりの副作用に気をつけるための検査が必要です。
尿検査(たんぱくや赤血球)、
血液(貧血、白血球や血小板の減少)
血液生化学(肝機能、腎機能)を定期的に検査します。



治療


関節リウマチの原因は不明なので、
リウマチの原因をとりのぞく
根治療法は今のところ期待できません。
リウマチの治療の目標は、


 (1)関節の痛みを抑える

 (2)リウマチ活動性や関節の炎症を抑える

 (3)関節の変形を予防し、動かせる範囲を保つ

 (4)破壊された関節の働きを再建することに主眼をおく



- 薬物療法 -

1.非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤)

関節の痛みを抑え、炎症を抑える目的で、
非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤)が用いられます。
アスピリンが最初に用いられましたが、
胃の粘膜をおかし胃潰瘍をおこしやすいために、
いろいろと工夫したくすりが開発され販売されています。

持続時間の長いもの、
胃粘膜を荒らさないために不活性型で吸収されて
関節炎症の場で活性型に移行してはたらくものなどがあります。

剤形も内服錠、坐剤、貼付剤があります。

2.副腎皮質ステロイド剤(ステロイド)

炎症を抑える最も強力なくすりは、
副腎皮質ステロイド剤(ステロイド)です。

長期間用いると骨粗鬆症などの副作用がおきるので、
関節リウマチのように直接生命に危険がない慢性の病気には
慎重にできるだけ少量を使います。

3.抗リウマチ薬

リウマチ活動性を抑えるくすりに、
金製剤(シオゾール)の注射、
メタルカプターゼ、リドーラ、カルフェニール、
リマチル、オークル(モーバー)などの抗リウマチ薬があります。
服用を開始してから効果がみられるまでに数か月かかります。

4.免疫抑制薬

抗リウマチ薬が無効の場合に、免疫抑制薬が用いられます。
関節リウマチに対して適応が認められている免疫抑制薬は、
ブレディニンおよび平成11年8月から適応が承認された
メトトレキサート(商品名:リウマトレックス カプセル2mg)
メトトレキサートの低用量間欠投与法は
関節リウマチに有効性が確認されており、
欧米で既に広く用いられています。
その反面、間質性肺炎、骨髄抑制、
肝障害等の副作用が発現する可能性があり、
注意して用いる必要があります。
十分な知識とリウマチ治療の経験を持つ医師の指導の下で
定期的な診察と検査を受けながら治療するのがよいでしょう


- 理学療法 -

関節痛を和らげ、
関節の動かせる範囲を保ち、
筋力の低下を予防するのに理学療法が有効です。


1.温熱療法

温湿布、パラフィン浴、超音波照射、温泉療法などの温熱療法は、
関節痛を和らげ、筋肉の緊張をとるのに効果があります。

2.関節可動域体操と筋力強化訓練

温熱療法を行った後に、
関節の動かせる範囲をゆっくりと十分に伸ばす
関節可動域体操と筋力の強化訓練を
組み合わせるとよいでしょう。
「リウマチ体操」というプログラムがあります。

3.補装具

関節の変形を予防するために、
また、関節の変形がすでに起こった場合には
残った機能を支えるために、
その人に合った補装具を作製して装着します。

杖や手の届かないところを補うのに、
リーチャーなどを作製して用います。



- 手術療法 -

関節の炎症を防止する目的や破壊された関節機能を
再建するために行なわれます。


1・ 滑膜切除術

リウマチは関節を包んでいる滑膜が強い炎症をおこして増殖し、
軟骨や骨の破壊をひきおこします。
炎症が強い場合に、病的な滑膜を切除する手術を行って
関節破壊を防止しようとする手術です。
最近では、関節鏡で関節内をみながら滑膜を切除する
関節鏡下滑膜切除術が行なわれています。

2・人工関節置換術

関節が破壊されて関節可動域が低下し、
体重を支える安定性など関節の機能が失われた場合に、
人工の関節と取り替えて関節機能を再建しようとする手術です。
股関節と膝関節では、よい結果が得られるようになり、
さかんに行なわれています。



生活の注意


1・ 安静

リウマチの活動性が高いときは、微熱があり、疲れやすくなります。
炎症の強い部位の関節は腫れや熱感があり、
安静にしても痛み(自発痛)、
関節を動かすと一層痛みが強くなります(運動時痛)。


リウマチは関節だけでなく、全身が消耗する病気です。
そのため、全身と関節の安静が必要です。
睡眠を十分にとるとともに、
昼間も疲れたら昼寝をとることが大切です。

リウマチ患者は、
30~50歳代の女性に多く、
患者がおおむね主婦であることから、
午前中の家事が片づいたときや
夕食の支度に取りかかる前に
臥床して休息を取るとよいでしょう。

何時頃に疲れを感じるかが
リウマチ活動性の一つの目安にもなります。

関節の腫れと痛みがつよいときには、
関節の安静を保ち、変形を防止する意味で、
補装具で関節を固定することもあります。
その場合でも1日に1回は関節可動域を
十分に動かすことが大切です。

リウマチの活動性が治まり、
関節痛が軽いときは、
できる範囲で普通に日常生活を送ってよいのですが
その場合でも、疲れがつよくなる、
あるいは関節痛がつよくなる
一歩手前で休養を取るようにします。

2・ 保温

関節を冷やすと関節痛が強くなることがあります。
寒い季節はもとより、
夏も冷房の風が直接あたるのを避けて、
長袖や長ズボン、
ブランケットなどで関節部位の保温に気をつけましょ





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